20代から投資を始めるには何が良い?投資の学び方と商品の選び方も

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超低金利が続く日本では、預貯金だけではお金を増やせません。そのため20代など若いうちから投資や資産運用を検討する方も増えてきており、政府も金融教育の拡充を目指すなど、投資への機運は高まっています。

この記事では20代の方に適した投資や投資の勉強方法、商品の選び方について解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定サービスの利用を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2022年12月28日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。

目次

  1. 20代から始めやすい投資は?
    1-1.つみたてNISA・投信積立
    1-2.DeCo(個人型確定拠出年金)
    1-3.ロボアドバイザー
    1-4.ミニ株(単元未満株)
  2. 20代の投資のポイント
    2-1.まずは少額から始める
    2-2.投資をしながら金融リテラシーを身につける
    2-3.複利効果を活用する
    2-4.インフレリスクを意識する
    2-5.結果は自己責任であることを理解する
  3. 20代の投資の学び方
    3-1.金融教育の教材を利用
    3-2.投資の書籍を読む
    3-3.少額から投資を実践する
  4. 20代の投資商品の選び方
    4-1.長期的に大切だと思える事業や商品、会社などに投資をする
    4-2.低コストなファンド
    4-3.分配金の頻度が少ないファンド
  5. まとめ

1.20代から始めやすい投資は?

まずは、少額で始められる投資やプロに投資が任せられるものを中心に4つをピックアップしてご紹介していきます。

1-1.つみたてNISA・投信積立

つみたてNISAは元本保証でない投資信託・ETFを活用して着実に資産形成ができるように、制度自体にリスクを低減できる仕組みが備わっています。

まとまった資金のない方には、投資信託の積立は相性の良い投資手法といえます。投資信託の積立は特定口座などの課税口座だけでなく、つみたてNISA口座でも可能です。つみたてNISAで投資できる商品は限定されますが、運用益に対して課税されません。

1年間40万円の非課税枠まではつみたてNISAを活用し、非課税枠を使い切ったら特定口座などで投資信託の積立をするとよいでしょう。

投資信託とは?

投資信託とは投資家から集めた資金をまとめて、ファンドマネージャーが株式や債券で運用し、その成果を還元する運用商品です。証券会社によっては100円程度からの買付ができます。

投資信託は商品ごとに決められた方針のもとに運用されており、さまざまな種類があります。そのため、初心者から経験者までのさまざまな運用ニーズを満たせる商品です。

積立投資とは?

積立投資とは、運用商品を一定の期間ごとに同額で同じ銘柄を買付ける手法のことです。たとえば、投資信託を毎月1万円ずつ購入するようなやり方です。

積立投資には少額でも投資が始められる点以外に、「ドルコスト平均法」により平均購入単価を均す効果があります。ドルコスト平均法とは定時定額投資、つまり積立投資のことです。

以下のような値動きの商品を毎月1万円ずつ買ったとします。

項目 単価 購入口数 累積口数 評価額
1回目 1万円 1.00口 1.00口 1万円
2回目 9,000円 1.11口 2.11口 1万9,000円
3回目 8,000円 1.25口 3.36口 2万6,889円
4回目 8,500円 1.18口 4.54口 3万8,569円
5回目 9,000円 1.11口 5.65口 5万838円

この商品を1回目のときに5万円一括投資したとすると、5回目時点の単価となった際の評価額は4万5,000円です。しかし、1万円ずつの積立では、当初1万円だった単価が1万円まで戻っていなくても、評価額は投資総額より増えています。

これが、値下がりしたときには数量を多く買い、値上がりしたときには少なく買うドルコスト平均法の効果です。

上記の例では途中で元本割れしているように、ドルコスト平均法なら必ず利益が出る保証はありません。しかし、短期の値動きを気にせずに積立を続けて、購入数量を増やしていくのが積立投資のコツなのです。

投信積立やつみたてNISAでは積立の設定をすれば自動的に定期的な買付が行われるため、買付のタイミングを気にする必要はありません。

1-2.iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、公的年金の上乗せのための制度です。加入者が掛金を自分で運用し、年金資産を60歳以降に受け取る仕組みです。加入者は掛金が全額所得控除の対象になるなどの税の優遇が受けられます。

iDeCoの運用商品には定期預金などの元本確保型と、投資信託があります。iDeCoの投資方法も毎月一定の金額を投資する積立方式です。

ただし、iDeCoは老後資金準備という明確な目的があるため、60歳まで引き出しができません。20代の人は無理のない積立額で、つみたてNISAと併用しながら利用するとよいでしょう。

1-3.ロボアドバイザー

ロボアドバイザーとはAI(人工知能)を活用して資産運用の提案をしたり、運用代行をしたりする金融サービスです。ロボアドバイザーには運用の提案アドバイスを行う「アドバイス型」と、運用代行まで行う「投資一任型」があります。

投資一任型の代表的なサービスには「WealthNavi(ウェルスナビ)」や「THEO+docomo」などがあります。

投資一任型に運用を任せる

投資一任型では簡単な質問に答えるだけで最適な投資の提案を受けられ、投資家が提案を承認するとロボアドバイザー事業者が実際の運用を行います。

ロボアドバイザーは何から初めていいかわからない投資初心者や、投資に時間をかけられない人に適したサービスです。20代で投資を始めようと思っても、銘柄選びなどが難しくて購入に至らない人も少なくないでしょう。

しかし、投資は早く始めるほど有益です。そのような場合は、とりあえずロボアドバイザーに投資を「お任せ」してみるのも選択肢の1つです。

運用成果は自己責任

ただし、ロボアドバイザーが運用代行したとしても、運用の成果はユーザーが負わなければなりません。その点を理解し、自分でも投資の知識を増やすようにしましょう。

1-4.ミニ株(単元未満株)

ミニ株とは1株から買付できる、「株式ミニ投資」と呼ばれる株式投資の一種です。株式投資は100株からなる1単元が最低単位です。1株3,000円の銘柄なら30万円の資金が必要になります。しかし、ミニ株なら1株から買付けられるため、銘柄によっては数百円から投資可能です。

また、SMBC日興証券が提供する「日興フロッギー」など、証券会社によっては株を金額指定で買付けられるサービスもあります。この場合、1株が1万円以上の値がさ株でも気軽に買うことができます。

20代では株式投資を始めたくても、手元資金があまりないという人は多いでしょう。そのような人でも気軽に株式投資を実践していけるのは、ミニ株の大きな魅力です。また、先述の日興フロッギーではdポイントを使って買い付けをすることもできるため、現金を使わずに投資を始められるメリットがあります。

ミニ株では実際の買付は、単元株のようにリアルタイムで行われないサービスがほとんどです。そのため、希望した金額での買付ができないこともある点に注意が必要です。

2.20代の投資のポイント

次に、20代の人が投資をするうえでの心構えや考え方のポイントを解説します。

2-1.まずは少額から始める

20代で投資を始めるなら、いきなり大金を投じるのでなく、最初は少額から始めましょう。投資では損をする可能性もあります。初めて買った商品が大きく値下がりして損をした場合、元手が大きすぎると投資を続けられなくなるおそれがあります。

投資は最初から上手くいくとは限らないと考え、少額から始めるのが得策です。現在は、少額から始められる投資がたくさんあるので、それらを活用して実践していくとよいでしょう。

ただし、資産形成をするには元手は多いほうが投資効率は上がります。慣れてきたら、投資に回す金額を増やしましょう。

2-2.投資をしながら金融リテラシーを身につける

2022年から高校で金融教育が必修化されるなど、国を挙げて金融リテラシーの大切さが広まってきました。投資による資産形成は金融庁からも「身に付けるべき項目」とされています。

まとまった資産を作っていくには長期での運用が必要です。そのため、20代から投資を習慣化して、運用益を積み重ねていきましょう。

2-3.複利効果を活用する

20代から長期的に運用すると、複利効果で資産を増やす期待ができます。複利とは運用益を投資元本に組み込むことで、投資効率を上げていくことが可能です。ちなみに複利に対し、運用益を再投資せず一定の元本で投資することを単利といいます。

わかりやすい例として、100万円を年利10.0%で複利運用した場合の運用成果の推移の表を見てみましょう。

項目 その年の投資元本 その年の運用益 その年の元利合計
1年後 100万円 10万円 110万円
2年後 110万円 11万円 121万円
3年後 121万円 12万1,000円 133万1,000円
4年後 133万1,000円 13万3,100円 146万4,100円
5年後 146万4,100円 14万6,410円 161万510円
6年後 161万510円 16万1,051円 177万1,561円
7年後 177万1,561円 17万7,156円 194万8,717円
8年後 194万8,717円 19万4,871円 214万3,588円
9年後 214万3,588円 21万4,358円 235万7,947円
10年後 235万7,947円 23万5,794円 259万3,742円

※筆者作成

同じ100万円を10年間年利10%で単利運用した場合の、10年後の元利合計は200万円です。複利では約260万円と60万円もの差がつく結果となります。運用益の推移を見ると、期間の経過ごとに金額が大きくなることがわかります。つまり、20代から時間をかけて運用すると、複利効果のメリットを最大限活用できるのです。

ただし、実際の運用では毎年10%の成果を出すことは難しく年3%~4%程度のリターンが目安とされています。運用成果がマイナスになる年もあり、複利にはプラス幅だけでなくマイナス幅も大きくする効果があります。そのため、複利投資を行ったからといって将来的に資産が増える保証はない点は、他の投資手法と同様と言えます。

2-4.インフレリスクを意識する

インフレリスクとは物価上昇が続き、お金の価値が下がるリスクです。日本は長期的にデフレ(物価が継続的に下がる状況)傾向にありましたが、2022年に入ってから急激な物価上昇が起きています。

インフレが長期にわたると、預貯金のようなインフレに弱い資産の価値が目減りします。預貯金の金利が物価上昇率に追いつかなければ、額面は同じでも資産価値は下がってしまうのです。

20代から投資が必要なのは、長期的にインフレから資産を守らなければならないことも理由の1つです。インフレを意識し、物価上昇率を上回る投資で資産を防衛しましょう。

2-5.結果は自己責任であることを理解する

投資は預貯金と違い、元本が保証されていません。損をしたとしてもその結果を負うのは自分自身です。投資をするうえで自己責任であることを理解するのは、非常に大切なことです。そのため、リスクを限定して損失を抑え、長期的に投資を続ける方法を知る必要があります。

適切な投資判断は実践で身に付ける以外ありません。そのため、失敗してもやり直せる20代からのスタートが有効なのです。

3.20代の投資の学び方

投資は知識ゼロで始めると失敗につながりやすくなります。細かいノウハウは実践で身に付けるとしても、最低限の知識は頭に入れて始めたほうがよいでしょう。ここでは、20代に適した投資の勉強方法を紹介します。

3-1.金融教育の教材を利用

2022年から高校で金融教育が義務化されました。高校の金融教育のプログラムには資産運用に関するものもあり、投資初心者が最低限身に付けたい内容が網羅されています。

金融庁が提供する教材の資産運用の部分を一読すると、最低限の知識が効率よく身に付きます。資産形成のシミュレーターもあるので活用するとよいでしょう。

3-2.投資の書籍を読む

書籍での投資の勉強は、深い知識を自分のペースで学べる点がメリットです。投資に関する本は種類も多く、自分のレベルやニーズに合った本を探せます。ただし、出版された時期によっては、情報が古い場合がある点に注意が必要です。本は普遍的な知識の習得に役立て、最新情報は証券会社のウェブサイトなどから得るなど使い分けましょう。

3-3.少額から投資を実践する

投資は机上の勉強よりも実践が大切です。少額でも自己資金を使って投資をすると、リアルな緊張感を体験できます。資産の増減を見て成功や失敗の要因を分析し、次の投資に活かすというサイクルで安定した成果を得られるようになるのです。

4.20代の投資商品の選び方

投資を始めるにあたり、ハードルが高いのは商品選びではないでしょうか。たとえば、投資信託の積立を始める場合も、自分に合った商品がわからない人は少なくありません。ここでは投資信託に絞り、20代に適した商品の選び方を解説します。

4-1.長期的に大切だと思える事業や商品、会社などに投資をする

長期的に投資をする上で大切なことは、10年後・20年後・30年後にも必要とされる事業や商品を展開している企業や、良い哲学を持って経営や営業活動を行っている企業などに投資をすることです。

未来の社会でも持続的に価値を創出することができる企業は、顧客や取引先、社内、地域、株主などから評価されて企業価値も高まっていきます。そういった企業に投資をすることで、長期的なリターンを得ることができるようになります。

4-2.低コストなファンド

投資信託では、購入代金の他に「購入時手数料」「信託報酬」「信託財産留保額」という費用がかかります。このうち、購入時手数料と信託財産留保額はかからない商品もあり、かかったとしても購入時と売却時だけです。

しかし、信託報酬は保有中に必ず負担しなければならず、信託報酬の高さは運用成果に大きな影響があります。たとえば、1年あたりの信託報酬が1.0%の投資信託100万円を1年保有すると1万円、10年なら10万円かかるわけです。

そのため、似たような投資方針の商品であれば、信託報酬の低いほうを選ぶほうが高い収益を期待できます。

4-3.分配金の頻度が少ないファンド

投資信託の分配金の頻度はファンドごとに年1回、毎月などと決められていますが、なるべく頻度の少ないものを選びましょう。また、分配金が出たら受け取らずに、再投資しましょう。分配金を受け取ってしまうと複利効果がなくなるからです。

まとめ

投資で多少の失敗をしてもリカバーする時間のある20代は、リスクを取りやすい年代です。若い頃からできる範囲で投資を始め、コツコツ続けていくと複利効果で将来的には大きな資産形成にもつながります。

まずは最低限の知識を身に付け、少額から実践を積んでから本格的な投資をするとよいでしょう。

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松田 聡子

明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、金融ライターとしても活動中。 保有資格:日本FP協会認定CFP・DCアドバイザー・証券外務員2種 運営サイト : 経営体質改善のヒント