マンション投資を行う場合は、需要の高い方が長期的な家賃収入が期待できるため、「駅徒歩10分以内」の物件を選ぶのが一般的です。しかし、「駅徒歩10分以内」であれば収益が出る物件であるということは保証されていません。
そこで今回は、投資用マンションの鉄板とされている「駅徒歩10分以内」を選んだ場合の落とし穴について詳しく解説していきます。
- 駅チカ物件のメリットは全部で3つ
1-1.駅に近いほど需要が高い
1-2.駅に近いほど資産性が高い
1-3.駅に近いほど出口戦略に有利 - 駅から近いは当たり前?より良い条件が求められる
2-1.東京都内の駅徒歩10分以内の実態
2-2.東京23区の駅徒歩10分以内の実態
2-3.東京都心の駅徒歩10分以内の実態 - 他の物件と差別化を図る必要がある
3-1.より駅に近い物件に投資する
3-2.より利便性の高い物件に投資する - まとめ
1 駅チカ物件のメリットは全部で3つ
マンション投資についてセミナーに参加したり本やインターネットで調べてみたりすると、「駅徒歩10分以内」というのが1つのキーワードになっています。確かに、駅に近ければ近いほど、交通の便が良くなりますが、実際にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
駅チカ物件の主なメリットについて詳しく見ていきましょう
1-1 駅に近いほど需要が高い
投資用のマンションを購入する場合には、需要と収益が直結するため、なるべく需要が高いマンションを選ぶのが失敗しないポイントです。
駅に近いマンションであるほど、駅までのアクセスが良くなります。その他、駅チカの方がスーパー、コンビニ、ショッピングモール、病院といった日常生活に欠かすことができない施設が豊富なので、駅チカ物件の需要の方が高いと言えるでしょう。
1-2 駅に近いほど資産性が高い
投資用マンションを購入する場合には、値崩れが大きくなってしまうと、値崩れ分も家賃で回収しなければならないため、値崩れしにくいマンションを選ぶのがポイントです。
駅に近いマンションであるほど、需要が高いということは先述しましたが、値崩れしやすいかどうかは、マンションの需要の高さと関係しています。そのため、駅から近い方の需要が高いので、駅から近い方が値崩れしにくいと言えます。また、地価も駅から離れているより近い方が安定しているため、駅に近いほど資産性が高いと言えるでしょう。
1-3 駅に近いほど出口戦略に有利
投資用マンションを購入する場合には、いつまでも所有しているかどうか分からないため、最終的な売却を視野に入れた出口戦略を考慮しなければなりません。売却を視野に入れる場合には、すぐに売れるか、高く売れるかがポイントです。
駅に近いマンションであるほど、需要が高く資産性が高いマンションであるということは先述しましたが、すぐに売れるか、高く売れるかはこの2つと関係しています。そのため、駅に近いほど出口戦略に有利と言えるでしょう。
2 駅から近いは当たり前?より良い条件が求められる
駅から近いマンションの方が、マンション投資を行うにあたって有利であることは分かりました。しかし、一般的な基準とされている「駅徒歩10分以内」のマンションであれば、何でもいいのでしょうか?
東京における賃貸マンションの掲載数を見て、駅徒歩10分以内のマンションがどのくらいあるのか調べてみましょう。
2-1 東京都内の駅徒歩10分以内の実態
不動産ポータルサイトの1つであるHOME’Sで、東京都内の物件掲載数を調べてみると、結果は以下の通りです(9月12日調査時点)。
- 物件総数:91,731件
- 駅徒歩10分以内の物件数:74,465件(全体の約81.2%)
物件の割合で考えると、掲載物件数の約81.2%が駅徒歩10分以内という状況であることが分かります。では、さらにエリアを東京23区に絞った場合に、駅徒歩10分以内の割合がどうなるのか調べてみましょう。
2-2 東京23区の駅徒歩10分以内の実態
同じくHOME’Sで、東京23区の物件掲載数を調べてみると、結果は以下の通りです。
- 物件総数:69,384件
- 駅徒歩10分以内の物件数:60,190件(約86.7%)
物件の割合で考えると、掲載物件数の約86.7%が駅徒歩10分以内という状況であることが分かります。東京23区の場合と比べて駅徒歩10以内のマンションの割合が増えたことが分かります。では、さらにエリアを東京都心に絞った場合には、駅徒歩10分以内の割合がどうなるのか調べてみましょう。
2-3 東京都心の駅徒歩10分以内の実態
同じくHOME’Sで、東京都心の物件掲載数を調べてみると、結果は以下の通りです。
- 物件総数:5,223件
- 駅徒歩10分以内の物件数:5,105件(約97.7%)
物件の割合で考えると、掲載物件数の約97.7%が駅徒歩10分以内という状況であることが分かります。東京都内、東京23区の両方と比べても駅徒歩10以内のマンションの割合が増えたことが分かります。もはや東京都内は、「駅徒歩10分以内」という条件が当たり前になっていると言えるでしょう。
3 他の物件と差別化を図る必要がある
「駅徒歩10分以内」の条件が当たり前になっている東京都内では、他の物件との差別化を図らないと、安定したマンション投資を行うことが厳しい状況になってくるでしょう。ではどのように差別化を図っていけばよいのでしょうか?
具体的な差別化の方法について詳しく見ていきましょう。
3-1 より駅に近い物件に投資する
「駅徒歩10分以内」の条件が当たり前になっている状況では、さらにそこから希少価値が高くなる距離まで駅に近づいていくという方法が考えられます。例えば、徒歩10分以内のマンションが80%ある状況でも、徒歩7分以内となれば50%と物件数は減っていきます。
さらに徒歩5分以内となれば希少性が非常に高くなってくるため、その分需要が高くなることが期待できるでしょう。しかし、駅からの距離が近ければ近いほどいいというわけでもありません。駅に近い物件ほどマンションの価格が高くなり、同じ築年数・グレードの物件であれば、利回りも低下していくケースが多いため、空室リスク・資産価値と利回りのバランスを見ながら決めるようにしましょう。
3-2 より利便性や快適性の高い物件に投資する
同じ「駅から徒歩5分以内」のマンションでも、駅周辺にコンビニやスーパーだけしかないマンションより、大型ショッピングモールが近いマンションの方が、需要が高いと言えます。
また、共用部分にフィットネスジムなどが併設されているマンションもあります。これらのマンションは通常のマンションより付加価値が高いため、同じ条件だったとしても需要が高くなりやすいと言えるでしょう。
しかし、利便性や快適性の高いマンションを購入したからといって必ずしも成功するとは限りません。利便性や快適性の高いマンションは、通常のマンションよりも初期投資が多くなりがちであるため、それらを踏まえた上で勝算があるか考えてから購入しましょう。
4 まとめ
投資用マンションは、「徒歩10分以内」を購入するというのが鉄則でした。しかし、場所によっては、この「徒歩10分以内」が当たり前になっている場所があるため、より好条件の物件を選ぶ必要が出てきています。
例えば、不動産ポータルサイトのHOME’Sに掲載されている東京の物件では、都内で81.1%、23区で86.7%、都心で97.7%の賃貸マンションが「駅徒歩10分以内」に該当しています。
このような状況では、「駅徒歩10分以内」の物件であっても競争力が低くなってしまうリスクがあります。
駅徒歩7分以内、駅徒歩5分以内の「より駅に近い物件」に投資することで需要の高さを確保するほか、同じ条件でも「より利便性や快適性の高い物件」にすることで差別化を図ることが求められています。
もちろん、条件の良い物件はその分初期投資が多くなってしまうので、リスクと利回りのバランスをしっかりと見極めてから判断することが大切です。
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矢野翔一
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