アパート経営で重要なエリア戦略のポイントは?初心者でもできる3つの調査方法を解説

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アパート経営を検討するうえでは、購入する物件のエリアの選択・エリア戦略の策定が欠かせません。

不動産投資初心者の場合、つい不動産賃貸会社の営業員など不動産に知見のある専門家の話に頼ってしまいがちですが、どのような専門家も話す内容にバイアスがかかるリスクはゼロではないため、多角的な視点から検証し、自身で投資判断をしていくことが大切です。

専門家の話を聞きつつも、インターネットや現地調査などを交えて、公平に判断していきましょう。この記事では初心者におけるエリア戦略の重要性や、3つの調査方法について紹介していきます。初めての不動産投資におけるエリア戦略の策定の参考にしてください。

目次

  1. アパート経営のエリア選定とは?
    1-1.アパートの購入エリアの選定や計画策定に欠かせない
    1-2.アパートの購入エリアはどのように考えれば良いか?
    1-3.エリア戦略における着眼点
  2. 初心者がエリア戦略を考える上での3つの調査方法
    2-1.インターネットを活用した情報収集
    2-2.専門家および地域に詳しい人の話を聞く
    2-3.現地調査
  3. 初心者でもアパート経営のエリア戦略を考える重要性
    3-1.エリア戦略は立地選び・不動産経営に必須
    3-2.不勉強なまま専門家に判断を委ねてしまう可能性も
  4. まとめ

1 アパート経営のエリア戦略とは?

不動産投資の成否において重要な物件選びや、経営方針、将来の収益性を適切に考えていくうえで、購入エリアについてよく理解しておく必要があります。まずはアパートにおけるエリア戦略についてみていきましょう。

1-1 アパートの購入エリアの選定や計画策定に欠かせない

エリア戦略の策定はアパートの購入エリアを絞り込むうえで必要です。アパート購入を考える時には、物件自体の良し悪しよりも先に、立地するエリアに魅力があるか、長期にわたり豊富な賃貸需要が見込めるかを見極めなければなりません。

どんな魅力的な建物であっても、そのエリアの賃貸需要が少ない、または減少傾向にあるのであれば、一定の収益を見込むことが難しくなります。また、その地域の賃料相場や物件のトレンドなどがわからなければ、適正な物件を判断することもできないでしょう。

さらに購入後の賃貸経営を考える上でもエリア戦略が有効です。まず賃料相場を把握することで、適正な家賃を設定できます。家賃水準の想定は将来の収益性のシミュレーションにも大きく影響します。

また、その地域の人口動態や住む人の特性によって、修繕・リフォームなど物件管理の意思決定にも影響が出てきます。たとえば、女性が多く住むと想定されるのであれば、セキュリティ関連の設備投資を積極的におこなったり、都心部で外の喧騒が気になるなら、防音対策に力を入れるなどの具体的な対策を取りやすくなります。

このように、購入時だけでなくアパート経営を進める上でも、エリアに対する精緻な調査が必要です。

1-2 アパートの購入エリアはどのように考えれば良いか?

アパートの立地エリアの区切り方に厳密な決まりはありませんが、おおむね次のような形で絞り込んでいくのがよいでしょう。

  • 都道府県や都市などの単位
  • 交通網の沿線と最寄駅
  • 同じ最寄駅の細かいエリア

まずは、都道府県や大都市圏などからエリアを考えていくのが良いでしょう。首都圏・名古屋・大阪といった大都市圏や、福岡・札幌・広島などの政令指定都市など、最も大きな括りでエリアごとの特性や魅力を検討してみましょう。

続いて一つの都市圏や都道府県内のより細かいエリアを考えます。アパート経営においては交通網を基準にエリアを考えていくケースが多いため、初心者の場合は路線ごとに考えていくのがわかりやすいでしょう。

エリアごとに物件の詳細を見ていくと、「ターミナル駅にアクセスの良い路線の周辺は便利だが賃料相場も物件価格も高い」、「アクセスが悪ければ客付けの難易度が上がるが物件も安い」などの傾向が見えてきます。これらのエリアごとの特徴を比較検討しなが、ら自分が魅力に感じるエリアを絞り込んでいきましょう。

駅まで絞り込んだとしても、まだエリアに対する調査は終わりません。最寄駅が同じでも南北で街の様子や利便性、治安などが異なるなど、より細かいエリアによって異なる特徴を持つケースもあります。一つの最寄駅においてどのようなエリアがあるのかも、詳細に調査しておきましょう。

1-3 エリア戦略における着眼点

初心者のエリア戦略においては、あらかじめ着眼点を明確にしておき、これらの情報をくまなく集めることをゴールとして進めていくのがスムーズです。

エリア戦略の主な調査項目

  • 人口動態の調査
  • 賃貸需要の調査
  • 競合の調査
  • 周辺環境の調査

人口密集地であれば賃貸需要は増加しやすくなります。また、より若年層が集まる街の方が、独身で住む人が多い傾向があり、単身者向けの間取りでの賃貸需要が期待できます。現在の人口動態の他、将来の見通しも確認できると望ましいといえます。

賃貸需要を生み出す源泉を確認しておきましょう。たとえば最寄駅までの距離や、利便性、最寄駅からアクセスできる中心地までの所要時間、同じエリア内の教育施設や大企業の有無などを調べておけば、将来の需要減退のリスクを把握することができます。

たとえば大学が近くにあり、学生需要が期待できるのはポジティブですが、この大学が将来移転したときに需要が減退するリスクと考えることもできます。現状だけでなく、需要変化に対するリスク要因まで把握しておくのが良いでしょう。

競合については、特に賃料や物件価格の水準、間取りや設備のトレンドなどを確認しておきましょう。たとえば、同じ独身むけでも地域によってワンルーム・1LDKなどトレンドは異なります。また、駐車場の有無もエリアによる差が大きいポイントです。

周辺環境については、周辺の買い物・通勤通学の利便性や治安などを見ておく必要があります。見落としがちなのが夜間の環境で、昼間は閑静な住宅街なのに、夜間はあまりに暗かったり、逆に近くに歓楽街があって騒々しかったりといったケースも少なくありません。

そのほか、自治体が公表するハザードマップを中心とした災害リスクにも着目しましょう。災害の多い日本では、都市部など利便性の高い地域でも災害リスクが高いケースが少なくありません。災害リスクを受け入れつつ、適切な保険に加入などの対策をしておくことが大切です。

このようにエリアにおいて考えるべきポイントは多数あり、アパート経営を成功させる上で、重要な着眼点となります。

2 初心者がエリア戦略を考える上での3つの調査方法

アパートのエリア戦略というと一見難しそうな印象を持ちますが、初心者でもエリア戦略をしっかりと考えておく必要があります。インターネットの活用や専門家からの情報収集、現地調査を組み合わせて、エリア戦略を物件選びやその後の賃貸経営に役立ててください。

2-1 インターネットを活用した情報収集

現代ではインターネットでエリアに関する豊富な情報が手に入ります。不動産関連のWebサイトや政府系機関の公開情報、Googleマップ、地元の店舗のWebサイトなど、多種多様なWebサイトがエリア戦略の策定に役立ちます。まずは大まかに、下記のような情報収集から始めてみると良いでしょう。

まず競合やエリアの賃料相場を見たいなら、賃貸ポータルサイトでその地域の入居募集や売買されている物件を見るのが有効です。Googleマップなどの地図情報などを組み合わせれば、周辺地域の施設や駅までの距離、最寄駅の交通網なども把握できるでしょう。

交通網についてはその路線の時刻表なども見ておきたいところです。運行頻度やターミナル駅までの所要時間はそのエリアの利便性に大きな影響を及ぼします。

また、政府機関が公表する情報の収集も欠かせません。人口動態や治安などは、それぞれの政府系機関が定期的に調査結果を公表しています。また、自治体のWebサイトを調べれば教育機関・医療機関などの公共施設の場所、利便性なども確認できるでしょう。

周辺に大きな商業施設や商店街があるときは、そこが運営しているWebサイトものぞいてみましょう。どのような店舗があるかによって、利便性の高さや募集時のターゲットとなる属性が見えてくることもあります。

このようにインターネット上だけでも多くの情報が手に入ります。インターネットなら自宅からでも充分に時間をかけて調査できるので、積極的に活用しましょう。

2-2 専門家および地域に詳しい人の話を聞く

他人の話を聞くのもエリア戦略を考える上では重要です。まずは、不動産投資会社など、物件販売に関わってくれる人の話を聞いてみましょう。

不動産投資会社は物件販売を目的としているため、話の内容にバイアスがかかる恐れがある点には留意が必要ですが、それでも専門家としてエリアの特性を的確に捉えた上でアドバイスをしてもらえます。

もし、該当する人が知人などにいれば、そのエリアの周辺に住む人に話を聞くのも有効です。親戚や知人など、不動産投資について気軽に話ができる気心の知れた相手なら、その地域の状況や特徴などを聞いてみると良いでしょう。不動産の専門家でもつかめていなかった意外な一面を、地域に住む人の方が知っているというケースも少なくありません。

2-3 現地調査

物件購入を最終決定する前には、候補エリアの現地調査も行っておきましょう。その地域の利便性や街の雰囲気、治安などは自分の目で見て、歩いてみて気づくことも多くあります。

たとえば、見かけ上の駅までの距離が近くても坂ばかりで意外と大変だったり、狭い道が多くて自動車利用には不便だったり、実は周辺が落書きだらけで治安が乱れていたりなどといったケースは、インターネットの情報収集でつかみ取るには限界があります。ネガティブな情報なうえ、物件自体の特徴ではないので、不動産会社の担当者が正直に話してくれるとは限りません。

全ての物件についてエリアの現地調査を行うのは難しいとしても、せめて購入検討の最終段階に入った物件だけでも必ず現地を訪れて、周辺環境に大きな懸念がないことを確認してから契約を進めましょう。

3 初心者でもアパート経営のエリア戦略を考える重要性

初心者がアパート投資を行うエリアを選ぶのは難しいので、つい専門家に任せようとしてしまいがちです。しかし、たとえ初めての不動産投資でも、必ず自分でエリア戦略を策定して、物件選びや不動産経営に役立てるようにしましょう。自分なりのエリア戦略の策定が、アパート経営の成功においては非常に重要なのです。

3-1 エリア戦略は立地選び・不動産経営に必須

エリア戦略はアパートによる不動産投資における意思決定のとても重要な部分に関わるため、この部分を専門家などから言われるがままに進めてしまうのは適切ではありません。

先ほど情報収集の一環として「専門家の話を聞く」と書きましたが、不勉強なまま他者の話を鵜呑みにして良いと言うことではないので注意してください。

エリア戦略を明確にしないと、物件の購入地域を選ぶことすらままならなくなります。不動産投資において物件の立地選びは、それだけで投資の成否に大きな影響を持ちます。立地選びに関する情報収集を怠って安易に意思決定するのは、あまりにリスクの高い行為です。

また、購入後の物件管理や修繕・リフォームなどさまざまな部分でエリア戦略が絡んできます。エリアの災害リスクによって加入すべき保険や防災・セキュリティ対策など備えるべきポイントが変わってくるでしょう。

住む人の属性によって修繕やリフォームの優先度が変わってくることもあります。たとえば、比較的に高所得の方が住む地域ならリフォームで積極的に物件の質を高めて賃料を引き上げるのが有効です。

逆にリフォームを最低限に抑えて競争力のある家賃を提示した方がいいケースも考えられます。女性が多いかどうかによって、セキュリティに関する設備など、注力すべきポイントも変わってきます。

3-2 不勉強なまま専門家に判断を委ねてしまう可能性も

初心者における「専門家」は主に不動産投資会社の担当スタッフとなります。第三者目線から不動産投資に的確なアドバイスをしてくれる人が知り合いにいれば良いのですが、初心者でそのような専門性の高い人と知り合う機会は多くありません。

不動産投資会社は物件を販売することが目的であるため、話している内容にバイアスがかかります。自分が物件を販売したいエリアの長所は誇張されて、短所は覆い隠されて説明されるケースもあるでしょう。

誇張されている可能性があることを理解しつつ、自身でも不動産投資の知識を身に付け、冷静に判断できるようになることが大切です。不動産のプロである不動産投資会社は自力の情報収集では得られない貴重な情報や知識を与えてくれます。

例えば、アパート造りの基準を物件選びの目線が厳しい社会人女性に絞って、入居率99.7%(2021年12月時点)の実績を実現している「アイケンジャパン」は、土地選びにおいても主要駅10分圏内(首都圏は15分圏内)のエリアにこだわっており、入居者の利便性と土地の価値を重視しているアパート経営会社です。顧客から選ばれる人気の高いアパートを実現するために、防音性、防犯性、デザイン性、コストパフォーマンスなど、マンションにも引けを取らないほどのクオリティの高品質アパートとなっています。

その他、大手不動産投資会社「シノケングループ」の100%子会社のシノケンプロデュースでは、入居率は98.56% (2023年年間平均入居率)を実現しています。加えて、滞納リスクを下げるために厳しい入居審査を実施、クレームには30分以内に対応するなど賃貸管理サービスの品質も高くなっています。入居者向けコールセンター(24時間365日8カ国語対応)で、外国人や高齢者など敬遠されがちな方にも手厚い対応を行い、高齢者の継続的な安否確認、外国人の言語の壁によるコミュニケーションや生活マナーの改善などが期待できるサービスとしてメリットがあります。

初心者の方が不動産投資を始める際に大事なことは、不勉強なまま1社だけの話を鵜呑みにせず、複数の不動産会社の話を聞き、それぞれの内容を比較してみることです。自分なりにエリアに関する調査を進めておいた上で、不動産投資会社の情報も活用すれば、専門的な知見を吸収しつつバイアスに惑わされずに、冷静にエリア戦略を策定していけるでしょう。

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4 まとめ

インターネットの普及により、個人投資家でも豊富な情報を簡単に入手できる時代になりました。アパート経営におけるエリア戦略を考える上では、インターネットによる徹底的な情報収集が大切です。

その上で、インターネット上だけでは不足する情報を不動産投資会社へ相談されてみるなどして補いましょう。さらに自らの足で実地調査をすることで、自分に合ったエリアの物件を購入し、かつ適切に管理できるようになります。

初心者だからとエリア戦略の策定を怠ると、不動産投資会社の言葉を鵜呑みにし合理的ではない物件を購入してしまうリスクもあります。できる限り自分で情報収集を進めて、エリア戦略の策定に臨んでください。

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伊藤 圭佑

資産運用会社に勤める金融ライター。証券アナリスト保有。 新卒から一貫して証券業界・運用業界に身を置き、自身も個人投資家としてさまざまな証券投資を継続。キャリアにおける専門性と個人投資家としての経験を生かし、経済環境の変化を踏まえた投資手法、投資に関する諸制度の紹介などの記事・コラムを多数執筆。