日本では不動産取引の法整備が進んでいるうえに、発生したトラブルに関する法改正なども随時行われています。
しかし、海外には日本ほど法整備が進んでいない国も多いため、海外不動産投資においては、売買契約書にサインする前に内容を確認することが重要です。
この記事では、海外不動産投資の売買契約書へサインするにあたって、事前にチェックするべきポイントを解説します。
目次
- 海外不動産の売買契約書でチェックすべきポイント
1-1.売買契約のキャンセル条件
1-2.建設工事が中断された場合の処置について
1-3.物件の状態に関する内容
1-4.売主によるローンの詳細
1-5.家賃保証の詳細について
1-6.アフターサービスの対応について - まとめ
1.海外不動産の売買契約書でチェックすべきポイント
海外不動産の売買契約書においてチェックするべきポイントは複数ありますが、特に重要なポイントは、キャンセル条件や家賃保証などお金が関係してくる部分です。
1-1.売買契約のキャンセル条件
海外には日本と違って不動産売買に関する法整備が進んでいない国もあります。また、売買契約書の作成についても、売主が自主的に作成している場合や現地の弁護士が作成している場合など様々です。
特に新興国の投資用物件に多いプレビルド(物件の建設工事に着手する前または建設工事中に販売される物件)などは、資金支払の期間が長期間にわたることもあります。
キャンセルしたい場合はいつ申し出ればよいのか、キャンセル料はかかるのか、かかるとすればいくらなのかなど、売買契約のキャンセルに関する内容については、契約書へサインする前に確認しておくことが重要です。
内容を確認するとともに、不明点がある場合は売主へ確認しておくことで、トラブルを予防できます。
1-2.建設工事が中断された場合の処置について
過去にはプレビルドの物件で工事が途中で中断されてしまったものもあります。工事が中断されると再開されることはほとんどなく、支払い済の資金も返金されないケースが大半です。
このため、プレビルドの物件を購入する場合は、万一工事が中断された場合について契約書に記載されているか、サインする前に確認することが必要になります。
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1-3.物件の状態に関する内容
中古物件を購入する場合に限りますが、物件の状態に関する記載がないか確認することは重要です。売買契約書に「As Is」という記載があった場合は、仮に不具合があったとしても、現状での引渡しが条件となります。
海外では書類が絶対的な効力を持つことも多く、内容を十分に確認しないままサインしてしまうと、後で損失を被ることもあるので要注意です。
物件の引渡し条件については、可能な限り売買契約締結の段階に入る前に売主と交渉しておくのが望ましいと言えます。また、不具合があった場合には売主と交渉できる条件で売買契約を締結する場合は、契約締結後にインスペクションを実施することも検討しておきましょう。
インスペクションとは専門家による物件の点検調査のことです。アメリカの中古不動産を購入する場合などは特に、引渡し前のインスペクションが行われるケースが大半となっています。
インスペクションを依頼すると、建物の構造部分や設備関係について調査したうえで、どこにどんな不具合があるのか報告書が提出されます。早急な修繕を要するような指摘が上がった場合は、報告書をもとに修繕費用の負担区分について売主と交渉することが必要です。
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1-4.売主によるローンの詳細
プレビルドの物件を購入する場合には、セラーズローンというローンを利用できる場合があります。通常、ローンは金融機関によって提供されるものです。しかし、外国人投資家は現地の金融機関でローンを利用できないケースも少なくありません。
ローンを利用しないと資金調達ができない投資家のために、売主が用意しているのがセラーズローンです。
セラーズローンはどんな物件でも利用できるというわけではなく、売主が提供している場合に限り利用できます。また、利用できる場合は貸付条件や返済方法などが契約書に記載されるため、内容を確認することが重要です。内容の確認を怠ると、セラーズローンと単なる分割払いと認識してしまうことも起こり得ます。
なお、ローンの場合は、購入決済の手続きが完了した時点で物件の所有権が買主に移ります。しかし、分割払いの場合は、支払が完了するまで所有権を取得できない場合もあるため要注意です。ローンであることを確実に確認しておかないと、後に大きなトラブルとなる可能性もあります。
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1-5.家賃保証の詳細について
プレビルドの物件の中には、物件購入後の数年間にわたって、売主によって家賃収入が保証されているものもあります。家賃保証付きの物件を購入する場合には、家賃保証の金額や期間が契約書に明記されているか確認することが重要です。
また、売主からの送金がストップしてしまった場合について記載されているか、記載されているとすればそれはどのような対応となるのか確認できることが望ましいでしょう。
海外不動産投資の失敗例には、家賃保証付きの物件を購入したものの、引渡しを受けてから保証家賃が1度も送金されていないというものもあります。過去の失敗例と同じような失敗をしないためには、売買契約を締結する時点でトラブル時の対応についても確認することが重要です。
1-6.アフターサービスの対応について
日本では、物件引渡し後に建物の不具合が見つかった場合は、売主が費用負担して修繕に対応するなどの法整備が進んでいます。しかし、海外には日本でいうところの契約適合責任の概念が浸透していない国も少なくありません。
また、例えばアメリカでは、引渡し後に不具合が見つかったとしても、物件の引渡し前に不具合の有無を確認しなかった買主に責任があるとされます。このため、アメリカ中古不動産の売買では、多くの場合インスペクションが行われています。
海外不動産の取引においては、アフターサービスの考え方について日本と大きく異なる国もあるのが事実です。このため、引渡し後に不具合が見つかった場合の対応について契約書に記載があるか、売買契約を締結する前に確認を要します。
まとめ
レビルドの物件が販売されていたり、契約不適合責任という概念がなかったりなど、日本における不動産取引とは異なる商習慣や考え方が浸透している国も海外には少なくありません。
また、海外不動産に関するトラブルは現地の方に則って処理されるため、日本の裁判所などへは持ち込めません。このため、売買契約書に記載されている内容は非常に大きな意味を持っています。
海外不動産の売買契約書は英語や現地の言語で作成されていますが、サインする前には必ず内容を把握することが重要です。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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