逆指値のメリットと注文の仕方は?逆指値注文ができる証券会社も紹介

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投資において損切りが大切だと聞いても、実際にはなかなか損切りに踏み切れない方も多いでしょう。そのため損切り注文をするときは、「逆指値」を利用すると便利です。指定した値段まで下落すると自動で注文が執行されるためです。

この記事では逆指値の注文方法と、逆指値が利用できる証券会社を紹介します。

目次

  1. 指値注文と成行注文の違い
  2. 逆指値とは
    2-1.逆指値にも指値注文と成行注文がある
  3. 逆指値の活用方法
    3-1.損失限定(ストップロス)
    3-2.レンジ抜けでの仕掛け
  4. 投資で成功する人は損切りの達人
  5. 逆指値注文が利用できる証券会社
    5-1.SBI証券
    5-2.楽天証券
    5-3.マネックス証券
    5-4.松井証券
  6. まとめ

1.指値注文と成行注文の違い

株式の売買注文で、まず覚えないといけないのが「指値(さしね)注文」と「成行(なりゆき)注文」です。指値注文とは、売買価格を指定して発注する方法です。たとえば、「A株式を1,000円で500株買いたい」とか、「B株式を2,000円で200株売りたい」など、価格を指定した注文を「指値注文」というのです。

一方の成行注文とは、値段を指定しない注文方法です。成行注文では、注文時点で一番有利な売買の相手と取引します。たとえば、「成行の買い」をした場合は一番安い売り注文をだしていた人と、「成行の売り注文」をした場合は、一番高く買い注文をだしていた人と売買が成立するのです。

2.逆指値とは

「指値注文」と「成行注文」の次に覚えておきたいのが「逆指値(ぎゃくさしね)注文」です。逆指値注文とは指定した価格に達すると反対売買する取引方法を指します。逆指値にも、「買い注文」と「売り注文」があります。

「逆指値買い注文」とは、指定した価格まで株価が上昇したときにだされる買い注文です。一方の「逆指値売り注文」とは、指定した価格まで株価が下がったときにだされる売り注文です。通常の指値との違いは、以下の通りです。

項目 通常の指値 逆指値
株価上昇 売り 買い
株価下落 買い 売り

通常の指値では、株価が上昇すると「売り注文」が約定しますが、逆指値では「買い注文」が成立します。同じように、株価が下落すると指値注文では「買い」が約定しますが、逆指値注文では「売り」が成立するのです。

具体例を見てみましょう。ある銘柄の板状況が以下の通りだったとします。

売り板 株価 買い板
900 526
1,500 525
800 524
523 600
522 1,100
521 700

たとえば、521円には700株の「買い指値注文」、525円には1,500株の「売り指値注文」が入っています。

「逆指値の売り注文」では、「521円になったら200株売り」という注文方法になります。これは板には表示されません。そして521円をつけると、自動的に売りが執行されるのです。

2-1.逆指値にも指値注文と成行注文がある

逆指値注文にも「指値注文」と「成行注文」があります。「逆指値」という名前がついているので、「指値注文の一種」だと思っている人もいるかもしれません。

しかし逆指値注文の「逆指値」というのは、「その価格になったら注文が市場に発注される」という意味なのです。ですから、逆指値注文をどのような条件でだすかを決めなければいけません。さきほどの「521円になったら200株売り」という逆指値注文でも、成行と指値では注文方法が異なります。

  • 成行:521円になったら200株「成行」で売る
  • 指値:521円になったら200株「521円」で売る

指値注文では値段を指定する必要がありますが、約定しない可能性もあります。その場合、通常の521円での指値注文として売り板に残るのです。

また、成行注文では確実に約定しますが、値段はいくらになるかわかりません。521円で約定する場合もありますが、518円など安い値段で約定する可能性もあるのです。

3.逆指値の活用方法

それでは、逆指値の活用方法について解説します。

3-1.損失限定(ストップロス)

逆指値の基本的な利用方法です。保有銘柄について、株価が思惑と逆に動いた場合でも、損失を限定(損切り)できます。

たとえば、A株式を1,050円で購入し、節目となる1,000円割れの999円で逆指値の売り注文をだしておけば、損失を51円ぶんに抑えられます(ただし、成行では999円以下で約定することもあります)。

3-2.レンジ抜けでの仕掛け

逆指値注文は損切りだけでなく、仕掛けでも利用できます。たとえば株価が1,000円から1,200円のレンジで推移していた場合、1,200円を超えるとトレンド相場(上昇か下落いずれかの方向に値動きが続く相場)になる可能性があります。なかなか超えられない壁を乗り越えたことで、市場にさらなる上昇期待が沸くためです。

そこで1,201円で逆指値の買い注文を入れておけば、レンジブレイク(レンジ相場からトレンド相場へ移行するタイミング)で仕掛けられるのです。

4.投資で成功する人は損切りの達人

投資で成功するためには、確実に損切りをする必要があります。長期的に大きく値上がりする銘柄を見つけるのも大切ですが、それよりも損失を抑えることが重要なのです。ただし、常に相場を監視するのは困難ですし、複数の銘柄を保有していたら、素早い損切りをすることはより難しくなります。

そんな時に逆指値注文を入れておけば、逆指値注文を入れておいた値段に達したら自動的に注文が執行されます。そのため損切りの手間が省けるほか、感情に邪魔されずに注文を出すことも可能になります。

ただし逆指値で確実に約定するためには、「逆指値注文の成行」で注文を入れておくようにしましょう。「逆指値注文の指値」では、約定しない可能性があるからです。

5.逆指値注文が利用できる証券会社

それでは、逆指値が利用できる証券会社を紹介します。

5-1.SBI証券

ネット証券最大手のSBI証券では、逆指値注文を利用できます。買いの場合はある価格以上になったら「成行または指値の買い」、売りの場合はある価格以下になったら「成行または指値の売り」という逆指値注文が執行されるのです。

逆指値注文は、参照価格(指定した価格)まで達しないと注文は取引所に発注されません。参照価格に達すると取引所に注文が発注され、発注後は指定した価格(成行・指値)の注文が有効になります。

5-2.楽天証券

楽天証券では、「逆指値注文」と「逆指値付通常注文」の2種類があります。逆指値注文は「株価が上昇し、指定した以上の値段になったら買い」、「株価が下落し、指定した値段以下になれば売り」とする注文方法です。

一方の「逆指値付通常注文」では、通常注文と逆指値注文の2つを発注できます。まず通常注文が市場に発注されますが、出来前に逆指値で指定した条件にヒットすると、通常注文は逆指値として指定された注文に訂正されます。

5-3.マネックス証券

マネックス証券の逆指値注文では、「トリガー条件」を設定します。トリガー条件とは、「500円以上(以下)になったら」というような設定条件のことです。指定したトリガー条件より株価が高くなったら「買い」、安くなったら「売り」の注文が自動的に発注されます。

逆指値注文をうまく使えば、リスクを最小限に抑えたり、一定の条件で利益を確定できたりします。

5-4.松井証券

松井証券の逆指値注文は、「500円以上になったら買う」「500円以下になったら売る」といった、指定の価格以上で買いたい場合や、指定の価格以下で売りたい場合の注文方法となります。また、松井証券には「追跡指値注文」もあります。

追跡指値注文とは、通常の指値注文を発注したまま株価の動きを見張り、指定した価格に達したときに、あらかじめ指定しておいた注文へ指値を訂正する注文方法です。

まとめ

逆指値注文を利用すれば、損切り注文を自動で発注してくれるので、感情や日々のスケジュールに左右されずに損失を限定できます。とくに日中忙しくて株価をなかなか見られない人は、損切り注文として逆指値を利用すると便利なので、ネット証券を選ぶ際は逆指値が使えるかどうかを確認するようにしましょう。

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山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011