シュローダー・インベストメント・マネジメント(シュローダーIM)株式会社は10月8日、2021年度の株主総会に関するレポートを発表した。役員報酬の決定や報酬プランの調整、株主決議、気候変動対策に関する投票、ダイバーシティや監査役任期についてなどのテーマで総括、さらに議決権行使結果、ESG基準を組み入れた役員報酬の決定や報酬プランの調整、株主決議、気候変動対策に関する投票などについて報告している。
議題の筆頭は、新型コロナウイルスの影響に伴う役員報酬の調整。コロナ禍の拡大で、20年初めに設定したターゲットの意味が薄らぎ、あるいは達成不可能になったことから、多くの企業が役員報酬のプランを過去に遡って調整している。同社は政府から受けている支援策、株価の推移、配当の状況を考慮し、給与・賞与パッケージをケースバイケースで評価し、また、賞与支払い基準としての業績の取り扱いを評価した。
例として、イタリアの金融サービス会社Cervedが挙げられる。シュローダーIMは提案された調整後の役員報酬プランに賛成票を投じた。Cervedは他にも、透明性の強化やCEO報酬比率の開示、SDGs(持続可能な開発目標)との明確な紐付けを含め、長期的なインセンティブプランに関していくつかの積極的な改定を行っている。シュローダーIMはパンデミックの影響を踏まえた賞与支給の判断は妥当であり、賞与の大部分について株式で支給することを選択し、これは株主の利益に沿ったものと判断した。
米国では、業績条件のない完全時間ベースの長期株式報酬プランの提案が企業の長年の慣習で、平時ならこうした提案に反対票を投じることになる。しかし、パンデミックによって長期的な目標の設定が困難になっていることを踏まえ、今年は例外を認めることとし、翌年以降にインセンティブにおける業績比率を高める方針が説明された場合に限り、50%を時間ベースとする長期プランに賛成した。
次に、業績連動型報酬におけるESG基準。業績評価に用いる測定基準を見直し、企業のサステナビリティ戦略と紐付く挑戦的で測定可能な目標を設定するよう、企業への圧力が高まっている。これまでは多くの企業が文化や安全衛生などの社会的目標を短期的賞与の支給条件に含めていた。最近の議論の対象は業績期間を3年以上とする長期的なインセンティブの支給条件に移っており、多くの企業が今後10年から30年内にネット・ゼロ目標の達成を目指すと公表している。同社は「現在と将来の経営陣にこの説明責任を課すことが責務」として、測定基準が明確な重要業績評価指標(KPI)をベースにしていること、戦略と紐付いていることの2点を重視していく方針を確認した。
【関連サイト】シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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