人口が減り続ける日本。マンション投資の上手な空室対策の仕方とは?

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日本は少子高齢化が進んでおり、近年では毎年人口が減少しています。人口が減ると住宅の需要が減り空室が増えることが考えられますので、今からマンション投資をしようと考えている方にとっては、空室リスクが心配だという方もいるでしょう。実際に今後賃貸マンションの需要は減っていくのでしょうか。

今回は少子高齢化で人口が減り続けている日本で、マンション投資をする際に知っておきたい空室対策の仕方についてご紹介します。

目次

  1. 少子高齢化問題とは
  2. 家を探す際に重視する項目
  3. 空室対策に重要なのは立地
    3-1.人口が多いエリアを狙う
    3-2.駅から徒歩10分圏内(できれば8分以内)の物件を探す
    3-3.都心で物件を探す
    3-4.複数の路線が通っている駅の近くで探す
  4. 物件を選ぶ時のポイント
    4-1.バスとトイレが別になっている物件を選ぶ
    4-2.女性の視点から設備面を考える
  5. 空室にならないための運用の仕方
    5-1.募集の際は入居者のターゲットを絞る
    5-2.家賃設定は慎重に行う
  6. 家賃を下げる際の工夫の仕方
    6-1.家賃の見せ方を工夫する
    6-2.借り換えをして月々の返済額を減らす
    6-3.繰上返済をする
  7. リノベーションして一新する
  8. まとめ

1.少子高齢化問題とは

少子高齢化問題とは若い年代の人口が減り、高齢者人口が増えることを言います。日本では少子高齢化が進行していますが、どれくらい進んでいるのでしょうか。

以下のグラフは内閣府が平成30年に発表した「高齢化の推移と将来推計」から引用したものです。1950年から2065年までの5年ごとの日本の人口とその内訳の年齢層の数の推移、今後の予測推移を確認することができます。

*内閣府発表「高齢化の推移と将来推計」から引用

2017年の日本の総人口は約1億2,671万人ですが、2065年には8,808万人まで減少することが予想されています。1950年の人口が8,411万人ですので、ほぼ同じくらいの人口になります。しかし、1950年の65歳以上の人口が合計416万人だったのに対し、2065年には3,381万人と約10倍近くにまで増えることが予想されています。

2017年から2065年まで65歳以上の層の人口はあまり変化が見られませんが、64歳未満の層の人口は明らかに減少しています。このグラフから少子高齢化は着々と進行していることが確認できます。

2.家を探す際に重視する項目

  
日本は少子高齢化が進行していて、人口がこれから減っていくことが予想されていることが確認できました。この状況の中でどのような対策をすれば良いのかを考えてみましょう。

SUUMOが一人暮らしの学生・社会人の男女、夫婦世帯の計857人に行った「住み替えの実態調査2017」アンケートの結果によると、家を探す際には家賃が最も重要視されていて、その次に最寄駅からの時間や通勤・通学時間、路線・駅やエリアといった立地、その次に間取りや面積、築年数といった物件に関することが重要視されています。

このような視点から空室対策をどのようにすれば良いかを考えてみましょう。

3.空室対策に重要なのは立地

設備や内装は購入後に変更できますが、立地や部屋の広さは変更できませんので、物件を購入する前に、需要が見込めるエリアで探すことが重要になります。購入前にどのような点に注意して立地を選べば良いのかを見てみましょう。

3-1.人口が多いエリアを狙う

物件の周辺に住む人口が多ければそのぶん賃貸需要も期待できますので、基本的には人口が集中するエリアを選ぶことが大切です。まずは人口が多いエリアを見てみましょう。以下のグラフは東京都総務局が作成した「東京都の人口(推計)の概要」(平成31年1月1日現在)から引用したものです。

*東京都総務局作成「東京都の人口(推計)の概要」(平成31年1月1日現在)から引用

こちらのグラフでは東京都の総人口の推移が確認できます。昭和31年から昭和46年位まで増加していますが、そこから平成10年位までは横ばいになり、その後また増加していることがわかります。近年も東京都の人口が増えていることが確認できます。

さらに同資料から、東京都のどのあたりで人口が増えているかを見てみましょう。

上記のマップを見ると、東京都の中でも人口が増加している地域と減少している地域があることがわかります。特に23区内はどの区も増加していることが確認できます。毎年このような傾向になるとは限りませんが、2019年現在の状況であれば都心に近いエリアで物件を探すことで、空室率の低い物件が見つかることが考えられます。

3-2.駅から徒歩10分圏内(できれば8分以内)の物件を探す

SUUNOが行った「住み替えの実態調査2017」アンケートの結果から、家を探すときに重視する項目で家賃の次に多かったのが「最寄り駅からの時間」でした。さらにSUUMOでは単身者に「今住んでいる部屋が最寄りの駅から歩いてどの程度か」というアンケートを取ったところ、85%の人が徒歩15分以内の場所に住んでいるという結果が出ています。

東京都内ではワンルームなどのマンションに住む単身者が通勤や通学に車を使うことはあまり考えられません。特殊な業種や職種を除いて、一般的に電車で通勤や通学をしますので、駅から近いところに建つ物件は空室になる確率が低いことが考えられます。

このような点から、駅から徒歩10分圏内であればよりニーズが継続することが予想できますので、なるべくその圏内で物件を探すようにしましょう。また、駅から近ければいいかというとそこは難しいところで、人気駅の徒歩1分となれば物件価格が高騰しますが、物件価格ほどに賃料は上昇しないため収益性が低下してしまうことになります。駅からの徒歩分数は、物件価格と賃料のバランスを見て判断することが大切です。

3-3.都心で物件を探す

都心の23区内では人口が増加していることに触れました。国も職住近接の施策を推進していますので、その後押しもあって企業が集中する都心に住む人が増えています。職住近接の都心エリアであれば、物件が駅から近くに建ち、周辺にはコンビニやスーパー、銀行など、生活に必要な施設なども併設されている利便性から、長期的にニーズがあることが考えられます。

しかし、都心のエリアでは築浅の物件が多い上に、近年では東京オリンピックが開催されるということ等もあり物件価格が高騰しています。そのため、利回りが極端に悪くならないように慎重にシミュレーションして物件を選ぶことが大切です。

3-4.複数の路線が通っている駅の近くで探す

上記の「家を探すときに重視する項目」のアンケートでは「通勤・通学時間」が上位にランキングされています。通勤・通学時間は何分くらいであれば、ストレスを感じないのでしょうか。アットホーム株式会社が2018年6月に行った「都内勤務 20~30 代賃貸一人暮らし会社員の「電車通勤実態」調査」では、「29分が理想の平均」だという結果が出ています。

このアンケート結果から、都心ではなくても電車で30分位の場所であれば、通勤や通学にストレスはない距離だということが考えられます。都心で条件の合う物件が見つからなかった場合は、都心から電車30分以内の距離で、複数の路線が通っている駅などの近くの物件も視野に入れて探すと良いでしょう。

4.物件を選ぶ時のポイント

空室対策は立地だけではなく、物件についても検討が必要です。以下で物件のタイプや設備について見てみましょう。

4-1.バスとトイレが別になっている物件を選ぶ

マンションは物件により様々な違いがあります。例えば、一口にワンルームマンションと言っても、専有面積は18㎡くらいのものから30㎡近いものまでありますし、古い物件だと、今ではあまり見られなくなったバスとトイレが一緒になっているものもあります。

以下の表は不動産・住宅情報サイトライフルホームズが集計した、物件を探す際に検索された設備条件のランキングです。不動産情報サイトHOME‘Sでユーザーが実際に物件を探す際の設備条件の中から、検索件数が多かったものから順にランク付けしたものです。

順位 設備条件
1位 バス・トイレ別
2位 2階以上
3位 駐車場有
4位 室内洗濯機置場
5位 ペット相談可
6位 エアコン
7位 礼金無し
8位 洗面所独立
9位 オートロック
10位 敷金無し

*ライフルホームズ「設備条件のランキング」2016年データに基づく集計

こちらのランキングから、検索に含まれた設備条件では「バス・トイレ別」が最も多かったことが確認できます。この結果から、物件を探す際は、できればバス・トイレは別になっている物件を選んだ方が良いということが考えられます。

4-2.女性の視点から設備面を考える

また、2位には「2階以上」という項目がランキングされています。4位は「室内洗濯機置き場」になっています。このような物件の設備面については、女性の視点から考えると良いでしょう。

バスとトイレが別々になっているという点もそうですが、洗面所独立やオートロックなども特に女性が気にする点です。以下はマイナビ賃貸が女性300人に取った「女性専用マンションで完備している嬉しい設備はどれですか?」というアンケートによれば、「オートロック完備」や「モニター付きインターフォン」など、女性はセキュリティ面で充実しているマンションを評価していることが確認できます。

このように女性が嬉しいと思われる設備は、男女問わず重視する項目と重なる点が多く、女性が嬉しいと思われる設備があるマンションを選ぶことでニーズが高くなることが考えられます。このようなニーズを参考に物件を探すようにしましょう。

5.空室にならないための運用の仕方

ここまでは空室にならないためのエリアの探し方や、好まれる物件の設備などについて見てきました。では、普段の管理や入居者を募集する際などは、どのような点に注意して活動すれば良いのでしょうか。運用中の空室対策について見てみましょう。

5-1.募集の際は入居者のターゲットを絞る

空室になった場合、賃借人が付かないと家賃が入らなくなります。そのためすぐに次の賃借人を募集することが必要になります。賃借人が付きやすくするためのコツとして、入居者のターゲットを絞るという方法があります。

一人暮らしの学生、ビジネスマン、キャリアウーマンといったように仕事や年齢などが違えば、興味を引く内容も異なります。そのため、募集広告もターゲットに合わせて作成することが大切です。

効果的な広告を作成するには、近隣にどのような施設があるのかといったことや、他のマンションにどのような人が住んでいるかなどのエリアに住む人の傾向を知ることは重要です。自分では調べることが難しいと思いますので、不動産会社と相談をしながら話を進めるようにしましょう。

5-2.家賃設定は慎重に行う

賃借人が退去して空室になった際に、次の入居者がすぐに決まるように家賃を下げることがありますが、家賃は一度下げると上げにくくなりますので、慎重な対応が必要です。

しかし、空室期間が長期化すると運用に影響があることが懸念されます。その場合は周りの家賃相場を参考にして家賃を検討しましょう。すでに周りが下がっている場合もありますし、下がっていない場合もあります。もし周りの同じような物件の家賃が下がっているようであれば、下げることを検討しなければいけません。

家を探す人が重視する項目の1位が家賃でしたので、相場に伴わない家賃設定は空室期間の長期化を招くリスクがあると言えます。ただ、家賃競争に巻き込まれてしまうと、収支は悪くなる一方ですので、そうならない工夫を同時にしていきましょう。

6.家賃を下げる際は工夫して収支の悪化を防止する

家賃を下げる際は収支が悪くならないように工夫するということには触れましたが、どのような工夫の仕方があるのかを見てみましょう。

6-1.家賃の見せ方を工夫する

募集の際に賃料と共益費を分けると、違った効果が期待できます。例えば元の家賃が8万円だった場合、家賃を7万8,000円にして共益費を2,000円に設定します。このように設定すると、不動産ポータルサイトで物件を検索するときに、家賃8万円未満といった検索条件でもヒットさせることができます。

結果的に合計の金額は同じですが、多くの人の目につきやすいという点で、告知できる範囲が広がります。必ずしもこの方法で賃借人が付くということではありませんが、広告を見られる範囲が広がりますので、賃借人が決まる可能性は高まります。

6-2.借り換えをして月々の返済額を減らす

家賃を下げる際は、収支が悪化しないように、下げる前に不動産ローンの借り換えを検討してみましょう。金利が低い今の日本では、借り換えをすることでさらに借入金利が低いローンを組むことができる可能性があります。

金利が低くなれば、月々の返済額が減りますので、家賃を下げても収支が変わらなかったり、運用に差支えのない程度のマイナスで済んだりすることが考えられます。事前に借り換えをした時のシミュレーションをきちんとして取り組むことが大切です。

6-3.繰上返済をする

借り換えと同じように、繰上返済を検討することも収支が悪くならないためには必要なことです。繰上返済をすると残債の元金が減りますので、元金に対する利息も減り、借り換えをした時と同じように月々の返済額や総支払額が減るメリットがあります。

先々同じようにまた家賃を下げなければいけないこともあるかもしれませんので、借り換えや繰上返済は早めに検討するようにしましょう。

7.リノベーションして一新する

築年数が多く経過している場合、家賃を下げるだけでは応募が入りにくい可能性もあります。その場合、早い段階でリノベーションすることも検討してみましょう。リノベーションをすると支出が大きくなりますが、空室の期間が長期化することでも大きな支出になり得ます。

近年では不動産会社のリノベーション技術が飛躍的に向上していますので、リノベーションの効果は空室対策だけではなく、売却の際のプラス材料になる可能性も大いにあります。

リノベーションをする際は、売却の件も含めて不動産会社と相談し、賃貸ニーズや収支についてよくシミュレーションするようにしましょう。

まとめ

マンション投資をする際の空室対策について見てみました。空室対策は空室になりそうな時にするのではなく、購入時から立地や建物、設備などを考慮して選定することが大切です。また運用面でも、家賃を下げることで収支が悪くならない工夫も必要です。

空室が長期化すると、金額面での損失は大きなものになります。マンション投資をする際は、空室対策をしっかりして取り組むようにしましょう。

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西宮光夏

不動産会社での勤務や、所有している不動産運用の経験をもとにHEDGE GUIDEでは不動産関連記事を執筆しています。現在は主にふるさと納税の記事を担当しています。ふるさと納税記事では、地域の人たちが心を込めて提供する返礼品の素晴らしさを、少しでも多くの人にお伝えできればと思っています。