農林中央金庫と三菱地所株式会社は5月29日、国内不動産業界で初めてサステナビリティ・リンク・ローン(SLL)による金銭消費貸借契約を締結した。今回のローンは借り手の経営戦略に基づくサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)を設定し、貸付条件をSPTs達成状況に連動させることで、借り手に目標達成に向けた動機付けを促進、環境・社会の面から持続可能な事業活動および成長を支援する。ローン実行日は5月29日で融資期間は11年3カ月。金額は115億円、長期運転資金としての融資となる。
同ローンでは「三菱地所グループのSDGs2030」に基づく目標を踏まえ、2030年時目標としてCO2排出量を2017年比35%削減、再生可能電力比率25%を SPTsに設定した。SLLは、資金使途を限定せずに事業資金として活用できることが特徴だが、三菱地所ではこの資金の一部を再生可能電力の導入拡大や CO2 削減に寄与する取り組みにも活用する計画だ。同ローンの契約締結にあたっては、SLL原則への準拠性や、設定したSPTsの合理性について、株式会社日本格付研究所より第三者意見を取得した。
三菱地所は、持続可能な社会の実現を目指した事業の推進のため、2050年のサステナビリティ経営を見据えた「三菱地所グループのサステナビリティビジョン2050」を制定。2020年1月に発表した「長期経営計画 2030」でも、このビジョンを達成するためのテーマとアクションを定めるマイルストーンとして「三菱地所グループのSustainable Development Goals 2030」を定め、気候変動問題に関しても具体的な数値目標を設定して取り組むこととしている。
農林中央金庫は、2019年よりサステナブル経営をスタートさせており、三菱地所のサステナブル経営にかかる長期ビジョンの理念に共感し、本件ローンによる資金供給を通じ、環境・社会課題のうち、同金庫が重視する気候変動問題の解決に貢献するものと評価し、今回の契約締結に至ったという。
【参照リリース】農林中央金庫・三菱地所株式会社「サステナビリティ・リンク・ローンの 契約締結について」
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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