コンパクトマンションが売却できない原因は?なかなか売れない時の4つの対策も

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2000年頃に東京都内を中心に導入された「コンパクトマンション」ですが、現在の需要とはマッチせず、なかなか希望価格で売却できない物件も見られています。

そこで今回のコラムでは、コンパクトマンションが売れない原因を解説し、値段を下げる以外の対策法を4つ紹介していきます。

目次

  1. コンパクトマンションが売れない原因は?
    1-1.新築と比較される
    1-2.ファミリータイプと比較される
    1-3.ワンルームマンションと比較される
    1-4.管理体制が良くない
  2. コンパクトマンションを売却するための4つの対策
    2-1.設備のグレードを上げる
    2-2.リノベーション向き中古物件として売却する
    2-3.ターゲットにシニア層を加える
    2-4.不動産会社を変えてみる
  3. まとめ

1 コンパクトマンションが売れない原因は?

コンパクトマンションには決まった定義はありませんが、通常は30㎡以上50㎡未満のマンションのことをコンパクトマンションと呼びます。ワンルームとファミリータイプの中間に位置し、ワンルームや1LDK、2LDKが間取りの中心になっています。

単身者や夫婦のみのDINKS世帯などがメインターゲットとなっており、2000年以降に見られるようになりました。子どもを持たずに夫婦二人だけで暮らしていく新しい家族の形が注目されたり、分譲マンションを求める単身者が増えたことなどが主な要因です。

不動産がなかなか売却できない場合、原因を探し、そのための対策を打つことが大切です。基本的な原因となりうるケースとしては、以下のような事例があります。

  • 価格が高い
  • 物件の状態が良くない
  • 近隣に競合物件がある
  • 不動産会社の対応が悪い
  • 時期が悪い
  • 景気が良くない

これらの基本的な原因をまずは見直し、改善するようにしましょう。その上でコンパクトマンションならではの個別要因によって売却が長引いている可能性について検討してみましょう。

コンパクトマンションの売却が長期化してしまう原因には、主に下記のようなケースが考えられます。

1-1 新築と比較される

分譲マンション購入を希望する単身者やDINKSは経済的に余裕があることが多く、新築物件と比較されやすい傾向があります。中古物件の場合は物件価格に対して100%の融資が得られないことに加え、設備の古さなどが懸念材料になることもあります。

1-2 ファミリータイプと比較される

夫婦二人のDINKS世帯が中古マンションを購入しようとした場合、主な比較対象が50㎡以上のファミリー物件となります。戸数が少ないコンパクトマンションの場合、収益性を優先していることもあり、外観や内観のデザイン、共用部分の設備などのグレードが低いことがネックになります。

1-3 ワンルームマンションと比較される

投資目的ではなく実需(居住用)向けで売却する場合、ワンルームマンションに比べて物件価格が高額に設定される傾向があります。

一方、コンパクトマンションを収益物件として運用している場合は、ワンルームマンションに比べて価格が高い割に設定できる家賃がそれほど変わらないことも多く、この場合利回りがよくないと判断されて売却が難しくなることがあります。

1-4 管理体制が良くない

所有者=居住者が多い分譲マンションに比べて、収益物件として運用している所有者が多いマンションでは、収益性を求めるため管理費用が抑えられる傾向があります。管理費の削減に加えて所有者が管理状況をこまめに把握していない場合、共用部分の清掃やゴミ出し、駐輪場の管理など管理体制が悪くなっていることがあります。

2 コンパクトマンションを売却するための4つの対策

この項目ではコンパクトマンションを売却する際に検討される対策について紹介していきます。コンパクトマンションを売却するためには、コンパクトマンションのメリットを明確にし、そのメリットに合致するターゲットに適切に訴求することが大切です。

コンパクトマンションのメリットには、主に次のことが考えられます。

  • 立地が良い
  • 部屋の広さが十分にある
  • ワンルームマンションよりも設備グレードが高い
  • 実需と賃貸のどちらにも対応する

これらのメリットと前項で紹介した売れない原因を踏まえ、「価格を下げる」以外の4つの対策法として以下の対策が検討できます。

2-1 設備のグレードを上げる

コンパクトマンションのメインターゲットとなるのは、単身者やDINKS世帯です。経済的に余裕があり、ローンも組みやすい状況にあると仮定すると、価格重視よりも快適性重視の傾向が想定されます。そのため、室内の設備グレードを上げることを検討しましょう。

設備のグレードアップには、下記のようなことが考えられます。

  • システムキッチンにビルトイン型の食器洗浄機を取り付ける
  • 空気清浄機能が搭載されているなどの多機能エアコンを導入する
  • 二重ロックなどセキュリティ面を強化する
  • 浴室乾燥機機能がついたユニットバスを導入する
  • 追い焚き機能付きの給湯器を採用する

時間短縮を実現する機能をはじめ、多機能な設備を導入することで物件としての付加価値を高めることができます。入居後の快適な暮らしをイメージしてもらえるように、検討してみましょう。

2-2 リノベーション向き中古物件として売却する

前の項目で紹介したのとは反対に、まったく手をかけずに売り出しをかける方法もあります。入居者自身が住みやすさを追求できるように、リノベーション向き物件として売り出すのです。

コンパクトマンションのメリットは、立地がよく、専有面積が十分にあることです。そのため新築で購入するよりもお得感があり、さらに自分たちの暮らしたいように部屋をリノベーションあるいはリフォームできるのであれば、購入希望者が現れる可能性があります。また、売主としても、想定外の費用がかからないこともメリットになります。

2-3 ターゲットにシニア層を加える

コンパクトマンションの主要ターゲットは単身者やDINKS世帯ですが、少子高齢化の影響で高齢者の住居問題がクローズアップされており、中でもダウンサイジングという考え方が注目されています。

一般社団法人不動産流通経営協会の「FRK調査『シニアの住宅に関する実態調査』2019.6」によると、元々は家族で3LDKや4LDKに暮らしていたが、子供が巣立ったなどで住み替えの際に住居を狭くするダウンサイジング傾向が強まっていることが指摘されています。

高齢化が進む日本では、このようなシニア層に向けた住居が増えると想定されており、需要が増加すると考えられます。これらの傾向から、下記のような対策も有効となる可能性があります。

  • 室内に段差の少ないバリアフリー設計
  • 廊下やバスルーム、トイレなどに手すりなどを設置
  • ヒートショック対策のためにバスルームに暖房を導入
  • 力が弱くても開けられるように扉を開戸から引き戸に変更
  • シニア用セキュリティサービスの導入、など

こうしたリフォームを行っておくことで、シニア層にターゲットを絞り込んで売却活動をすることができます。

またリフォーム後に、高齢者向けの賃貸物件とすることもできます。高齢化社会が今後も続くことを考えると、賃貸物件として長く運用できる可能性があります。

2-4 不動産会社を変えてみる

不動産を売却する不動産会社には、得意な物件と不得意な物件があります。例えば、コンパクトマンションの売却の実績がない場合、ターゲット層の絞り込みがうまくいかず、売却活動がスムーズに進められないことも考えられます。不慣れな印象を受ける場合や、売却活動が長引いてしまっている場合には不動産会社を変更することも検討しましょう。

不動産会社を選定する際は、複数の不動産会社へ同時に査定依頼ができる「不動産査定一括サイト」を活用するとスムーズに進めることができます。下記、主な不動産査定一括サイトをまとめました。

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まとめ

値下げを繰り返しても売却できない場合、売れない物件である印象を与えることもあるため、価格調整は慎重に検討しておきたいポイントと言えます。不動産が売れにくい状況が続いているのであれば、ターゲットに的確に訴求できているかどうかを検証してみましょう。

また、不動産会社によって得意とする物件タイプが異なってきます。売却のパートナーとなる不動産会社のアドバイスなどを参考にしつつ、対応内容が良くないと感じる場合には不動産会社の変更も視野に入れてみるのも良いでしょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。