投資サービスやアプリの普及により少額から参加可能な株式投資や資産運用の関心が高まっています。投資ではリターンを表す「利回り」で選ぶことも大事ですが、デメリットやリスクを含めて個人の資産状況や投資目的にマッチしたサービスを判断することも大切です。
この記事では、投資初心者の方のために投資の種類やメリット・リスク、注目のサービスについてわかりやすく解説します。「どの投資を選べばいいのかわからない」「メリットもいいけどリスクについても詳しく知りたい」という方は、参考にしてみてください。
目次
- 株式投資
1-1.株式投資の特徴・メリット
1-2.株式投資のデメリット・リスク
1-3.初心者でもできる株式投資のサービスやアプリ - 投資信託
2-1.投資信託の特徴・メリット
2-2.投資信託のデメリット・リスク
2-3.初心者でもできる投資信託のサービスやアプリ - 不動産投資
3-1.不動産投資の特徴・メリット
3-2.不動産投資のデメリット・リスク
3-3.初心者でもできる不動産投資のサービスやアプリ - 投資型クラウドファンディング
4-1.投資型クラウドファンディングの特徴・メリット
4-2.投資型クラウドファンディングのデメリット・リスク
4-3.初心者でもできる投資型クラウドファンディングサービスやアプリ - 融資型クラウドファンディング
5-1.融資型クラウドファンディングの特徴・メリット
5-2.融資型クラウドファンディングのデメリット・リスク
5-3.初心者でもできる融資型クラウドファンディングサービスやアプリ - まとめ
1 株式投資
株式投資は証券取引所で売買される株式を購入し、配当金や売却益を得ることを目的にする投資です。株式を購入した人はその会社の株主となって、配当金や株主優待等を受ける権利が得られるほか、株式が値上がりした際は売却益を得ることもできます。配当金は会社の業績等により、分配額の有無や大小が決まります。
1-1 株式投資の特徴・メリット
株式投資の種類(商品)には、現物投資、信用取引、投資信託、単元未満株投資、株式累積投資などがあります。ここでは一般的な現物株式投資の特徴を説明します。
株式投資を始めるには、まず証券会社を通じて希望の銘柄(株式)を購入します。購入の際には証券会社への売買手数料の支払いが必要です。手数料の金額は証券会社ごとに異なり、売買の成立(約定)ごとや1日制などの料金形態があります。
なお、東京証券取引所第1部の企業の2019年11月の配当金の利回り(単純平均)は1.91%です(参照:JPX「株式平均利回り」)。銘柄によっては5%以上の利回りも得られる場合もあります。
株式投資のメリットはこのように配当金を得つつ、大きな売却益が狙える可能性がある点です。企業努力や経済情勢によっては購入時の株価が短期間で2倍以上になることもあり、大きなリターンが狙えます。
また、株主優待制度もあります。株主優待とは、一定数以上の株式を購入した投資家に対して自社商品や各種サービスを贈る日本独特の制度です。自社の食料品から商品券・優待券・招待券やチケット類などの優待商品が用意されているので、株主優待の内容を基準に株式を選ぶ投資家もいます。
1-2 株式投資のデメリット・リスク
「元本保証がない」のは株式投資のリスクの一つです。購入当初よりも株価が下落したときに売却すれば売却損が生じます。また、企業が倒産すれば株式を現金化できなくなる可能性もあります。
また、配当金は企業業績により少なくなる(減配)こともあれば、業績が悪ければ出ない(無配)こともあります。
さらに株価は取引所の営業中常時変動し、また様々な経済的・社会的要因により大きく変動もするため、保有期間中はその動きを監視し必要に応じて売却や買い増しなどの作業が必要になる点は手間に感じる場合もあるでしょう。
1-3 株式投資を手軽に始められるサービスやアプリ
株式投資を始めるには、通常、証券会社で口座を開き、さらに一定数以上の株式(単元株)を購入する必要があったため、まとまった資金を準備しなければなりませんでした。
しかし最近は、国内有名企業の株式を1株から購入でき、購入代金にTポイントを利用することもできる「ネオモバ」などの少額株式投資サービスも登場し、初心者でも気軽に株式投資が始められるようになってきています。(ただし、ネオモバには取引額に応じた月額利用料がかかります。詳しくはネオモバのウェブサイトでご確認下さい。)
株式の選択から購入・売却をスマートフォンやパソコンからいつでもでき、積み立て投資などもできるため、仕事や家事・育児に追われている方でも空いた時間で資産運用の管理ができます。
2 投資信託
投資信託(ファンド)は、投資家から集めた資金を運用の専門家が株式・債券・不動産などの資産に分散して投資・運用する金融商品です。投資家は、運用で得られた賃料や売却益などを、投資額に応じた分配金として受け取ることができます。
2-1 投資信託の特徴・メリット
投資信託の対象には、株式、債券、不動産、その他資産(金、原油や穀物等)、複数資産(複数分散)などがあります。また、国内と海外等の地域で分類するタイプもあります。海外資産を対象とする投資信託は、各国の経済状況や地政学リスクなどのほか、為替変動による影響を受けることもあります。
不動産を対象とするタイプは不動産投資信託(リート)とも呼ばれています(詳細は後述)。
投資信託を始めたい場合は、証券会社等に取引口座を開設し、電話やWEBから注文・購入します。購入後はファンドの決算日に従って分配金を受け取ることになります。
投資信託は投資の知識や経験が豊富な専門家が運用するタイプとなるため、株式投資に比べると投資対象を選ぶ知識や手間をあまり必要としないのがメリットです。
また、ファンドにもよりますが、1万円程度から購入できる商品もあるので、まとまった資金も必要としません。さらに、株式や債券などに分散投資されているファンドもあり、元本割れといったリスクの低減を図ることができるのも特徴です。
2-2 投資信託のデメリット・リスク
投資信託は、基本的に元本を保証する商品ではありません。株式など価格変動が大きいものを対象とする投資信託はよりハイリスク・ハイリターンになります。
また、海外資産を投資対象とするファンドでは為替リスク、金利リスクやカントリーリスクなどにより影響を受けることもあります。
なお、投資信託の購入や運用には手数料や管理費などのコストがかかります。手数料は各ファンドや証券会社で異なりますが、長期運用になるほど手数料の負担は大きくなるので、なるべくコストの低い商品を選ぶことが重要になります。
2-3 投資信託を手軽に始められるサービスやアプリ
投資初心者の方が投資信託を始めるのなら、120万円の非課税制度枠が設けられている「NISA(少額投資非課税制度)」や、掛金を自分で決めて運用することができる「iDeCo(個人型確定拠出年金)」などを利用するのがおすすめです。
このほか、ETF(海外上場投資信託)や国内投資信託を主な投資対象とするロボアドバイザーサービスも最近注目されています。
ロボアドバイザーでは、自分に適した投資ポートフォリオに関するアドバイスを受けられるほか、投資後の運用を自動で行ってくれる「WealthNavi(ウェルスナビ)」「THEO(テオ)」などのタイプもあり、株式投資などの知識や経験がなくても始めやすいのが特徴です。
事前にいくつかの質問に答えるだけで各投資家の資産状況やリスク許容度に応じた運用方法を提案してくれ、運用も一部自動で行ってくれるので、手間があまりかかりません。費用は、預かり資産に対して年率1%ほど必要となるケースが中心です。
元本保証はありませんが、毎月1万円などからの積立投資が可能で、長期の運用によりリスクの低減も図れます。なお、投資対象を海外のETF(上場投資信託)や各種資産にしているケースでは為替変動リスクを受けることもあります。
3 不動産投資
不動産投資は、建物や土地などの不動産を購入して、それらを賃貸することで得る賃料や売却時の売却益を目的とする投資のことです。中古物件を購入または空き地にマンションや駐車場等を作って賃料を得たり、それらを売却して売却益を得たりする方法が不動産投資になります。
不動産投資の対象となる物件は、アパート・マンション・戸建等の住居物件、オフィスビル・倉庫・商業施設等のビジネス物件のほか、新築物件か中古物件か、マンション一棟かワンルームか、など様々あります。
不動産ポータルサイトなどでこのような物件を探し、不動産仲介業者等を通じて購入するのが一般的です。その後、借り手(入居者)を募集し、賃貸借契約を結んで家賃収入等を得ながら投資資金の回収を目指します。
3-1 不動産投資の特徴・メリット
不動産投資の収益性評価は一般的に利回り(年間家賃収入÷物件価格)が使用されますが、都内の新築マンションで3%~5%程度、中古マンションで4%~8%程度(2019年12月時点)と、上場企業の配当金利回りや預金金利よりも高いのが特徴です。
また、不動産投資は融資が下りれば大きな元手が無くても始められます。金融機関は一般的に株式投資などのために融資をしてくれることはありませんが、不動産投資は事業(不動産賃貸業)となるため、FX等のように少ない自己資金でもレバレッジを効かせた投資が可能です。
さらに、賃料収入などの不動産所得は給与所得と合算できるため、赤字が出れば損益通算することで節税にもつながります。
3-2 不動産投資のデメリット・リスク
物件を購入するだけの費用が必要となるため、他の投資と比べて初心者にはハードルの高い投資法といえます。購入時に融資を受けることができるのが不動産投資の特徴ですが、中古物件などでは頭金として物件価格の1~3割程度の現金が求められるケースがあるほか、必ずしも融資審査に通るとも限りません。
また、物件選びで失敗すれば、空室が長期化したり、家賃収入や資産価値が相場以上に低下したりする可能性もあり、そうなれば投資元本の回収が難しくなるケースもあるでしょう。
不動産投資では物件の資産価値を守るための適切な維持管理も重要です。定期的にメンテナンスや修繕をする必要があり、費用もかかります。さらに地震や台風、津波といった自然災害で建物が倒壊するリスクもあります。
3-3 初心者でもできる不動産投資のサービスやアプリ
少額から始められる不動産投資として、不動産投資信託(REIT)があります。REITは、ファンドが投資家から集めたお金で不動産を購入し、運用で得られた利益を投資家に分配する投資信託です。10万円以下でも購入できるため、複数のREITを購入するなどの分散投資でリスクを抑えることも可能です。
このほか、以下で紹介する「ソーシャルレンディング」という、投資家から集めた資金を、不動産投資のプロジェクトを計画している企業に貸し付けるサービスもあります。最低1万円から参加可能な投資案件もあるため、少額投資をしたい方の間で注目を集めています。
4 クラウドファンディング
クラウドファンディングとはインターネット上で多くの人々から資金を集める調達手段であり、「投資型」「融資型」「寄付型」「購入型」などのタイプがあります。中でも「投資型」「融資型」は投資手段として利用されています。
4-1 投資型クラウドファンディングの特徴・メリット
投資型クラウドファンディングは、企業やプロジェクトを実行するためのファンドに投資するタイプです。中でも株式投資型のタイプでは、未上場のベンチャー企業の株式を少額で取得できるのが特徴です。投資先の企業が上場した際には株価の上昇により大きな売却益を得られる可能性もあります。
また、投資対象が世の中に役立つ商品やサービスの開発などの事業やプロジェクトの場合、投資を通じて社会貢献をすることにもつながります。
4-2 投資型クラウドファンディングのデメリット・リスク
株式投資型クラウドファンディングの場合、未上場企業の株式は証券取引所で取引されていないため、換金性や流動性で著しく劣ります。また新規性の高い事業等への投資をすることになるため、通常の株式投資よりもリスクは高くなります。
さらに対象の企業や事業の状況によっては、分配金の総額が出資元本を下回ることもあるほか、企業が倒産すれば元本が返還されない可能性もあります。また、投資資金を運用期間の途中で引き出すことができない点にも注意する必要があります。
不動産投資型クラウドファンディングでは、投資期間中に物件の家賃が回収できないリスクや投資期間終了時に物件価格が一定以上下落すると元本割れしてしまうリスクなどがあります。
4-3 初心者でもできる投資型クラウドファンディングサービスやアプリ
株式投資型のクラウドファンディングでは、「ファンディーノ」、不動産投資型クラウドファンディングでは「CREAL」などのサービスが有名です。
株式投資型のクラウドファンディングでは、将来の成長が期待できる企業や案件などがあるほか、税制上の優遇措置が受けられるエンジェル税制に対応した案件もあります。
5 融資型クラウドファンディング
融資型クラウドファンディングは「ソーシャルレンディング」とも呼ばれています。投資家から集めたお金を企業に貸し付け、その利息を分配金として投資家に配る仕組みとなります。
5-1 融資型クラウドファンディングの特徴・メリット
ソーシャルレンディングは、元本が満期になると戻ってくるタイプです。平均利回りは約5〜8%程度となるので、預貯金や株式の配当等と比べて高いのが特徴です。
またサービスや案件にもよりますが、1万円から参加可能な案件もあります。株式等のように価格変動を監視する手間や不動産のような管理の負担もかからないため、専門知識や経験はあまり求められません。
5-2 融資型クラウドファンディングのデメリット・リスク
ソーシャルレンディングには「貸し倒れリスク」があります。融資先企業の経営が悪化した場合は、元本の一部または全額が毀損する可能性もあります。ソーシャルレンディング事業者は、借り手を厳格に審査したり、担保設定を行ったりするなどリスク管理に努めますが、元本保証をするものではないことに留意しましょう。
また、運用期間中の途中キャンセルもできないため、ソーシャルレンディングの運用は余剰資金で行うことが大切です。
5-3 初心者でもできる融資型クラウドファンディングサービスやアプリ
ソーシャルレンディングサービスとしては、発展途上国の貧困解決などを目指す「ネクストシフトファンド」や、国内外の不動産事業や再生可能エネルギー発電に関する事業を中心に融資する「クラウドバンク」、ソーシャルレンディング事業者の中では唯一の上場企業(2019年時点)となる、不動産分野に特化した「オーナーズブック」などがあります。
6 まとめ
投資選びではリターンの大きさも大切ですが、デメリットやリスクも考慮しましょう。特に投資初心者の方は、長期でコツコツと資産形成するのか、短期でリスクをとって大きなリターンを狙うのかといった投資方針から明確にすることが重要です。その上でご自身の資産状況に合った投資法を検討してみてください。
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