世界初、NTTがブロックチェーンを用いた無線アクセス共用技術の実証実験に成功

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NTT(日本電信電話株式会社)が、ブロックチェーンを活用した個人間の無線アクセス共有技術における実証実験の成功を4月26日に発表しました。この革新的な技術は、人々が自由に様々な場所に設置されている無線アクセス装置を利用できる新たな可能性を示しています。

なお、この実証実験の成功は、世界初となります。今回は、NTTのブロックチェーンを活用した無線アクセス共有技術の特徴やメリット、そしてブロックチェーンが持つ未来の可能性について詳しく解説していきます。

目次

  1. ブロックチェーンと無線アクセス技術を融合した課題解決
    1-1. 近隣の無線アクセスを安全に利用する
    1-2. 通信品質の向上と無線設備提供者への収入向上
    1-3. 災害時の通信インフラの強化にも寄与
  2. 開発の背景
  3. 2024年度に実用化を目指す
  4. 通信業界におけるネットワーク不正利用の課題への対応
    4-1. IoTの安全性とコスト削減にブロックチェーンを活用
    4-2. スマートホームのIoTプラットフォームでのブロックチェーンの活用
  5. 物流管理におけるIoTとブロックチェーンの活用
  6. 国内のIoT事業が脱炭素化へ
  7. まとめ

①ブロックチェーンと無線アクセス技術を融合した課題解決

NTTが開発したこの技術は、ブロックチェーンと無線アクセス技術を巧みに融合させ、無線アクセス共有における様々な課題、例えばインセンティブの形成、セキュリティ強化、コスト削減等の解決を可能にします。

NTT

1-1.近隣の無線アクセスを安全に利用する

これまで難しかったピア・ツー・ピアのワイヤレスアクセス共有が実現可能になります。従来、Wi-Fiサービスやセルラ回線は各個人や企業が契約し利用する形が一般的でした。しかし、この新技術により、近くにあるワイヤレスアクセスポイントに誰でも接続して通信を利用することが可能になります。

また、ワイヤレスアクセスポイントの共有にブロックチェーンを導入することで、NTTは、セキュリティ強化やコスト削減などの課題解決に向けた新たな進展を見込んでいます。ブロックチェーン技術は信頼性の高い契約やトランザクションを実現し、ネットワーク全体の安全性を向上させることが期待できます。

1-2.通信品質の向上と無線設備提供者への収入向上

ブロックチェーンを活用することで、デバイス数に応じてワイヤレスアクセスポイントへの接続を自動的に分散させ、通信品質を向上させることができます。また、この技術は社会全体の無線設備にかかるコストやエネルギー消費の削減にも寄与します。

NTTの提唱する無線アクセスの共有技術は、利用者にとっては利用可能な無線設備の選択肢が増え、その結果通信環境の快適性が向上します。無線設備の提供者にとっては、共有の提供により新たな収入源を得ることが可能となります。そして社会全体としては、共有化により無線設備への投資、消費電力、電波干渉の低減などが期待できます。

1-3.災害時の通信インフラの強化にも寄与

災害時には、通常の通信インフラが機能しなくなる可能性があります。そのような状況で無線アクセスが重要な役割を果たすことがありますが、通信帯域幅が限られているため、多くの人が同時に利用すると通信速度が著しく低下します。このような課題を解消するために、ブロックチェーンを用いた無線アクセス共有技術が貢献する可能性があります。

②開発の背景

2030年までに、2020年時点と比較して無線トラフィックが約80倍に増加すると予測されています(ITU-R報告M.2370-0 “IMT traffic estimates for the years 2020 to 2030″より)。これを受けて、将来における無線トラフィックの増加は避けられないと言えます。

トラフィックの増加によりネットワークが混雑し、接続困難になることを防ぐため、個々の無線アクセスの更なる高度化だけでなく、全ての無線トラフィックを処理するための十分な無線リソースの確保が必要となります。

しかし、無線リソースを確保するには、無線アクセス設備である無線基地局などを大量に増設する必要があります。80倍の無線トラフィックを収容する無線アクセス設備をすべて用意するとなると、そのコストは莫大なものとなります。

③2024年度に実用化を目指す

NTTはこの技術の研究開発を進め、2024年度までに実用化することを目指しています。ブロックチェーンを活用した新しい技術開発は、今後も注目を集めることが予想されます。その導入は、ネットワークの安全性向上、通信品質の改善、そしてコスト削減に寄与します。

この技術により、旅行者やビジネスパーソンなどが必要に応じて、いつでもどこでもワイヤレスアクセスポイントを利用できるようになります。これによって、多様なニーズに柔軟に対応でき、企業の業務効率化にも繋がると考えられます。

また、企業や個人が所有する無線アクセスポイントを活用したブロックチェーンの利用範囲が広がることで、新たなビジネスの創出にもつながる可能性があります。

④通信業界におけるネットワーク不正利用の課題への対応

ブロックチェーンの活用は、金融や物流だけでなく、通信業界でも期待されています。その特性を利用すれば、信頼性と機密性を維持しながら、障害に強い通信を実現できるとされています。通信業界におけるネットワーク不正利用による損失は年間380億米ドルを超え、その防止は通信事業者にとって重要な課題となっています。現在、通信の不正利用を効果的に防ぐ対策はまだ完全には見つかっていませんが、ブロックチェーンを活用すれば、このような不正行為による損失を軽減できる可能性があります。

通信事業者は、識別や認証だけでなく、ブロックチェーンを活用したデータ管理ソリューションを提供することで、新たな収入源を生み出す可能性があります。最近では、家電にインターネットが組み込まれ、身の回りの物がIoT化されてきています。モノとモノをつなぐIoTでも、ブロックチェーンの利用が注目されています。

4-1. IoTの安全性とコスト削減にブロックチェーンを活用

IoTは「Internet of Things」の略で、「モノのインターネット」と訳されます。モノがインターネットにつながり、AIやビッグデータなどの技術と組み合わさることで、経済活動の効率性や生産性が大幅に向上します。これにより、高齢化や人口減少が進む社会で生じる経済的な課題や社会保障の問題を解決する手段として注目されています。

日本総研のレポートによれば、業種や業界を問わず社会のあらゆるモノがIoTでつながると、接続先が膨大になるため、標準化された拡張可能なITプラットフォームの構築が必要になると述べています。一方で、これを中央集権的に管理すると、管理主体に負荷やコストが集中し、管理主体の技術力や資金力がシステムの機能や信頼性を制約する可能性があります。

そのため、中央集権型のシステムよりも、参加者間で分散統治する分散型システムを形成する方が、効率化やコスト削減を見込むことができます。ブロックチェーンの活用にはまだ課題がありますが、幅広い用途での活用が期待されています。

また、ブロックチェーンは公開型、コンソーシアム型、プライベート型の3種類があり、それぞれが異なる特性を持っています。それらを理解し、利用目的やシステムへの適合性を見極めることで、その効果を最大限に引き出すことが可能とされています。

しかし、モノがインターネットにつながるということは、不正アクセスによってデータが流出したりハッキングされるリスクがあります。

4-2.スマートホームのIoTプラットフォームでのブロックチェーンの活用

スマートホームでは、IoTデバイスを使って照明や温度、セキュリティシステムなどを制御することができます。しかし、これらのデバイスがインターネットに接続されているため、不正アクセスのリスクがあります。

これに対してブロックチェーンを使うと、異なるデバイスやアプリケーションが同じネットワークで安全に通信することが可能になります。また、ブロックチェーンを使用することで、不正なアクセスを防止し、データのプライバシーやセキュリティを強化することができます。

⑤物流管理におけるIoTとブロックチェーンの活用

AI、ブロックチェーン、IoTなどのWeb3技術を提供する世界的なテクノロジー企業IBMは、独自のブロックチェーン「IBM Blockchain」を提供しています。IoTに関しては、デバイスがインターネットを介してデータをプライベート型のブロックチェーンネットワークに送信し、共有取引に関する改ざん防止の履歴を作成することを可能にします。サプライチェーンパートナーは、許可型のブロックチェーンソリューションを通じて信頼性の高いIoTデータを共有できます。

物流業界では、製品やパッケージの輸送中の盗難や不正アクセスが問題となっています。ここで、ブロックチェーンとIoTデバイスを組み合わせることで、パッケージの輸送中に発生するすべてのトランザクションや、輸送中のコンテナの温度、位置、到着時刻、状態などをリアルタイムで記録することが可能になります。これにより、関係者は製品が正しいルートで輸送されていることを確認でき、もし不正なアクセスがあった場合には、監視チームにすぐに通知することができます。

部品のトラッキングに関しては、IBMのブロックチェーン技術により、航空機、自動車、その他の製品に使用される部品の追跡が可能となり、安全性と法規制遵守の両面で重要な役割を果たします。すべての関係者が共有ブロックチェーン台帳からIoTデータを確認し、部品の由来を製品寿命を通じて追跡できます。これにより、規制当局、荷送人、製造業者との間で情報の共有が容易に、そして確実に行うことができます。

⑥国内のIoT事業が脱炭素化へ

IoT事業を展開する株式会社GUGENと総合重工業メーカーの株式会社IHIは2022年10月17日、効率的な炭素データ収集と環境価値化による脱炭素社会の実現に向けて共同プロジェクトを始めました。

このプロジェクトは、IHIが開発したブロックチェーン技術を用いたCO2排出/削減量の可視化「ILIPS環境価値管理プラットフォーム」とGUGENの製造現場の機器や装置からのデータ収集技術を組み合わせるもので、サステナブルな脱炭素化の連鎖ビジネスモデルを構築していく試みです。

具体的には、ボイラー、太陽光パネル、コンプレッサーなどの産業機器の稼働データや炭素量を可視化し、排出量の追跡管理を行います。ここで収集したカーボン排出量や吸収量をJクレジットに換算し、エネルギー費削減や知名度の向上など、顧客が求めるさまざまな価値に変換します。

現在は、両システムのシームレスな連携のための実証実験を行いつつ、IHI以外の製品や設備を導入する企業のカーボンニュートラルへの取り組みを後押ししています。

⑦まとめ

通信は我々の日常生活にとって欠かせないサービスですが、通信が混み合うことで乱立したり、災害時には通信が途絶えてしまうケースがあります。また、セキュリティが不十分なフリーWi-Fiの使用は避けるべきであり、通信サービスの利用にはまだ課題が残っています。

NTTの無線アクセス共用技術によって、無線設備提供者は共有提供による収入の増加を見込むことができます。社会全体では、無線設備の共用化により、無線設備への投資や消費電力の削減、電波干渉の低減などが期待できます。これらの実証実験は成功しており、今後の進展が期待されます。

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立花 佑

自身も仮想通貨を保有しているWebライターです。HEDGE GUIDEでは、仮想通貨やブロックチェーン関連の記事を担当。私自身も仮想通貨について勉強しながら記事を書いています。正しい情報を分かりやすく読者の皆様に伝えることを心がけています。