マンションの売却価格は常に一定ではなく、市場の動向や経済状況による影響を受けています。そのため、マンション売却を検討するタイミングは、物件の所在するエリアの市場動向を見極めて判断することも重要です。
マンション市場の主要エリアである、東京・大阪・名古屋のマンション市場はどのようになっているのでしょうか。
本記事では、東京・大阪・名古屋のエリア別のデータから、それぞれのエリアのマンション市場動向を分析し、マンションの売却タイミングについて考えていきます。
目次
- 東京・大阪・名古屋のマンション市場動向
1-1.東京エリアの市場動向
1-2.大阪エリアの市場動向
1-3.名古屋エリアの市場動向 - 売却タイミングを検討する際の判断の仕方
2-1.各エリアの市場動向から検討する
2-2.市場全体の価格上昇要因や、個別の物件事情を踏まえる - まとめ
1.東京・大阪・名古屋のマンション市場動向
全国の不動産価格の動向を表す、国土交通省の不動産価格指数データの推移をみると、2013年1月頃から、特にマンションの価格指数は一貫して上昇しており、2010年から約1.5倍にまでなっています。
ただし、不動産価格は、その不動産の所在するエリアによって影響を受けます。マンション市場の主要エリアである、東京・大阪・名古屋のマンション市場について、それぞれ詳しく解説していきます。
1-1.東京エリアの市場動向
東京カンテイの「2020年・年間平均中古マンション価格」によると、東京23区の中古マンション70平米換算価格は、2012年以降、一貫して上昇を続けています。2012年に3,975万円であったのが、2020年には5,766万円になっており、約1.5倍になっています。
公益財団東日本不動産流通機構の「Market Watch 2020年10~12月期」によると、東京23区の中古マンションの四半期ごとの成約件数は、直近3年間、3,700件から4,300件の間で推移しており、ほぼ横ばいの状態です。コロナショックが起きた2020年でも、成約件数が落ち込んだのは4~6月期のみで、その他の四半期はほぼ変わっていません。
このようなデータからすると、東京エリアのマンション市場では、価格が上昇しているにもかかわらず、需要が大きく減少しているということもなく、堅調に推移していることが分かります。
1-2.大阪エリアの市場動向
東京カンテイの「2020年・年間平均中古マンション価格」によると、大阪市の中古マンション70平米換算価格は、2012年以降、一貫して上昇を続けています。2012年に2,133万円であったのが、2020年には3,406万円になっており、約1.6倍になっています。
公益社団近畿圏不動産流通機構「マンスリーレポート2021年1月号」によると、大阪市の中古マンションの成約件数は、直近5年間、3,600件から4,400件まで増加しています。
2020年の月別成約件数をみると、緊急事態宣言が発令された4月・5月が極端に落ち込んだものの、その他の月は依然前年と変わらない件数を維持しています。
このようなデータからすると、大阪エリアのマンション市場も、東京と同じく価格が上昇しているにもかかわらず、需要が大きく減少しているということもなく、堅調であるといえます。
1-3.名古屋エリアの市場動向
東京カンテイの「2020年・年間平均中古マンション価格」によると、名古屋市の中古マンション70平米換算価格は、2012年以降、一貫して上昇を続けていましたが、2020年には小幅な下落となりました。
2012年に1,738万円であったのが、2019年には2,410万円になり、2020年には2,358万円となっており、2012年時の約1.4倍の価格を維持しています。
公益社団中部圏不動産流通機構「季刊サマリーレポート2020年10~12月期」によると、愛知県の中古マンションの成約件数は、直近3年間で1,000件から1,200件で推移しており、横ばい状態といえます。他の地域と同様、2020年の減少も、2020年4~6月期のみにとどまっています。
このようなデータからすると、名古屋エリアのマンション市場は、価格は高い水準を維持しており、需要も堅調であるといえますが、価格がわずかに下落したことから、高止まりの可能性も考慮する必要があると考えられます。
2.売却タイミングを検討する際の判断の仕方
東京・大阪・名古屋エリアのマンション市場の動向をデータでみてきました。これらの情報から、それぞれのエリアのマンション売却のタイミングについてどのようなことがいえるでしょうか。
2-1.各エリアの市場動向から検討する
マンションを高値で売却するには、各エリアの市場動向を見極めて、価格の上昇につながっているタイミングで売却したいといえます。
東京・大阪エリアのマンション市場は、いずれも価格が上昇を続けており、成約件数も上昇基調あるいは横ばいで推移していることから、堅調であるといえます。名古屋エリアのマンション市場も、依然堅調であるものの、高止まりの傾向がみられています。
このようなデータにみる市場動向からすると、いずれのエリアでも、近年、価格が高い水準になっていることから、含み益が生じているなら、売却してもよいタイミングであると考えられます。
ただし、各都市とも上昇相場がまだ継続する可能性もあり、金融機関の融資状況や市場動向を確認しながらもう少し様子をみてみるのも選択の一つと言えます。
2-2.市場全体の価格上昇要因や、個別の物件事情を踏まえる
マンションの売却タイミングを計るには、市場全体の価格上昇の動向に加えて、個別の物件事情を踏まえることも重要です。
不動産市場全体の価格上昇要因となるものに、金融機関の融資態度があります。「日銀短観(2020年12月)」によると、現在の不動産業に対する融資姿勢は緩和された状況であるため、今後も価格上昇傾向が継続する可能性があるといえます。
一方、金融機関の貸出態度が厳しくなったり、貸出金利が上昇してくれば、不動産価格の上昇が止まったり、価格下落に転じる可能性が生じてきます。
また、不動産はこのような全体的な傾向だけでなく、物件の個別事情による価格変動にも注意が必要です。マンションの場合、経年劣化によって建物価格が築浅時から築30年ぐらいまでに半分以下まで下落する傾向にあります。
その他、マンションのエリアによっては人口が減少傾向にあったり、新築物件の供給数が多く、賃貸需要を超えた供給過多になっているケースもあります。このような、個別の状況も踏まえ、売却タイミングを見はからうことが重要です。
個別のマンションの価格推移を確かめるのであれば、不動産会社による査定を定期的に受けておくことも一つの方法となります。例えば、不動産一括査定サイトを活用すれば、複数社による簡易査定を無料で受けることができ、効率的にマンションの価格を調査すること可能です。
また、不動産一括査定サイトは、査定価格の結果を見てから売却するかどうか、依頼するかどうかを判断することができます。「まずはいくらで売れるのか価格を知りたい」「不動産査定を受けたことが無い」「マンションの実際の価格が気になっている」という方は、利用を検討してみましょう。
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まとめ
東京・大阪・名古屋エリアのマンション市場は、価格・成約件数ともに堅調であることから、もう少し様子をみて売却することも検討できると考えられます。
ただし、マンションの売却にあたっては、金融機関の融資姿勢などの市場全体の動向や、経年劣化などの物件の個別事情も考慮することが重要になります。不動産会社の査定を定期的にうけ、実際に所有しているマンションの価格推移を確認しながら判断してみましょう。
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佐藤 永一郎
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