中国の中央銀行である中国人民銀行が、中央銀行デジタル通貨(CBDC)にあたるデジタル人民元(e-CNY)のホワイトペーパーを7月16日に公開した。
公開されたホワイトペーパーは21ページにわたって構成され、新たにスマートコントラクト機能の追加実装が明らかとなっている。なお、正式ローンチのためのロードマップやタイムラインは公開されていない。
中国では2014年より、デジタル人民元の構想が練られていた。当時はCBDCを想定したものではなかったものの、現在の計画は当時のものが基礎となっている。中国人民銀行は、ホワイトペーパーの中で暗号資産について次のように述べている。
「ブロックチェーンおよび暗号技術により誕生したビットコインなどの暗号資産は、分散型で完全に匿名であることが特徴です。しかし、本質的な価値の欠如や急激な価格変動、取引効率の悪さ、膨大なエネルギー消費量などを考慮すると、日常的に使用される通貨として機能することは難しいでしょう。また、暗号資産は大部分が投機的な需要で成り立っているため、金融と社会の安定性に潜在的なリスクをもたらします。」
また、暗号資産の課題を解決するために誕生したステーブルコインについても、「国際通貨システムおよび清算システム、金融政策、国境を越えた資本管理などにリスクと課題をもたらします」との見解を示した。
現在までのデジタル人民元の進捗状況については、設計と機能開発、システムのデバッグが概ね完了したところだとしている。今後は、安全性や安定性、制御性、実用性などの原則に基づき、国内の代表的な地域で実証実験を繰り返す予定だという。
ホワイトペーパーによると、6月末時点で約53億ドルに相当するデジタル人民元が流通しており、7,000万件以上のトランザクションが実行されたとしている。またデジタル人民元を扱うことができるウォレットは、個人向けでや2,100万個、商用向けで350万個を超えているという。
今回の発表により、スマートコントラクトの機能追加が行われることになった。合わせて匿名性についても発展があり、少額決済の場合は匿名で行えるものの、高額決済の場合はAML/CFT要件に則る必要がある。
【参照記事】Progress of Research & Development of E-CNY in China
株式会社techtec リサーチチーム
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