離婚時に親名義のある家を財産分与する方法は?ケース別の手順、注意点も

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離婚時に財産分与をするにあたって、親名義の家がある場合はどうやって分与を行えばいいのでしょうか?

親名義の家が財産分与の対象となる場合は、夫婦どちらか又は共同名義の土地に親が所有権を持つ家が建っているケースと親と家が共同名義(又は一部が共同)になっているケースの2点となります。

本記事では、上記2つのケース毎の分与方法、また注意点として親名義の家に元義理の娘又は息子が住む場合、親から家を譲り受けた時の税金について解説していきます。

目次

  1. 親名義の家は財産分与の対象となるか
  2. 親名義のある家を分与する方法
    2-1.夫婦どちらかの名義(又は共有名義)の土地に親名義の家が建っている
    2-2.家が親と共有名義である、または一部が共有になっている
  3. 親名義のある家を分与する際の注意点
    3-1.親名義のある家に実子ではない元配偶者が住み続けるケース
    3-2.親から家を譲り受ける場合は贈与税・不動産取得税がかかる
  4. まとめ

1.親名義の家は財産分与の対象となるか

離婚時に財産分与の対象となるのは「夫婦が婚姻期間中に協力して形成した財産」(共有財産)となります。例えば、夫が外で働き妻は専業主婦で夫名義の家を購入した際は、妻も財産の形成に協力したとみなされ夫婦の共有財産となります。

一方、結婚前に貯めた預貯金、社会通念上明らかに一方の衣類や装飾品(男性用の高級スーツや女性用の貴金属等)、相続・贈与で得た財産は「固有財産」として財産分与の対象外となります。

また、親からの相続・贈与で得た不動産も財産分与の対象とはなりません。親名義の不動産は共有財産・固有財産のどちらにも含まれず、基本的に財産分与の対象に当てはまりませんが、下記のケースでは財産分与の対象となります。

  • 夫婦どちらかの名義(又は共有名義)の土地に親名義の家が建っている
  • 家が親と共有名義である、または一部が共有になっている

なお、家と土地が両方親名義の場合は財産分与の対象外となり、親名義の土地に夫婦どちらかまたは共有の名義で家を建てた場合は、家のみが財産分与の対象となります。

上記2点のケースにおける分与方法をそれぞれ解説していきます。

2.親名義のある家を分与する方法

夫婦どちらかの名義(又は共有名義)の土地に親名義の家が建っている際は、土地を夫婦の共有財産として分与します。

家が親と共有名義である又は一部が共有になっているケースでは、家に対して親と子の持分割合を算出し、評価額に子の持分割合を掛けて分与の対象となる財産を計算します。

2-1.夫婦どちらかの名義(又は共有名義)の土地に親名義の家が建っている

夫婦どちらか、または共有の名義の土地に親名義の家が建っている場合は、土地のみが財産分与の対象となります。

土地の評価方法としては、国土交通省が発表する公示価格や路線価に加え、実際に売買で取引されている「実勢価格」等があります。

しかし、財産分与の場合、土地の形状や立地環境、面積等の諸条件で価格は異なるため、公示価格と実勢価格には大きな差が出てきます。そのため、実際の財産分与のケースとしては、実勢価格で評価されることが多くあります。

実勢価格を調査するのであれば、不動産会社へ不動産査定を依頼し、査定額を算出してもらう方法も検討してみましょう。下記、複数の不動産会社へ一括で無料査定依頼ができる不動産査定サイトの一覧です。

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その他、不動産鑑定士に鑑定を依頼し、土地値を算出する方法もあります。ただし、こちらは不動産査定と異なり不動産鑑定士の報酬費用が発生するため注意しましょう。

土地の評価額が分かったら、二人で話し合い決定した分与割合に従って分与します。

話し合った結果50%ずつ現物のままで分与するのであれば、受け取った側が同額の資産を分与することになります。例えば、1000万円の評価額の土地を夫が受け取った場合、妻は預貯金や有価証券など1000万円分となる財産を受け取る事で等分に分与出来ます。

土地を売却するケースでは、売却後の代金の2分の1を夫婦それぞれが受け取ります。ただし、親が家の売却に応じない際は土地も売却が難しくなりますので、評価額で分与することになります。

2-2.家が親と共有名義である、または一部が共有になっている

次に家が親と共有名義であるケースについて見て行きましょう。例えば、家を購入する際に頭金の一部を親に出してもらった場合など、親との共有名義の財産となります。

この場合、家の購入代金から親に出してもらった頭金を差し引いた額が夫婦の共有財産となり、財産分与の対象となります。

3000万円の家を購入し、親が600万円の頭金を出してくれた場合、親の名義は20%となり、夫婦の共同財産は80%分となります。

現時点で家の評価額が現在2000万円になっている場合、(2000×80%=1600万円)となり、1600万円を分与する形になります。

また、親子リレーローンを組んでいる場合は、住宅の購入総額に対して子の持分割合が財産分与の対象となります。持分割合とは住宅の所有権を表す割合のことで、法務局に不動産登記申請の際に決定・記入し、登記簿に掲載されています。

住宅の購入金額が4000万円で子の持分割合が40%、現在の評価額が3000万円であるケースでは(3000万円×40%=1200万円)で1200万円を分与する計算となります。

土地の分与と同様に現物で分与する際は、片方が不動産を譲り受け、片方は不動産の評価額分の財産を受け取り、売却する際は売却代金を分与割合に応じて分与する形となります。

3.親名義のある家を分与する際の注意点

親名義のある家を分与する場合、実の子ではない元義理の息子・娘が家を譲り受けるケースが考えられます。

このような場合は、後のトラブルを回避するために賃貸借契約を結んでおくことを検討してみましょう。また財産分与にあたり、親から家を譲り受けるケースでは贈与税・不動産取得税が発生します。

それぞれの注意点を詳しく解説していきます。

3-1.親名義のある家に実子ではない元配偶者が住み続けるケース

離婚後に親名義のある家に住み続ける際、親名義の家に実子ではない元配偶者が住むといったケースでは賃貸借契約を結ぶと後々のトラブルが少なくなります。

現在トラブルが無い場合でも、引っ越しや明け渡しの時にトラブルが生じる可能性があります。また、将来的に売却を検討する際にも賃貸契約が締結されていないことでスムーズに手続きが進められない可能性があります。

賃貸借契約を結び、家賃を貰う形にしておいたり、契約期間や更新条件について明記しておいたりなど、後のトラブルに対して事前に備えておくことが大切です。

3-2.親から家を譲り受ける場合は贈与税・不動産取得税がかかる

親名義・または親と共有名義の家を離婚時に譲り受けるケースでは贈与税と不動産取得税がかかります。

贈与税には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類があり、贈与を受けた人がどちらかを選ぶ事が可能です。

暦年課税

暦年課税は1月1日~12月31日に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた税金の対象となる金額を一定の倍率を掛けて計算します。

親と共有名義の家で、親の持分である不動産の評価額が110万円以下の場合には税金は全額控除されます。

なお親子、祖父と孫等の直系の尊属から贈与により財産を取得した場合、「特例贈与財産」として通常の贈与より税金の額が軽減されます。

相続時精算課税

相続時精算課税は贈与を受けた際、特別控除額または一定の税率で贈与税を計算し、贈与を行った者が亡くなったときに相続税で精算する仕組みとなっています。

相続時精算課税制度を選択するには一定の要件が必要となりますが、1年間に2500万円が控除されることから、税金の負担は軽くなります。

ただし、相続時に贈与財産と相続財産の合計額を基に相続税額を計算し、既に支払った贈与税額を控除する仕組みとなっており、後々手続きが煩雑化する可能性があります。

なお、一度相続時精算課税制度を選択した場合、同じ贈与者からの贈与で暦年課税制度へ変更する事は不可能となりますので選択する際は慎重に検討しましょう。

まとめ

離婚時の財産分与で不動産は分与が難しい財産ですが、親名義のある家は更に分与が複雑になってしまう可能性があります。

親と共有名義の場合は、親子それぞれの持分割合を法務局の登記簿で確認してから分与を行いましょう。

また親名義のある家を譲り受ける場合は税金が発生する事をおさえておきましょう。

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田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。