マンションを売却する際に、どの不動産会社に依頼すれば良いのか迷う方もいるでしょう。大手に依頼すれば大きく広告展開をしてくれてすぐに売却できそうな気がしますし、地域の不動産会社の方が、地域のことを知っているお客さんとすぐに話が決まりそうな気もします。果たしてどちらに依頼する方がメリットはあるのでしょうか。
この記事ではマンションを売却する際の手順を確認した上で、売却活動を依頼するのに大手不動産会社と地域の中小不動産会社ではどちらのメリットが大きいのかを考えてみたいと思います。
目次
- マンション売却の手順
1-1.マンションの価格を査定する
1-2.マンションの査定は2回行われる
1-3.買取と仲介のどちらにするか
1-4.仲介を依頼する場合の契約方法には3種類ある - 大手不動産会社にマンション売却依頼をするメリット
2-1.全国に支店があり顧客情報を多く抱えている
2-2.資金力を活かした広告展開ができる
2-3.グループ内の不動産会社が購入する可能性がある
2-4.提携している金融機関数が多い - 大手不動産会社にマンション売却依頼をするデメリット
3-1.利益が少ないと利益優先で後回しにされる可能性がある
3-2.例外的な要望には対応に時間がかかる可能性がある
3-3.地域のメリットを活かせない可能性がある - 地域の中小企業にマンション売却依頼をするメリット
4-1.中小企業は地域密着が強み
4-2.地域の投資家が購入する可能性がある
4-3.親身になって募集をしてくれる可能性がある
4-4.地域の過去のデータをもとに売却を進めることができる
4-5.物件の査定価格の精度が高く、売却期間なども計画を立てやすい - 中小企業にマンション売却依頼をするデメリット
5-1.独自のネットワークが狭く広告が埋もれる可能性がある
5-2.全国に支店がないため告知範囲が狭い
5-3.かけられる費用が限られていて売却に時間がかかる可能性がある - まとめ
1.マンション売却の手順
マンションを売却する際はどのような手順になるのでしょうか。まずは手順から確認してみましょう。
1-1.マンションの価格を査定する
マンションを売却しようと思った場合、まずはいくらくらいの売却価格になるのかを、不動産会社に依頼して査定してもらいます。その際、査定を依頼する会社は1社だけでなく、複数の不動産会社に依頼をするのがポイントです。1社だけの場合、物件の本来の価格と相違していた場合に、気が付かずにそのまま話を進めてしまうリスクがあるからです。
複数の不動産会社に依頼して査定価格を出すことで、だいたいの相場価格が把握できたり、最高値や最安値を確認したりすることができ正確な判断ができます。
1-2.マンションの査定は2回行われる
査定は簡易査定と訪問査定の2回行われます。簡易査定では、不動産会社は物件情報を基に机上で試算して査定価格を出します。そこで出された査定価格を見て、売主が話を前に進めても良いと判断した場合に訪問査定が行われます。
訪問査定は不動産会社の担当者が実際に物件を見に行き査定をします。訪問査定では、物件だけではなく駅からの距離や周辺の環境なども見ることになります。
この2回の査定の結果、売主が納得した価格で買主の募集を行います。
1-3.買取と仲介のどちらにするか
売却の方法には買取と仲介の2種類の方法があります。買取は不動産会社が直接買い取りをしてくれる方法です。査定後、売主がその査定価格で良ければ不動産会社はすぐに物件を買い取りますので、1週間以内という短い期間で現金化できることもあります。
仲介は不動産会社が広告を出して、買主を募集する方法です。買取と比較して、広告を出して買主が現れるのを待たなければいけませんので、売却まで時間がかかる可能性があります。また、買取では仲介手数料がかかりませんが、仲介の場合は売却が決まると、売却価格から仲介手数料を不動産会社に支払うことになります。
1-4.仲介を依頼する場合の契約方法には3種類ある
仲介で売却をする場合、依頼する不動産会社との契約方法には専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3種類があります。それぞれの特徴を以下の表にまとめました。
項目 | 専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 |
---|---|---|---|
他の不動産会社への重複依頼 | × | × | ○ |
自分で探した買主との直接契約 | × | ○ | ○ |
営業活動の報告 | ○ | ○ | × |
契約期間 | 3ヵ月以内 | 3ヵ月以内 | 無し |
レインズへの登録 | 必須 | 必須 | 任意 |
専属専任媒介契約と専任媒介契約をしている場合は、仲介を依頼できるのは契約をしている不動産会社のみになり、重複して他の不動産会社に依頼することはできません。また専属専任媒介契約と専任媒介契約で依頼をした場合は、不動産会社から売主に販売活動の経過を報告する義務が発生します。
それぞれに特徴がありますので、複数の不動産会社に依頼したい場合は一般媒介契約を、一つの会社に絞って精力的に活動してもらいたい場合は専任媒介契約や専属専任媒介契約を結ぶなど、計画的に使い分けをしながら販売活動をすることが大切です。
2.大手不動産会社にマンション売却依頼をするメリット
次に、売却の際に大手不動産会社に依頼した場合はどのようなメリットがあるのかを見てみましょう。
2-1.全国に支店があり顧客情報を多く抱えている
大手不動産会社の場合、全国的に支店を構えていますので、各支店で抱えている顧客を合わせた数はとても膨大な人数になることが考えられます。いい物件があればすぐに紹介できる顧客も多くいることが考えられますので、その場合は早い段階で売却できる可能性も高くなります。
2-2.資金力を活かした広告展開ができる
支店の顧客に購入したいという人がいなくても、大手不動産会社の場合は資金力を活かし、広告展開することができます。資金力があり幅広く広告を出せるという点は大手の大きなメリットと言えます。高額なマンションの売却を依頼する場合は、色々な相談ができる可能性も高くなるでしょう。
2-3.グループ内の不動産会社が購入する可能性がある
大手不動産会社の場合、グループ内の関連会社や取引のある不動産会社が購入する可能性もあります。関連会社の中に中古の不動産を取り扱っている会社がある場合は、仕入れという形で購入することが考えられます。その場合は早く決まる可能性がある一方で、購入してくれる価格が相場の価格より低くなる可能性もありますので注意が必要です。
2-4.提携している金融機関数が多い
大手不動産会社の場合、提携している金融機関が多い可能性が高くなります。金融機関との提携数が少ない不動産会社と比較して、多くの金融機関と提携していれば、より有利な融資条件を提案できる可能性が高くなります。そういった場合は、融資条件に厳しい顧客を取り込むことにつながりますので、それだけ売却できる可能性が広がることが考えられます。
3.大手不動産会社に依頼をするデメリット
大手不動産会社には資金力やネットワークを活かした事業展開ができる点が大きなメリットになりますが、地域の不動産会社と比較して、大手だということで不利な点もあることが考えられます。どのような点がデメリットになるのかを見てみましょう。
3-1.利益が少ないと利益優先で後回しにされる可能性がある
大手不動産会社に依頼した場合、物件の取扱数が多いため、利益幅が大きい物件から営業活動をして、利益が少ない物件は後回しになる可能性があります。また、営業マン1人1人が取り扱っている物件数が多く、1つの物件に時間をかけられないことも考えられます。
丁寧に時間をかけて販売活動をしてくれるという点では、中小の不動産会社の方が期待できるでしょう。
3-2.例外的な要望には対応に時間がかかる可能性がある
大手の場合、例外的な要望に関してはマニュアル通りの対応しかできず、細かな要望には応えられない可能性があります。また、そういった要望は会社の上司に確認をとらなければ一営業マンでは決断できない場合もあり、回答まで時間がかかる可能性があります。時間をかけずに売却をしたい場合は、そういった点がネックになる可能性があります。
3-3.地域のメリットを活かせない可能性がある
大きなネットワークを使った広告展開ができても、その会社が地域のことをあまり知らない場合は、地域の良さや不動産情報をうまく伝えられずに売却活動がなかなか進まないことも考えられます。大きな展開ができても、地域の情報をうまく使った活動ができない可能性がある点には注意が必要です。
4.地域の中小企業にマンション売却依頼をするメリット
大手不動産会社は広告の規模を広げてマンションの買主を募集できる点がメリットだと言えますが、大手と比較して中小の不動産会社にはどのようなメリットがあるのでしょうか。地域の中小企業のメリットについて見てみましょう。
4-1.中小企業は地域密着が強み
地域の中小不動産会社の強みは、地域の個人や企業を中心に密着して事業活動をしている点です。大手不動産会社とは違い、広い範囲での資金力を活かした展開はできませんが、地域の個人や事業社向けに足を使った営業活動ができ、深く入り込めるところが大手には難しい点です。
4-2.地域の投資家が購入する可能性がある
地域の中小不動産会社に売却を依頼した場合、地域に根付き街の特徴を把握している個人投資家が購入する可能性が上がります。
投資家は普段から不動産会社とコンタクトを取り、地域の不動産情報を仕入れていることが考えられます。その場合はすぐに売却できる可能性が高くなりますが、価格交渉を求められることもありますので、注意が必要です。
4-3.親身になって募集をしてくれる可能性がある
地域の中小不動産会社の場合、そのエリアの不動産であれば親身になって募集活動をしてくれる可能性があります。地域の暮らしやすさや賃貸情報を詳しく把握していますので、それらを武器に足を使った営業を行い、大手と違った顧客層を掘り起こす可能性があります。
4-4.地域の過去のデータをもとに売却を進めることができる
その地域で長い間不動産事業を行っている会社の場合、過去のデータをもとに、購入者層や不動産の適正価格を把握していることが考えられます。そういった情報をもとに確度の高い売却活動を再現できる点はメリットになります。
4-5.物件の査定価格の精度が高く、売却期間なども計画を立てやすい
地域に密着して営業活動をしている不動産会社の場合、賃貸情報なども細かく把握していますので、査定価格の精度が高い可能性も上がります。また、地域の投資家や不動産会社と深い関わり合いがあるため、売却の予定を立てやすいこともメリットになります。
5.中小企業に依頼をするデメリット
地域に密着した活動が特徴の中小企業では、マンション売却を依頼した際にどのような点がデメリットになるのかを見てみましょう。
5-1.独自のネットワークが狭く広告が埋もれる可能性がある
中小不動産会社の場合、独自のネットワークが地域に限定され、それ以外のエリアに対しては多くの不動産会社が使っているレインズやポータルサイトでの広告が中心になるため、広告が埋もれてしまう可能性があります。資金力を活かして大きな告知ができる大手と比較して、その点がデメリットになることが考えられます。
5-2.全国に支店がないため告知範囲が狭い
支店がない中小不動産会社では、どうしても幅広い営業活動ができません。そのため地域での営業活動で買主が見つからない場合は、ほとんどインターネット経由での問い合わせを待つしかありません。
告知範囲が狭いため、しばらく売却ができない場合には広告が頭打ちになる可能性があり、このように広い範囲で告知活動ができない点はデメリットと言えます。
5-3.かけられる費用が限られていて売却に時間がかかる可能性がある
地域の中小不動産会社の場合、同じ地域の不動産会社や、不動産の所有者とは深い付き合いがあり、そういったところで話が進めばすぐに売却できる可能性があります。しかし、仮にそこで売却の話が進まない場合は、その他の広告をする費用が大手と比べて少ないために、売却までに時間がかかる可能性があります。
大手と比較して中小不動産会社は資金力で劣る点がデメリットになります。
まとめ
マンションを売却する際に、大手不動産と中小の不動産会社ではどちらのメリットが大きいのかについて考えてみました。
どちらで売却するかについては、全国で買主を探したいのか、地元の人に購入してほしいのかといった希望のほかに、どれくらいの時間で売却したいのかといったことも検討して依頼することが必要です。
専任媒介契約や専属専任媒介契約で仲介を依頼する場合は一定期間、他の不動産会社に並行して売却を依頼することはできません。しかし、一般媒介契約で仲介を依頼する場合は他の不動産会社に依頼が可能ですので、迷った場合は大手と中小の両方に売却を依頼することもできます。
売却をする際は、大手か中小のどちらかに集中して依頼することも大切ですが、売却が進まない場合は大手と中小を織り交ぜながら、複数の不動産会社と契約をして取り組むことも売却をスムーズに進めるコツだと言えるでしょう。
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