協議離婚による家の財産分与、スムーズに進める手順は?流れや手続きを解説

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離婚は話し合いや離婚届の作成、財産分与など行うべきことが多く、「スムーズに進める方法は?」「どういう順序で行うと良い?」等の疑問を抱く方は少なくありません。

日本では話し合いによる協議離婚を選ぶ方が多く、調停離婚や裁判離婚に比べて金銭的・精神的な負担が少ない方法となります。ただし、他の方法と違い話し合った内容が記録されないため、後でトラブルが起こる可能性があります。

この記事では離婚の話し合いから財産分与、離婚届の作成、各種手続きなどの協議離婚の流れと、分与が難しい家の財産分与についてお伝えしていきます。

目次

  1. 離婚の流れ
    1-1.離婚によって発生する問題について検討する
    1-2.離婚に向けて話し合う
    1-3.離婚給付等契約公正証書を作成
    1-4.財産分与を行う
    1-5.離婚届の作成・提出
    1-6.健康保険・年金・福祉関連の手続き
  2. 家の財産分与について
  3. まとめ

1.離婚の流れ

2019年の厚生労働省「人口動態調査」によると、離婚した夫婦は208,496組であり、内183,673組(約88%)が「協議離婚」という話し合いによる離婚であることが分かっています。

協議離婚の他には家庭裁判所に調停を申し立て、調停委員を交えて話し合う「調停離婚」が18,431組、条件が合わず調停が不成立になった時の「審判離婚」が1,344件、裁判を行い和解となった和解離婚が3,025件、判決による離婚は2,017件となっています。

協議離婚は調停離婚や裁判による離婚より金銭的・精神的な負担が少ない方法となっています。ただし、離婚時の約束が後で守られないといった後のトラブルを招きやすいケースが多いので注意が必要です。

協議離婚の流れは以下の通りになります。

  • 離婚によって発生する問題について検討する
  • 離婚に向けて話し合う
  • 離婚給付等契約公正証書を作成
  • 財産分与を行う
  • 離婚届の作成・提出
  • 健康保険・年金・福祉関連の手続き

1-1.離婚によって発生する問題について検討する

まず離婚を相手に告げる前に、離婚によって生じる問題を考えてみましょう。生活費や仕事、子供がいる場合は親権や子供に関すること、親の介護など、離婚で発生する問題を解決できるか考えた上で相手に意思を伝えることが重要となります。

離婚は「世帯を分ける」という結果になるため、経済的な問題も生じる可能性があります。双方が経済的に自立できるよう準備を行う、相手とよく話し合うこと等で解決できるケースがあります。

1-2.離婚に向けて話し合う

離婚に向けて、財産分与や慰謝料、子供がいる時は親権や養育費、離婚後の自身・子供の姓について話し合う必要があります。

財産分与は結婚中に得た収入や購入した「夫婦共有」の資産が対象となり、結婚前から持っている資産や相続・贈与された資産は対象外となります。

財産分与は原則として公平に行われますが、相手の行為に対する精神的苦痛が原因で離婚する場合には慰謝料が支払われる事があり、分与の際に上乗せするケースもあります。また、相手が離婚後に経済的自立が見込めない時には、多めに財産を分与する事も可能です。

なお、一方がギャンブルや浪費などで作った債務は分与の対象とならず、住宅や車のローンなど生活を維持するためのものは分与対象となります。

子供の身の回りの世話や教育、財産管理の権利を持つ「親権」と、子供を育てるための養育費についても合意に向けて話し合いましょう。養育費は、金額・支払期間・時期・振込先などをあらかじめ決めておきましょう。

1-3.離婚給付等契約公正証書を作成

財産分与や親権・養育費などの話し合いで双方の意見が一致した際には、公証役場で「離婚給付等契約公正証書」を作成しましょう。公正証書とは、法律に精通した公証人が、将来的にトラブルが起こらないように内容を整理して記載をする公文書となります。

平日の昼間に2人が揃って公証役場に出向く必要がありますが、離婚給付等契約公正証書を作成しておくことで後のトラブルを防げる可能性が高くなります。

離婚給付等契約公正証書は、以下の項目から当事者の要望・必要性に応じて選んで記載します。

  • 離婚の合意
  • 親権者と監護権者(親権者とは別の子の監護養育をする者)の定め
  • 子供の養育費や面会交流
  • 慰謝料
  • 財産分与
  • 住所変更等の通知義務
  • 清算条項(当事者間に債権・債務が無いか)
  • 強制執行認諾

「強制執行認諾」を設定する際は、条項が記載された書面の最後に「債務者は本契約上の債務を履行しなかったときは直ちに強制執行を受けるべき事を認諾する」といった一文が明記されます。

強制執行認諾を記載することで、離婚時に取り決めた慰謝料・財産分与・養育費などが約束通りに支払われない時に、裁判を起こさなくても相手の給料や財産を差し押さえるという行為が可能となります。

1-4.財産分与を行う

離婚給付等契約公正証書の内容に従って、土地・建物などの不動産、自動車、預貯金・有価証券、家財道具などの分与を行います。年金や退職金も一定の金額が分与の対象となります。

事前に分与の対象となるすべての財産をリストアップし、分与方法や割合などを決めておきましょう。

財産分与・慰謝料における贈与は非課税であるケースも少なくありませんが、受け取る金額が非常に高くなる場合は贈与税が発生する可能性があります。

また、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円に加え最高2,000万円まで控除ができる特例があります。分与の対象となる財産にマンションなどの居住用不動産が含まれている場合は利用を検討してみましょう。

1-5.離婚届の作成・提出

離婚届の用紙は自治体の役所で受け取る事が出来ます。自治体によってはホームページからダウンロードする事も可能です。氏名、生年月日、住所、本籍、父母の氏名など所定の項目を記入しましょう。

「離婚の種類」の項は協議・調停・審判・和解などの中から選び、成立日の記入も必須となります。離婚が確定した日付も覚えておきましょう。

協議離婚の場合は証人が必要となります。満20歳以上の成人であれば当事者以外は誰でも証人になる事が出来ます。

離婚においては婚姻時に籍を動かした配偶者が除籍されるため、「婚姻前の氏に戻る者の本籍」の項ではどちらかの籍に入籍していた方が新しい戸籍を作る又は親元の戸籍に戻るかを決め、本籍について記入します。離婚後に姓を変えない場合には別途届け出を提出します。

協議離婚以外では、「判決書又は審判書謄本」「調停調書謄本」といった離婚が有効に成立したことを証明する添付書類が必要となります。

届出を提出する際には本人確認のために運転免許証やパスポートなどの本人確認書類を持参しましょう。

離婚届の記載例(妻が元の氏に戻り、妻が子の親権者のケース)

離婚届の記載例
※引用:法務省

1-6.健康保険・年金・福祉関連の手続き

どちらかの健康保険に扶養で加入している場合には脱退の申し出を行い、新たな保険組合に加入する手続きを行います。国民年金・厚生年金などの手続きは年金事務所に問い合わせましょう。

児童手当を受給しており振込先を変更する際は変更手続きを、母子・父子家庭の手当てを貰う予定の方は申し込みを行う必要があります。

2.家の財産分与について

家の財産分与には、「現物分割」「代償分割」「換価分割」という3つの方法があります。

  • 現物分割:不動産をどちらかが譲り受け、譲った方は不動産とは別の財産を受け取る
  • 代償分割:現物分割では不動産の価額と他の共有財産の釣り合いが取れない際に、金銭(代償金)を支払う形で公平に分与する
  • 換価分割:不動産を売却してお金に換え、売却代金を分割する

3つの方法の中で、換価分割は最も公平感のある財産分与がしやすく、後のトラブルも少ない可能性があります。ただし、換価分割は不動産売却によって住宅を手放してしまうデメリットがあります。

職場が家の近くにある方や、子供を転校させたくない等の事情がある方には、現物分割又は代償分割が適していると言えるでしょう。それぞれの状況に合わせて、分割方法を検討してみましょう。

なお、不動産の財産分与では「売却した場合、いくらになるのか?」という視点で不動産査定を行っておくことが大切です。現物資産である不動産には決まった価格が無いため、複数の不動産会社へ査定を依頼し、査定結果を比較してみると良いでしょう。

下記、複数の不動産会社へ査定依頼ができる不動産査定サイトの一覧です。下記のサイトは悪徳業者の排除を積極的に行い、全国に対応している特徴があります。各社の査定結果を見てから売却するか否かを決めることができるため、離婚の財産分与の際にも利用することが可能です。

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まとめ

離婚の流れと手順、家の財産分与についてお伝えしてきました。離婚時には作成する書類や行うべき手続きが多いですが、あらかじめ流れを把握し方法を知っておくことでスムーズに進められる可能性は高くなります。

加えて離婚給付等契約公正証書を作成し、約束したことを公文書として残しておくことで後の予期せぬトラブルを解決できることがあります。それぞれの状況に合わせて、ひとつずつ慎重に対処していきましょう。

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田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。