REITの売買のタイミングはいつ?アセットタイプごとに投資戦略を解説

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REIT(不動産投資信託)は、株式と同じように証券市場に上場しているため、常に相場が変動しています。相場の変動で売却益を得ることができますが、売却のタイミングによって損失が発生することもあります。

またREITでは運用される不動産の種類により、収益性の高さや安定性も変わってきます。

そこで今回の記事では、REITで運用される不動産の種類(アセットタイプ)ごとに、どういったタイミングで売買を行うのが適当なのか、説明していきます。

目次

  1. REITの売買のタイミングとは
    1-1.REITのアセットタイプを見極めながら検討する
    1-2.REITのアセットタイプごとにリスクとリターンは大きく異なる
    1-3.値下がりしてしまったら早めの損切を検討する
    1-4.REITだけに投資金を集中させない
  2. アセットタイプ別の売買タイミングとは
    2-1.ホテル特化型REIT
    2-2.物流特化型REIT
    2-3.オフィス特化型REIT
    2-4.テナント特化型REIT
    2-5.マンション特化型REIT
    2-6.ヘルスケア特化型REIT
    2-7.総合型・複合型REIT
  3. まとめ

1.REIT売買のタイミングとは

REITはどのようなタイミングで売買すれば良いのでしょうか。まずは基本的な戦略をお伝えします。

1-1.REITのアセットタイプを見極めながら検討する

REITは証券市場に上場しているため、任意のタイミングや価格で売買できます。株式と同じように売買益を得ることを目的に、REITに投資する方も少なくないでしょう。

売買のタイミングで購入するには、REITのアセットタイプを見極めながら検討することが大切です。

例えば、日本の観光客数が増加している状況であれば、ホテルREITの値上がりの可能性があります。また、物流市場が拡大すると予想されるのであれば、需要が生まれる物流REITの値上がりも期待出来るでしょう。

このように、購入するREITのアセットタイプが上昇傾向にあり、今後の需要に期待できる時がREITを購入するタイミングだと言えます。

1-2.アセットタイプごとにリスクとリターンは大きく異なる

REITには配当利回りが3%~10%と幅広く、不動産投資と同程度の水準の銘柄があります。

キャピタルゲインに相当するREITの売買益ではなく、年2回のREITの配当金、つまりインカムゲインを得ることを目的に投資する方も多いでしょう。

REITで高利回りな銘柄を狙うのであれば、高いホテルREITや商業施設REITなど、収益性の高いアセットタイプを選ぶと良いでしょう。

これらのREITは景気の影響を受けやすく、国内需要が大きい時に連動し、収益性を大きく上げることが可能なREITです。

需要があれば、テナントの家賃やホテルの宿泊代は値上げ可能です。そのため部屋数が同じでも、収入が上昇することがあります。

一方で、マンションや物流型REITは景気の影響を受けにくいといえます。好景気でも急に家賃を上げることは難しいですが、一方で不景気でも家賃はすぐに下がりづらいためです。

このように、アセットタイプによって収益性の上下差が大きく異なります。リスクとリターンを比較しながら、慎重に検討しましょう。

1-3.値下がりしてしまったら早めの損切を検討する

株式と同じようにREITも値が下がれば、損失が発生します。思ったような値動きにならない場合、早めに売却して損失をできるだけ抑えましょう。

不景気になり、REITの相場が全般的に下がりそうであれば、早めに損切りを行うことも重要です。

1-4.REITだけに投資金を集中させない

REITは現物不動産の相場の影響を大きく受ける投資商品です。そのため、REIT全てに投資金を集中させず、様々な投資対象に資金を分散する分散投資をしましょう。分散投資を行うことで、不動産相場が大きく下落してしまった際のリスクをヘッジすることが出来ます。

また、REITを一定期間所有して予想通りに値上がりした、もしくは、一定額の配当金を得たなどのタイミングで売却し、利益を確定する戦略も良いでしょう。

一定の利益を確保して現金化したところで、これから先に値上がりが期待できる他の投資対象に再投資し、資金を分散することも有効です。

2.アセットタイプ別の売買タイミング

次に、それぞれのREITのアセットタイプ別に、売買に最適なタイミングについて見ていきましょう。

2-1.ホテル特化型REIT

ホテル特化型REITは、景気の影響を強く受けやすいタイプのREITのひとつです。2018年~2019年には日本のインバウンド需要の増加によって大きく値上がりし、REIT市場を牽引しました。

しかし、2020年コロナショックの影響により、最も大きな幅の値下がりを見せています。ホテル特化型REITは相場の流れに影響されやすいことから、購入する場合は配当金目当てに長期保有するより、売買をメインに検討する方が良いでしょう。

2-2.物流特化型REIT

ホテル特化型REITと対照的なのが物流特化型REITで、倉庫などを運営するタイプのREITです。近年のインターネットショッピングの市場拡大によって需要が増え、値上がりを見せています。

コロナショックの状況下でも値下がりの幅は小さく、1年のスパンで見れば大きく値上がりしている銘柄が多いです。

今後もネットショッピング市場の拡大が予想され、それに伴って倉庫に対する需要も増大していくことが期待できます。

2-3.オフィス特化型REIT

オフィス特化型REITも、景気の影響を比較的受けやすいと言えます。影響を受ける主な経緯としては下記のような流れです。

景気の悪化→会社業績の悪化→オフィスの撤退→家賃の下落

ホテルのように即座に業績に表れるのではなく、賃貸中の企業の業績によって強く影響を受けることが分かります。

そのため、REITの価格が下がったとしても、利回りは急激には下がりにくい特徴があります。オフィス特化型は売買の利益と配当金のどちらも狙えるREITですが、長期の保有を続ける場合には値下がりのリスクにも注意する必要があるでしょう。

2-4.テナント特化型REIT

テナント特化型REITは、オフィス特化型REITに近い性質を持っています。景気が良い時にはテナントの売り上げが増加して投資家の配当も増え、REITの価格も値上がりします。

一方で、景気が悪い時には投資家への配当が減り、REITの価格も大きく下落します。配当金目当てで長期保有すると、思わぬリスクを被ることがありますので注意が必要です。

2-5.マンション特化型REIT

マンション特化型REITは景気の影響による価格変動が少ないREITの一つです。マンション特化型REITは居住物件を運営しているため、景気の変動に大きな影響を受けない需要があります。

そのため、家賃収入が大きく下がったり、空室率が急に上がったりすることは考えにくいです。2020年のコロナショック後でも、ある程度はREIT価格の下落の幅も限定されています。

一方、急激な価格の上昇は起こりくく、売却益を得にくいREITと言えます。インカムゲインを狙って長期保有が基本戦略となるでしょう。

2-6.ヘルスケア特化型REIT

ヘルスケア特化型REITは、2020年4月時点では1銘柄しかない医療施設を運営するタイプのREITです。

こちらも景気の影響を受けにくく、比較的安定した収入が見込めるタイプのREITです。ただし、1銘柄しかないために傾向を把握しにくく、今後どのような変動を見せるのか、未知の部分が多いのはデメリットと言えるでしょう。

今後の医療報酬制度の変更で、収益性が大きく変化する可能性があるREITです。

2-7.総合型・複合型REIT

総合型・複合型REITは様々な種類の不動産を組み合わせたREITです。そのため、様々なアセットタイプへの分散投資が行われており、リスクもリターンも抑えられています。

総合型・複合型REITはリスク分散をあらかじめ行っている投資商品のため、基本的には価格の変動に注意しながら、長期保有をする戦略が良いでしょう。

ただし、投資先は不動産へと限られているため、不動産市場全体に関わる景気の影響は無視できません。実際にコロナショック後は、総合型・複合型のREITも価格が下落しています。

まとめ

一口にREITと言っても、実に様々な種類のREITがあります。景気の影響を受けやすいのは、ホテル特化型とテナント特化型です。

反対に、景気の影響を受けにくいのは、マンション特化型と物流特化型REITです。売買で利益を狙うのであれば前者が向いていますし、配当金目当てで長期の保有を続けるのであれば後者が向いています。

このように売買のタイミングはアセットタイプごとに異なります。価格変動の大きいREITはリターンが大きくなりやすい分、下落リスクも大きくなりやすい点に注意しましょう。

今回ご紹介したREITのアセットタイプごとの特徴を参考、投資対象を選んでいきましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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