この物件は危ない?投資してはいけないアパートを見極める5つのポイント

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近年シェアハウス投資を巡る問題で、不動産投資のリスクの部分が大きなニュースになりました。不動産投資では長期的な家賃収入が期待できますが、シェアハウス投資で失敗したケースとはどのようなものだったのでしょうか。投資を始める前に、失敗しないように物件や取引について見分ける方法はないのでしょうか。

この記事ではアパート投資を始める前に知っておきたいこととして、シェアハウス投資の問題の事例をもとに、投資してはいけないアパートを見分けるポイントについてご紹介したいと思います。

目次

  1. シェアハウス問題の概要とポイント
    1-1.シェアハウス問題の概要
    1-2.サブリース契約のリスク
    1-3.融資金利4.5%など条件の悪いローン契約
  2. 投資してはいけないアパート
    2-1.立地が悪い物件
    2-2.現入居者の家賃が高すぎる場合
    2-3.管理状態が良くない物件
    2-4.サブリースが条件の物件
    2-5.不動産会社が提携している金融機関が少ない場合
  3. 購入する際に危ない物件を選ばないために注意したいこと
    3-1.立地には十分注意する
    3-2.融資条件が良い物件を選ぶ
    3-3.収支は常に注意して見ておく
    3-4.管理状態は自分でも確認する
  4. まとめ

1.シェアハウス問題の概要とポイント

後述するシェアハウス問題のニュースでは不動産投資のリスクの部分がクローズアップされたため、不動産投資に対してマイナスのイメージを持った人もいるのではないでしょうか。しかし、シェアハウス問題は事前に避けようと思えば避けられるものだったという見方もできます。どのような問題があったのかについて触れておきましょう。

1-1.シェアハウス問題の概要

かぼちゃの馬車というシェアハウスを購入し賃貸経営をする、という不動産投資手法で発生した問題は、金融機関も含めた大きな問題として今も後を引いています(2019年9月時点)。

この問題では、まず投資家は1億円以上もするシェアハウスを購入していました。1億円以上のローンを組むと毎月の返済額は少なくとも40万円を超えると見込まれますので、家賃が入らなければ一般の会社員が自己資金で返済するのは難しい金額です。

この空室リスクに対して購入時から不動産会社がサブリース契約を結び、返済額かそれに近い金額がオーナーにリース代として入ってくるため、オーナーは大きな負担がかからない形で運用ができる、というものでした。

しかし、金融機関が方針を変えて上記のシェアハウスに融資をしなくなった影響で、不動産会社は顧客や売り上げが増えなくなったために資金繰りが悪化し経営が破綻しました。そのため、オーナーにはサブリース代金が支払われなくなりしわ寄せがいった、という流れです。

1-2.サブリース契約のリスク

このシェアハウスの事件はいくつもの問題が重なったために、さらに被害が深刻化しています。問題の一つは不動産会社が提案していた安易なサブリース契約にあります。

通常、サブリースは不動産会社は普通よりも多めの管理費が取れますし、オーナーは普通に賃貸した場合より少ない額ではあるものの、一括借り上げにより毎月収入が発生し空室リスクがないため、管理会社とオーナー双方にメリットがある契約です。

しかし、この事件では全てのオーナーがサブリース契約を結んでおり、不動産会社は契約数の確保ばかりに目が行っていたと言えるでしょう。

サブリース契約ばかりでは、不動産会社は毎月の支払い負担がどんどん大きくなりますので、空室が多ければいずれ資金が底を尽きて破綻する可能性が高くなります。この事件でも、オーナーがそのことを確認して、慎重に考えていれば購入しないという選択肢もあったと言えます。

1-3.融資金利4.5%など条件の悪いローン契約

この事件では融資金利は4.5%のケースが多く見られましたが、これは一般の投資ローンと比較してもかなり高い金利です。さらにほとんどのオーナーはフルローンを組んでいましたので、毎月の返済額は一般的な返済比率の規定をオーバーしているはずです。

返済比率をオーバーしている場合、融資を申し込んでも一般的には借りることができない金額のはずです。案の定、金融機関が書類などを改ざんして融資審査を通していることが後で発覚しています。

このようにいくつもの問題が重なり、オーナーは大きな被害を受けることになりました。では今後アパート投資をする人がこのような失敗をしないために、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。

2.投資してはいけないアパート

シェアハウス問題の概要を参考にしながら、投資してはいけないアパートについて見てみましょう。

2-1.立地が悪い物件

立地は不動産投資においてとても重要な条件です。立地が悪い場合は運用がうまくいかない可能性が高くなってきます。例えば物件の建っている場所が駅から遠かったり、周辺にスーパーやコンビニがなかったりした場合、入居率が落ちる可能性は高くなります。

そのぶん立地の良いものに比べると物件価格は安く、利回りは高いものの、空室リスクは損失に直結するため初心者の方にはおすすめできません。なるべく立地の悪い物件は避けて、立地の良い場所で物件を探すようにしましょう。

2-2.家賃が高すぎる場合

サブリース付きの物件やすでに入居者がいる物件で、周辺の相場と比較して家賃が高すぎると感じる場合には注意が必要です。現入居者が退去後、この家賃では賃借人が付かないという理由で、大幅に家賃が下がる可能性があるからです。

下落幅が大きい場合、収支が悪化して運用がうまくいかなくなる可能性もあります。特に一括借り上げのアパートを検討する際は、後で賃料を一気に減額されるリスクがあることも考慮して、周辺物件の家賃相場と比べて高すぎないかどうかを検討することが大切です。

2-3.管理状態が良くない物件

エントランスやポストの周りを見て、管理状況が良くないと思われる物件は避けた方が良いでしょう。管理会社の管理に対する意識が薄いことも考えられるためです。

最初は少しの汚れや小さな損傷でも時間が経過すると大きくなり、やがては大掛かりな修繕が必要になる可能性も出てきます。また管理状態が悪い場合には資産価値も下がることが考えられます。そのようなケースを防止するためにも、管理会社の姿勢をきちんと確認して物件を検討することが大切です。

2-4.サブリースが条件の物件

もともとサブリースが契約の条件になっている場合も注意が必要です。シェアハウス問題を引き起こした原因のひとつはサブリース契約にありました。サブリース契約を解約されて収入が無くなるようなことを防ぐためにも、サブリースが条件の場合は慎重に検討するようにしましょう。

上記のように借り上げ賃料が相場より高すぎないか、あるいは安すぎないかといったことや、そのエリア全体の入居率が悪くないか、サブリース契約を行う不動産会社の経営体質や評判は悪くないか、といった部分を見て、良くないようであれば避けた方が良いでしょう。

2-5.不動産会社が提携している金融機関が少ない場合

不動産会社が提携している金融機関が少ない場合、良い融資条件を引き出す難易度は上がります。各金融機関によって審査基準は異なり、同じ物件・同じオーナーの属性でもそれぞれ融資条件は変わるからです。

少しでも良い条件でローンを組むためには、提携している金融機関が豊富にある方が有利になります。不動産会社が提携している金融機関の数には注意するようにしましょう。

3.購入する際に危ない物件を選ばないために注意したいこと

アパートの購入を避けた方が良いケースには、物件の状態だけではなく、融資条件や管理状態が悪い場合も含まれます。次に危ない物件を選ばないために注意しておきたいポイントについて見てみましょう。

3-1.立地には十分注意する

上記のように、立地が良くない物件は入居率が悪くなる可能性が高くなります。立地は駅からの距離だけでなく、電車の路線が何本通っているかということや、周辺にコンビニやスーパーなど生活に必要な施設があるかどうかといった環境も関係してきます。

また、最近は地震や集中豪雨などの被害が多くなっていますので、災害が起きにくい場所かどうかも考慮した方が良いでしょう。立地が良ければ入居率は高くなり、物件が築古になっても賃貸ニーズが下がりにくいなどのメリットがあるため、長期投資には有利に働きます。

3-2.融資条件が良い物件を選ぶ

長期的に見て収益が良くないと思われる物件や資産価値の低い物件は、金融機関の評価が悪くなる可能性が上がります。そのため金利が高くなったり、物件価格に対して融資額の比率が低くなったりするなど、融資条件が悪くなることが考えられます。

逆に収益が十分得られるであろう物件は金融機関の評価が高くなり、低い金利でローンが組めたり、フルローンが組めたりする可能性が高くなります。そのため、危ない物件を選ばないようにするには、なるべく融資条件が良い物件を選ぶことが望まれます。

また、不動産会社の提携金融機関が少ない場合、良い条件でローンを組める可能性は下がります。なるべく良い条件でローンを組むためには、複数のローンを比較検討するために、多くの金融機関と提携している不動産会社からアパートを購入するようにしましょう。

仮に金利2%でローンを組むことができた場合と、シェアハウス問題における融資金利の相場であった4.5%でローンを組んだ場合で、月々の返済額がいくら違ってくるのかを試算してみましょう。融資金額2,000万円、返済期間を35年として試算してみます。
      

金利 月々の返済額
2%の場合 6万6,252円
4.5%の場合 9万4,651円

*ローン価格2,000万円、返済期間35年で試算

この場合、月々の差は2万8,399円になります。アパート投資では毎月の家賃収入からローンを返済し、共用部の電気代などの必要経費の支払いも行わなくてはならないことから、数万円と言えどこの差はとても大きいことがわかります。

このように、融資条件が良ければそれだけ収支が良くなり、運用も成功する確率が高くなります。

3-3.収支は常に注意して見ておく

シェアハウス問題の場合、もしサブリースが無くても家賃収入が潤沢に入ってくる物件だったら失敗する人は少なかったでしょう。収入が多ければ健全に運用できる可能性が高くなるからです。

ただし、収支は管理費が上がったり、家賃が下落したりすると悪くなります。逆に借り換えをしたり、繰り上げ返済をしたりすることで、月々のローン返済額を減らすことができますので、収支は良くなります。このように様々な要因で収支の良し悪しは変わりますので、アパート投資を成功させるには、細かな点まで目を配り収支の改善を常に行うことが大切です。

3-5.管理状態は自分でも確認する

危ない物件かどうかを判断するには、自分でアパートの管理状態を確認することも必要です。不動産投資は管理会社に管理を委託し、ほぼ手放しでも運用できることが魅力の一つですが、購入時点で物件を見極めるために、必ず内覧などをして一度自分の目で管理状態などを確認するようにしましょう。

まとめ

危ないアパートを選ばないために、物件や購入条件を見極めるポイントについてご紹介しました。

賃貸経営を始めてから、サブリース契約が破棄されたり、空室の多い状況が続いたりした場合は、取り返しのつかないことにもなりかねません。危ない物件を選ばないためには、物件の価格や利回り、見た目だけではなく、管理会社の管理に対する姿勢や契約の仕方などもきちんと確認して取り組むようにしましょう。

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西宮光夏

不動産会社での勤務や、所有している不動産運用の経験をもとにHEDGE GUIDEでは不動産関連記事を執筆しています。現在は主にふるさと納税の記事を担当しています。ふるさと納税記事では、地域の人たちが心を込めて提供する返礼品の素晴らしさを、少しでも多くの人にお伝えできればと思っています。