投資にはリスクがありますが、そのリスクを軽減させる有効な方法として「分散投資」があります。この記事では、分散投資のメリットとリスク、そして分散投資の始め方について解説します。
目次
- 分散投資とは
- 分散投資のメリット
2-1.リスクを軽減できる
2-2.売買タイミングを気にする必要がない - 分散投資のリスク
3-1.元本が保証されているわけではない
3-2.流動性リスクがある - 分散投資の主な手段と始め方
4-1.長期・積立・分散投資する
4-2.つみたてNISAを利用して分散投資を始める
4-3.老後資金ならiDeCo
4-4.自由度の高いロボアドバイザー - まとめ
1.分散投資とは
分散投資とは、投資対象を分散させ、資産運用に伴う価格変動リスクを軽減することです。
1つの金融資産にすべての資金を集中させると、その投資対象がうまくいかなかった場合、資産ポートフォリオ全体にマイナスの影響を及ぼします。
運用に関するイギリスの有名な格言に「すべての卵を一つのカゴに盛るな」というのがあります。一つのカゴにすべての卵を入れると、誤ってカゴを落としてしまった場合、すべての卵が割れてしまいます。しかし、いくつかのカゴに卵を分けておけば、たとえ一つのカゴを落としても、すべての卵が割れることはないという意味です。
つまり、値動きの異なる複数の資産に資金を分散すれば、リスクを抑えながら安定したリターンが期待できるのです。分散方法は大きく分けて、「国・地域の分散」「株式・債券などの商品の分散」「円・ドルなどの通貨の分散」「積立投資による時間の分散」の4つがあります。
2.分散投資のメリット
分散投資のメリットは、主に以下の2つです。
2-1.リスクを軽減できる
分散投資の最大のメリットは、投資リスクを軽減できることです。すべての資金を一つの投資先に集中させると、その投資先が悪くなるとその影響が全体に及んでしまいます。しかし、分散投資を行うことでそうしたリスクを軽減し、安定した利益を得られる可能性が高くなるのです。
投資にはリスクがつきものですが、複数の金融商品に資産を分散させれば、資産運用のリスクを軽減できます。値動きの異なる商品に投資することで、片方の価格が下がっても、もう片方で損失をカバーできるからです。
2-2.売買タイミングを気にする必要がない
分散投資のもう一つのメリットは、短期的な売買タイミングを判断する必要がないことです。
短期的な価格変動に応じて1つの銘柄に集中投資して利益を上げようとすると、投資の売買タイミングが重要になります。そのため、経済情勢や株価の値動きなど、さまざまな情報や知識を身につけて対応することが必要です。
しかし、分散投資の場合は長期的な資産形成を意識することになるので、短期的な売買タイミングや損切りの心配は比較的少なくて済みます。そのため、日中働いている人でも資産運用がしやすいというメリットがあるのです。
3.分散投資のリスク
分散投資のリスクについても解説します。
3-1.元本が保証されているわけではない
分散投資によってリスクは軽減できますが、基本的にほとんどの金融商品は元本が保証されているわけではありません。そのため、必ず余裕資金で運用するようにしてください。また、それぞれの投資先を管理するのが面倒になるというデメリットもあります。
分散投資は、複数の投資対象に資金を分散させるので、それぞれの投資対象について知っておく必要があります。たとえば、株式で分散投資をするのであれば、買っている株を一銘柄ごとに知る必要があるのです。そして、投資対象を分散すればするほど、管理が難しくなると同時にリスクを把握するのも難しくなります。
ですから、分散投資は自分が把握できる投資先の数を意識することが大切で、それ以上の投資をすると逆にリスクが高まる可能性もあるので注意が必要です。
3-2.流動性リスクがある
分散投資は幅広い金融資産に投資するので、流動性リスクが大きくなる場合もあります。
流動性リスクとは、保有する資産の取引量が少ない(人気がない)ため、希望する価格で売却できないことをいいます。すぐに現金化したい場合、低い価格で売却しなければならないケースが多く、大きな損失がでる可能性もあるので注意が必要です。
分散投資は多くの金融商品に投資するため、この流動性リスクにより、投資先によっては「売りたいのに売れない」という事態が発生する恐れがあるのです。流動性リスクを回避するため、銘柄選びの際には時価総額と出来高をチェックしてください。
4.分散投資の主な手段と始め方
分散投資の主な方法と始め方について解説します。
4-1.長期・積立・分散投資する
分散投資に加え、もう一つのリスク軽減策は、投資期間を長くする投資手法である「長期投資」です。
価格が変動する商品は、短期間で価格が上昇したり下落したりするものです。そして、短期間の売買では、価格の上昇や下落によって、大きな利益を得ることもありますが、損失になることもあります。
しかし、20年~30年といった長い期間では異なります。一時的に価格が下落しても、長い目で見れば価格が上昇する可能性があるため、長く保有すればするほど、リスク低減に有効なのです。
さらに「積立投資」をすれば、時間の分散効果でリスクを軽減できます。積立投資とは、毎月決められた一定の金融商品を購入し、積み立てていく投資手法です。そして、積立投資には「投資信託」が適しています。ネット証券を利用すれば100円と少額から始められ、1円単位で細かく購入することも可能だからです。
4-2.つみたてNISAを利用して分散投資を始める
長期・積立・分散投資する場合は、「つみたてNISA」を積極的に利用するようにしてください。つみたてNISAは、2018年1月にスタートした新しい少額投資非課税制度です。非課税投資枠は年間40万円で、投資期間が最長20年(合計800万円)となります。
毎月少額をコツコツと投資し、長期的な資産形成を目指す人に適した制度です。投資対象は金融庁が指定した、長期・分散投資に適した投資信託・ETFです。
通常のNISAと併用ができない点、損失がでた場合に損益通算ができない点など、デメリットもありますが、非課税効果は資産形成の効率を大きく上げてくれます。長期的に分散投資を行い、リスクを限定して資産運用をしたい場合には良い手段です。
4-3.老後資金ならiDeCo
また、個人年金制度のiDeCoも、長期・積立・分散投資の代表格です。原則60歳まで資産を引き出すことができませんが、毎月の掛金が所得控除の対象になるほか、運用中の売買益などは非課税で、将来の資産受取時にも税制優遇があります。
iDeCoでは、投資信託をメインに、預金や保険といった様々な金融商品の中から自身で購入する商品を選び、毎月積み立てを行います。老後資金を作る目的で資産運用を行うのであれば、こちらも積極的に検討できます。
なお、勤務先が確定拠出年金を導入していれば、そちらに加入するのもいいでしょう。会社によっては積立に補助を出すところもあります。ただし、いずれも各金融機関に口座管理手数料などが設定されているほか、取扱商品も異なっており、確定拠出年金の場合は金融機関が会社指定となる点には注意が必要です。
4-4.自由度の高いロボアドバイザー
WealthNavi(ウェルスナビ)やTHEO+docomoなどの「ロボアドバイザー」も最近は人気があります。これらはAIを活用した資産運用サービスで、長期投資を前提に、複数の銘柄に分散投資するETFを積立購入する形で、実際の運用はサービス側にお任せできるものです。
自身のリスク許容度などに応じて、AIが適した銘柄を選定してくれるので、最初から手間がほとんどかかりません。また、資産も引き出すタイミングに制限がないため、中長期的な投資を前提としていても、ハードルが低くなります。
まとめ
今回は、分散投資のメリットとリスク、主な方法について解説しました。分散投資は、投資対象を分散させ、資産運用に伴う価格変動リスクを軽減するというメリットがあります。
さらに、長期・積立・分散投資をしてリスクを減らしながら、長期的な資産形成を心がけるようにしてください。
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山下耕太郎
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