頭金ゼロ円で始めるマンション投資、メリット・デメリットは?投資法も解説

※ このページには広告・PRが含まれています

不動産を購入する際は、一般的に不動産価格の一部を頭金として入れて、残りの額はローンを借りることで支払います。しかし、場合によっては物件価格の100%の額のローンが組め、頭金ゼロ円で不動産投資をスタートできることがあります。

その場合は初期費用があまりかからないというメリットがある反面、借入総額が増え毎月の返済額も大きくなるというデメリットもあります。この記事では、頭金ゼロ円でマンション投資をした際の運用方法や、将来の売却の仕方について解説いたします。

目次

  1. 頭金ゼロ円でマンション投資をする際のメリット
    1-1.初期費用を抑えることができる
    1-2.現金が手元に残る
  2. 頭金ゼロ円の場合に考えられるデメリット
    2-1.毎月のローンの返済額が多くなる
    2-2.リスク対応に余裕がなくなる可能性がある
    2-3.売却益が少なくなる可能性がある
  3. 頭金ゼロ円でマンション投資をする際に注意すること
    3-1.月々の収支を改善しながら運用する
    3-2.家賃相場や価格相場は常に把握しておく
  4. 頭金ゼロ円の物件を売却する際の注意点
    4-1.出口戦略は早めに立てておく
  5. まとめ

1.頭金ゼロ円でマンション投資をする際のメリット

頭金ゼロ円でマンション投資をする際にはどのようなメリットがあるのでしょうか。確認してみましょう。

1-1.初期費用を抑えることができる

頭金がゼロであれば、その分マンション購入時にかかる初期費用を抑えることができます。初期費用には頭金以外に、仲介手数料や金融機関の事務手数料、保証料などが含まれます。その他にも色々あるため、どのような費用があるのかを以下の表で見てみましょう。

項目 内容
仲介手数料 仲介してくれた不動産会社に支払う手数料
売買契約の印紙税 売買契約書に貼る収入印紙
金融機関の事務手数料 ローンを組む際に発生する金融機関の手数料
ローン保証料 保証会社へ支払う保証料
ローン契約の印紙税 金融機関と締結する契約書に貼る収入印紙
火災保険料 火災保険の保険料
団体信用生命保険料 契約者死亡時にローンの残債を完済する保険
登記費用 登記時の登録免許税と司法書士報酬
不動産取得税 不動産を取得した際にかかる税金
固定資産税(精算金) 不動産を所有していると毎年かかる税金。不動産購入時には期間に応じて按分精算する
都市計画税(精算金) 毎年発生する都市計画に関する税金
管理費・修繕積立金 マンションの管理組合に支払う管理費・共用部修繕の積立費

マンションの購入時にはこれだけの費用がかかります。不動産取得税などは購入時から数ヵ月遅れて支払うことになりますが、必ず発生する費用になりますので忘れないようにしましょう。

例えばマンション価格が2,000万円で、90%の割合しかローンが組めなかった場合は、上記の費用以外に頭金を200万円支払わなければいけません。頭金ゼロで始める場合はその費用はかかりません。頭金があるかないかの違いで、初期段階で準備しなければいけないお金の額は大きく異なります。

1-2.現金が手元に残る

また頭金がかからなかった分、現金が手元に残るということも言えます。手元に残る現金が多ければ、空室時のローンの返済や、突発的な修理の費用に使える資金が多くなりますので、それだけ余裕を持って運用をすることができるようになります。

2.頭金ゼロ円の場合に考えられるデメリット

では次に、頭金ゼロ円でマンション投資をする際のデメリットについて見てみましょう。

2-1.毎月のローンの返済額が多くなる

頭金がゼロ円の場合、それだけ毎月のローンの返済額が大きくなります。そのため、頭金を支払った場合と比較して、家賃収入と支出との差があまり無く、収支が悪化することがデメリットになります。

仮に2,000万円の物件を購入する際に、頭金を1割支払った場合とゼロ円の場合では、毎月の返済額がいくらくらい違うのかを試算してみましょう。金利2%、返済期間35年の条件でローンを組んだとします。

物件価格 頭金 ローン価格 毎月の返済額
2,000万円 200万円 1,800万円 5万9,627円
2,000万円 0円 2,000万円 6万6,252円

*金利2%、返済期間35年

この場合では、月々の返済額は頭金を入れた方が約7,000円低くなります。それだけ頭金を入れた方が毎月の収支に余裕が出るということが確認できます。

2-2.リスク対応に余裕がなくなる可能性がある

上記の通り、頭金を入れないぶん収支は悪くなりますので、その分キャッシュのストックされるスピードも遅くなります。これにより空室になったり設備が壊れて修理費用が必要になったりした場合に、資金の余裕がない状態に陥る可能性が上がると考えられます。そのため、頭金ゼロで投資を始める場合は、ローンの返済遅延リスクなどに注意して運用することが求められます。

2-3.売却益が少なくなる可能性がある

毎月のローンの返済を続けていけば、一定の割合で残債は減っていきます。同じようにマンション(建物)の評価額も下落しますが、築年数に応じた平均物件価格は途中で横ばいに近くなるため、時間の経過とともに物件価格の下落よりも残債の減少の方が大きくなる傾向にあります。

そのため、ケースによっては売却をした際にローンの残債よりも高い価格で売却できる時期があり、その時点で売却できれば手元に残る収益が大きくなります。

頭金ゼロでスタートした場合は、頭金を入れた場合と比較して元のローン価格が大きいため、残債が物件の評価額を下回りにくくなります。そのため売却によって得られる収益は頭金を入れた時より少なくなる可能性が高くなります。

3.頭金ゼロ円でマンション投資をする際に注意すること

頭金ゼロ円でマンション投資をスタートするには、メリットもあればデメリットもあります。できるだけメリットを多く得られるようにするには、どのような点に注意すれば良いのかを見てみましょう。

3-1.月々の収支を改善しながら運用する

頭金ゼロ円の場合は頭金を入れた場合と比較して、月々の収支が悪くなることが大きなデメリットになります。そのため、頭金ゼロ円でマンション投資をする場合は、月々の収支を改善しながら運用できるように心掛けることが大切です。収支を改善するには一部繰上返済や借り換えをすることが効果的です。それぞれを詳しく見てみましょう。

一部繰上返済をする場合

残債の一部を繰上返済することで、月々の収支を改善することができます。では、どの時期にいくらくらい繰上返済すれば良いのでしょうか。

仮に2,000万円の物件を購入した場合の繰上返済を試算してみましょう。金利2%、返済期間35年で組み、15年後に200万円繰上返済をしたとします。その場合、月々の返済額がいくらになるのかを見てみましょう。
    

月々の返済額 15年後の残債 200万円繰上返済した場合の残債 15年経過後からの毎月の返済額
6万6,252円 1,309万6,418円 1,109万6,418円 5万6,134円

*繰上返済のタイミングによっては、16年目以降の月々の返済額はこの通りではありません

頭金を200万円入れた場合の月々の返済額が5万9,627円でしたので、途中でも200万円を準備できた段階で同じ額を繰上返済すれば、ほぼ同じ返済額になったり、頭金を入れた場合の返済額を下回ったりすることが確認できます。

このようにマンション投資を始める段階で初期費用をかけなかったとしても、途中で繰上返済することで、頭金を入れた場合と同じような収支に改善できます。

しかし、頭金を入れた場合は、スタート時から頭金ゼロの場合より多くのキャッシュが得られますので、その差額分は収益力の違いがあることを押さえておくことが大切です。

借り換えをした場合

次は、15年後に金利が1%低いローンに借り換えができたと仮定した場合、月々の返済額はいくらくらい変わるのかを試算してみましょう。
   

15年後の残債 借り換え後の毎月の返済額
1,309万6,418円 6万229円

*タイミングや条件により実際の返済額は変わります

借り換えをした場合も、頭金を入れた場合と同様に返済額を下げる効果があることが確認できます。この場合は、借り換えにも費用がかかることを押さえておくことと、状況によっては低い金利に借り換えができない可能性があることも頭に入れておくことが大切です。借り換えを検討する際は、早めに金融機関に相談すると良いでしょう。

3-2.家賃相場や価格相場は常に把握しておく

売却をする際は物件価格だけでなくローンの残債も収益に関係してきます。また、頭金を入れた場合と頭金ゼロの場合では、ローン価格が違う分、残債の額も異なります。そのため、その時点の想定売却価格と残債はつどチェックしておくことが大切です。さらに、家賃も売却する際の査定に影響してきますので、家賃相場も一緒に確認するようにしましょう。

4.頭金ゼロ円の物件を売却する際の注意点

賃貸マンションの運用においては繰上返済や借り換えを積極的に行い、収支の改善を図ることが大切です。では売却を視野に入れた場合はどのような点に注意すれば良いのでしょうか。

4-1.出口戦略は早めに立てておく

頭金がゼロ円の場合、頭金を入れた場合と比較して収支が悪くなることには触れました。普段の収支の改善を意識しながら運用をしなければいけませんので、計画的に資金管理を行う必要があります。そのためには出口戦略を早めに立てた方が長期的な資金管理がしやすくなります。

売却できそうな価格と残債の減り具合から、いつぐらいに売却するのが良いのか、リノベーションはする必要があるか、家賃の減額と売却のタイミングをどう取るか、といった点から、できるだけ早めに、不動産会社とも相談しつつ出口戦略を立てて取り組むようにしましょう。

まとめ

頭金ゼロ円でマンション投資をする際に注意する点について解説しました。頭金ゼロ円でマンション投資をする場合は、初期投資を抑えられるぶんキャッシュを有効にストックすることができる一方、ローン金額が大きくなるため、毎月の収支が悪化することが考えられます。

投資効率を上げるためには、できるだけ収支を改善しながら売却まで運用を続け、最終的なキャッシュをプラスにすることが大切です。そのためには出口戦略をできるだけ早く立てて、しっかり資金管理をしながら運用に取り組むようにしましょう。

The following two tabs change content below.

西宮光夏

不動産会社での勤務や、所有している不動産運用の経験をもとにHEDGE GUIDEでは不動産関連記事を執筆しています。現在は主にふるさと納税の記事を担当しています。ふるさと納税記事では、地域の人たちが心を込めて提供する返礼品の素晴らしさを、少しでも多くの人にお伝えできればと思っています。