ESG「投資判断に活用」機関投資家の98%、目的はリスク低減・リターン獲得

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経済産業省は投資家のESG投資等に対する取組、動向について調査した「ESG投資に関する運用機関向けアンケート調査」の結果を12月24日発表した。投資家のESG投資などに対するスタンスや取り組みを把握、グリーンファイナンスに関する政策に役立つ基礎情報を収集する目的。調査対象は国内外の主な運用機関など計63社で、うち48社が回答(回収率76%)した。回答者の総運用残高は約3988兆円。それによると、95%以上がESG情報を投資判断に活用しており、 活⽤⽬的としては、リスク低減(97.9%)、リターンの獲得(87.5%)が多かった。ESG要素の中で、投資判断に考慮する内容としては、E(環境)の「気候変動」が約80%と最も重視されていた。

ESG情報を投資判断などに活用する上で、93.8%の運用機関がTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)を重視していた。他に、PRI(国連責任投資原則が95.8%、SDGs89.6%)も重視されている。

2019年10月8日にTCFDコンソーシアムが策定し、TCFDサミットで公表された「グリーン投資の促進に向けた気候関連情報活用ガイダンス(グリーン投資ガイダンス)」について運用機関での認知度は約98%と高く、うち約60%の運用機関が同ガイダンスの活用を考えている。具体的には、エンゲージメント(企業との対話)や企業分析、社内外でのTCFDに関する啓蒙などに活用することが想定される。日本のTCFD賛同機関数は世界1位となっており、約4割の運用機関もそれを評価していた。

⼀⽅、運⽤機関の85.4%は、「企業のESG情報の開⽰が不⼗分」であり、ESG評価の障害になっていると認識している。⽇本企業のTCFD賛同数の増加は⼀定の評価を受けているが、その情報開⽰は未だ限定的であり、運⽤機関⾃⾝のTCFD開⽰も40%程度に留まるなどの課題も挙げられた。

なお、TCFDコンソーシアムでは、グリーン投資の促進に向けて「グリーン投資ガイダンス」を普及していくため、ガイダンスの主旨に賛同し、実際に活用または活用を検討している投資家を対象とした「GIG Supporters」を募集している。GIG Supportersとは、グリーン投資ガイダンスの実際の活用事例をTCFDコンソーシアムホームページ上にて紹介し、更なる普及拡大を図る取り組み。

【参照レポート】経済産業省「ESG投資に関する運用機関向けアンケート調査

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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