2月9日に明らかとなったテスラのビットコイン大量購入を受け、カナダのRBCキャピタルマーケットが、もし米アップルが暗号資産市場に参入した場合どれ程の収益をあげるかという興味深い試算を行なった。
カナダのロイヤル銀行グループ傘下のRBCの試算によると、アップルは暗号資産市場に参入することで400億ドルの収益を容易に手にすることになるという。根拠としては、世界中でキャッシュレス決済の需要が高まる中、アップルは既に数百万ものユーザーに決済用ウォレットを提供しているためとした。
またiPhoneを起点としたウォレット事業が基盤となり、取引所事業に進出することでさらに多くのユーザーを獲得することができると説明している。これにより、iPhoneの販売台数も増加することが期待される。
RBCは、試算の参考値として米決済大手のSquareを引き合いに出した。Squareは、約3,000万のユーザーから年間約64億ドルものビットコイン関連収益をあげているという。
アップルのユーザー数は約15億人いるとされ、仮にそのうちの約10%にあたる2億人がビットコイン取引を行なった場合、単純計算でSquareの6.66倍の収益が期待できると説明した。
なおRBCのアナリストは、現状の暗号資産取引所事業について激戦区にはなっていないと言及している。規制によって投資家が暗号資産にアクセスするためのハードルが高まっており、アップルはここで高い優位性を発揮できるとの見解だ。
PayPalが暗号資産市場に参入した際の盛り上がりを踏まえると、この指摘は正しいかもしれない。iPhoneユーザーであれば本人確認などの煩雑な作業を改めて行う必要もなくなるだろう。これは、新規ユーザーを獲得するには非常に大きな強みとなる。
アップルが暗号資産市場に参入する場合、研究開発費として5億ドルが必要になるという。これは、Squareの2019年における研究開発費が6億7,000万ドルであることを根拠としている。400億ドルの収益が見込めるのであれば、今すぐにでも着手すべき試算だと言えるだろう。
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【参照記事】Apple Should Launch Own Crypto Exchange, RBC Analyst Says
株式会社techtec リサーチチーム
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