米国不動産投資、メリット・デメリットは?物件購入の手順や注意点も

米国不動産はローンの利用可否や人口増加などのメリットがあることから、海外不動産投資の中でも検討しやすい投資先です。

ただし、日本国内での不動産投資と比較して融資比率が小さくなってしまったり、エリアによっては物件価格が高騰してしまっているケースもあるため、投資前にはこれらの点に注意する必要があります。

本記事では、米国不動産投資のメリット・デメリットに加えて物件購入の手順などを解説します。米国不動産投資を検討している方はご参考下さい。

目次

  1. 米国不動産投資のメリット
    1-1.海外不動産投資の中では比較的ローンを利用しやすい
    1-2.先進国でありながら物件の値上がり益を狙える
    1-3.外国人向けの規制がない
  2. 米国不動産投資で要注意のデメリット
    2-1.国内不動産投資よりも融資比率が小さい
    2-2.減価償却費の計上ができない
    2-3.物件価格が高いエリアも多い
  3. 米国不動産投資の手順と注意点
    3-1.投資エリアを絞り込む
    3-2.不動産エージェントを選ぶ
    3-3.物件を選ぶ
    3-4.オファーを出して売買契約を締結する
    3-5.インスペクションを入れる
    3-6.不動産投資ローンを申し込む
    3-7.資金を送金して決済する
    3-8.物件所有権の登記
  4. まとめ

1.米国不動産投資のメリット

米国不動産投資のメリットは、他の国と比較するとローンを利用しやすい点や外国人にも市場が開放されている点などです。

1-1.海外不動産投資の中では比較的ローンを利用しやすい

海外不動産投資において大きな課題となるのは、ローンによる資金調達です。海外不動産に抵当権を設定するノウハウや、返済不能時の物件売却に関するノウハウに乏しいことから、日本国内の金融機関で海外不動産投資に融資する金融機関は多くありません。

しかし、米国不動産投資に関してはハワイをはじめとして融資する金融機関が複数あります。なお、金利も変動金利で2.8%など比較的低めに設定されています。(2021年7月時点)

東南アジアの新興国で投資する場合などは金融機関が限定されるため、全額自己資金での投資も視野に入れる必要があります。一方で米国不動産投資は、エリアによっては自己資金を抑制可能であり、選択肢の幅が広い点はメリットです。

1-2.先進国でありながら物件の値上がり益を狙える

不動産投資における投資エリアの選定については、人口が増加しているエリアを選ぶことが重要になります。人口が増加しているエリアでは、住宅需要の拡大に伴う空室率の低い運用や物件の値上がりも期待することができます。

人口増加による値上がり益を狙えることは、米国不動産投資の大きなメリットです。

なお、新興国に目を向ければ、人口が増加している国も少なくありません。その一方で、新興国では不動産市場の整備が道半ばにあることも多く、外国人向けの規制や取引制度などの面でリスクもあります。

不動産市場が整備された先進国で人口増加傾向にある点は、米国不動産の特徴と言えるでしょう。

1-3.外国人向けの規制がない

新興国の中には、外国人は土地を保有できないなど外国人向けの規制を設けている国もあります。例えば、2021年7月時点でのマレーシアには、外国人はRM100万(=2,700万円:RM1=27円換算)以上の物件しか購入できない規制があります。

しかし、2021年時点の米国では外国人も土地を保有できるうえに、外国人に対する購入物件価格の規制などがありません。投資対象の選択肢が多いことは、米国不動産投資が持つメリットの1つです。

米国は海外資本の受け入れに柔軟であり、不動産市場の整備が進んでいることから、今後も外国人向けの規制が新設されるリスクは比較的に低いと考えられます。

2.米国不動産投資で要注意のデメリット

米国不動産投資のデメリットは、日本国内の不動産投資と違って減価償却費を計上した損益通算を利用できない点と、エリアによっては物件価格が高い点などです。

2-1.国内不動産投資よりも融資比率が小さい

米国不動産投資には、ローンを利用しやすい点で他の国よりもメリットがあります。しかし、日本国内の不動産投資と比較すると融資比率が小さくなる点には要注意です。

日本国内の不動産投資では、自己資金の投下を求められたとしても物件価格の20~30%などが相場となっています。しかし、米国不動産投資の場合は、金融機関によるものの物件評価額の50%が融資限度額となっていることも少なくありません。

例えばUSD20万の物件であれば、ローンを利用しても最低1,000万円前後の自己資金が必要です。米国不動産投資に取組むためには、日本国内の不動産投資よりも多額の資金を要します。

2-2.減価償却費の計上ができない

2019年に発表された税制改正大綱により、2022年以降の確定申告において、個人で行う海外不動産投資による減価償却費は経費計上できなくなりました。

今後は、米国不動産投資でも物件の値上がり益や継続的な家賃収入を狙っていく投資判断が必要になります。

2-3.物件価格が高いエリアも多い

不動産投資において空室リスクや物件の値下がりリスクを抑制するためには、都心エリアの物件を選ぶのも1つの選択肢です。しかし、例えばロサンゼルスやニューヨークといったアメリカの都心では物件価格が高くなっています。

また、都心の高価格物件は当局からの評価額も高いことから、固定資産税が高くなる点にも要注意です。また、高価格物件は運用経費も大きいことから、利回りが低くなってしまうデメリットがあります。

ロサンゼルスやニューヨーク以外ではハワイなど、観光地としても日本人から人気がある都心エリアでは利回り狙いの投資に適さない物件も多数流通しています。

アメリカの都心エリアは物件の資産性などにこだわる場合に適しているものの、投資目的とエリアの特性がそぐわない場合も多いので要注意です。

3.米国不動産投資の手順と注意点

米国不動産投資をトラブルなく進めるためには、経験豊富な不動産エージェントを見極めることが重要になります。

3-1.投資エリアを絞り込む

米国不動産投資を始めるにあたっては、最初に投資エリアをある程度絞り込む必要があります。米国は国土が広く投資先の選択肢も多い上に、エリアによって特徴が異なるためです。また、予算によっても適したエリアは異なります。

ロサンゼルス・ニューヨーク・ハワイなどは他のエリアと比較すると物件価格が高いため、物件購入に相応の予算が必要です。

家賃収入と物件の値上がり益を両方とも狙いたい場合などは、例えばテキサス州ダラスやジョージア州アトランタなど、別のエリアの方が適していることもあります。

3-2.不動産エージェントを選ぶ

エリアを絞り込んだら、該当エリアの物件を取扱っている不動産エージェントとコンタクトを取ります。アメリカの不動産エージェントには、ブローカーとエージェントなど複数の資格があり、副業でエージェント業を営んでいる人もいるので要注意です。

副業エージェントと専業エージェントでは、知識や経験の量に違いがあるとも考えられます。これから米国不動産投資を始めるのであれば、専業エージェントを選ぶ方を検討してみましょう。

3-3.物件を選ぶ

不動産エージェントを選んだら、提案を受けた物件の中から候補を絞り込みます。提案を受けるにあたって重要なポイントは、可能な限り希望を細かく伝えることです。例えば以下のポイントについて伝えておくと、希望に沿った提案をもらえる可能性が高くなります。

  • 予算
  • 希望利回り
  • 投資目的の優先順位(資産性や利回りなど)

なお、候補物件の提案を受けたら、可能な限り物件現地を視察しておきましょう。アメリカまでの渡航には時間と費用が必要ですが、その分現地まで行くことで投資に対する本気度がエージェントに伝わるうえ、物件周辺の雰囲気や利便性をじかに確認することで、物件比較の際の判断に役立ちます。

3-4.オファーを出して売買契約を締結する

現地視察などで物件を絞り込んだら、売主に対してオファーを出します。アメリカ不動産の取引は、売主と買主の双方が個人の場合であっても入札制です。売主は届いたオファーの中から条件の良いものを選んで交渉します。

なお、買主がオファーを入れる段階では指値交渉なども可能です。買主が提示した条件に対して売主が新たな条件を提示する、カウンターオファーが入る場合もあります。

売主との交渉においては不動産エージェントの協力が必要なので、エージェントを選ぶときに交渉経験の有無も確認しておきましょう。

売買条件について売主と合意したら売買契約の締結に移ります。売買契約書にはキャンセル条項など重要な内容が記載されるため、サインする前に内容を十分に確認することが必要です。

また、売買契約を締結したら手付金を送金します。日本国内の金融機関から送金する場合は、事前に支店への電話確認が必要です。例えばメガバンクであっても、事前確認を取らないと、窓口担当者に対応経験がないなどの理由で断られることもあります。

3-5.インスペクションを入れる

手付金の着金が確認されたら物件にインスペクションを入れます。アメリカには契約適合責任(旧:瑕疵担保責任)の考え方がなく、物件引き渡し後に不具合が発覚した場合は、事前に確認しなかった買主の責任とされます。

インスペクションには$1,000などの費用が必要となり、これは多くの場合で買主負担となります。インスペクションの結果、修繕を要する不具合が見つかった場合は、修繕費用の負担区分について売主と交渉になります。

3-6.不動産投資ローンを申し込む

物件購入にローンを利用する場合は、インスペクションと並行して金融機関へローンの利用を申し込みます。なお、日本国内の金融機関であれば、審査には2週間など時間がかかることもあるので、あらかじめ審査機関の目安を確認しておきましょう。

日本国内の金融機関を利用する場合は、抵当権設定の関係で公証役場による署名の認証が必要になります。公証役場は平日の日中にしか対応していないため、あらかじめスケジュールの調整をしておくと手続きがスムーズです。

3-7.資金を送金して決済する

ローン審査も終わったら決済資金の送金に移ります。クロージングステートメントと呼ばれる明細書が発行されるので、日本の金融機関から対応する場合は、明細書に記載されている金額に5%などの金額を足して送金します。

資金を足すのは為替変動対策です。海外送金すると、送金先の国がどこであっても着金までに1日以上の時間がかかります。着金までの間に為替が変動して資金不足になることを防ぐため、余裕を持たせた金額の送金が必要です。

なお、着金額が精算額に満たない場合は決済されないため、注意しておきましょう。

3-8.物件所有権の登記

資金の着金が確認されたら物件所有権の登記に移ります。登記関連の処理については米国のエスクローという機関が行い、登記が完了するとワランティディードという書類が発行されます。

ワランティディードは米国不動産の登記済証に該当するため、物件を保有している限りは保管が必要です。

まとめ

米国の不動産市場には外国人向けの規制がないため、新興国と比較すると、米国不動産投資ではリスクの低い運用を期待できます。また、米国では堅調な人口増加が続いているため、物件の値上がり益を狙えることなどもメリットです。

しかし、金融機関による融資限度額が制限されている点や、新興国と比較すると物件価格が高い点などはデメリットになるので要注意です。

また、実際の物件購入手続きには、不動産エージェントの知識や経験に左右される部分も多くなります。経験豊富な不動産エージェントを選べるよう、複数社のセミナーや面談を比較したり、日本国内でのサポートを受けられる会社を選ぶなど、工夫をしていきましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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