表面利回りだけでの判断は危険!マンションの本当の価値を見分ける方法

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マンション投資をする際に利回りを一つの基準として見る場合があります。利回りが良いほどキャッシュフローが多く得られる可能性が出るからです。しかし、普段売り出し広告などで目にする「表面利回り」には運用中の経費が考慮されていないため、経費を含めて試算すると思ったより利益が出なかった、という状況になる場合もあります。

では表面利回りに惑わされずに投資用物件の正確な価値を見極めるには、どのような点を見れば良いのでしょうか。この記事では利回り以外の視点からマンションの価値を見分けるポイントについてご紹介します。

目次

  1. 利回りには2種類ある
    1-1.物件の広告はほとんどが表面利回りのみ記載
    1-2.物件の価格が低すぎないか注意
  2. マンション投資で大切なのは立地
    2-1.立地は駅からの距離と周辺の環境が影響する
    2-2.周辺に建つ施設によって入居者の属性が変わる場合
    2-3.職住近接で都心回帰が進んでいる
    2-4.利回りを確保しながら賃貸ニーズを高める
  3. 資産価値に影響する管理状況と周辺エリアの治安
    3-1.管理体制をチェックする
    3-2.周辺エリアの治安も影響する
  4. 被害額が大きくなる災害リスク
    4-1.ハザードマップは必ず確認する
    4-2.保険には補償できない部分もある
  5. 区分マンション内を見るポイント
    5-1.広めの間取りになっているか
    5-2.設備や仕様が最新のものか、部屋の向きもチェック
  6. まとめ

1.利回りには2種類ある

不動産投資の際に用いる利回りには、主に表面利回りと実質利回りの2種類があります。それぞれどのように違うのかを見てみましょう。

1-1.物件の広告はほとんどが表面利回りのみ記載

表面利回りとは「物件価格に対する家賃収入の割合」のことです。表面利回りには経費が含まれていませんので、年間の家賃収入を単純に物件価格で割って求めます。

表面利回り=年間の家賃収入÷物件価格

マンション投資では定常的に管理費を支払ったり、固定資産税などの税金を支払ったりしますので、実際に手元に残る資金を試算する際には経費も加味しなければいけません。経費を引いて算出した利回りのことを実質利回りと言います。実質利回りの試算方法は以下の通りです。

実質利回り=(年間の家賃収入-年間で支払った経費)÷物件価格

仮に表面利回り5%の物件と7%の物件があった場合、7%の物件の経費が大きくなれば、5%の物件の方が手元に残るお金が多くなることもあります。そのため、実際に手元に残る資金をシミュレーションする際は、上記のように実質利回りで試算するようにしましょう。

1-2.物件の価格が低すぎないか注意

利回りの試算法の通り、物件価格が低ければ利回りは良くなります。つまり、物件価格が低すぎるために利回りが高くなっている物件もあるということです。その場合、安くしないと買い手が付かないほどのリスクを持った物件である可能性が高いため、安易に飛びつくのは危険と言えます。

また、価格が安い物件は例え利回りが高くても賃料収入自体は安くなる傾向にあるため、手元に残る資金のボリュームが少なかったり、売却の際にも低い価格でしか売却できなかったりする可能性がありますので注意が必要です。

2.マンション投資で大切なのは立地

マンション投資で利回りと同様に大切なのが立地です。立地は長期的な視点から見た場合に収益に大きく影響してくる要素と言えます。立地の良し悪しは賃貸ニーズに直結し、長期にわたって入居率に影響を与えるからです。では、立地が良いとはどのような事なのかを見てみましょう。

2-1.立地は駅からの距離と周辺の環境が影響する

「立地が良い」という定義には、一般的に駅からの距離や周辺環境が関係します。例えばターミナル駅から徒歩10分以内にある物件は「立地が良い」という評価を受ける可能性は高いでしょう。逆に各駅停車のみの駅まで徒歩15分以上かかる物件などは賃貸ニーズが低くなる可能性があります。

また、マンションの周りにスーパーやコンビニ、病院など、生活するのに必要な施設があることも重要です。コンビニに行くのにバスや電車を使わないといけない場合、住みたいと思う人は極端に減ることが予想されるからです。

2-2.周辺に建つ施設によって入居者の属性が変わる場合

マンションの周辺に企業が多い場合は、会社員の単身者が入居する可能性が上がります。また大学があれば学生が多くなります。

例えば近隣に大きな会社や工場がなく、大学のみがあるようなエリアで入居者を募集する際には、ビジネスマンをメインに狙ってもなかなか応募が入らない可能性もあります。周辺に何があるのかによって住む人の属性が変わりますので、自分の希望する属性の人がいるかどうかもチェックするようにしましょう。

2-3.職住近接で都心回帰が進んでいる

今の単身者は職住近接の意識が高く、会社の近くに住む傾向が強くなっています。そのため都心のマンションは賃貸ニーズが高いことが考えられます。しかし、物件価格が高い傾向にあるために、利回りは低い可能性が高くなりますので、利回りを良くしたいという方にとってはその点がデメリットになります。

2-4.利回りを確保しながら賃貸ニーズを高める

都心から離れたエリアは物件価格が低くなる可能性が高くなります。そのようなエリアで賃貸ニーズを落とさないためには、物件の最寄駅を検討することが大切です。

不動産・住宅情報サイトSUUMOの調査結果によると、家を探す際には、家賃以外に最寄駅からの時間や通勤・通学時間、路線・駅やエリアといった立地に関することを重視することが確認できます。

このような点から、都心から離れていても、通勤や通学に便利な駅であれば賃貸ニーズが落ちにくいということが予測されます。そのため、都心から離れているエリアでマンション投資をするなら、複数の路線が通り、急行や特急が停車する駅を選ぶと良いと考えられます。

3.資産価値に影響する管理状態と周辺エリアの治安状態

資産価値が高い物件とは、「長期的に収益が望める物件であること」と言えます。長期的に収益が見込める物件を探す際は、どのような点に注意して見れば良いかをご紹介します。

3-1.管理体制をチェックする

資産価値が高い物件は立地が良いだけでなく、管理体制もしっかりしているということが言えます。物件の資産価値には管理の状態がとても大きく影響してきます。管理が不十分な場合、築年数が古くなるにつれ劣化や汚れが目立ち、中には大きく手を入れなければ改善されないような状態になっている物件もあります。

そうなると修繕費や改修費のぶん売却価格が下がることになりますし、入居者の心証も損なわれて入居率が悪化してしまいます。そのようなことにならないように、管理は日頃からこまめに行われている物件を選ぶことが大切です。見るポイントとしてはエントランスやポスト周り、駐輪場、ごみ置き場などが良いでしょう。

3-2.周辺エリアの治安も影響する

物件の資産価値を高める要素として、周辺エリアの治安も影響してきます。治安が悪いと入居率が落ち、将来的に収益を生みづらくなる可能性が高くなるからです。逆に治安が良ければ、安心して暮らせるイメージがありますので、賃貸ニーズが高まる可能性があります。そのため、マンションを購入する際は治安も確認して購入することが大切です。    

4.被害額が大きくなる災害リスク

災害リスクとは、地震や火災などの災害によって損害を被るリスクのことです。近年では大きな地震の被害などもあり、災害リスクには十分に対策をすることが望まれます。災害にはどのようなものがあり、どのように対策をすれば良いかを見てみましょう。

4-1.ハザードマップは必ず確認する

以前は災害リスクといえば、地震や火災、台風に対する対策が多かったのですが、最近では毎年集中豪雨が発生し、雨漏りや土砂崩れ、浸水などの被害も大きくなっていますので、集中豪雨対策も必要です。

集中豪雨対策としては、まずハザードマップを確認し、水害や土砂災害が発生しにくいエリアで物件を探すことが大切です。また火災については木造住宅が密集していないかといったことや、地震の場合は地盤の固さや津波到達エリアかどうかもチェックが必要になってきます。

災害が起きにくいエリアと言われていても、きちんとハザードマップを確認して、災害時の避難場所や避難経路は確認しておくようにしましょう。

4-2.保険には補償できない部分もある

地震や火災で被害を受けた場合は自己資金で原状回復するのは難しくなりますので、必ず保険に入っておくことが大切です。

とは言っても、保険は全ての災害を保証できるわけではありません。会社やプランによって補償の範囲は異なります。契約内容によっては被害額のほんの一部しか支払われない場合もあります。保険に加入する場合は補償範囲を必ず確認してから入るようにしましょう。

5.区分マンション内を見るポイント

立地や物件の管理体制、災害リスク対策を見直すことがとても大切だということがわかりました。次に区分マンション内の間取りなどについて見てみましょう。

先述したSUUMOの「引っ越し・住み替えの実態調査2017」では、家賃や立地条件の次に間取りや設備仕様などの項目がランキングされています。

このように部屋を決めるポイントとして、家賃や立地だけでなく物件内の間取りや設備も重要な項目になっていることが確認できます。次に室内を見る際に注意して見ておいた方が良いポイントについて見てみましょう。

5-1.広めの間取りになっているか

90年代以前に建設された物件にはトイレとバスが一緒になり、リビングもとても狭いマンションがよく見られます。近年ではそうした間取りは敬遠される傾向にあり、だんだん部屋面積も広く余裕を持った造りになっているものが好まれるようになってきています。

好まれる間取りのタイプは時代とともに変化していますので、数年後も現在と同じようなものが好まれるかはわかりませんが、毎年のトレンドを見て、賃貸ニーズがありそうな間取りを把握するようにしましょう。

5-2.設備や仕様が最新のものか、部屋の向きもチェック

物件の設備や仕様は年々進化しています。それらも部屋を決めるときに重視する項目として挙がっていますので、入居者に好まれるものかどうかきちんと確認するようにしましょう。また部屋の向きも重視する項目とされています。部屋の向きや眺望も部屋を決める決め手になる可能性がありますので、きちんと確認するようにしましょう。

まとめ

マンション投資にあたり、利回り以外でマンションの価値を判断するポイントについて解説しました。マンションの価値は、長期にわたりいかに多くの収益を得られるかという点が判断基準の大きな比重を占めます。収益を多く得るためには、賃貸ニーズが高く家賃収入が滞りなく入ってくることが重要な条件になります。

立地や物件の管理状態、その他の賃貸ニーズに影響する点には十分注意してマンション投資に取り組むようにしましょう。

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西宮光夏

不動産会社での勤務や、所有している不動産運用の経験をもとにHEDGE GUIDEでは不動産関連記事を執筆しています。現在は主にふるさと納税の記事を担当しています。ふるさと納税記事では、地域の人たちが心を込めて提供する返礼品の素晴らしさを、少しでも多くの人にお伝えできればと思っています。