新規上場する企業の株式を売買するIPO取引は、公募価格よりも初値が上がりやすいため、利益を狙いやすい投資手法として投資家の人気を集めています。多くの証券会社がIPO取引に対応しており、SMBC日興証券もその1つです。そこで今回はSMBC日興証券のIPO取引の評判やメリット・注意点について紹介しますので、参考にしてください。
目次
- IPO取引とは?
- SMBC日興証券のIPO取引のメリットと特徴
2-1.IPOの取扱件数が多い
2-2.主幹事件数が多い
2-3.ネット取引と店頭取引を選択可能
2-4.ネット取引の抽選は平等抽選
2-5.ネット取引の抽選に落選してもIPO優遇特典がある - SMBC日興証券のIPO取引のデメリットと注意点
3-1.総合コースの取引手数料が高い
3-2.ダイレクトコースのIPO優遇特典に参加できないことがある - SMBC日興証券のIPO取引の評判
- SMBC日興証券でのIPO取引の始め方
- まとめ
1.IPO取引とは?
IPOというのは「Initial Public Offering」の略称で、新規公開株や新規上場株式のことを指します。つまり、IPO取引というのは、新規公開株取引のことをいいます。
具体的に説明すると、新規上場する企業の株式を購入する権利を入手し、その株式が上場初日につける初値で売却することで利益を狙うのが主な投資手法です。
2019年のIPOでは、86案件中76件が初値で値上がりしており、利益を生む結果になっています。IPO取引では、購入時の公募価格よりも初値が上昇しやすい傾向にあるため、比較的利益を期待しやすいという特徴があり、この点から投資家からの人気を集めています。
2.SMBC日興証券のIPO取引のメリットと特徴
SMBC日興証券のIPO取引のメリットや特徴としては、以下のような点が挙げられます。
- IPOの取扱件数が多い
- 主幹事件数が多い
- ネット取引と店頭取引を選択可能
- ネット取引の抽選は平等抽選
- ネット取引の抽選に落選してもIPO優遇特典がある
それぞれ詳しくみていきましょう。
2-1.IPOの取扱件数が多い
SMBC日興証券のIPOの特徴として、IPOの取扱件数が多いということが挙げられます。SMBC日興証券のここ3年間のIPO取扱銘柄数は以下の通りです。
- 2017年:71社
- 2018年:66社
- 2019年:61社
2017年から2019年のデータをみると、IPO全体の7割以上の案件を取り扱っていることになります。そのため、IPO取引の機会を増やしたいと考えている方に向いている証券会社であるといえます。
2-2.主幹事件数が多い
IPOの主幹事件数が多いというのも、SMBC日興証券のIPOの大きな特徴です。2019年にIPOの主幹事を務めた証券会社と主幹事数は以下の通りです。
- 大和証券:21社
- SMBC日興証券:20社
- 野村證券:17社
- みずほ証券:13社
- SBI証券:7社
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券:5社
- 東海東京証券:4社
- エイチ・エス証券:2社
- いちよし証券:1社
- アイザワ証券:1社
2019年の主幹事数は大和証券の21社に次いで多い20社となっています。
IPOの主幹事には全株式の70%~90%が割り当てられますので、それだけ個人投資家の当選数も多くなります。それに加えて引受幹事数(=IPOの販売を手掛ける)も多いため、IPOに当選するチャンスが多い証券会社といえます。
2-3.ネット取引と店頭取引を選択可能
SMBC日興証券の株取引は、ネット取引の「ダイレクトコース」と店頭取引の「総合コース」から選択できます。
ダイレクトコースはネット取引が可能で、取引手数料が低く設定されているのが特徴のサービスです。IPOに際しては、預かり資産残高や信用取引建玉金額に応じて当選確率が上がる特典が利用できます。一方、総合コースは取引手数料が高いものの、証券会社の担当者と相談しながら資産運用を行うことができるサービスです。
上記によってさまざまな個人投資家のニーズに対応しており、IPO取引にも活かすことができます。
2-4.ネット取引の抽選は平等抽選
SMBC日興証券のダイレクトコースを選択した場合、IPOの抽選は平等抽選となります。
ダイレクトコースでは、割当株数の10%が平等抽選で配布されます。
一方で、総合コースでは割当株数の85%が担当者の裁量によって配布されます。人気が高いIPO株は、預けている資産が多く、取引件数や金額が大きい顧客へと割りあてられるため、個人投資家にはほとんど配分されません。
そのため、少額投資がメインの個人投資家の方にとっては、IPOに関しては対等な条件で取引に参加できるダイレクトコースのほうが向いているといえます。
2-5.ネット取引の抽選に落選してもIPO優遇特典がある
SMBC日興証券のダイレクトコースでは、IPOの抽選に1度落選したとしても、再度抽選してもらえるチャンスがあります。
ダイレクトコースでのIPO抽選に漏れた場合、「IPO優遇特典」というステージ制での再抽選に参加することになります。IPO優遇特典では、全株式の5%が割り当てられており、投資家のステージに応じて抽選票が割り当てられます。
各ステージの判定条件は以下の通りです。
判定条件 | 抽選票数 | 新規口座開設 | 預かり資産残高もしくは信用取引建玉金額 ※月末残高3ヶ月平均 |
---|---|---|---|
ブロンズ | 1票 | 新規口座開設3ヶ月以内 | 250万円以上 |
シルバー | 5票 | - | 1,000万円以上 |
ゴールド | 15票 | - | 3,000万円以上 |
プラチナ | 25票 | - | 5,000万円以上 |
※2020年12月時点の情報です。
SMBC日興証券の利用状況によって、抽選票を手にすることができ、IPOに当選する確率がアップするというのも、大きな特徴となっています。
3.SMBC日興証券のIPO取引のデメリットと注意点
SMBC日興証券におけるIPO取引のデメリットや注意点には以下のような点が挙げられます。
- 総合コースの取引手数料が高い
- ダイレクトコースのIPO優遇特典に参加できないことがある
それぞれ詳しくみていきましょう。
3-1.総合コースの取引手数料が高い
SMBC日興証券のIPO取引のデメリットとして、総合コースの取引手数料が高いということが挙げられます。
SMBC日興証券のダイレクトコースと総合コースの取引手数料を比較すると以下のようになります。
コース | 10万円 | 20万円 | 50万円 |
ダイレクトコース | 137円 | 198円 | 440円 |
総合コース | 1.625%(最低5,500円) | 1.625%(最低5,500円) | 1.625%(最低6,325円) |
※2020年12月時点の情報です。
IPO株を購入する場合には手数料がかかりませんが、売却時には上記の手数料が発生することになります。
店頭取引の場合は、どの証券会社も人件費等のコストもかかるぶん手数料は高くなります。IPO取引にかかる手数料コストを抑えたいという場合は、ダイレクトコースが向いているといえます。
3-2.ダイレクトコースのIPO優遇特典に参加できないことがある
ダイレクトコースでは1度目の抽選に外れてしまっても、ステージ制による2回目の抽選に参加できると説明しました。ただし、ダイレクトコースに加入しているからといって、すべての投資家が2回目の抽選に参加できるわけではありません。
2回目の抽選で抽選票を1票獲得できるブロンズステージの条件は以下の通りです。
- 新規口座開設から3ヶ月以内である
- 預かり資産残高もしくは信用取引建玉金額が250万円以上
上記の条件に当てはまらない場合は、2回目の抽選には参加できませんので、注意が必要です。
4.SMBC日興証券のIPO取引の評判
SNSや口コミサイトなどには、SMBC日興証券のIPO取引に関する声が寄せられていますので、その一部を紹介したいと思います。
- 「主要幹事数が多い」
- 「IPOが充実していてサポートもしっかりしている」
- 「実績数を考えると外せない証券会社」
- 「IPOの抽選になかなか当たらない」
※上記はすべて個人の感想です。最新情報などについてはご自身でもよくお調べの上、ご利用をご判断ください。
SMBC日興証券のIPOに関しては、取扱件数や主観幹事数が多い点やサポートがしっかりしているなど、概ね好評な口コミが多く見受けられました。これまでに紹介しているとおり、IPO取引に参加できる機会が多い証券会社であり、投資家からの評価を得ていると考えられます。
一方で、IPO取引に強いと認識されていることから、利用者が多いため申し込んでもなかなか抽選に当たらないという声もありました。IPO取引そのものが人気の高い投資手法であるため、SMBC日興証券でもIPO株を入手するには根気強さが必要といえます。
5.SMBC日興証券でのIPO取引の始め方
SMBC日興証券でIPO取引を始めたい場合、まずは証券口座を開設する必要があります。
口座開設はインターネット・郵送・店頭にて手続きもしくは資料請求を行います。2021年7月よりスマートフォンでの口座開設に、スマホでかんたん顔認証(eKYC)が導入され、最短即日で口座開設が可能(ダイレクトコースのみ)となっています。その他、インターネット経由なら最短3日で、書類請求から郵送にて手続きを行う場合は最短9日で取引を開始することができます。ただし、インターネット経由ではダイレクトコースでの口座開設となりますので注意しましょう。
口座が開設できたら、IPOが実施されるタイミングで需要申告(申し込み)を行います。総合コースでは店頭又はインターネットから、ダイレクトコースではインターネット(PCのみ)から申し込みを行います。
まとめ
今回はSMBC日興証券のIPO取引の評判やメリット、注意点などについて紹介しました。
SMBC日興証券は業界トップクラスのIPO取扱件数と主幹事件数を誇っており、IPO取引に参加できる機会が多い証券会社といえます。IPO取引を始めたいという方は、複数の証券会社を比較しながら、口座開設について検討してみてはいかがでしょうか。
山本 将弘
最新記事 by 山本 将弘 (全て見る)
- COZUCHI(コヅチ)で不動産投資、メリット・デメリットは?他社比較も - 2024年11月5日
- CREAL(クリアル)の評判・口コミ・実績は?メリット・デメリット、利回りも - 2024年11月5日
- 不動産クラウドファンディングの市場規模は?件数・出資額や成功事例も - 2024年9月9日
- 金(ゴールド)投資信託のメリット・デメリットは?購入可能な証券会社も - 2024年5月27日
- 株初心者が知っておきたい売り板・買い板の見方、板を分析するメリットも - 2024年5月27日