「相続した土地を売却することを検討したが買い手が見付からず困っている」「放置している土地の固定資産税の支払い負担が大きい」などの悩みを抱え、何とか別の用途で活用できないだろうかと考えている方も少なくありません。
しかし、売却の難しい土地である場合、アパート経営など一定の賃貸需要が必要な土地活用方法は適していません。土地の特性に合わせて適した活用方法について調査し、それぞれ比較しながら慎重に検討していくことが大切です。
そこで、本記事では、なかなか売れない土地でも検討できる、土地の活用方法を紹介していきます。土地活用の方法に悩む方はご参考下さい。
目次
- 土地がなかなか売れない理由は様々ある
- なかなか売れない土地の活用方法
2-1.駐車場経営
2-2.太陽光発電
2-3.トランクルーム経営
2-4.資材置き場
2-5.市民農園
2-6.看板用地 - 土地の特徴でみる活用方法の事例
3-1.狭小地や不整形地であっても検討できる土地活用
3-2.田舎などニーズが少ない場合の土地活用
3-3.農地や市街化調整区域など、法規制がある場合の土地活用 - まとめ
1.土地がなかなか売れない理由は様々ある
土地がなかなか売れない理由は、その土地の特性によって様々あります。変形地や狭小地、傾斜地など、土地の形状や広さが利用しにくく、売れにくいことがあります。
田舎などの辺鄙な地域の土地で、周辺にその土地を利用する需要が少なく、売れないケースもあります。さらに、市街化調整区域や農地では、法規制によって土地利用が限定されており、なかなか売れないことがあります。
農地法の適用を受ける農地の場合、住宅地等の農地以外への転用には農業委員会の許可が必要になります。また、都市計画法の市街化調整区域内の土地である場合、建物を建築するときは行政の許可を得る必要があり、売却の難易度を高めてしまう一因となっています。
土地の売買では需要の多寡だけでなく、このような法的な側面からも土地を売却する難易度は大きく変わってきます。売れにくい原因を把握し、どのような方法であれば活用できるのか検討しておくことも重要なポイントです。
2.なかなか売れない土地の活用方法
売却が難しい土地の活用方法として、次のような方法があります。
- 駐車場経営
- 太陽光発電
- トランクルーム経営
- 資材置き場
- 市民農園
- 看板用地
それぞれの活用方法について、売れない理由と関連付けて詳しく説明していきます。
2-1.駐車場経営
駐車場経営は、形状が多少悪い土地や狭小地であっても、車が入る間口と駐車可能な広さがあれば検討可能な活用方法で、少額の初期投資額で始めることができます。
駐車場経営の主な方法としては、月極駐車場とコインパーキングの2種類があります。
月極駐車場の初期費用としては、舗装工事の費用が必要になります。管理は不動産管理会社に委託するか、あるいは、台数が少なければオーナー自身が自主管理することも可能です。
コインパーキングの場合、初期費用は塗装工事に加えて機材の設置費用等が数100万円必要になります。管理を委託する場合、機材の設置会社に管理を任せるケースが多いでしょう。
田舎などで土地利用ニーズの少ない地域であっても、付近に住宅や工場、事業所などがあるのに駐車場が少ないケースもあり、一定の月極駐車場ニーズを見込めることがあります。人口密集地域であれば、駐車ニーズも多く、収益性の高いコインパーキングを検討できるケースもあります。
【関連記事】駐車場経営のメリット・デメリットは?始め方や手順も解説
2-2.太陽光発電
太陽光発電投資は、田舎の地域などで日照の良い広い土地に向いている土地活用方法です。土地利用ニーズが少ない場合であっても利用者を探す必要がなく、建物の建築が制限される農地や市街化調整区域であっても検討可能な土地活用法といえます。
太陽光発電によって発電された電力は、経済産業省が定めるFIT制度によって一定期間固定価格で買い取ってもらうことができ、10年程度で投資費用を回収できる可能性が高いことから、リスクは比較的低いといえます。
ただし、太陽光発電パネルの設置にはある程度の広さの土地の確保が必要であり、また、パネルの設置や発電システムの導入費用がかかります。1,000万円~数1,000万円程度の初期投資費用がかかるため、初期投資を回収できないリスクがあります。
その他、太陽の日照条件によって発電量が変わってしまったり、設備の故障などの修繕に追加費用がかかるリスクもあります。太陽光発電を検討する際は、これらのリスクにも注意し検討してみましょう。
【関連記事】太陽光発電投資のメリットとデメリットは?2020年以降のFIT制度も解説
2-3.トランクルーム経営
トランクルーム経営は、間口や広さが一定規模以上ある必要があるものの、狭小地や不整形地であってもコンテナが設置できれば検討できる土地活用方法です。初期投資費用も、数100万円という比較的少額から始めることが可能です。
ただし、荷物を預かるにはある程度利用者にアクセスの良い場所であることが必要であり、住宅地が近い、主要道路へのアクセスが良いなど、ある程度の利便性がある土地であることが条件となるでしょう。
また、トランクルームは倉庫に該当するため、市街化調整区域や建築基準法上の住居専用地域などでは検討できないといえます。管理などのランニングコストは少ない一方、賃料収入が少なく、収益性は高くない傾向がある点にも注意が必要です。
【関連記事】トランクルーム経営のメリット・デメリットは?土地活用の手順も解説
2-4.資材置き場
資材置き場は、資材を運び込むことができるほどの間口と広さがあれば、立地を問わず検討できる土地活用法で、土地の関する法規制の影響も受けません。
ただし、建設業者や工場、運送業者などの資材を置くニーズがあることが前提になります。近隣にそのような業者の多い地域であったり、オーナーが元々関係業者と繋がりがあるような場合であったりするケースでないと、賃貸ニーズを捉えるのは難しいといえるでしょう。
2-5.市民農園
農地である場合は、市民農園という活用方法もあります。1,000㎡未満、複数の利用者への貸付け、貸付期間5年以内、利用者による農作物の栽培は営利目的でないこと、という条件を満たし、農業委員会の承認を受けることで、市民農園を開設することが可能です。(※参照:農林水産省「1.市民農園の開設手順」)
また、農業を営んでいる場合は、園主指導の下、利用者に農作業をおこなってもらう体験型の市民農園として活用することも可能です。この場合、農地法の手続きは不要です。農園の管理をすべて請け負うNPO法人などもあり、農地から収益を得ることも可能です。
2-6.看板用地
野建て看板の用地として貸し出すという土地活用方法もあります。土地の広さや形状を問わず、狭小地や不整形地でも設置可能ですが、幹線道路や鉄道などからの視認性が高い土地であることが条件になるでしょう。
看板の制作会社が、広告募集の依頼も請け負うことがあるので、依頼を検討してみましょう。ただし、看板の広告料はわずかであり、収益性は低い活用方法であることに注意が必要です。また、自治体によっては、条例で看板などの広告を設置できる地域について規制を設けていることがあるので注意しましょう。
3.土地の特徴でみる活用方法の事例
ここまで、売りにくい土地の活用方法として6つの方法をご紹介しました。土地が売りにくい理由は、土地の広さや形状からして利用しにくいこと、立地からして需要が少ないことが挙げられます。それぞれのケースに適した活用方法について見て行きましょう。
3-1.狭小地や不整形地であっても検討できる土地活用
- 駐車場経営
- トランクルーム経営
- 資材置き場
- 看板用地
駐車場経営やトランクルーム経営は、狭小地や不整形地であっても検討できる土地活用法ですが、最低限の間口や広さは必要であり、それぞれの利用ニーズがあることが条件になります。いずれも、数100万円程度の初期費用がかかりますが、比較的に収益性は高いといえます。
資材置き場や看板用地は、駐車場経営やトランクルーム経営よりも土地の形状や広さの条件は選ばないものの、利用ニーズが限定され、収益性も低いといえるでしょう。
3-2.田舎などニーズが少ない場合の土地活用
- 太陽光発電投資
土地の形状や広さには問題がないが、立地が田舎など利用ニーズの少ない土地である場合は、太陽光発電投資という活用方法を検討してみましょう。陽当たりが良く広大な土地であれば検討可能です。1,000万円~数1,000万円程度の初期費用はかかりますが、収益性も高いといえます。
3-3.農地や市街化調整区域など、法規制がある場合の土地活用
- 太陽光発電投資
- 駐車場経営
- 市民農園
農地や市街化調整区域のような法規制が原因で売れない土地である場合、太陽光発電投資や駐車場経営、市民農園としての活用が考えられるでしょう。
【関連記事】市街化調整区域で検討できる土地活用は?5つの活用手段を解説
まとめ
なかなか売れにくい土地を活用する際には、売りにくい理由や法規制など、それぞれの土地の属性に合った方法であるかしっかりと確認しておくことが大切です。
また、土地活用を検討する際は投資効率にも配慮するようにしましょう。特に、太陽光発電投資や駐車場経営、トランクルーム経営では、まとまった初期費用が必要です。駐車場経営やトランクルーム経営では、融資を受けるのも難しい場合があります。
初期費用を捻出する手元資金に余裕はあるか、そして、初期費用を回収できる見込みは十分か、に注意を払って慎重に検討することが大切です。
駐車場経営やトランクルーム経営、太陽光発電投資では、専門業者に依頼することが必要になることがあります。その場合、複数の業者から見積りを取って比較検討してみましょう。
佐藤 永一郎
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