クリアル(2998)2023年3月期決算で前年比+55.3%大幅増収、今後の見通しは?

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不動産クラウドファンディング事業を主とした株式会社クリアルの2023年3月期決算は、年同期比55.3%増と大幅な増収増益でした。

同社は同年1月末にSBIホールディングスとの資本業務提携を発表。SBIホールディングスとの業務提携は、クリアルにとっては販路の拡大等が期待されるため、売上高の増加が期待されます。

株式市場では同年1月末に2,125円だった株価が2月中旬には3,000円台乗せ。そして、5月に発表された2023年3月期決算発表を好感し、株価はさらに上昇。2023年6月7日には一時7,500円の上場来高値を付けました。

今回は、クリアルの今後の業績見通しや懸念材料などについて解説します。

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※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. クリアル株式会社の会社概要
  2. クリアル株式会社の2023年3月期決算
    2-1.CREAL売上増の要因
  3. クリアル株式会社の今後の業績見通し
    3-1.SBIホールディングスとの資本業務提携
    3-2.CREAL PROの売上高
    3-3.2024年3月期と2024年3月期予想
    3-4.業績懸念材料
  4. クリアル株式会社の株価
  5. まとめ

1.クリアル株式会社の会社概要

ESG不動産投資クラウドファンディング「CREAL」クリアル株式会社(2998)は不動産投資運用会社です。運用商品としては、個人投資家を対象とした不動産ファンドオンラインマーケットのCREAL(クリアル)、個人向け不動産投資運用サービスのCREAL PARTNERS(クリアルパートナーズ)、機関投資家や超富裕層向け資産運用サービスのCREAL PRO(クリアルプロ)の3つです。

主要サービスの「CREAL」は一口1万円から投資ができる不動産投資クラウドファンディングサービスです。不動産投資を誰でも手軽に始めることができ、投資対象は、数億円規模の一棟マンション・オフィス・保育施設などです。組成ファンド数は2023年6月9日時点で88(終了62、運用中24)、累積調達額は327億円。想定利回りは4~5.5%(年率)、運用期間は4カ月から2年です。なお、ファンドは投資家のリスクを低減するために、ファンド組合会社が劣後出資をしています。

CREAL PARTNERS」は、投資用区分レジデンスを中心に、一棟レジデンス、太陽光発電などの資産運用商品を販売しています。物件は都心5区を中心に中古ワンルームマンションを取り扱っており、会社全体がライフプランニングの一つの選択肢として不動産を提案するスタンスであることも魅力となっています。

「CREAL PRO」は、機関投資家・超富裕層向けの資産運用サービスで、大型不動産への投資を通じた資産運用を手掛けています。CREAL PROが運用するファンドは、レジデンス、ホテル、ヘルスケア、保育施設を中心に組成・運用されています。

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2.クリアル株式会社の2023年3月期決算

2023年3月期決算は、売上高が前年同期比55.3%増、純利益は95.35%増と大幅な増益となりました。

(単位:百万円) 2022年3月期 2023年3月期 前年同期比
連結売上高 10,581 16,436 55.34%
連結営業利益 313 547 74.76%
連結経常利益 256 496 93.75%
連結当期純利益 172 336 95.35%

2023年3月期の売上増の主因は、CREALの売上高が102.23億円と、前年同期比124.63%増と大幅増加したことです。

これにより、売上高全体に占めるCREALの売上高の割合が前年同期の43.47%から62.2%に大きく増え、一方でCREAL PARTNER(前年同期44.36%から29.40%に減少)、CREAL PRO(同12.18%から8.40%に減少)は割合を減らしました。

CREAL

(単位:100万円) 2022年3月期 2023年3月期 前年同期比
売上高 4,551 10,223 124.63%
売上総利益 441 965 118.82%
売上総利益率 9.69% 9.44% -2.59%

CREAL PARTNERS

(単位:100万円) 2022年3月期 2023年3月期 前年同期比
売上高 4,644 4,832 4.05%
売上総利益 561 544 -3.03%
売上総利益率 12.08% 11.26% -6.80%

CREAL PRO

(単位:100万円) 2022年3月期 2023年3月期 前年同期比
売上高 1,275 1,380 8.24%
売上総利益 551 696 26.32%
売上総利益率 43.22% 50.43% 16.70%

2-1.CREAL売上増の要因

CREALの売上高が増加した要因としては、ファンド組成件数が大幅に増えたことが挙げられます。ファンド組成件数は、2022年3月期の16件(調達額71.2億円)から、2023年3月期には24件(同123.1億円)に増加しました。また、投資家数(累計)の増加や、投資家の一人当たり投資金額の増加も、売り上げ増に寄与しました。

投資家数(累計)は前年の28,649人から40,860人に42.60%増加しました。また、一人あたりの投資金額は約25.0万円(前年同期:約15.8万円)に58.2%増加しました。

この背景には、2023年6月時点ではCREALで募集した案件がデフォルトすることなく順調に償還されているため、投資家によるCREALへの信頼が高まっていることが考えられます。リピート率は高水準(90%前後)で推移しており、償還を迎えた安心感から投資家が投資金額を増やしていると思われます。(※ただし、今後も必ず償還される保証があるわけではありませんので、投資判断の際にはしっかりと最新情報を収集されるようにしてください)

償還を迎えたファンド平均利回りは約4.3%。最も利回りが高かったファンドはRakuten STAY富士河口湖駅の8.00%、最も低いファンドはアルカーデンシティリンクス新宿の3.0%です。

ファンドの平均利回りは4.39%で、社債や国債、銀行預金などと比較すると、利回り水準は高いと言えるでしょう。

また、2023年1月に発表されたSBIホールディングス株式会社との資本業務提携は、クリアル株式会社の知名度を上げ、結果的にCREALの売上高の増加に貢献した可能性もあります。

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3.クリアル株式会社の今後の業績見通し

今後の業績は、SBIホールディングスとの資本業務提携とCREAL PROの売上高がポイントと言えます。

3-1.SBIホールディングスとの資本業務提携

2023年2月20日に、SBIホールディングスに対し、クリアル株式会社は第三者割当による新株を発行しました。(議決権所有割合21.68%)

SBIホールディングスの主要サービス「SBI証券」は、国内最大のネット証券で、証券口座数は2023年3月末時点で1,000万を超えています。同証券の顧客層とCREALの投資家層は、20~30代のネット世代が中心で、この資本提携により、スマートフォンのみで投資信託も不動産も小口投資が可能となるため、両社にとってシナジー効果が期待できます。

また、クリアル株式会社にとっては、個人投資家ばかりではなく、SBI証券の持つ機関投資家など大手投資家層への販路拡大も期待できます。そのため、機関投資家や超富裕層向け不動産投資サービスを行うCREAL PROの売上成長率がクリアル株式会社の今後の利益拡大のキーとなると考えられます。

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3-2.CREAL PROの売上高

CREAL PROの2024年3月期業績予想での成長率予想は、連結売上高成長率を前年同期比124.5%増の31億円(前年同期13.8億円)で、CREALの58.2%、CREAL PB*の44.2%を大きく上回っています。(*CREAL PBはCREAL PARTNERS(個人向け不動産投資運用サービスとプロパティマネジメントサービス)の個人向け不動産投資運用サービス部門を2023年4月1日に分離)

売上総利益率は、2024年3月期予想では、CREALが9.06%(前年同期比9.44%)、CREAL PBが9.55%(同9.22%)、CREAL PROは32.26%(同50.43%)で、CREALとCREAL PROの利益率を低く見積もっています。

一方、売上高はCREALが160億円(成長率56.51%)、CREAL PBが66億円(同44.17%)、CREAL PROは31億円(同124.64%)とCREAL PROの売上高の大幅増を予想しています。CREAL PROは売上全体に占める割合が8.40%(2023年3月期)と低いものの、予想売上総利益では31.55%を占めており、CREAL PROの売上増が利益に直結する形となっています。

主力商品であるCREALの売上高は160億円と2023年3月比56.51%増加を予想しているものの、売上総利益率は9.06%(2023年3月9.44%)から低下を予想しています。

クリアル株式会社の2024年3月期の業績はSBIホールディングスとの資本業務提携によるシナジー効果も期待できます。主力商品のCREALだけでなく、利益率の高いCREAL PROの売上高の伸び率が重要となるでしょう。

3-3.2024年3月期と2024年3月期予想

CREAL

(単位:百万円) 2023年3月期 2024年3月期予想 成長率
売上高 10,223 16,000 56.51%
売上総利益 965 1,450 50.26%
売上総利益率 9.44% 9.06% -3.99%

CREAL PARTNERS

(単位:百万円) 2023年3月期 2024年3月期予想 成長率
売上高 4,578 6,600 44.17%
売上総利益 422 630 49.29%
売上総利益率 9.22% 9.55% 3.55%

CREAL PRO

(単位:百万円) 2023年3月期 2024年3月期予想 成長率
売上高 1,380 3,100 124.64%
売上総利益 696 1,000 43.68%
売上総利益率 50.43% 32.26% -36.04%

3-4.業績懸念材料

クリアル株式会社の業績懸念材料として、日本銀行による金融政策の転換と過度な円高があげられます。

2023年6月時点、日銀はイールドカーブ・コントロールで長期金利の上昇を抑えています。そのため、不動産価格に敏感な長期金利が低水準で推移しています。

しかし、日銀が金融政策を転換すると、長期金利が急上昇する可能性があります。金利の上昇は不動産市況を悪化させる要因となるため、日銀による金融政策転換はクリアル株式会社の業績悪化材料になります。

また、過度な円高も不動産市況の悪化材料となるでしょう。過度な円高は、不動産のドル換算価格を押し上げるため、外国人投資家の投資活動が鈍くなる可能性があるためです。

4.クリアル株式会社の株価

クリアル株式会社の株価水準をみると、2023年6月9日時点で6,420円、予想PERが73.62倍と割高な水準です。

2023年3月末時点の発行済株数は573.1万株で、SBIホールディングスを含めた大株主上位6位までの保有株式数は約393万株に上るため、流通株式数は200万株を下回っていると推計されます。

流通株式数が少ないことに加え、業績期待から株価を割高に押し上げています。

まとめ

不動産クラウドファンディング事業を主としたクリアル株式会社の2023年3月期決算は、CREALの売上が大幅に拡大したため増収増益でした。

今後はSBIホールディングスと資本業務提携したことによる増収増益、特に利益率の高い機関投資家向けサービスCREAL PROの販売動向が注目されます。

一方、業績懸念材料としては、日銀の金融政策の転換や過度な円高は、不動産市場の悪材料となる可能性があり、注意しておきたいポイントと言えるでしょう。

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藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。