投資用マンションの動向を徹底調査!価格・立地・間取り・設備のトレンドは?【2018年版】

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不動産投資をこれから始めようと考えている方の中には、「どのような物件にすれば良いのか決められない」という方や「提案された物件が良いのか悪いのか分からない」という方もいらっしゃると思います。物件選びの際、投資する物件をオーナーの好き嫌いで決めてしまうと、入居者のニーズとマッチしないということがあります。

入居者のニーズに応えた投資用の物件を選ぶことで収支は安定しますが、入居者のニーズは年々と変化していきますので、その動向をしっかりと把握しておくことが必要になります。

今回は投資用マンション選びで悩まれている方や投資用マンションの購入を検討している方向けに、入居需要が最も多い関東エリアに絞って最近の不動産需要の傾向を整理したうえで、2018年の投資用マンションの動向を入居者の視点から考えてみたいと思います。

目次

  1. 最近の不動産需要の傾向
    1-1.ライフスタイルの変化が都心回帰の状態を生み出している
    1-2.家族構成の変化で部屋数は少なくなった
    1-3.年代問わず東京23区に転入
  2. 2018年版投資用マンションの動向
    2-1.2018年投資用マンション価格推移
    2-2.2018年住みたい街ランキングでは横浜が1番人気
    2-3.駅からの距離は徒歩10分までは許容範囲
    2-4.単身や2人暮らし向けの間取りを狙う
    2-5.部屋数や広さの変化で収納などの選択肢が増える
    2-6.マンションは設備からサービスの時代に
  3. まとめ

1.最近の不動産需要の傾向

求められる不動産の傾向は時代の流れとともに変わっています。近年では都心回帰の傾向があり、都市部に人が集まってきています。どのようなことが要因になってそのような状態になっているのでしょう。まずはそういった近年の不動産需要の傾向を整理みましょう。

1-1.ライフスタイルの変化が都心回帰の状態を生み出している

高度成長時代には都心から電車で1、2時間くらいのところに戸建ての住宅を購入するのがサラリーマンのステータスでした。大きめの家が好まれ、家族は5人くらいが一緒に暮らしているという時代でした。しかし、近年ではライフスタイルが変化し、少々家賃が高くても会社の近くに住み、平日に自分の趣味や仲間との時間を確保したいという人が増えています。

会社の近くには戸建てよりマンションが多いため、必然的にマンション暮らしの社会人が増えることになります。国が推進する職住近接の施策がその傾向を後押ししていることもあり、都心に人が集まり、2018年現在は都心回帰の傾向にあります。

1-2.家族構成の変化で部屋数は少なくなった

近年、生涯独身で良いという人や、結婚をしても子供は1人で良い、あるいは子供はいらないという夫婦が増えたために、1世帯当たりの家族の人数が減っています。このことから広めの1Rや1LDKのニーズが高まっています。以下は東京都の家族類型別世帯数の推移です。1995年から2060年までの世帯数の推移を表したものです。

東京都の家族類型別世帯数の推移東京都政策企画局の資料から引用

このグラフから単独世帯と夫婦と子供から成る世帯は2035年まで増え続けることが予想されます。さらに夫婦のみの世帯は2045年まで増え続けることが予想されています。こういった傾向から投資対象物件は1人か2人暮らしの部屋に焦点を絞るべきでしょう。

1-3.年代問わず東京23区に転入

都心で暮らすのは若い人というイメージがあるのではないでしょうか。実は、近年では50歳以上の年齢層の人たちも都心に移り住むようになっています。

以下は不動産住宅情報サイトのLIFULL HOME’Sが年代別に東京23区への転入人口をまとめたものです。

都心に移り住むのはどんな人?年代別にみる都会暮らしの現状*LIFULL HOME’S「都心に移り住むのはどんな人?年代別にみる都会暮らしの現状」より引用

このグラフは2012年から2015年までの区別の転入人口を住民基本台帳の数字を抽出し試算したものです。マイナスは減少を表し、マイナスがついていない数値は増加を表しています。中央区や千代田区では10代から60代の全ての年代で増加していることがわかります。

また上位6区までは50代の人も増加しています。年代を問わず東京23区内に移り住んでいることがわかります。このことから、物件のデザインや間取りは特に若い人を意識しなくても良いでしょう。

2.2018年版投資用マンションの動向

近年の不動産需要について整理してみました。ではこの内容を参考にして2018年の投資用マンションの動向について検証してみたいと思います。

2-1.2018年投資用マンション価格推移

以下のグラフを確認してみましょう。不動産投資情報サイト健美屋が調査した各年度の投資用不動産価格の推移です。2016年が重複していますが、2015年から見ることで価格の推移がはっきりわかるのではないでしょうか。

グラフ1 2015年4月~2017年6月

投資用不動産価格の2015年4月~2017年6月の推移

グラフ2 2016年7月~2018年9月

投資用不動産価格の2015年4月~2017年6月の推移健美屋の調査より

区分マンションの2015年中の価格は年間を通して下降気味でしたが、2016年10月くらいから2017年6月にかけ上昇しています。しかし、そこをピークに2018年は年間を通して9月まで右肩下がりです。1棟物件に関しては2015年4月から2017年12月まで上昇、区分マンションと同じように2018年は下落していることがわかります。

新築マンションの販売価格は高値圏で推移していますが、中古などを含む区分マンション全体はここ3年で言えば底値あたりの価格帯と言えます。

2018年版 投資用マンションの動向まとめ 価格編

  • 2018年の投資用マンション価格は1月から右肩下がりできている
  • ここ3年では底値をついている

2-2.2018年住みたい街ランキングでは横浜が1番人気

東京23区内に転入人口が多いことがわかりました。さらに住みたい街ランキングの視点からエリアを考えてみたいと思います。以下は不動産情報サイトSUUMOが調査した2018年の年代別住みたい街ランキングの結果です。

ランキング 20代 30代 40代
1位 横浜 横浜 横浜
2位 恵比寿 恵比寿 吉祥寺
3位 品川 吉祥寺 恵比寿
4位 池袋 目黒 池袋
5位 武蔵小杉 新宿 品川
6位 吉祥寺 武蔵小杉 武蔵小杉
7位 新宿 品川 大宮
8位 渋谷 池袋 目黒
9位 大宮 大宮 新宿
10位 目黒 浦和 鎌倉

*不動産情報サイトSUUMO「2018年の年代別住みたい街ランキング」から引用

東京23区内に多くの人が転入していることに触れましたが、実際に住みたい街になると横浜が1位という結果になっています。2位以下に東京23区内の街もランキングしていますが、今回は2018年のトレンドという視点から1番人気の横浜に絞って立地を考えてみたいと思います。以下は横浜市の地図です。

横浜市経済局横浜市経済局のサイトから転載

横浜駅は西区に所在していますので、西区の横浜駅近隣の投資マンションは狙い目ですが、すでに高騰していたり、売りに出ている物件がなかったりする可能性があります。そこで他の区にも目を向けてみましょう。以下は横浜市が公開している横浜市内各区の人口と、人口の前月比および前年同月比を表す表です。

区分 世帯数 人口 1世帯当たり人員 届出による前月比増減 前年同月比の増減人口
世帯数 人口
横浜市 1690932 3740172 2.21 469 -195 6938
鶴見区 137834 290860 2.11 -55 -108 2095
神奈川区 124197 243416 1.96 39 17 1906
西区 54455 102141 1.88 56 150 2325
中区 80291 149036 1.86 58 24 -238
南区 98535 195225 1.98 -15 -119 350
港南区 92972 213952 2.3 30 -37 -33
保土ケ谷区 95102 205568 2.16 -6 -65 -1040
旭区 105219 245747 2.34 23 -46 -18
磯子区 76453 166657 2.18 22 19 39
金沢区 88274 199558 2.26 -39 -126 -729
港北区 168470 351111 2.08 183 252 2502
緑区 76855 181523 2.36 42 36 381
青葉区 128098 309626 2.42 127 42 -384
都筑区 82318 211383 2.57 18 -30 155
戸塚区 117774 278975 2.37 132 185 2049
栄区 51115 120107 2.35 -208 -283 -1018
泉区 61844 152459 2.47 -3 -111 -753
瀬谷区 51126 122828 2.4 65 5 -651

横浜市のホームページから引用

この表からは各区の前年同月からの増減がわかる上、1世帯あたりの人員が2人くらいだということがわかります。前年の同月から2,000人以上増えているのは鶴見区、西区、港北区、戸塚区の4区です。投資用マンションは、この4区内で2人くらいが住める部屋を選択すれば、投資効率が良いことが考えられます。

次に駅からの距離を絞り込んでみましょう。

2-3.駅からの距離は徒歩10分までは許容範囲

駅からの距離は徒歩何分以内であれば投資対象になるかを考えてみましょう。駅から5分以内を売りにしている投資マンションもたくさんあります。もちろん近いに越したことはありませんが、物件数が限られてくる、ということに加え割高の可能性もあります。その場合5分以上かかったとしても、徒歩で無理がない範囲まで広げて探したいところです。では、実際にはどれくらいまで広げても大丈夫なのでしょうか。以下はマイナビ賃貸が、駅から徒歩何分の所に住んでいるかを調査した結果です。


*マイナビ賃貸「今住んでいるお部屋、最寄り駅から徒歩何分ですか?」から引用

この調査では徒歩10分未満と20分以上が23.0%で1位という結果になっています。ただ、駅から徒歩20分以上になると用途地域でいうと第1種低層住居専用地域が多く、低層住宅しか建っていない可能性があります。その場合は徒歩10分未満の距離にある投資マンションが狙い目となるでしょう。

また、どうしても10分未満で売りに出ている物件がなかったり、価格が高かったりした場合は、15分くらいまでは住む人は多いので、そこまで広げても問題ないと思われます。ただ、その場合は数十年単位の長期保有ではなく、短期から中期の投資として考えたほうが良いでしょう。

2018年版 投資用マンションの動向まとめ 立地編

  • 2018年住みたい街ランキングNO.1は横浜。特に鶴見区、西区、港北区、戸塚区の4区は人口が大きく増加している
  • それぞれの区で最寄り駅から徒歩10分未満の物件がおすすめだが、物件がなかったり、価格帯が高かったりした場合は徒歩15分くらいまでは広げて探しても問題はない

2-4.単身や2人暮らし向けの間取りを狙う

次に間取りについて見てみましょう。先に少し触れましたが、横浜市内の世帯別の人員数はおおよそ2名くらいでした。上記2の項で記載した家族類型別世帯数の推移からもわかるように、単身世帯、2人暮らしの世帯は当分の間減少することはありません。そのことから単身か2人暮らし用のマンションが狙い目になってきます。

まずは大人1人もしくは2人までは暮らすのに支障がない1LDKと、2人暮らしでもプライベート空間がほしいという場合に2LDKがおすすめです。1DKではなく1LDKにするのは昔と違い、部屋数が少なくてもひとつひとつの部屋が広い方が好まれるからです。

1LDKでも小さいお子さんがいても暮らすのに支障はありません。3LDKになってくると賃貸より、購入の需要が高くなってきますので投資マンションとしてはあまり検討しない方が良いでしょう。

2-5.部屋数や広さの変化で収納などの選択肢が増える

家族の人員が少なく部屋数が少なくなるとリビングが広く使えるようになります。狭いリビングでは使い勝手の悪かった対面式キッチンも、広めのリビングであれば違和感なく使えます。壁付けキッチンだけでなく対面式キッチンという選択肢が増えた点でも、広めの部屋の人気は今後も落ちないと思われます。

また、ウォークインクローゼットは人が中に入れる分、壁面収納と比べ収納効率は悪くなります。しかし、洋服だけでなく床に靴や大きめのスーツケースなどが収納できるという点でメリットがあります。以前は部屋数が多かったためウォークインクローゼットのスペースを取る余裕はありませんでしたが、部屋数が少なくなることで、収納の選択肢も広がりました。

2018年版 投資用マンションの動向まとめ 間取り編

  • 単身用か2人暮らし用にターゲットを絞った1LDKか2LDKが狙い目
  • 3LDK以上になると賃貸需要が減ってくるので注意
  • 部屋数が減り、一つ一つの部屋が広くなったおかげで、で収納やキッチンなどタイプの選択肢が広がった

2-6.マンションは設備からサービスの時代に

マンションの設備はカラーテレビオートロックやシリンダーキーは今や当たり前になっています。その他にも、水を節約してくれる節水型トイレや地震発生をインターホンから知らせる地震防災システム、浄水器一体型水栓、床暖房などが整備されているマンションも多くなりました。

さらに進化しているマンションではマンションが提携するスーパーにネットで注文すると部屋まで配達してくれる「提携ネットスーパーサービス」や入居者専用の「カーシェアリングサービス」、部屋の清掃を行う「ハウスキーピングサービス」といったサービスが付くマンションも出てきています。建物の設備だけでなくサービスまでが設備の一つとして提供される時代になっています。
*参考:住友不動産販売「新築マンションの最新設備はここまで来ている!

2018年版 投資用マンションの動向まとめ 設備編

  • 地震防災システムや浄水器一体型水栓などの最新設備がスタンダードになってきている
  • 中にはカーシェアリングサービスなど入居者だけが使える外部のサービスを付帯するマンションもある

まとめ

価格、立地、間取り、設備の視点から2018年の投資用マンションのスペックのスタンダードを検証してみました。入居者が好む部屋のタイプはライフスタイルの変化とともに変わっていることがわかるのではないでしょうか。

不動産投資は長期の投資になりますので、マンションを所有している間はこういった変化にも対応していかなければいけません。投資マンションの動向を探ることで、入居者の求めているものも見えてきたりしますので、定期的に不動産の動向を見て、リスクヘッジに役立てましょう。

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西宮光夏

不動産会社での勤務や、所有している不動産運用の経験をもとにHEDGE GUIDEでは不動産関連記事を執筆しています。現在は主にふるさと納税の記事を担当しています。ふるさと納税記事では、地域の人たちが心を込めて提供する返礼品の素晴らしさを、少しでも多くの人にお伝えできればと思っています。