マンション売却時に損をしないために注意したい5つのこと

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マンションを売却する際には、細かい注意を怠ったばかりに損をすることがあります。マンションを運用している最中の失敗は後で挽回できるかもしれませんが、売却の際に失敗をすると最終的な利益に直接影響が出てしまうことになります。

では、売却をする際になるべく損をしないようにするためには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。この記事では注意しておきたいポイントについてご紹介します。

目次

  1. マンションは査定価格や売出し価格で売却できるとは限らない
    1-1.広告の反応がない場合
    1-2.買主との交渉で価格が下がる場合
    1-3.査定価格は不動産会社の都合で付けることができる
  2. 仲介会社との契約の仕方で売却の早さが変わることがある
    2-1.仲介会社との契約方法の違い
    2-2.一般媒介契約では告知の範囲が広がる点がメリット
    2-3.専任・専属専任媒介契約では販売活動の報告義務がある
    2-4.契約方法や仲介会社を変える際は広告も見直す
  3. マンション売却のタイミングを見極める
    3-1.価格の上昇を待つよりローンの残債を見た方が良い
    3-2.1年を通して成約件数が多い時期を狙う
  4. マンションの売却をする際も費用が必要
  5. 瑕疵担保責任に注意する
    5-1.瑕疵担保責任の期間
    5-2.契約書に免責の記載をすることができる
    5-3.インスペクションの実施を検討
  6. まとめ

1.マンションは査定価格や売出し価格で売却できるとは限らない

マンションの売却をする際は、まず不動産会社に査定を依頼し、売りに出す物件価格を見積もります。しかし、必ずしも査定価格をもとに設定した売出し価格で売却できるわけではありません。

査定価格で売却できると思って資金計画を立てていると、減額になった時に計画が狂ってしまいます。どのような事情で価格が変わってくるのでしょうか。要因について見てみましょう。

1-1.広告の反応がない場合

査定時の価格と売却時の価格が変わってくる原因の一つに、広告の反応があまりないという状況があります。購入希望者からの反応がない場合は、価格が高いということも想定できますので、そのような時は少し価格を下げて広告を出しなおすことになります。

しかし、広告の反応が少ない原因は価格が高いということだけではありませんので、他に原因がないかなど慎重に対策を検討することが大切です。

1-2.買主との交渉で価格が下がる場合

買主との売買契約に入る前に、値下げ交渉を持ち掛けられることがあります。その時、他に問い合わせがない場合は、価格を下げて売却することもあるでしょう。

ただ、元の価格で他の人からも問い合わせが入る可能性が残っている場合は、その買主に売るべきかどうか判断が難しい場面だと言えます。そのようなことも想定して、不動産会社の担当者とあらかじめ値下げ交渉の対策について相談をしておくことが大切です。

1-3.査定価格は不動産会社の都合で付けることができる

査定価格には不動産会社の都合が反映されていることもあります。仲介の契約を取るために最初は高い価格で提示して、実際に売却活動をする際にはオーナーへ徐々に値下げを提案していく、という方法を取る会社もあります。

そのような状態を防止するには、不動産会社としっかりコミュニケーションを取りながら売却活動をすることが大切です。適正価格でマンションを売却するためには、信頼できる不動産会社かどうかを見極めながら取り組むようにしましょう。
  

2.仲介会社との契約の仕方で売却の早さが変わることがある

仲介する不動産会社との契約の仕方で、売却できるスピードや成約価格が変わってくることがありますので注意が必要です。仲介する不動産会社との契約方法にはどのようなものがあるのかを見てみましょう。

2-1.仲介会社との契約方法の違い

契約の仕方には一般媒介契約と専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類がありますので、それぞれの特徴を見ておきましょう。

項目 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
他社との重複する仲介契約 × ×
自分で見つけた買主との直接契約 ×
レインズへの登録義務 なし あり あり
契約期間 制限なし 3ヵ月以内 3ヵ月以内
販売活動の報告義務 なし あり あり

契約の種類によって活動の仕方が変わりますので、反応を見ながら契約方法を変えることが大切です。以下で具体的に見ていきましょう。

2-2.一般媒介契約では告知の範囲が広がる点がメリット

一般媒介契約のみが、複数の不動産会社と契約をすることが可能な内容になっています。その他の2つの契約と比較してマンション売却の情報を告知する範囲が広がりますので、その分広告の反応が早くなる可能性がある点ではメリットがあると言えるでしょう。

しかし、依頼を受けた会社は他の会社で契約をされた場合、それまで行った販売活動が無駄になるリスクもあり、営業の優先順位が落ちる懸念もありますので、委託する会社とはコミュニケーションをしっかり取りながら販売活動を進めることが大切です。

2-3.専任・専属専任媒介契約では販売活動の報告義務がある

専任媒介契約と専属専任媒介契約は1社にしか仲介を依頼できませんが、この契約をした不動産会社には定期的に売主へ販売活動を報告する義務が生じます。そのため一般媒介契約と比較して、販売に力を入れる可能性が高くなり、その分売却するスピードが早くなることも考えられます。

一方、1社にしか売却を依頼できませんので、その不動産会社が販売に積極的でない場合は、うまく売却が進まない可能性もあります。どの契約にもメリットとデメリットがありますので、広告の反応を見ながら、売却まで長引きそうであれば契約方法を変えることも視野に入れて取り組むようにしましょう。

2-4.契約方法や仲介会社を変える際は広告も見直す

売却の話が進まない場合の要因は契約方法だけとは限りません。出している広告内容に問題があることも考えられますので、契約方法を変える際は広告も見直すようにしましょう。
  

3.売却のタイミングを見極める

できれば購入価格より高くマンションを売却できるに越したことはありません。しかし、購入時より価格が上昇するにはそれなりの要因が必要です。価格が上昇するのを待っている間に、利益を得る機会を逃すことも考えられます。どのような点を目安にして売却をすれば良いのか、タイミングについて見てみましょう。

3-1.価格の上昇を待つよりローンの残債を見た方が良い

通常、不動産は築年数の経過と共に価格は下がっていきますので、購入時点よりも価格が上昇するにはそれなりの要因が必要です。価格が上昇するのを待っている間に逆に価格が下がったり、収益を逃したりする可能性もあります。

そのため上昇するのを期待するより、ローンの残債を見て売却のタイミングを見計らった方がチャンスを逃さない可能性が高くなります。以下の事例を見てみましょう。

1,980万円の物件を頭金200万円を入れて購入し数十年後に、運用で得たキャッシュが200万円ストックされており、売却をするために査定をしたところ1,500万円の査定価格になったケースです。その時点でのローンの残債は800万円だとします。この場合、査定価格が購入した際の価格より480万円下回っています。

  • 購入時価格:1,980万円
  • 頭金:200万円
  • ストックされたキャッシュの総額:200万円
  • 査定価格:1,500万円
  • ローンの残債:800万円

仮に上記の状態だった場合、手元に残る資金は以下のように計算できます。

200万円-200万円=0円(頭金をストックされたキャッシュで回収)
1,500万円-800万円=700万円(ローンを完済して手元に残る額)

この場合、700万円の収益がありますので、売却で発生する手数料や税金を支払っても利益は残ることが考えられます。このように残債から売却のタイミングを見計らうことで、物件価格が下落していても収益を得ることが可能です。

このように購入した時より価格が下がっているからといって、損をすることが確定したわけではありませんので、細かくシミュレーションして売却活動をすることが大切です。

3-2.1年を通して成約件数が多い時期を狙う

売却のタイミングはローンの残債だけでなく、1年を通して不動産の流通が多い月を狙うことも大切です。以下のグラフでは平成29年3月から平成30年2月までの、月ごとのマンションと不動産全体の売り物件成約件数が確認できます。

*公益財団法人不動産流通推進センター作成「2018 不動産業統計集3月期改訂」から引用

この調査から平成29年3月から平成30年2月の期間ではマンション、総数ともに3月が最も成約件数が多いことが確認できます。成約件数が多いということは、売り物件だけでなく購入者も多いということですので、流通が多い月に売りに出すことでスムーズに売却が進む可能性が高いことが考えられます。

4.マンションの売却をする際も費用が必要

マンションを売却する際は購入した時と同じように費用が発生します。売却による収益が少ない場合は、税金などの費用を支払ったら手元にお金が残らなかった、ということもありますので、費用を事前に確認してから売却活動をすることが大切です。かかる費用の一覧を記載しておきます。

費用名 費用の内容
仲介手数料 売買が成立した際に仲介会社に支払う手数料
印紙税 契約書に貼る収入印紙の代金
ローンの完済にかかる費用 ローンの完済の際に発生する手数料など
登記費用 抵当権抹消登記をする際の登録免許税と司法書士報酬
所得税 利益がある場合に支払う所得税や住民税

5.瑕疵担保責任に注意する

売主には瑕疵(かし)担保責任というものがあり、マンションを売却した後も一定期間は瑕疵に対して責任が発生します。この瑕疵担保責任によって大きな費用負担が生じることもありますので注意が必要です。瑕疵担保責任とはどういったものなのでしょうか。内容と対応方法について見てみましょう。

5-1.瑕疵担保責任の期間

瑕疵とは目視で確認できない損傷や欠陥のことを言います。雨漏りや水道管の水漏れ、木造部分の腐食などが考えられます。不動産の売買から一定期間以内に瑕疵が発見された場合、売買後であっても売主には補償する責任があります。瑕疵の状態によっては修復費用が多額なものになることがありますので、注意が必要です。

5-2.契約書に免責の記載をすることができる

瑕疵担保責任は契約書に責任を負わない旨を記載することで免責にすることができます。しかし、免責にすることで買主の購入意欲の妨げになることもありますので、契約書に記載する内容については不動産会社と慎重に検討することが大切です。

5-3.インスペクションの実施を検討

瑕疵が心配な場合はインスペクションをすることも検討が必要です。インスペクションとは住宅診断のことで、診断士が屋根裏や押入れの中などの細かい点までチェックしますので、瑕疵があった場合に発見できる確率が高くなります。

インスペクションは数万円でできますので、瑕疵担保責任が発生した場合のリスクを考えると、実施しておいた方が良いでしょう。また、売買契約の際にインスペクションを行ったかどうかは報告する義務がありますので、品質をアピールする上でも実施を前向きに検討した方が良いと考えられます。

まとめ

マンション売却では気を付けなくてはいけないポイントが複数あります。不動産会社があまり販売に力を入れていなかったり、物件の価格が上がると思って売却を先延ばしにしていたら逆に下がってしまったり、売買後に瑕疵が発見され、予期せぬ補修費用が生じたりといったことなどです。

そのようなトラブルに伴う損失は、あらかじめポイントを押さえて取り組んでいれば未然に防げる可能性は高いと言えます。今までの運用で得てきた利益を無駄にしないように、売却の際は細かいことにも注意を払いながら取り組むようにしましょう。

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西宮光夏

不動産会社での勤務や、所有している不動産運用の経験をもとにHEDGE GUIDEでは不動産関連記事を執筆しています。現在は主にふるさと納税の記事を担当しています。ふるさと納税記事では、地域の人たちが心を込めて提供する返礼品の素晴らしさを、少しでも多くの人にお伝えできればと思っています。