マンションの売却にかかる費用は?仲介手数料や税金などの計算方法も

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現在住んでいるマンションの売却代金を次の住居の購入資金に充てようと考えている方も多いのではないでしょうか?しかしマンションの売却には様々な費用が発生するため、売却益を全て利用できるというわけではありません。

売却代金からは不動産会社に支払う仲介手数料や所得税などの税金が引かれることになります。売却代金の利用を検討している場合はこれらの費用がいくらかかるのか事前に把握しておくことが重要です。

この記事では、マンションの売却にはどんな費用がかかるのか、仲介手数料や税金など主なポイントと計算方法について解説します。

目次

  1. マンションの売却にかかる6つの費用
    1-1.不動産会社に支払う仲介手数料
    1-2.マンションの売買契約書にかかる印紙税
    1-3.マンションの移転登記費用
    1-4.金融機関へ支払う一括返済の手数料
    1-5.マンション売却による譲渡所得税
    1-6.その他のマンション売却にかかる費用
  2. 3,000万円の特別控除が適用できるか確認する
  3. まとめ

※記事内の税率などは2020年3月時点の情報に基づいて書かれています。最新の数値や情報についてはご自身でもご確認下さい。

1.マンションの売却にかかる6つの費用

マンションを売却しても、売却代金を全額新しい住居の購入に充てられるわけではありません。マンションの売却には大きく分けて以下の6つの費用がかかります。

  1. 仲介手数料
  2. 印紙税
  3. 登記費用
  4. 一括返済の手数料
  5. 譲渡所得税
  6. その他の費用

それぞれの費用について詳しく見ていきましょう。

1-1.不動産会社に支払う仲介手数料

仲介手数料とは、不動産会社にマンションの売却の仲介を依頼して、売買が成立した場合に不動産会社に支払う手数料です。仲介手数料は、宅地建物取引業法に上限が定められており、売買価格によって以下のように異なります。

  • 200万円以下:5%以内+消費税
  • 200万円超400万円以下:4%以内+消費税
  • 400万円超:3%以内+消費税

マンションの売却価格が4,000万円だった場合、(200万円×5%)+(200万円×4%)+(3,600万円×3%)×消費税=138万6,000円が仲介手数料の上限です。

なお400万円をこえる物件の場合は、速算式「(売却価格×3%+6万円)×消費税」を用いることも可能です。速算式でも、(4,000万円×3%+6万円)×消費税=138万6,000円と計算結果は同じになります。

不動産会社の中には仲介手数料を上限より安く設定している場合があります。その他の条件と照らしあわせながら、仲介手数料を安く設定している不動産会社への依頼も検討してみましょう。

下記の記事では複数社に不動産の査定依頼が出来る、不動産一括査定サイトの比較ポイントをまとめています。マンションの査定価格だけでなく、仲介手数料などの売却費用も比較検討してみたい方はこちらもご参考ください。

【関連記事】不動産一括査定サイトは使うべき?おすすめの査定サイト5社を比較

1-2.マンションの売買契約書にかかる印紙税

印紙税とは、売買契約を行う際に売主と買主との間で交わす売買契約書に対して課される税金です。令和2年3月31日までに作成される売買契約書には軽減税率が適用されます。印紙税の金額は契約金額によって以下のように異なります。

  • 500万円超1,000万円以下:1万円(5,000円)
  • 1,000万円超5,000万円以下:2万円(1万円)
  • 5,000万円超1億円以下:6万円(3万円)
  • 1億円超5億円以下:10万円(6万円)

※()内は軽減税率適用時の印紙税

売買契約書は売主と買主それぞれ1部作成するため、本来は2倍の印紙税がかかりますが、1部をコピーで対応することで印紙税を抑えることが可能です。

また、印紙税の軽減税率は契約書を作成した年度によって異なることがあります。最新の軽減税率については、国税庁「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」を確認しましょう。

1-3.マンションの移転登記費用

不動産を購入する際は、自己資金とあわせて住宅ローンを申し込む方が多いでしょう。金融機関の住宅ローンでは、借主が万が一滞納してローンを回収できなかった場合に備えてマンションに抵当権を設定します。

このマンションの抵当権を解除しておかなければ所有権の移転が出来ず、売却することは出来ません。抵当権を解除することを、抵当権抹消登記と言います。

抵当権抹消登記には登録免許税と司法書士へ依頼する費用がかかります。登録免許税の額は不動産の数×1,000円となっており、マンションだと建物および土地の2つの不動産が関係するので2,000円です。

抵当権抹消登記の手間と時間を省くために司法書士に依頼した場合は、司法書士の報酬としてさらに5,000円~1万円の費用が発生します。

1-4.金融機関へ支払う一括返済の手数料

住宅ローンの残債がある場合には、マンションの売却代金で一括返済を行います。一括返済では残債を全額返済するだけでなく、各金融機関が定めている一括返済の手数料を支払う必要があります。

手数料の金額は金融機関ごとに異なりますが、およそ5,000円~2万円となることがあります。住宅ローンの残債がある場合は、一括返済の手数料としていくらかかるか事前に確認しておきましょう。

1-5.マンション売却による譲渡所得税

マンションを売却して利益が生じた場合は、譲渡所得税を支払わなくてはなりません。譲渡所得税は大きく以下の3つに分類されます。

  • 所得税
  • 住民税
  • 復興特別所得税

所得税と住民税は、不動産を譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下か5年を超えているかによって適用される税率が異なります。それぞれの税率は以下の通りです。

  • 5年以下(短期譲渡所得):所得税30%、住民税9%
  • 5年超(長期譲渡所得):所得税15%、住民税5%

復興特別所得税とは、令和19年まで適用される東日本大震災の復興財源を確保するための税金です。上記所得税に2.1%を乗じるので短期譲渡所得税の所得税は30.63%、長期譲渡所得の所得税は15.315%になります。

1-6.その他のマンション売却にかかる費用

マンションの売却では、他にも以下のような費用が発生します。

  • クリーニング費用
  • 修繕費用
  • 引っ越し費用

内覧時の印象を良くするためにクリーニングを業者に依頼するとクリーニング費が発生します。

また、傷んでいる設備や古い設備を交換してから売却する場合は、修繕費用がかかります。

既に新しい住居が決まっている場合は、売却と並行しつつマンションに残っている荷物を新しい住居に移動させるため、引っ越し費用がかかります。

このように物件の状態や状況によって発生する費用が異なります。他に大きな費用が発生しないか確認しておきましょう。

2.3,000万円の特別控除が適用できるか確認する

3,000万円の特別控除とは、居住用のマンションを売却した際に3,000万円まで控除が受けられる税制度のことです。(国税庁「マイホームを売ったときの特例」を参照)

譲渡所得税がかかるかは「売却価格-(購入費用+売却にかかった費用)-3,000万円」という計算式で求めます。

この制度が適用されると3,000万円以上の利益が生じない限りは譲渡所得税が課税されないことになります。しかし、親子や夫婦間での売買、売却するのが別荘として所有していた不動産の売却には適用できないといった適用条件があるので注意しましょう。

また、3,000万円の控除を受けるためには確定申告が必要になります。税理士などの専門化にも相談しながら控除が適用できるかどうか確認してみましょう。

まとめ

マンションを売却すると、売却代金から不動産会社に支払う仲介手数料や各種税金、クリーニング費用や修繕費などの費用が引かれることになります。

マンションの売却ではこれらの各種費用も計算し、売却価格を設定することも重要になります。

また、3,000万円の特別控除が適用できると、3,000万円まで譲渡所得税が控除されます。不動産会社や税理士などの専門家に相談しつつ、どのような費用が発生するのか確認しながらマンションの売却を進めて行きましょう。

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矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。