マレーシアは新興国の中でも経済発展や人口増加が長期継続しており、成長が著しい国です。マレーシアで不動産投資を行うことで、経済発展を背景としたさまざまなメリットを期待することができます。
しかし、マレーシア不動産投資に関する失敗例があることも事実です。過去の失敗例から事前に予測されるリスクについても確認し、慎重に投資を検討することが大切です。
この記事では、マレーシア不動産投資で要注意のリスクを4つ紹介するとともに、対策についても解説します。
目次
- マレーシア不動産投資で要注意のリスク
1-1.プレビルドの物件が完成しない竣工リスク
1-2.空室による赤字のリスク
1-3.管理を委託する不動産会社が見つからない
1-4.利回り狙いの投資にはあまり適していない - マレーシア不動産投資におけるリスク対策
2-1.デベロッパーの実績を必ず確認する
2-2.日系不動産会社に賃貸管理を委託する
2-3.長期的な賃貸運用でキャピタルゲインを狙う - まとめ
1.マレーシア不動産投資で要注意のリスク
マレーシア不動産投資に関する代表的なリスクは、不動産会社に関するものと空室に関するものです。物件の引渡しを受けられなかった・入居者が見つかる見通しが立たないなどの失敗例は少なくありません。
1-1.プレビルドの物件が完成しない竣工リスク
海外不動産投資用に販売されているマレーシア不動産の大半は、プレビルドと呼ばれるコンドミニアムです。プレビルドとは、工事着工前または建設工事中の物件のことを指しています。
コンドミニアムとは、日本でいうところのマンションと同じです。例えばマレーシアの首都クアラルンプールの投資用物件には、タワーマンションのような高層コンドミニアムが多くなっています。
プレビルドの物件に投資するメリットは、完成後と比較すると安い価格で物件を購入できることです。物件が完成へ近づくにつれて値上げするデベロッパーは多いため、完成前の段階で購入すれば、完成後に購入するよりも表面利回りを上げられます。
しかし、プレビルドの物件を購入したものの、建設工事が途中で中断されてそのまま物件引渡しを受けられない失敗は多いものです。物件の引渡しを受けられないと、手付金や中間金など、支払済みの資金についても返金されない可能性が高いと言えます。
物件の建設工事が中断される原因は様々ですが、最も大きな要因として挙げられるのは、デベロッパーが経営の体力に乏しいことです。
プレビルドの物件には、物件の売り上げをそのまま建設工事費用に充当しているプロジェクトも少なくありません。自転車操業状態のプロジェクトでは、物件の売れ行きが悪いと、竣工リスクが上がります。
1-2.空室による赤字のリスク
マレーシア不動産投資では、無事に引渡しを受けられたとしても、物件の仕上がりが良くなかったために賃貸に出せないというリスクもあります。
マレーシアを含む東南アジアの建設現場では、海外からの出稼ぎ労働者が作業を請け負っていることがあります。東南アジアの出稼ぎ労働者は、日本の建設現場に入る職人と比較すると腕前が良くないことも多く、建築スキルが物件の仕上がりに表れることもあります。
また、海外不動産投資では、デベロッパーに対してアフターサービスの要望を出しても、日本と違って対応がないことがあります。早期に住戸の状態を改善するために投資家が自ら費用を負担し、修繕しなければならない状況になる可能性があります。
そのほか、利回り確保のために高い家賃を設定したものの、外国人や富裕層の入居者を見つけられず、空室が長期化して失敗するリスクに要注意です。
2021年時点のマレーシアは中進国とも呼べるほど経済が発展しているものの、国民所得の上昇は道半ばとなっています。その一方で、日本人投資家の投資対象となるマレーシア不動産はマレーシア国内での高級物件に該当するため、入居者は外国人駐在員か現地の富裕層などに限定されるのが実態です。
入居者がなかなか見つからずに空室期間が長期化した結果、赤字が積み重なってしまった失敗例もあります。
1-3.管理を委託する不動産会社が見つからない
不動産投資では、信頼できる不動産会社に賃貸管理を委託することも重要なポイントです。
しかし、マレーシアでは不動産投資市場の拡大も日本ほどは進んでいないため、賃貸管理の委託先となる不動産会社が見つからないこともあります。
また、日本国内と比較すると、現地に移住している場合などを除いてマレーシアへ頻繁に行ける投資家は限られています。仮に賃貸管理の委託先が見つかったとしても、投資家の目が行き届かないために、不動産会社が真剣に対応しないことも起こり得ます。
日本国内の不動産投資では、投資家同士の口コミによって管理会社が見つかることもありますが、マレーシア不動産投資の情報は国内不動産と比較して少なく、同様の手法を取るのはややハードルが高いと言えるでしょう。
マレーシア不動産投資には、管理会社が見つからないために賃貸運用を軌道に乗せられず、空室期間が長期化して失敗してしまうリスクもあります。
1-4.利回り狙いの投資にはあまり適していない
マレーシア不動産投資には、収支のシミュレーションを事前に確認しておかないと、当初期待していたほどの利回りが出ないリスクもあります。
なお、Global Property Guideの統計によると、マレーシアのクアラルンプールを含む海外不動産投資の想定利回りは以下の表のとおりです。
エリア | 想定利回り |
---|---|
マレーシア(クアラルンプール) | 3.72% |
タイ(バンコク) | 5.13% |
フィリピン(マニラ) | 6.13% |
シンガポール | 3.30% |
日本(東京) | 2.66% |
※参照:Global Property Guide「Rental Yields: Why are they important」
クアラルンプールの想定利回りは、東京やシンガポールよりは高いものの、バンコクやマニラと比較すると低くなっています。利回りを重視して投資先を選びたい場合は、マレーシアよりも他の国の方が適している場合もあるので要注意です。
2.マレーシア不動産投資におけるリスク対策
マレーシア不動産投資のリスクを軽減する対策としては、物件を購入する時点で不動産会社を精査することと、管理の委託先について吟味することなどが挙げられます。
2-1.デベロッパーの実績を必ず確認する
マレーシア不動産投資で竣工リスクを軽減するためには、以下の基準で物件やデベロッパーを選ぶことが必要です。
- 日系不動産会社などが開発に参画している物件を選ぶ
- マレーシア国内で上場しているデベロッパーを選ぶ
- 中国など近隣諸国で上場している大手デベロッパーを選ぶ
プレビルドの物件を完成させられないデベロッパーは、主にマレーシア国内の新興デベロッパーなど、経営の体力や分譲実績に乏しい不動産会社です。このため、マレーシア国内で株式上場している大手のデベロッパーを選べば、竣工リスクの軽減につながります。
そのほか、日系不動産会社が開発に参画している物件では、竣工リスクが比較的低いものです。日本から海外へ進出するデベロッパーは、物件の開発資金も多めに投下することが多くなります。
マレーシア不動産投資では、保証利回りを前面に押し出して販売されている物件も少なくありません。しかし、利回りなど表面的な情報に囚われず、物件の売主についても背景を確認することが重要です。
2-2.日系不動産会社に賃貸管理を委託する
マレーシア不動産投資で賃貸管理に関するリスクを軽減するためには、日系企業で現地に進出している不動産会社へ賃貸管理を委託することが重要になります。
マレーシア現地の不動産会社では、日本と商習慣が異なるため、対応の質がストレスにつながることも多いものです。また、投資家の顔が見えないことで、対応を後回しにすることも少なくありません。
日本の不動産会社は商習慣が同じであり、言語の違いなどもない点がメリットと言えるでしょう。また、マレーシア現地に進出している日系不動産会社は、駐在員向けの賃貸物件を斡旋している場合もあり、入居者募集に強いなどの特徴を持っていることもあります。
例えば、英語・中国語を話せるネイティブスタッフがいる海外不動産投資会社の「ビヨンドボーダーズ」では、海外での物件探しから賃貸付け・管理・売却までワンストップでサービス提供が可能です。主要投資国は、マレーシア・カンボジア・タイ・フィリピン・モンゴルなどの東南アジアを中心としており、広い海外物件の中から、自身の投資目的に合った物件を選択することができます。
【関連記事】ビヨンドボーダーズの評判・口コミ・セミナー
2-3.長期的な賃貸運用でキャピタルゲインを狙う
経済成長と人口増加を長期的に継続していることから、マレーシアでは住宅需要の拡大を期待できます。東南アジアの各国で比較すると、マレーシア不動産投資の期待利回りは低い部類に入ると言えますが、一方で不動産価格の上昇によるキャピタルゲインに期待することが出来ます。
マレーシア不動産投資を成功させるためには、長期運用後のキャピタルゲインも視野に入れて物件を選ぶことも重要なポイントと言えるでしょう。
また、マレーシア不動産投資では、外国人向けの規制があります。2021年時点のマレーシアでは、外国人は基本的にRM100万(=2,700万円:RM1=27円換算)以下の物件を購入できません。
なお、多くの現地のマレーシア人にとってRM100万を超える価格の物件は、2021年時点で高級物件と認識されることが大半となります。マレーシア不動産投資の出口戦略を練る際は、このような規制についても適宜確認をしておきましょう。
まとめ
マレーシア不動産投資の失敗例として特に多いのは、竣工リスクをケアできずに賃貸運用を始められないというものや、空室が長期化していて赤字が膨らんでいるなどのものです。
これらの失敗リスクを下げるためには、物件を選ぶ時点で不動産会社の背景を確認することや、投資の目的と計画を明確化することなどが有効です。プロジェクトをやり切れる不動産会社と、投資目的に合った物件を選べるように、情報収集を行っておきましょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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