初心者がREIT銘柄を選ぶ際に見るべき6つのポイントは?

REITは10万円前後から不動産に投資が可能であり、また自分で不動産物件を購入することがないため、手軽に不動産投資できる投資手法として人気があります。

しかし、それと同時に、株式投資以上にボラティリティ(価格変動の度合い)が高い側面があるため、投資の際には慎重に銘柄を選ぶ必要があります。

そこで、REITの銘柄を選ぶときはどういった点をチェックすれば良いのか、REIT投資の初心者でも分かりやすいよう、6つのチェックポイントに分けてご説明します。

目次

  1. 初心者がREIT銘柄を選ぶ際に見るべき6つのポイント
    1-1.REITが取り扱う不動産の種類
    1-2.時価総額
    1-3.利回り
    1-4.NAV倍率
    1-5.NOI利回り
    1-6.有利子負債比率(LTV)
  2. 実際のREIT銘柄を例にチェックポイントを解説
    2-1.REIT銘柄が取り扱う不動産の種類から判断する
    2-2.REIT銘柄の個別の指標を確認する
  3. まとめ

1.初心者がREIT銘柄を選ぶ際に見るべき6つのポイン

REITの各銘柄で公開されている情報には、様々なものがあります。その公開されている情報の中から、まずはREITの投資先を選ぶ際に必要なスペックとそれぞれの内容を確認していきましょう。

1-1.REITが取り扱う不動産の種類

REITの銘柄には、取り扱う不動産の種類が明記されています。ホテルなどの宿泊施設やオフィス物件、物流不動産を中心とするREIT銘柄、他にもマンションに特化したREIT銘柄や各種不動産を複合して運営するREIT銘柄などがあります。

これらのREITで運営される不動産の種類によって、市況から受ける影響の大きさに違いが生じます。

たとえば、居住型不動産特化REITは、人々の生活に密接した種類の不動産を扱うため、ホテル特化型やテナント特化型のREITと比較して景気の影響を受けにくい特徴があります。

一方、ホテル特化型REITやテナント特化型REITは事業性が高く、好景気時には価格が上昇する可能性がありますが、コロナショックやリーマンショックのように景気が悪化すると大きく値下がりするリスクを含んでいます。

このように、運用するREITの不動産の種類によって、価格変動のリスクは大きく変わります。安定性と収益性のどちらを重視するのかによって、選ぶべきREITの種類を判断する必要があるでしょう。

1-2.時価総額

時価総額とは、REITの持つ資産価値を日本円で表した数字です。時価総額が大きいREITは多くの人が投資対象にしていることになり、大きな資産によって倒産しにくいメリットがあります。また、総資産の分母が大きくなるため、値動きの上下幅が狭くなる傾向にあります。

一方、時価総額が小さいREITは値動きの幅が大きく値上がりが期待できますが、値下がりのリスクがあります。

1-3.利回り

REIT銘柄を1年間所有する中で、投資額に対してどれだけの配当金が支払われるかを示したものが利回りです。

例えば、3%の利回りが設定されているREITに100万円投資した場合、税引前で年間に3万円の配当金が支払われます。

インカムゲイン目的でREITを所有するのであれば、利回りの高い銘柄を選べば多くの配当収入が得られます。ただし、決算期にREITの収益の額に応じて利回りは見直され、変動する可能性があります。

1-4.NAV倍率

NAVとは“Net Asset Value”の略称で、純資産価値を意味します。NAV倍率を見れば、REIT価格から見た純資産の大きさを計ることができます。

NAV倍率は、以下の計算式で求めることが可能です。

NAV倍率=REITの市場価格÷1口当たりのNAV÷投資口数

NAV倍率を算出した際に1よりも小さい数値であれば、その銘柄はNAV(純資産価値)に対し割安だと考えることができます。NAV倍率をみることでREITが値上がりするのか、今後は値上がりする可能性が高いのか、判断する際の一つの指標とすることが出来ます。

1-5.NOI利回り

NOI利回りは購入時に参照される指数の1つです。

NOIは”Net Operating Income”を略した用語で、不動産投資から生まれた純営業利益を指します。言い換えれば、NOIは不動産を運用して得られた利益から運用費や保険などの経費を差し引いて計上される、純粋にして最終的な利益です。

NOI利回りの値が高いREITほど収益力が高いと言えます。傾向としては、地価が安い場所に建つ不動産のほうが高くなる傾向にあります。

1-6.有利子負債比率(LTV)

有利子負債比率とは、自己資本に占めた利払いや返済が必要な有利子負債の割合を示す数字で、LTVとも呼びます。50%程度が適当な水準とされ、上回る場合は若干注意する必要があるでしょう。

2.実際のREIT銘柄を例にチェックポイントを解説

では、実際にREIT銘柄を選ぶときは、どこに注目すれば良いのでしょうか。ここからは実際に取引されているREITの種類やパフォーマンスを例に解説します。

2-1.REIT銘柄が取り扱う不動産の種類から判断する

銘柄選びの際に最初に見ておきたいのが、REIT銘柄が取り扱う不動産の種類です。日本では2020年2月から3月にかけ、コロナショックによって東証REIT指数が半値に迫るほどの大きな下落を見せました。

以下は2019年5月から2020年5月の期間における、REIT銘柄の価格騰落率10位まで示した表です。

順位 投資法人名 価格騰落率 分配金利回り NAV倍率 時価総額(百万円) 種類
1 産業ファンド投資法人 36.32% 3.29% 1.58 328,815 複合型
2 三菱地所物流REIT投資法人 36.00% 3.20% 1.27 113,916 物流施設型
3 三井不動産ロジスティクスパーク投資法人 28.65% 3.08% 1.31 201,978 物流施設型
4 日本プロロジスREIT投資法人 28.03% 3.00% 1.39 768,112 物流施設型
5 伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人 26.76% 3.81% 1.11 62,159 物流施設型
6 ラサールロジポート投資法人 25.61% 3.62% 1.27 210,584 物流施設型
7 CREロジスティクスファンド投資法人 25.57% 4.21% 1.19 52,018 物流施設型
8 日本ロジスティクスファンド投資法人 17.71% 5.06% 1.12 260,480 物流施設型
9 GLP投資法人 11.51% 3.70% 1.18 538,596 物流施設型
10 日本アコモデーションファンド投資法人 10.65% 3.09% 1.34 312,032 居住施設型

これらの2019年5月から2020年5月の価格騰落率を見ると、上昇している銘柄の多くは物流不動産型REITであることが分かります。

この背景に、物流不動産型REITは新型コロナウイルスの外出自粛による影響が少なく、売買による資産流動性が低く、コロナショックの影響が比較的に少なかったことが考えられます。

このように、REITは実物不動産の需要によって大きく価格が変動する可能性があります。まずはREITの物件タイプを確認し、どのような投資戦略をとるのか慎重に判断する必要があります。

【関連記事】REITの売買のタイミングはいつ?アセットタイプごとに投資戦略を解説

2-2.REIT銘柄の個別の指標を確認する

次に、日本で最も時価総額が高いREIT銘柄の「日本プロロジスREIT投資法人」を例に、それぞれの指標について改めて確認してみましょう。

日本プロロジスREIT投資法人の各種指標は以下のようになっています (2020年5月20日時点)

タイプ 銘柄複合型
時価総額 768,112.275百万円
分配金利回り 3.00%(+0.08)
LTV 38%
NAV倍率 1.39
NOI利回り 5.38%

分配金利回りは標準的だと言えるでしょう。LTVの値は50%よりも低く、銘柄の価格に対して時価総額が高いことが分かります。また、NOI利回りを見てもREIT全体の水準よりも高く、配当利回りに対しても余裕があるので、配当利回りの維持が見込めます。

対してNAV倍率は「1」よりも高めであることから、今後も値上がりする可能性はやや低いことが分かります。

まとめ

REITの各銘柄では時価総額や配当利回り、取り扱う不動産の種類といった各種の指標が公開されています。

2020年5月時点の日本のREIT市場はコロナショックの影響も大きく、物流不動産が価格を伸ばしている反面、ホテル関係REITが値を下げている状態にあります。対象とする不動産によってREITの価格は上下するため、実際の不動産需要にも注目する必要があるでしょう。

市場が大きく動くときと市場が安定している場合では、それぞれに見るべきポイントも異なります。利回りなどの各指標を見ることも重要ですが、まずは市況にマッチしたREIT銘柄を選ぶことから始めると良いでしょう。

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