企業の決算発表が集中する5月、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響が一気に顕在化した。業績の急激な悪化にとどまらず、データがそろわず発表自体を延期する企業が複数出てきている。不動産業界にもマイナス影響が懸念されているが、逆風の中で健闘する企業もある。都心の投資用新築マンションの開発・販売・管理などを手掛けるプロパティエージェント株式会社では、政府の緊急事態宣言が発令された4月、前年同月比2.8倍の不動産投資セミナー参加者があり、月間販売数は26%増となった。外出自粛や面接NGで商機が激減していた時期、同社のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が効果を発揮した。
デジタルトランスフォーメーションは、ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させていくという概念。2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱したとされる。同社では2019年5⽉にDX専⾨チームを発⾜、不動産業界でもいち早くDX推進に取り組んできた。チームには3人の専任者を置き、全社横断の取り組みとすべく全部署からもメンバーを参画させ、計13人体制とした。
2019年にはドキュサイン・ジャパン株式会社との協業で、プロパティ社の投資用マンションブランド「クレイシア」の売買取引契約の電子化を実現。さらに、国⼟交通省が2019年10⽉1⽇から実施した「個⼈を含む売買取引におけるIT を活⽤した重要事項説明に係る社会実験」にも参画、テレビ会議などを利用して行う賃貸借契約における重要事項説明(IT重説)の実用化へ前進。今年4月にはWEB商談、IT重説、電子契約サービスを活用した完全オンラインの不動産販売の事例を出している。好評なセミナーもWEBに切り替えた。「外出自粛制限の中、先行実施してきたオンラインでの投資用不動産販売スキームが支持された」(同社)ことが寄与した。
政府の緊急事態宣言は、5月22日現在で東京、神奈川、千葉、埼玉の一都3県が未解除となっている。制限が解除されても、“コロナ前”の状態に戻るにはなお時間を要するだろう。世界最大規模のGDP(国内総生産)を誇る東京と東京都市圏の復調なくして日本の経済回復はない。コロナ禍がDXを後押しする状況となった今、同社の取り組みは一層注視されている。
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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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