そのマンション、いくらで売れる?投資用マンションの査定相場は?

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投資用マンションの運用が順調でも、築年数が経過した場合や急にある程度のまとまった資金が必要になった場合には、売却などを視野に入れた出口戦略を立てる必要があります。しかし、いくらで売却できるのか、ある程度の査定相場を事前に把握しておかないと、出口戦略を立てにくくなるので注意が必要です。

そこで今回は、投資用マンションがいくらで売れるのか、査定相場を知る方法について解説します。

目次

  1. 査定相場を知らないと損をする
  2. 不動産会社の査定方法とは
    2-1.取引事例比較法
    2-2.原価法
    2-3.収益還元法
  3. 投資用物件は収益還元法を用いる
    3-1.査定相場のモデルケース①
    3-2.査定相場のモデルケース②
    3-3.査定相場のモデルケース結果考察
  4. 居住用として売却するなら取引事例比較法を用いる
  5. 効率良く査定相場を知るには一括査定を活用
  6. 建物診断の実施で査定額の上昇に期待
  7. まとめ

1 査定相場を知らないと損をする

マンション投資では、築年数とともに空室が目立つ・家賃が下がる・修繕費が多くなるなど、収入が思ったように得られなくなる可能性があります。また、急にまとまった資金が必要になることもあるため、その場合に備えてあらかじめ出口戦略を立てておくことが重要です。

出口戦略には、売却して現金化する・買い換える、入居者の退去後に自身の居住用として所有するといった手段が挙げられます。売却する際には、不動産会社に売却価格の査定を依頼することとなりますが、不動産会社によって査定額は様々です。

相場からかけ離れた安値や高値を提示される可能性もゼロではないため、売却時に損をしないよう、事前に相場を把握しておくことが重要と言えます。

2 不動産会社の査定方法とは

不動産会社の物件の査定方法は1つだけではありません。以下の3つの査定方法の中から、最も事例に合ったものを選択して査定を行うことが一般的です。

  • 取引事例比較法
  • 原価法
  • 収益還元法

それぞれの査定方法について詳しく見ていきましょう。

2-1 取引事例比較法

取引事例比較法とは、売却予定の物件と同条件にある物件の過去の事例をいくつか選んで平均坪単価を算出し、売却予定の物件の広さにかけて査定額を算出する方法です。

算出した価格には物件固有の要因が含まれていないため、これに固有の要件を盛り込んでいき査定価格を調整します。盛り込む要件は、立地(交通の便・生活の利便性)、建物全体(築年数・耐震性・駐車場の有無)、部屋(階層・間取り・方位・日照・騒音)などです。

取引事例比較法は、居住用不動産の中でもマンションや土地の価格査定に多く用いられている査定方法です。

2-2 原価法

原価法とは、売却予定の物件を取り壊した場合に、再度同じ物件を建てる際にかかる費用を算出し、経年劣化による価値の減少を差し引いて査定額を算出する方法です。

原価法は、マンションのような集合住宅は取り壊した場合の費用の算出が困難であるため、居住用不動産の中でも戸建住宅に用いられている査定方法です。

2-3 収益還元法

収益還元法とは、売却予定の物件が将来的にどの程度の家賃収入を生み出すかを予想してそれに基づいて査定額を算出する方法です。収益還元法は、直接還元法とDCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)の2つがあります。

直接還元法は、売却予定の物件の年間家賃収入を還元利回り(投資家から見た物件の利回り)で割ったものに100を掛けて査定額を求めます。一方で、DCF法は、売却予定の物件から将来的に得られる家賃収入と売却価格を現在の価値に割り引いてから合計して査定額を求めます。

DCF法は予測の精度が高いため、より正確な査定額を導き出せる一方で、特殊性が濃く、内容も複雑になるというデメリットがあるため、直接還元法を用いるのが一般的です。収益還元法は、賃貸用不動産や事業用不動産に用いられている査定方法です。

3 投資用物件は収益還元法を用いる

不動産の査定方法には、取引事例比較法・原価法・収益還元法の3つがありますが、投資用マンションの査定に用いられるのは、上記でも触れたように収益還元法です。

収益還元法を用いる際は、年間家賃収入を還元利回りで割ったものに100を掛けて求める直接還元法を使います。では、実際にはどのように計算すれば良いのでしょうか?収益還元法を使いこなすために、投資用マンションの査定相場の算出方法のモデルケースを2件ご紹介します。

3-1 査定相場のモデルケース①

査定相場のモデルケースの1件目は、江東区の投資用マンションの査定相場です。不動産ポータルサイトの1つであるLIFULL HOME’Sによると、東京都江東区の平均利回りは5.4%となっています(2019年4月時点)。なお、ここで言う利回りは投資家から見た利回り、つまり還元利回りのことを指します。

例えば、年間の家賃収入が100万円の投資用マンションを売却する場合には、100万円÷5.4×100=約1,852万円が物件の目安査定額となります。

実際にLIFULL HOME’Sに掲載されている江東区の投資用マンションで、利回り5.18%、家賃収入95万8,300円、物件価格1,850万円という事例を考えると、モデルケースに沿った結果になっていると言えるでしょう。

3-2 査定相場のモデルケース②

査定相場のモデルケースの2軒目は、渋谷区の投資用マンションの査定相場です。LIFULL HOME’Sによれば、東京都渋谷区の平均利回りは4.8%(2019年4月時点)となっています。

例えば、年間の家賃収入が100万円の投資用マンションを売却する場合には、100万円÷4.8×100=約2,083万円が物件の目安査定額となります。

実際にLIFULL HOME’Sに掲載されている渋谷区の投資用マンションで、利回り5.05%、家賃収入109万800円、物件価格2,160万円というものが確認できました。こちらでも相場の利回りに近い価格で売りに出される傾向があることが分かります。

3-3 査定相場のモデルケース結果考察

査定相場のモデルケース結果を見てみると、家賃収入が同じ条件では、還元利回りが低い物件の査定額の方が高くなり、還元利回りが高い場合は低くなるという結果になりました。では、なぜそのような結果になるのでしょうか?

還元利回りが低い物件は、立地条件が良く、空室リスクや賃料下落リスクが低いといった特徴が挙げられます。リスクが低いぶん安定経営が見込めるため、投資家は利回りが低くても購入したいと考えるからです。物件価格が高くても売れる見込みがあるため、還元利回りが低くなっている、ということなのです。

一方、利回りが高い物件は立地条件が悪かったり、築年数が経過していたりすることが多く、空室リスクや修繕コストがかさむリスクが高いと言えます。そのぶん価格を安くしなければ、売ることは困難になると言えます。直接還元法を用いて査定額の算出を行うと、このような背景も査定に反映されるので有効な査定方法と言えます。

4 居住用として売却するなら取引事例比較法を用いる

投資用マンションを売却する際は、入居者がいる間に早く売却してしまわなければ査定に影響が出ると思っている方もいるかもしれませんが、そういうわけでもありません。

投資用マンションとして売却する際は、直接還元法を用いて査定額を算出する際に家賃収入が関係します。しかし、この家賃収入は実際の収入額ではなく「想定賃料に基づく満室時の収入」で求められるのが一般的なので、入居者がいるかどうかは直接還元法による計算には直接影響しません。

また、投資用マンションと言っても、入居者がいない状況であれば居住用マンションとして売却することも可能です。その場合、取引事例比較法を用いた査定が行われることになります。投資用マンションの売却を検討する場合には投資用としての売却だけでなく、居住用としての売却も視野に入れながら、査定額が良い方を選ぶのも1つの手段と言えるでしょう。

5 効率良く査定相場を知るには一括査定を活用

投資用マンションの査定相場を収益還元法で把握できても、全ての不動産会社の査定額がその通りになるわけではありません。取引事例比較法のように、ある程度物件固有の要因を考慮しながら査定額を最終的に確定するため、不動産会社によって査定額が異なるからです。

どの不動産会社の査定額が最も高いか、また相場に照らして適正かを調べるには、1社ずつ査定を依頼していく必要があります。しかし、売買の仲介を行っている不動産会社の数はかなり多いため、1社ずつ会社を探して査定を依頼するのは手間と時間がかかると言えます。そこで登場するのが一括査定です。

一括査定とは、インターネット上で売却したい物件の情報を1度入力するだけで、複数の不動産会社の査定を一括で受けられるサービスです。一括査定を利用することで、効率良く査定相場を把握できるだけでなく、各社の査定額を比較して、最も適正かつ魅力的な査定額を出した不動産会社を選んでそのまま売却を依頼できるため、大変便利と言えるでしょう。

財閥系や鉄道系などの大手不動産会社6社に対して一括査定依頼を行える「すまいValue」や、国内最大級の規模を誇る不動産ポータルサイト「LIFULL HOME’S」の不動産売却査定サービスなどが有名なものとなっています。

6 建物診断の実施で査定額の上昇に期待

査定額に影響を与えるものとして、投資用マンションの場合には家賃収入や利回り、居住用マンションの場合には立地などの物件固有の要件などが挙げられました。他にも査定額に影響を与えるものとして建物診断があります。

建物診断とは、ホームインスペクションとも呼ばれているもので、建物の劣化状況などを調査して物件が性能を維持できているかを報告書にまとめることです。アメリカなどの中古住宅の流通が多い地域では当たり前に行われていますが、流通が少ない日本ではあまり行われていません。

しかし、宅地建物取引業法の改正によって、日本でも2018年4月から建物診断が行われた物件かどうかの告知や説明、あっせんの可否などが義務化されました。建物診断を行っている物件の方が買い手も安心して購入できるため、査定額が高くなる可能性があります。

とは言っても、建物診断は無料ではありませんし、診断したからと言って高く売却ができるというわけではありません。査定額に納得がいかず、価格を上げるために診断を行いたいと考えているのであれば、不動産会社に事前に相談するなど、査定額が低い原因が何かを理解してからアプローチした方が良いでしょう。

7 まとめ

投資用マンションを売却する際に、相場価格よりも安く売ってしまっては、せっかく得られたはずの利益が減ってしまいかねません。少しでも売却による収入を減らさないためには、投資用マンションがどのくらいで売却できるか、査定相場をあらかじめ把握しておくことが重要です。

査定相場を把握するには、投資用マンションの査定方法と居住用マンションの査定方法が異なるため、収益還元法の仕組みを理解することも重要です。また、一括査定を用いることで、相場に対して適正な査定額を提示する不動産会社を見つけることも大きなポイントの一つとなります。

不動産投資は売却が終わり、今までの賃貸と合わせて最終的に利益とキャッシュフローがそれぞれ残っているかどうかで、はじめて成功か失敗かが決まります。あらかじめ出口戦略をしっかり立てて、損しない売却活動ができるようにしましょう。

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矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。