香港のオアシス・マネジメント・カンパニーは12月22日、東京ドームの変革を促す「より良い東京ドーム」キャンペーンを発表した。同社は株式会社東京ドームの5%強を保有するファンドの運用会社で、2018年から東京ドームの運営に関わる。同キャンペーンを来場者、従業員、株主を含むすべてのステークホルダーに資する事業とガバナンスの強化のためと位置づけ、計画が完全に実践されれば、2021年度の予想純利益は77億円から148億円に拡大するとしている。
東京ドーム社は総面積14万平方メートルの敷地に東京ドームのほか、テーマパークやホテルを保有しており、年間来場者数は900万人を超える。オアシスは「こうした宝とも言える資産を有するにもかかわらず、東京ドームシティを訪れてみると、まるで過去に戻ったかのように感じる。主要なアトラクション、球場の設備、施設の利用料金は長年にわたってほとんど見直されていない」など、不備を指摘。「運営を強化して企業統治を改善することにより、東京ドームは全てのステークホルダーの利益となる形で企業価値を劇的に向上させることができる」と主張する。
オアシスの創業者で最高投資責任者のセス・フィッシャーは「私たちは、施設の運営状況を改善し、すべての来場者のためにエンターテインメント性を強化すると同時に利益の劇的な拡大につながる計画を持っている。これは、東京ドームの経営陣に行動を起こすことを呼びかけるものだ」とコメントする。同社が重視するのは、地元のファンやサポーターを増やす「ファン・エクスペリエンス」の強化と収益性の向上だ。
キャンペーンは①東京ドームの運営の改善、②東京ドームホテルの業務改善または外部マネージャーの導入、③東京ドームシティ アトラクションズの提携先の模索、④非中核資産の整理、⑤企業統治の改善を柱とする。詳細は「A BETTER TOKYO DOME」(英文)www.ABetterTokyoDome.comで公表されている。
オアシスは「責任ある機関投資家の諸原則(日本版スチュワードシップ・コード)」を遵守し、投資先企業と建設的な対話を通じ、企業価値を持続的に成長させることを標ぼうする。
【参照記事】Business Wire「「より良い東京ドーム」に関するオアシス・マネジメント・カンパニーの声明」

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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