地方都市で始める不動産投資のメリット・デメリットは?東京と人口・不動産価格・利回りを比較

不動産投資を始めるうえで重要なポイントの一つが、エリア選びです。東京都内の不動産投資は人口増加を背景にした豊富な賃貸需要が見込める一方、地方都市の不動産投資はデメリットやリスクが強調されてしまうこともあります。

しかし、大都市圏は入居者を確保しやすい、地方都市は利回りが高いといったように、それぞれでメリットや特徴があります。それぞれの不動産事情をデータで検証し、自身の投資目的に合ったエリア選びをしていくことが大切です。

そこで今回のコラムでは、東京23区内と地方都市を各項目で比較して、地方都市で不動産投資を始めるメリットとデメリットを解説していきます。

目次

  1. 東京23区と地方都市の基礎データ
    1-1.東京23区と地方都市の人口の比較
    1-2.東京23区と地方都市の世帯数の比較
  2. 東京23区と地方都市の不動産情報
    2-1.東京23区と地方都市の不動産価格の比較
    2-2.東京23区と地方都市の表面利回りの比較
  3. 地方都市で不動産投資を始めるメリット
    3-1.物件価格が安い
    3-2.表面利回りが高い
    3-3.固定資産税などの税負担が少ない
  4. 地方都市で不動産投資を始めるデメリット
    4-1.空室リスクが高い
    4-2.出口戦略が立てづらい
    4-1.遠隔で管理を行う場合は管理会社に任せっきりになる
  5. まとめ

1 東京23区と地方都市の基礎データ

まずは不動産投資の基礎となるデータを確認しましょう。この項目では、人口と世帯数の推移を見ていきます。

1-1 東京23区と地方都市の人口の比較

東京23区と、地方都市の人口を比較したのが下記の表です。今回取り上げている地方都市は、首都圏以外の七つの中核都市としています。統計は、2022年4月1日の集計を採用しているほか、増減数を確認するために2021年4月1日のデータも合わせて表記しています。

都市 2022年4月1日の人口総数 2021年4月1日の人口総数
東京区部 9,680,548人 9,717,683人
札幌市 1,970,407人 1,972,542人
仙台市 1,093,543人 1,094,427人
名古屋市 2,317,985人 2,324,757人
大阪市 2,744,847人 2,755,236人
神戸市 1,508,996人 1,519,907人
広島市 1,191,903人 1,198,084人
福岡市 1,619,893人 1,615,382人

※参照データ:
東京都「東京都の人口(推計)
札幌市「推計人口
仙台市「推計人口及び人口動態
名古屋市「毎月1日現在の世帯数と人口(全市・区別)
大阪市「推計人口(毎月1日現在)・人口異動
神戸市「毎月推計人口
広島市「統計情報
福岡市「推計人口・登録人口

少子高齢化や新型コロナウイルスの影響で、全国の都市部では人口減少が起きていますが、今回紹介している都市では福岡市だけ人口が増加しています。また、上記の表は東京23区の人口を表記していますが、東京都全体の人口は13,995,469人となっています。前年同月よりは減少しているものの、他府県と比較して高い数字を示しています。

1-2 東京23区と地方都市の世帯数の比較

不動産投資を検討する際は人口だけではなく、世帯数も正しく把握することが大切です。世帯数が増えていれば、住居の供給が必要になると考えられるからです。

下記の表は、人口と同様に2022年4月1日と2021年4月1日集計の世帯数を表記しています。

都市 2022年4月1日の世帯数 2021年4月1日の世帯数
東京区部 5,232,813世帯 5,228,461世帯
札幌市 980,808世帯 973,283世帯
仙台市 532,645世帯 527,628世帯
名古屋市 1,131,709世帯 1,125,482世帯
大阪市 1,487,738世帯 1,481,048世帯
神戸市 737,765世帯 737,145世帯
広島市 558,150世帯 556,852世帯
福岡市 845,339世帯 836,917世帯

人口は福岡市以外で減少していますが、世帯数はすべての都市で増えていることが分かります。核家族化や単身世帯の増加などが起因していると考えられます。

2 東京23区と地方都市の不動産情報

この項目では、東京23区と地方都市の不動産価格や利回りなどの不動産情報を確認しましょう。用いたデータは、健美家「収益物件市場動向四半期レポート2022年1月〜3月」から抜粋したものです。

2-1 東京23区と地方都市の不動産価格の比較

下記の表は、東京23区と地方都市の不動産価格を比較したものです。不動産の価格は、区分マンション、一棟アパート、一棟マンションの3つの物件タイプです。

都市 区分マンション 一棟アパート 一棟マンション
東京23区 2,140万円 10,844万円 23,370万円
札幌市 939万円 5,274万円 14,681万円
仙台市 2,134万円 4,985万円 18,323万円
名古屋市 1,768万円 7,424万円 17,241万円
大阪市 1,324万円 7,094万円 15,420万円
神戸市 1,230万円 3,986万円 10,716万円
広島市 1,266万円 5,752万円 16,266万円
福岡市 971万円 6,355万円 26,029万円

※出典:健美家「収益物件市場動向四半期レポート2022年1月〜3月

地方都市の2倍以上の価格となっているケースもあり、東京23区の高さが際立ちますが、福岡市の一棟マンションは東京23区よりも高くなっています。人口増加していることなどにより、物件の価格が高騰していることが伺えます。

2-2 東京23区と地方都市の表面利回りの比較

次に確認するのは、東京23区と地方都市の表面利回りの比較です。物件タイプは、区分マンション、一棟アパート、一棟マンションの3つです。

都市 区分マンション 一棟アパート 一棟マンション
東京23区 5.88% 6.46% 5.74%
札幌市 10.77% 9.43% 8.13%
仙台市 11.71% 10.09% 8.41%
名古屋市 7.24% 7.30% 7.90%
大阪市 6.63% 8.22% 8.28%
神戸市 9.35% 10.05% 7.96%
広島市 8.67% 10.16% 8.04%
福岡市 7.78% 7.09% 6.39%

※出典:健美家「収益物件市場動向四半期レポート2022年1月〜3月

これらのデータを踏まえて、地方都市で不動産投資を始めるメリットとデメリットについて次の項目で見ていきましょう。

3 地方都市で不動産投資を始めるメリット

地方都市で不動産投資を始めるには、物件価格が安い、表面利回りが高いなどのメリットがあります。詳しく解説していきます。

3-1 物件価格が安い

前述した表から、東京23区の不動産価格と地方都市の不動産の最低価格を抜粋したのが下記です。

不動産の種類 東京23区の不動産の価格 地方都市の不動産の最低価格
区分マンション 2,140万円 939万円(札幌市)
一棟アパート 10,844万円 3,986万円(神戸市)
一棟マンション 23,370万円 10,716万円(神戸市)

この表は、地方都市では東京23区の半額以下の価格で投資用物件を購入できることを表しています。

物件価格が安いと、用意する自己資金は少なくなり、融資による資金調達の額も少なくなります。そのため、東京で始めるよりも、地方都市の方が不動産投資は始めやすいことになります。

3-2 表面利回りが高い

こちらも前述した表から、東京23区と地方都市の表面利回りを抜き出したものです。

不動産の種類 東京23区の表面利回り 地方都市の最高の表面利回り
区分マンション 5.88% 11.71%(仙台市)
一棟アパート 6.46% 10.16%(広島市)
一棟マンション 5.74% 8.41%(仙台市)

東京23区の場合は5〜6%ですが、地方都市の場合は区分マンションと一棟アパートでは10%を超えています。東京23区のほぼ2倍の数値になっています。

表面利回りが高いということは、投資金額を早く回収できる可能性が高いメリットがあります。少ない手元の資金で高い投資効率を求めるのであれば、地方都市の物件は選択肢に挙がってくると言えます。

3-3 固定資産税などの税負担が少ない

土地や家屋などの不動産を持っていると、自治体から固定資産税が課せられます。固定資産税の税額は課税標準額によって決定します。

課税標準額×1.4%=固定資産税

課税標準額は土地や家屋の価値について評価した金額で、自治体がその基準を決めています。つまり、東京23区に比べると地方都市は不動産価格が低いため、同じ広さであっても固定資産税や都市計画税などの税金は低くなるのが通常です。これも地方都市で不動産投資を行うメリットになります。

4 地方都市で不動産投資を始めるデメリット

では次に、地方都市で不動産投資を始めるデメリットについて見ていきましょう。

4-1 空室リスクが高い

人口推移と物件の供給状況など細かく分析する必要がありますが、人口が多い東京都に比べると地方都市は確保できる入居者が少ないため空室リスクが高いと言えます。例えば、2022年4月1日時点の人口は、東京区部は9,680,548人で札幌市は1,970,407人であり、単純な人口比較をすると東京区部の方が5倍多いということになります。

また、空室リスクが高いと想定通りの収入が得られない可能性があります。つまり、表面利回りが高くても実際には入居率が低く、入居率が高く見込めるエリアの方が結果的に投資効率が良い、というケースもあるのです。

4-2 出口戦略が立てづらい

不動産投資は、株式などの他の投資とは異なり、現金化がしづらい投資対象です。不動産売却を決めてから、売買が成立するまで早くても1カ月、遅い場合は1年以上になることもあります。

特に、地方都市の場合は東京に比べて物件の需要が少なく、中古市場で物件を売り出してもなかなか買い手が見つからないことがあります。入居者の確保が困難になった物件などは特に売却期間が長くなる傾向があります。

4-3 遠隔で管理を行う場合は管理会社に任せっきりになる

管理会社は遠い場所に住んでいるオーナーからの委託を受けるケースがあり、それぞれにノウハウを持っています。しかし、オーナーがすぐに駆けつけられる距離にいない場合、不都合なこともあります。例えば、設備の破損などで現場を確認することができない、外壁の塗料の色を細かく指定できない、といった事態が起こり得るからです。

つまり、別の地域に住んで地方都市で不動産投資をする場合、信頼できる管理会社と適切なコミュニケーションをとる必要が出てきます。この点も地方都市で不動産投資を行うデメリットとなります。

まとめ

今回のコラムでは、地方都市で不動産投資を始めるメリットとデメリットを、東京と比較しながら検証しました。

物件価格が安く、表面利回りが高いというメリットがありますが、空室リスクや流動性の低さなどのデメリットもあります。ただし、大学や企業が集中するエリア、生活環境の優れているエリアなどでは、リスクが抑えられる可能性があります。

地方都市での不動産投資は、全体傾向だけでなくエリアごとのミクロの視点で、物件をよりシビアに見極めていくことが重要となってきます。エリアの事情に詳しい不動産会社にヒアリングをしたり、複数の対象不動産を比較検証するなど、慎重に検討していきましょう。

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倉岡 明広

倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。