不動産一括査定サイトは一度の登録で複数の不動産会社に査定を依頼できるため、非常に便利です。
一括査定サイトには全国1000社以上の不動産会社と提携しているサイトもあれば、大手数社のみを厳選して登録しているサイトもあります。どのサイトが良くて、どのように使いこなせばいいのでしょうか。
今回は一括査定サイトの仕組みとメリット、デメリットを整理し、売却の際の一括査定サイトの賢い活用方法と注意点について解説いたします。
- 不動産一括査定サイトの仕組み
- 不動産一括査定サイトの価格は机上での試算で算出される
- 不動産一括査定サイトを利用するメリット
3-1.自分で不動産会社を周る手間が省ける
3-2.所有物件の売却が得意な不動産会社と出会える可能性が高い
3-3.売却の際の価格相場が把握できる
3-3.家族や近隣に知られずに話を進めることができる - 不動産一括査定サイトを利用するデメリット
4-1.営業電話がかかってくる可能性が高い
4-2.物件やエリアによっては査定結果が得られないことも - 一括査定サイトの賢い活用方法と注意点
5-1.一括査定依頼をして相場や最高値、最安値をチェックする
5-2.一括査定サイトを複数使うことで査定精度を高めることも - 不動産一括査定の大手サイトは?
- 一括査定サイトを利用する際の注意点
7-1.査定価格がそのまま売却価格になるわけではない
7-2.営業電話の対応に注意する
7-3.査定価格の根拠や査定理由の説明の仕方などから判断する
7-4.営業マンとのコミュニケーションを大事にする - まとめ
1.不動産一括査定サイトの仕組み
不動産一括査定サイトとは、所有している不動産を売却する場合に依頼すれば価格がいくらになりそうかを査定してくれるサイトです。サイトは複数の不動産会社と提携していて、不動産会社は売主が入力した情報をもとに査定をして価格を出すというものです。
売主はその際、一社一社まわって査定を依頼しなくても、1分前後の簡単な入力で複数の不動産会社に一括で査定依頼を出すことができ査定価格を比較することができるというメリットがあります。
提携社数はサイトによって異なり、すまいValueのように、名のある大手不動産会社6社に絞って査定提案が受けられるケースや、イエウールのように、全国の1600社以上の売却に強い不動産会社と幅広く提携をしているケースもあります。
不動産一括査定サイト① すまいValue
不動産一括査定サイト② イエウール
また、一括査定のサービスを利用する不動産会社の中には、相場の価格よりも著しく高い査定価格を提示して顧客の目を引いて自社に囲い込もうとする悪徳業者もいますが、大手の一括査定サイトではそういった業者を排除する仕組みが用意されているので、安心して利用することができます。
2.不動産一括査定サイトの価格は机上での試算で算出される
不動産一括査定サイトは、不動産の立地や広さ、売却の時期、希望の売却額などを登録することでサイトから複数の不動産会社に依頼がかかる仕組みです。
価格を算出する際、不動産会社の人は現地には足を運ばず、机上で査定をします。これを簡易査定と言います。簡易査定では主に収益還元法という収益から物件価格を算出する方法を使います。その際に駅からの距離などや周辺環境などの物件以外の情報から、わかる範囲で勘案し査定価格を算出します。
売主はその価格を見て話が進められそうな場合は、不動産会社が現地を見て最終価格を算出します。簡易査定は机上での査定になりますので、あくまで検討材料の一つということでとらえた方が良いでしょう。
3.不動産一括査定サイトを利用するメリット
一括査定サイトを利用するメリットは一度に複数の不動産会社に査定を依頼できる点ですが、それだけではありません。その他のメリットについても見てみましょう。
3-1.自分で不動産会社を周る手間が省ける
一括査定サイトに依頼しない場合は自分で不動産会社に問い合わせて、資料を準備して、複数の不動産会社に一社一社依頼するという作業が発生します。不動産会社によって揃える資料が異なる場合もありますし、不動産会社によって強みも違います。
住居用や戸建てに特化しているなど、得意とする分野が違ったり、収益不動産は取り扱っていなかったりする不動産会社もありますので、自分の不動産に対応している不動産会社を見つけるのも大変な作業になります。
一括査定サイトでは、あらかじめ用意された選択項目などを入力していくことで、依頼内容に応じて適切な査定会社をマッチングしてくれるため、1社ごとに資料を準備する手間や事前の会社選定の作業などが必要ないというメリットがあります。
3-2.所有物件の売却が得意な不動産会社と出会える可能性が高い
不動産会社によって居住を専門に扱っているなど、得意とする分野が違うことには触れました。一括で査定を依頼することで、自分の不動産を「他よりも高く売れる」「すぐ売れる」という不動産会社に巡り合える可能性が高くなります。
また、そういった会社に複数社から提案をしてもらうことで、査定価格や査定理由を比較しやすくなりますので、より高く売るためのポイントや方法を知ることができるようになります。
3-3.売却の際の価格相場が把握できる
査定依頼をして、仮に売却まで至らなかったとしても、提示された査定価格は次の売却の時の参考になります。おおよその相場もわかりますし、どの会社が高く出すのかも目星がつくでしょう。「大体の売却価格を知ってから、タイミングを見計らって売却したい」という場合にも非常に重宝します。
3-4.家族や近隣に知られずに話を進めることができる
一括査定はウェブ上のやり取りだけで査定価格を知ることができるため、家族や近隣に知られたくないという場合にも利用することができます。
たとえば、一括査定のサイトの中には、LIFULL HOME’Sの不動産売却査定サービスのようにメールアドレスと物件情報のみという条件で査定依頼が出せる「匿名査定」というシステムを用意しているところもありますので、「個人情報を不動産会社に知られずに査定をしてみたい」という方は、一度利用されてみると良いでしょう。
不動産一括査定サイト③ LIFULL HOME’Sの不動産売却査定サービス
4.不動産一括査定サイトを利用するデメリット
このようにメリットが多い一括査定サイトですが、もちろんデメリットもあります。以下で詳しく見ていきましょう。
4-1.営業電話がかかってくる可能性が高い
一括査定サイトで依頼をすると、一度に複数の不動産会社に情報がいきますので、不動産会社の営業マンが営業をかけてくる可能性が高くなります。近年はコンプライアンス上、大手の会社ほど過度な営業は控えていますが、数回はかかってくることがあります。
その場合、こちらはあまり興味がない価格の場合でも、営業電話などの対応をしなければいけません。電話や訪問査定の対応をする手間が増えるというデメリットがあります。
4-2.物件やエリアによっては査定結果が得られないことも
不動産一括査定サイトは、離島などの一部地域や不動産会社の登録が少ないエリアの場合や、物件の種別によっては、査定依頼に対応できる不動産会社が限られてしまい、査定自体が受けられないこともあります。
5.一括査定サイトの賢い活用方法
不動産一括査定サイトの仕組みやメリット・デメリットについて確認しました。この点を踏まえた上で、一括査定サイトの賢い活用方法と注意点について見てみましょう。
5-1.一括査定依頼をして相場や最高値、最安値をチェックする
一括査定依頼をして複数の不動産会社の査定額を見ることで、自分の所有する不動産の大まかな相場の価格がわかります。相場がわかることで、広告を出す際の価格の判断材料になりますし、その時に売却できなくても次に売却するときの参考になります。
複数の不動産会社から査定結果が届いた後は、最も高く評価をしてくれた査定価格の高い会社に依頼をしたくなりますが、その前にしておくと良いことが一つあります。それは、「査定価格が低かった会社に、査定理由を尋ねてみる」ということです。
一括査定サイトに登録されている会社は、それぞれ売却のプロですので、「査定価格が低い」という場合には、その価格を提示した理由があるはずです。たとえば、物件がマンションの場合、低い価格を提示した会社が実際にそのマンションの他の部屋の売却に携わったことがあったり、近隣に競合となるマンションが建築される情報を事前に掴んでいたりすることも考えられます。
そういった情報を掴んでおくことで、自分の物件の強みや弱みが分かり、その後の売却戦略を立てやすくなります。また、査定価格の低い会社に理由を尋ねた後に、高い価格を提示した会社にも査定理由をたずね、楽観的な情報ばかりが出てくると感じた場合には「他の会社さんから、○○ということをお伺いしたんですが…」と査定価格の妥当性を事前にしっかりとすり合わせておくことで、売却の初動でつまずくことが少なくなるでしょう。
上記以外にも、もし知り合いの会社があって、そちらで売却をしたいという時でも、一括査定で出た価格をもとに査定してもらうこともできます。
5-2.一括査定サイトを複数使うことで査定精度を高めることも
一括査定サイトでは、複数の会社から査定結果を受け取ることができますが、査定結果に納得が行かなかった場合やさらに査定の精度を高くしたいという場合には、手間は多少増えますが、一括査定サイトを複数利用することも有効です。
一括査定サイトごとに登録している会社の層なども異なりますので、複数の一括査定サイトを使うことで、より幅広い選択肢の中から納得のいく不動産会社を選ぶことができるようになります。
6.不動産一括査定の大手サイトは?
不動産一括査定サイトは提携社数や一度に査定を依頼できる社数などが、サイトによって違います。売主は不動産会社の考え方や自分の好みで選ぶことができます。代表的な一括査定サイトを一覧にしましたので確認しておきましょう。
主な不動産一括査定サイト
サイト名 | 運営会社 | 特徴 |
---|---|---|
SUUMO(スーモ)不動産売却[PR] | 株式会社リクルート | 大手から中小企業まで約2,000の店舗と提携。独自の審査基準で悪質な不動産会社を排除。60秒で入力が終了し、無料査定がスタートできる。 |
すまいValue[PR] | 不動産仲介大手6社による共同運営 | 査定は業界をリードする6社のみ。全国841店舗。利用者の95.5%が「安心感がある」と回答 |
LIFULL HOME’Sの不動産売却査定サービス[PR] | 株式会社LIFULL | 全国3826社以上の不動産会社に依頼できる。匿名での依頼も可能 |
リガイド(RE-Guide)[PR] | 株式会社ウェイブダッシュ | 17年目の老舗サイト。登録会社数900社、最大10社から査定を受け取れる。収益物件情報を掲載する姉妹サイトも運営、他サイトと比べて投資用マンションや投資用アパートの売却に強みあり |
HOME4U[PR] | 株式会社NTTデータ スマートソーシング | 全国2100社から6社まで依頼可能。独自審査で悪徳会社を排除 |
【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧
上記のサイトはいずれも運営方針がしっかりとしており、悪徳業者の排除などを実施していますので、安心して依頼することができます。
7.一括査定サイトを利用する際の注意点
一括査定サイトを利用する場合、メリットばかりではありません。注意しなければその後の売却活動にも影響しかねないデメリットを招くこともあります。一括査定サイトを利用する際の注意点を見てみたいと思います。
7-1.査定価格がそのまま売却価格になるわけではない
一括査定サイトの査定は簡易査定といって、机上で試算する方法だということに先に確認しました。そのため、査定結果の価格で売れるわけではない、ということを心得ておきましょう。査定価格の中で最も高く評価した会社が、話が進むにつれてだんだん安くなることもありますし、安かった価格が高くなることもあります。
査定価格はあくまで暫定価格で、話がすすむ際に物件を見て物件の劣化具合や駅からの距離、周辺の環境を実際に見ることで価格は変わってきます。価格が下がっても対応できるように、話をすすめる会社は1社だけに絞らずにすすめていくことが大切です。
7-2.営業電話の対応に注意する
査定価格を見て、依頼する気がない会社からその後も営業電話があることがあります。その際は対応に注意しましょう。その時は縁がなくても、他の機会に縁がある可能性もあるからです。物件が良い条件で売却できるかできないかは、不動産会社の担当営業マンのやる気にかかっている部分もあります。
お互いに嫌な印象を持ってしまうと、縁があった時に協力できない関係になることもありますので、不動産会社の対応は速やかに良い印象で終わらせることが大切です。
7-3.査定価格の根拠や査定理由の説明の仕方などから判断する
活用方法の項目でも少しご紹介しましたが、査定価格が出た際はどうしてその価格になるのか根拠を確認しましょう。特に他より高い価格を出していたり、安い価格を出していたりする場合は、その後の展開に参考になる意見を聞かせてもらえる可能性があります。
今まで気が付かなかった物件の良さだったり、逆に良くない問題が発見できたりするかもしれません。後々のためにも価格の根拠は必ず聞くようにしましょう。
また、査定理由を尋ねることで、営業マンの能力や会社の販売スタンスを推し量ることもできます。査定理由が明快に説明できるかどうかや、懸念やリスクまでしっかり伝えてくれる会社かどうかなどを会社選びの判断基準にすることができます。
7-4.営業マンとのコミュニケーションを大事にする
査定価格が高くても実際に物件が売れるかどうかは別の問題になってきます。良い条件で売却するには不動産会社の営業マンのやる気も影響してきます。一括査定サイトに依頼をし、そのまま売却まで話をすすめる際は、営業マンとのコミュニケーションにも気を配りましょう。
営業マンが前向きに自分の物件を売却してくれるように、普段から良好なコミュニケーションを築いておくことが大切です。
まとめ
不動産の価格は計算だけではなく建物の劣化具合や、周辺環境も含めて査定されますので、依頼した不動産会社の数だけ査定額があると考えていいでしょう。その点、複数の不動産会社への査定依頼を一度にできるという点で、不動産一括査定サイトはとてもメリットがあります。
しかし、情報が一度に複数の不動産会社に流れる、という点で、何人かの営業マンからアプローチがあったり、高かった価格が安くなったりする、ということもあります。一括査定サイトを利用する際はデメリットや注意点も知ったうえで使い方に注意して利用するようにしましょう。
西宮光夏
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