離婚後によく起きる「マンション売却」のトラブルは?5つの事例と対処法を解説

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離婚後にマンション売却といった分与が難しい財産を処分する場合、トラブルが起きる可能性があります。最悪の場合、裁判に至るケースもあることからトラブル事例について確認しておくことは重要です。

そこで今回は離婚後のマンション売却トラブルの事例を確認した上で、トラブルを避けるための対処法について解説します。

目次

  1. マンションを売却するのは離婚前と離婚後どちらが良い?
  2. 離婚後のマンション売却におけるトラブル事例
    2-1.元配偶者と連絡が取れない
    2-2.オーバーローンの場合の残債の支払い
    2-3.片方の名義のマンションを勝手に売却される
    2-4.売却方法・価格で意見が合わない
    2-5.財産分与の期限を超えてしまう
  3. 離婚後のマンション売却トラブルへの対処法
    3-1.公正証書で離婚協議書を作成する
    3-2.家庭裁判所に財産分与請求調停を申し立てる
    3-3.裁判離婚で弁護士を間に入れる
  4. まとめ

1.マンションを売却するのは離婚前と離婚後どちらが良い?

離婚後のマンションの売却トラブルを防ぐためには、できれば離婚前に売却について話し合い、公正証書で離婚協議書を作成しておきましょう。

離婚後は新居費用や引っ越し代等の費用が発生することとなりますが、できるだけ早く売却を行い現金化しておくことで、それらの費用に充てることが可能です。

離婚後は後述する「元配偶者と連絡が取れなくなった」「ローンの残債で揉めた」といったトラブルが起きやすくなりますので、離婚前によく話し合っておきましょう。

話し合った内容は公正証書として公的文書で残しておくといざという時に役立ちます。マンションの売却活動は不動産会社との契約や売り出し価格の決定、内覧対応等やるべき事が多いため、先に話し合いを済ませておきましょう。

なお「居住用財産を譲渡した場合の最高3000万円の特別控除の特例」という控除制度は夫婦間では利用できないため注意が必要です。3,000万円の控除を利用するのであれば、話し合いや売却準備は離婚前、実際のマンション売却の時期は離婚後としましょう。

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2.離婚後のマンション売却におけるトラブル事例

次に、離婚後のマンション売却におけるトラブルの具体例をご紹介します。今回、主に取り上げたのは下記の事例です。

  • 元配偶者と連絡が取れない
  • オーバーローンの場合の残債の支払い
  • 片方の名義のマンションを勝手に売却される
  • 売却方法・価格で意見が合わない
  • 財産分与の期限を超えてしまう

このように、売却方法・価格で意見が合わない等、お金にまつわる問題でトラブルが多く見られます。トラブルの内容について、1つずつ順番に見ていきましょう。

2-1.元配偶者と連絡が取れない

一つ目は、離婚後に引っ越して住所が変わり、元配偶者と連絡が取れなくなるというケースです。

離婚後は環境の変化があり忙しいなどの事情や、元配偶者と連絡を取りたくないなどの精神的な理由によって、名義人である元配偶者と連絡が取れずマンションの処分ができないという事態に陥ってしまう可能性があります。

相手が面会や連絡を拒絶している場合は無理に連絡を取ろうとせず、弁護士などの専門家に相談し、どのような対策を講じることができるのか慎重に検討する必要があります。

2-2.オーバーローンの場合の残債の支払い

住宅ローンの残債がマンションの売却価格を上回る(オーバーローン)の場合、ローンの残債を支払うにあたって意見が合わないケースがあります。

夫婦間の債務はトラブルになる可能性も高いため、場合によっては第三者を入れ話し合いで意見をまとめる方法も検討してみましょう。

また、住宅ローンや車のローン等夫婦の共同での債務は分与する必要がありますが、片方が作った借金に関しては分与しなくても良いことになっています。分与する債務としない債務の線引きを行っておきましょう。

【関連記事】ローンが残っている家は売却できる?売却の手順、オーバーローンの対策も

2-3.片方の名義のマンションを勝手に売却される

結婚期間中に購入した夫名義のマンションを、妻に相談することなく夫が勝手に売却してしまう事例が存在します。

単独名義の不動産である場合、名義人の承諾があれば売却は可能です。しかし、妻は売却代金の半分を受け取る権利があるため、共同財産は夫婦で分与方法や配分を決めて売却しなければ後に大きなトラブルとなる可能性があります。

2-4.売却方法・価格で意見が合わない

住宅の売却方法は仲介・買取・任意売却と3つのパターンがあり、ローンの残債や売却の早さ、価格等により選択する事になります。

分与される財産の額に関わってくるポイントとなるため、売却方法で意見が合わないケースや売却価格に関して折り合いがつかない場合にはトラブルが起きる事があります。

まずは不動産一括査定サイトを活用し、おおよその不動産売却価格を調査しておくことが大切です。おおよその売却価格や売却にかかる期間を知っておくことで、話し合いもより具体的な内容で行うことが可能になります。

不動産一括査定サイトは、最大10社に査定依頼が可能な「リガイド(RE-Guide)」、東証プライム上場の株式会社LIFULLが運営する「LIFULL HOME’S」、NTTデータグループが提供する国内最大級の「HOME4U」など、実績が豊富であり信頼性の高い査定サイトを活用しましょう。

【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧

2-5.財産分与の期限を超えてしまう

離婚の財産分与の期限は離婚後2年以内となっています。2年を超えてしまうと家庭裁判所への申し立てができなくなるため注意が必要です。

一方、離婚後でも2年以内なら財産の半分を請求できる権利がありますので、トラブルがあった時には以下の対処法で分与されるべき財産を受け取りましょう。

3.離婚後のマンション売却トラブルへの対処法

離婚後に上記のようなトラブルが起きた場合、可能な限り話し合いで解決できるようにすることが大切です。話し合いがまとまった段階で、公証役場にて離婚協議書を作成しておきましょう。

しかし感情が入り話し合いが難しい、話し合っても平行線という場合には、調停を申し立てる、調停後審判を受ける、訴訟を起こすという対処法があります。

下記、トラブルとなってしまった際の対処方法についてそれぞれ詳細に解説します。

3-1.公正証書で離婚協議書を作成する

公証役場で公証人立ち合いの元「離婚協議書」や「離婚給付契約公正証書」を作成しておく事で、両者間の取り決めを公的な文書として残しておく事が出来ます。

「離婚協議書」と「離婚給付契約公正証書」の内容には、離婚の合意や親権、子供の養育費や離婚による財産分与等を記載します。「離婚による財産分与」の項でマンション売却に関する取り決め(売却方法・売却額や分与方法等)を明記しておきましょう。

作成に当たっては二人で平日の開所時間内に公証役場に出向き、戸籍謄本と不動産の登記簿謄本及び固定資産税納税通知書又は固定資産評価証明書と手数料が必要となります。

公正証書を発行する手数料はマンションの時価や養育費等「目的の価額」により異なり、およそ数万円程度の費用となります。該当の公正役場であらかじめ手数料についても確認をしておきましょう。

3-2.家庭裁判所に財産分与請求調停を申し立てる

話し合いがまとまらない場合には、離婚時から2年以内に家庭裁判所に調停又は審判の申立てを行い、財産分与を求めることができます。

調停では夫婦の共同財産の総額や、財産の取得・維持に対する双方の貢献度等様々な事情について二人の話を聞く、資料を提出するといった方法で裁判官や調停員が事情を把握します。

そして裁判官や調停委員が解決方法やアドバイスをする事で双方の合意を目指します。それでも話合いがまとまらなかった場合は、自動的に審判手続が開始され、裁判官が審判を行います。

調停を行うためには、土地・建物・株式・現金等の財産目録や二人の戸籍謄本、申し立て書等を提出し、収入印紙1200円分と連絡用の切手代が必要となります。

調停の度に平日の昼間、家庭裁判所に出向くことになるため労力がかかりますが、適正な財産分与を求める方は調停を検討しましょう。

3-3.裁判離婚で弁護士を間に入れる

離婚には協議(話し合い)・調停・審判・裁判の方法があり、協議、調停、審判を経ても問題が解決しなかった場合には弁護士を間に入れ裁判で財産分与を求める事になります。

元配偶者と連絡が取れない際は、調停の段階を飛ばし訴訟を起こして離婚をする形になります。裁判では元配偶者に訴状を送りますが、相手の住所や勤務先が不明な場合は裁判所の前の掲示板に呼出状を貼り「公示送達」を行います。

裁判では数十万~100万円程度弁護士費用・裁判費用等の費用がかかり、時間もかかります。分与の対象となる財産の評価額によっては費用倒れになってしまう可能性もあるため、注意が必要です。

また、相手と争うこと等の精神的負担があります。まずは無料の法テラスに相談する、調停や審判で解決しないか調べるといったことから始めてみましょう。

まとめ

離婚後のマンション売却はトラブルが起こりやすいため、離婚前によく話し合った上で売却できるよう準備をしておきましょう。また、話し合いで決まった内容について公的に証明するため、公証役場で離婚協議書を作成しておくことも大切です。

話し合いがまとまらない時は、弁護士などの専門家による第三者を間に入れましょう。それでも双方が合意しない時には調停や裁判という方法になります。

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田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。