投資家が実体験から語る、初心者が気をつけるべき不動産投資5つの誤解

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皆さん、こんにちは。今回は、不動産投資を検討するにあたり、初心者が気をつけるべき不動産投資に関する誤解について、数年間不動産投資を行い投資サークルも主催する私の実体験をベースに5つご紹介をしていきます。

目次

  1. 不動産投資はお金持ちでないとできないという誤解
    1-1.不動産投資は安定した年収のサラリーマンでもできる
    1-2.会社経営者よりも会社員の方が融資を受けやすい
  2. 投資物件は現金で購入した方が良いという誤解
    2-1.投資物件は金融機関から融資を受けて購入する
    2-2.適切な融資を受けて資産形成のスピードを速める
  3. 投資物件は短期間で売却をして転売益を狙った方が良いという誤解
    3-1.投資物件は長期で家賃収入の獲得を狙う
    3-2.投資物件は値上がりをしても短期間で売却をしない
  4. 表面利回りが高い投資物件に投資をした方が良いという誤解
    4-1.表面利回りの高さにつられて物件を選ばない
    4-2.満室想定利回りには要注意
  5. 不動産投資は単なる金融商品の1つであるという誤解
    5-1.不動産投資は実は不動産経営
    5-2.経営者の視点が不動産経営の成功のコツ
  6. まとめ

1.不動産投資はお金持ちでないとできないという誤解

私の周囲に、「不動産投資は年収が高くて、多くの貯金がないとできないもの」と考えている友人がいます。確かに、平均以上に給与が高くて定期預金もたくさんあれば、それに越したことはありません。

1-1.不動産投資は安定した年収のサラリーマンでもできる

また、「自分で物件を探すとなるとそれなりに時間も手間もかかるし、そもそも良い物件が提案されることはない」と考えている人も多くいます。私の場合、初めて物件を購入したときは、一般の会社員でした(給与も預貯金も同年代の人よりも少し多いくらいでした)。

物件を増やしていく場合には、融資する金融機関の立場からすると、初めて購入するときよりも年収や金融資産を多く要求されますが、いまは年収500万円から融資をしてくれる金融機関も登場しています。

1-2.会社経営者よりも会社員の方が融資を受けやすい

私が初めて購入したときに決め手となったことの理由の一つに、不動産投資は、年収が何千万円もある会社経営者よりも、安定した給与収入がある会社員や公務員の方が金融機関から融資を受けやすい、という現実がありました。

上場企業や公務員で、勤務年数も長く、毎月安定した収入がある人を不動産業界では「属性が良い人」といいます。私が不動産投資を検討したのも社会人6年目くらいでした。若手会社員でも物件を購入して不動産投資家になれると知ったときは、目からウロコでした。

不動産サイト「ノムコム・プロ」を運営する、野村不動産ソリューションズがまとめた「2018年度不動産投資に関する意識調査」にある投資用不動産のプロフィールには、購入者のうち会社員が46%との記載があります。世間一般のイメージとは異なり、約半数の投資家が会社員であるということです。

2.投資物件は現金で購入した方が良いという誤解

物件を購入するにあたっては、2通りの方法があります。1つ目はお金を貯めて現金で一括して購入する方法です。借入をしないので、翌月から丸々家賃収入を得られることから安定収益を期待できます。

もう1つは、購入資金の一部を金融機関から借入をして運用していく方法です。金融機関が物件を担保として購入資金を貸してくれるのです。

2-1.投資物件は金融機関から融資を受けて購入する

通常、私たちが銀行に行って、「株式を購入したいのでお金を貸してください」と依頼をしてもまず断られるでしょう。株式以外の金融商品でも同様です。銀行は万が一のことがあった場合に損失を被ることを回避したいと考え、不確実な金融商品の購入資金への融資は行いません。

一方、銀行は不動産に関しては融資をしてくれます。某地方銀行のシェアハウスをめぐる不正融資問題が勃発し、不動産業界は一時騒然としましたが、担保評価の高い物件に関しては現在も金融機関は積極的に融資をしてくれます。株式等の金融商品と違い、現物不動産は長期的な運用に適しています。

2-2.適切な融資を受けて資産形成のスピードを速める

融資を受けることで、「時間を味方にする」ことが可能です。融資で購入をした物件のローンは、毎月の家賃収入から返済します。返済金額に占める支払利息部分は毎月減少し、その分元本返済部分が毎月増加していきます(元利均等返済)。

当初、私は借入をしたくなかったため、ある程度お金を貯めてから物件を購入しようと考えました。しかし、通常、不動産はよほど築古でない限り1,000万円以上、ものによっては数千万円します。

適切な融資を受けることができれば、入居者からの家賃収入で元本と利息を返済でき、比較的短期間で資産形成をすることができるのではないか。このように考えた私は融資を受けて物件を増やしていくことを選択しました。

3.投資物件は短期間で売却をして転売益を狙った方が良いという誤解

せっかく購入した物件を売却してキャピタルゲイン(売却益)を狙いたいという友人がいました。長く不動産投資をしていると、一時的に景気が良くなった場合、物件価格が上昇する局面もあります。

不動産投資を株式投資等と同様に考えた場合、比較的短期間で転売して利益を確定したいと欲が出てくるものです。

3-1.投資物件は長期で家賃収入の獲得を狙う

私の経験では、物件を短期間で売却することを前提に不動産投資をするのであれば、最初から株式投資等他のキャピタルゲインを獲得できる投資機会に参戦した方が効率的です。

不動産投資では毎月、家賃収入から元金をコツコツ返済していきます。エリアや物件自体の選定さえ間違えなければ、家賃が下落するスピードより、元金を返済して純資産が増えるスピードの方が早いのです。

3-2.投資物件は値上がりをしても短期間で売却をしない

仮に3,000万円で購入した物件が500万円値上がりしても、短期間で売却することはおススメできません。不動産は所有期間により、売却の際に生じる譲渡益に課税される税金の額が異なります。

簡単に言うと、売却する年の1月1日時点で所有期間が5年以下なのか、5年を超えるかにより、課税される税金が約2倍変わってきます(参照:国税庁 土地や建物の譲渡所得に対する税金)。こうした譲渡所得にかかる税の問題もあるのですが、不動産投資はそもそも長期的な視点を持って取り組むインカムゲイン(家賃収入)を獲得することが本質です。

私も物件価格の高騰や元金部分の返済により、含み益が出ている物件に関して、友人の投資家から何度か売らないのか、と言われました。私の答えは「少なくとも10年程度では売らない」です。

もちろん、今後本格的に売却を検討する必要性に迫られることもあるかもしれません。しかし、不動産投資ほど安定した収入が得られるものも中々ありません。出口戦略に正解はありませんが、目先の売却益につられて、せっかく保有している物件を手放してしまったら、「金の卵を産むニワトリ」を手放してしまうようなものです。

4.表面利回りが高い物件を購入した方が良いという誤解

不動産投資を始めるには、金融機関が融資をしてくれる物件を選定しなければなりません。物件の収益性を判断する指標の1つとして「表面利回り」が広く知られています。表面利回りとは、物件の年間の家賃収入の総額を物件価格で割り出した数字です(表面利回り=年間家賃収入÷物件価格×100)。

4-1.表面利回りの高さにつられて物件を選ばない

一見とても分かりやすい指標ですが、表面利回りは物件が新築か中古か、区分所有か一棟ものか、東京都内か地方郊外か、によって異なってきます。一般的には、中古物件よりも新築物件の方が、一棟ものよりも区分所有の物件の方が、地方郊外よりも東京都内の物件の方が、表面利回りは低くなります。

楽待や健美家等の不動産サイトで掲載されている物件はまず表面利回りで評価され、投資家も高い表面利回りの物件を好む傾向があります。ベテラン投資家同士の会話の中でも、よく使う指標として認識されています。

私は今まで多くの物件を見てきましたが、そこに落とし穴があると考えています。表面利回りは確かに収益性を評価するにあたり、一見公平で分かりやすい指標ですが、あくまでも現時点での評価に過ぎません。不動産投資をして何年か経過すると(場合によっては何ヶ月か経過後に)、家賃の下落や空室期間、さらには家賃の滞納等が発生することがあります。

4-2.満室想定利回りには要注意

物件は経年劣化すれば将来家賃は下がりますし、部屋に退去が発生すれば次の入居者が見つかるまでは空室で家賃収入が入らなくなります。表面利回りだけで評価するということは、このような運営期間中の収益性に影響を与える要因を一切考慮していないということになります。

厄介なのが、入居者がついていない空室物件を紹介されたときの「満室想定利回り」です。特に人気が高い駅に所在する物件が販売時に空室だった場合、想定利回りがその駅周辺の類似物件の想定家賃と違っていた場合、購入した後に苦労することになります。

初心者のときには、不動産会社から様々な資料を提示されると、「そんなものなのかな」と思ってしまいがちですが、必ず販売担当者に家賃設定の根拠を確認するようにしましょう。

また、新築物件時の当初設定時の家賃で、中古物件として紹介された場合、例え入居者が居住していたとしても注意が必要です。長く住んでいた場合、その入居者が退去してしまえば、1万円以上家賃を下げないと次の入居者が決まらないというケースもあるからです。

地方郊外に所在するアパートでは、仮に数室こうした部屋があった場合、表面利回りは「絵に描いた餅」となります。このように一時点での収益性を示す表面利回りの高さだけで物件を選定せず、その物件の実質的な価値を見極めることが重要です。

5.不動産投資は単なる金融商品の1つであるという誤解

前述したように、不動産投資を株式投資等と同様に金融商品の1つである、と見る人もいます。

5-1.不動産投資は実は不動産経営

そもそも、不動産「投資」という言い方が誤解を与えがちですが、不動産投資は「不動産経営」です。

一般的に金融商品は購入した後、購入者が商品の価値を高めることはできないことがほとんどです。しかし、不動産投資に関しては、経営者の視点を持つことにより、不動産「経営」にすることができます。企業経営と同様に自身が経営努力することにより、付加価値を高め、ひいては資産価値を高めることができるのです。

5-2.経営者の視点が不動産経営の成功のコツ

オーナーとして経営にあたるということは難しいことではありません。例えば、退去した物件の入居者を早く決めるために、賃貸仲介会社と協力したり、専有部分(お部屋)の賃貸管理会社を見直したり、リフォームやリノベーションを検討したりと、物件の資産価値を高めるための工夫をすれば良いのです。

私の経験上、不動産投資でうまく行っている投資家のほぼ全ての人が、この経営の視点をもって工夫をしています。運良く優良物件を購入できた場合には、特別な経営努力をしなくてもうまくいくことがあります。ですが、毎回優良物件を購入していくことはできません。

物件購入時のエリア選定や管理会社の選定等はもちろんですが、購入した後にオーナーとして、経営者としての視点をもって運営にあたれば長期的に成功する確率が飛躍的に高まるでしょう。

まとめ

不動産投資を行う際には多額の投資が必要になるため、事前にノウハウやセオリーを学んだうえで取り組むことがリスクを減らすうえで大切です。物件購入の際に借入を有効活用することに始まり、長期的にインカムゲインで利益を積み増せる物件を吟味するなど、知っておいた方が成功確率が高くなる知識はいくつも存在します。

もしあなたがこれから不動産投資を始めようと考えているのであれば、こちらの記事でご紹介したことについて、自分の認識が合っていたかどうかを確認してみると良いでしょう。

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依田泰典

不動産投資家。公認不動産コンサルティングマスター。情報経営イノベーション専門職大学客員教授。
・ソニーにて、ITソリューション関連の法人営業や企画・マーケティング業務に従事(MVP受賞)。ソニー在籍中、株式投資(信用取引)等幅広く金融商品を運用するほか、東京23区の分譲マンションをメインに不動産投資を実践。
・ソニー退職後、不動産会社(ベンチャー企業・東証上場企業)にて、収益用不動産(1棟物件)の仕入・販売、事業開発(不動産ファンド)、経営企画・広報業務に従事。
・独立後は、東証プライム市場上場グループ企業等の社外取締役、顧問、アドバイザーとして活動(営業・資金調達支援)。その後、仲間とIT関連のスタートアップを創業。
・米系PEファンドのKohlberg Kravis Roberts(KKR)への出資をはじめ、国内では不動産テック等IPOを目論む複数のスタートアップ(ミドル・レイターを含む)への出資のほか、複数のVCファンド(シード・アーリーメイン)にLP出資。
・宅地建物取引士(宅建マイスター)、貸金業務取扱主任者、賃貸不動産経営管理士、ビル経営管理士、競売不動産取扱主任者、社会保険労務士、行政書士、情報処理技術者等の資格を保有。
・趣味は街の散策と食べ歩き。YouTube鑑賞(BreakingDown、YOASOBI)。漫画(島耕作、キングダム、ザ・ファブル)。格闘技(合気道有段者)。坂道ファン(推しは櫻坂46山崎天)。
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