アパート経営の経費率は?月々のキャッシュフローの目安を解説

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アパート経営では、得られる利益を想定し物件を選ぶことも重要なポイントです。アパートの収益を推測するうえでは、月々のキャッシュフロー、経費率を計算しておおよその支出を把握することになります。

そこで今回のコラムでは、アパート経営に必要な経費と経費率に焦点を当て、月々のキャッシュフローの目安について解説します。

目次

  1. アパート経営のキャッシュフローの目安
  2. アパート経営の経費率
  3. アパート経営にかかる主な経費
    3-1.アパート経営で毎月かかる経費
    3-2.必要なときにかかる経費
  4. キャッシュフローを増やすコツ
    4-1.修繕費を抑制する
    4-2.アパートローンの借り換えを検討する
  5. まとめ

1 アパート経営のキャッシュフローの目安

キャッシュフロー(CF)とは、現金の流れのことを指します。所得と同じような意味で使われることもありますが、厳密には異なります。下記で違いを確認してください。

  • 毎月の不動産所得(円)=家賃収入-経費
  • 毎月のキャッシュフロー=税引き後利益+減価償却費-返済元金

アパート経営の場合、物件の取得費に対して1~2%程度のキャッシュフローがおおよその目安になります。ただし、投資規模や金融機関の設定金利、築年数やエリアによって大きく変動するため、目安として押さえておきましょう。

また、月々のキャッシュフローの目安を把握する上で必要なのが経費率です。経費としていくら必要になるのかを知ることで、手元に残る現金の流れを知ることができます。

2 アパート経営の経費率

経費率とは、アパート経営において得られる家賃収入に対して、経費の割合がどれくらいかを表す数値です。目安は15%~20%で、家賃10万円の部屋が6室あるアパートの場合、60万円×0.15~0.2が計算式となり、月の経費は9万円~12万円が目安ということになります。

ただし、アパートの築年数や物件の状態、ローン金利、入居率、構造など、それぞれの物件の条件によって異なり、外壁塗装や入退去の時期などは大幅に変動します。あくまでも目安として覚えておきましょう。

この経費率がわかると、ある程度のキャッシュフローがわかります。単純な計算になりますが、経費が10万円、ローンの返済額が毎月20万円とすれば、

家賃収入60万円-経費10万円-ローンの返済額20万円

となり、手元に残る現金は30万円ということになります。

アパート経営で売り上げを増加させるには家賃を高く設定する必要がありますが、周辺相場に合わせた設定を行う必要があるため非常にハードルが高いと言えます。つまりキャッシュフローを増やすには、経費を減らしていくことが大きなポイントになります。次の項目で経費について詳しく見てみましょう。

3 アパート経営にかかる主な経費

アパート経営にかかる経費について、どのような種類があるのかをまずは把握しましょう。この項目では、毎月かかる経費と、必要なときにかかる経費について分けて紹介します。

3-1 アパート経営で毎月かかる経費

経営の仕方や仕組みによって異なりますが、毎月かかる代表的な経費は以下のものになります。

管理費

アパートの管理を管理会社に委託した場合は、管理費を支払うことになります。管理費は、ひと部屋◯円や、家賃×◯%など、管理会社によって設定の仕方が異なります。

管理会社の主な業務は、アパートの清掃や外壁工事の提案といった物件管理と、入居者募集や家賃回収といった入居者管理などです。

通信費

アパートを経営する上で必要になるインターネット料金、電話料金、切手代(書類郵送料)などは経費として計上することができます。オーナーの仕事として必要になるケースのほか、アパートの設備としてケーブルテレビやWi-Fiなどを設けた場合にも通信費として計上します。

アパートローンの利息

アパートを購入する際に金融機関から融資を受けた場合、ローンの利息は経費として計上します。ローンの残額が大きいと、この利息額も大きくなります。ただし、元本返済の金額は経費にはならないことに注意点が必要です。なお、ローンの保証料が上乗せされている場合は経費に計上します。

水道光熱費

蛍光灯など、アパートの玄関や廊下などの共用部でかかる電気代は、オーナーが支払うことになります。その他、暖房費、水道料金などの水道光熱費も経費として計上します。

地代・家賃

アパート経営を行うために借りている事務所の家賃は、経費として計上することができます。自宅の一部を事務所として使用している場合も、家賃を按分してその分を経費として計上します。

また、アパートが借地の上に建っている場合、地主に賃料を払う必要があります。この土地の賃料も経費として計上します。

専従者給与

アパート経営に関わる業務を家族や親族に依頼し、賃金を支払う場合は専従者給与として経費に計上することができます。アパート経営では、アパート内の清掃、経理、電話代行、広告作成といった業務が考えられます。

青色申告にしている場合は、専従者給与の上限はありません。ただし、一定額を超えて給与を支払うと、住民税や所得税などの税金が発生することになります。

3-2 必要なときにかかる経費

この項目で紹介するのは、毎月ではなく必要なときにかかる経費です。詳しく見ていきましょう。

租税公課

租税公課とは、国税や地方税などの税金を意味する「租税」と、国や公共団体などに関する会費や交付金といった公的な課金を意味する「公課」を組み合わせた言葉です。

不動産投資にかかる主な税金は下記になります。

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 消費税
  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 不動産所得税、など

これらは全て租税の対象となります。このほか、事業所税や自動車税などを納税する場合も租税として計上します。

一方、公課の対象になるのは、住民票や印鑑証明書などの発行手数料、組合費、町内会費などです。

修繕費

経年劣化や突発的な損傷によって必要になる工事費用のことです。アパートの場合は、外壁や廊下などの共用部分のメンテナンスや工事費用、居室内の内装工事費、設備交換費用などを修繕費として計上します。比較的大きな金額になり、この費用を抑えることで経費率を下げることができます。

保険料

アパートには災害リスクがありますので、オーナーとしての負担を軽減する目的で火災保険や地震保険などの損害保険に加入することが通常です。金融機関から融資を受ける際は、アパートの損失を防ぐ目的で必須となるケースもあります。これらの保険料は経費となりますが、契約年数によって1年、5年、10年ごとなどに必要になります。

交通費

アパート経営では、アパートに出かけて外壁を確認したり、内装工事の進捗状況を確認することもあります。その際の交通費は経費として計上します。

このほか、管理会社や融資を受けている金融機関、依頼している司法書士事務所、登記のための法務局、確定申告のための税務署などを訪問する際に発生した交通費も同様です。電車代だけではなく、ガソリン代、駐車場料金なども交通費となります。

消耗品費

アパートの玄関にある蛍光灯などを交換した際の費用は、消耗品費として経費にします。そのほか、入居者募集のために広告を作る際に必要な紙やインク代、事務用品代なども消耗品費です。

また、ガソリンなどの燃料も消耗されるものなので、消耗品費として計上することもできます。

交際接待費

アパート経営には接待は必要ないと思う人も多いでしょうが、不動産会社や施工会社、管理会社、入居者などと会食した場合の費用は交際接待費として経費に計上できます。

また、会社や事務所などを訪問した際の土産代なども交際接待費として計上することができます。

広告宣伝費

入居者を募集するために不動産ポータルサイトやWEB広告、不動産会社を利用して広告を出しますが、その際の費用は広告宣伝費として経費となります。

管理会社に入居者募集を委託している場合は、入居が決まると請求される仕組みになっています。

4 アパート経営のキャッシュフローを増やすコツ

手元に残るお金を増やすには、毎月かかる経費をコツコツ減らしていくことのほかに、大きな費用を抑制することが大切です。代表的な2つの方法を紹介します。

4-1 修繕費を抑制する

突発的に発生する費用は経営にとって大きな痛手で、手元の資金を減らすことになります。例えば、屋根工事や水道管工事、外壁工事などはアパートの規模によって100万円以上かかることもあります。

そのため、大規模な工事にならないように、日頃からメンテナンスや小さな修繕を行うことが重要です。例えば、外壁のひび割れは数万円で補修ができますが、それを放置したばかりに建物内に雨が浸水して、建物内部にカビや腐食が発生するといったこともあります。

また、工事をする際は相見積もりをするようにしましょう。1社だけでは工事費用の相場は分かりにくいですが、3社程度から見積もりを取ることで相場に適した工事を選択することができます。

ただし、工事代金を抑えるために粗悪な工事をすることは、後々トラブルにつながりますので気をつけましょう。

4-2.アパートローンの借り換えを検討する

融資元の金融機関を変更することで、アパートローンに設定されている金利を引き下げられるケースがあります。高い金利で融資を受けている場合には、アパートローンの借り換えを検討してみるのも良いでしょう。

ただし、借り換えには手数料が発生することや、必ずしも融資条件が良化させられるわけではありません。このような点に注意し、借り換えを行うかどうか慎重に検討してみましょう。

金利が安くなったとしても、変動幅が小さいケースでは手数料や諸費用を反映すると得をしていないということもあります。単にローン金利が下がる場合に借り換えるのではなく、手数料や諸費用、返済期間の短縮を反映したシミュレーションを行い、キャッシュフローの改善が見込めるか確認することが重要です。

オンラインで借り換えシミュレーションをしてみる

アパートローンの借り換えシミュレーションを行う場合、オンラインで無料診断ができる「インベース」が便利です。シミュレーションを申し込むと、以下の情報が盛り込まれた提案書をもらえます。

  • 毎月の利息削減額
  • 借り換えで得する金額の総額
  • 借り換え時にかかる諸費用

またインベースは、借り換え時に必要な「審査書類の取得」なども代行してくれ、融資の承認までサポートしてくれます。

まとめ

今回のコラムでは、家賃収入と経費、キャッシュフローの関係について解説しました。

アパート経営には経費が必要ですが、どのように経費を使うのかはオーナーによって異なります。また、必要な経費を削減してしまい、アパートの収益性や資産性を損ねてしまう可能性があることにも注意が必要です。

経費率を把握しつつ、アパートを運営する上で適した経費の使い分けをできるよう、慎重に判断して行きましょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。