2025年までの不動産年表から考える、マンションの売却タイミングとは?

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マンションを所有している方の中には、いつどのタイミングでマンションを売却すべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?タイミングを一度逃すと、次にいつ到来するかはわからないので、来るべき時にすぐに売却できるように事前に備えておく必要があります。

そこで今回は、不動産市況に影響を及ぼす出来事年表から考える、マンションの売却に適したタイミングを解説します。

目次

  1. 不動産の需要が増加すると売却価格も上昇する
  2. 2020年までのイベントと不動産需要
    2-1.2018年6月:住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行
    2-2.2019年10月:消費税率が10%に引き上げ
    2-3.2020年まで:東京オリンピックによるインフラ整備
    2-4.2020年まで:建設ラッシュによる建築費の上昇
  3. 2020年以降に起こるイベントと不動産売却のタイミング
    3-1.2020年以降:オリンピック特需の終了
    3-2.2022年:生産緑地問題による供給の増加
    3-3.2023年:全国の空き家率の増加
    3-4.2025年:日本人の3割が高齢者になる
  4. まとめ

1 不動産の需要が増加すると売却価格も上昇する

不動産の売却価格はどんな理由で決まっているのでしょうか?需要が高いにもかかわらず供給が少ない状況では、「多少のお金を出してでも取得したい」という流れになるため、売却価格は上昇することとなります。また、再開発で周辺の利便性が向上して地価が上昇した場合も需要が高くなるため、売却価格が上昇します。

そのため、マンションの売却を検討している方は、このように需要が高くなっていて、売却価格が上昇しやすいタイミングを狙って売却すれば、少しでも物件を高く売却できるでしょう。なお、逆に人口減少などで需要が減少している場合は、それに応じて売却価格も安くなっていくことも留意しておきましょう。

2 2020年までのイベントと不動産需要

マンションの需要と売却価格とが比例関係にあることが分かりましたが、ではどのような条件で需要が高くなるのでしょうか?2020年までの直近数年で不動産の需要が高まった、あるいは高まると予想されるタイミングは以下の4つであると言えます。

  • 住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行
  • 消費税率が10%に引き上げ
  • 東京オリンピックによるインフラ整備
  • 建設ラッシュによる建築費の上昇

それぞれのタイミングについて見ていきましょう。

2-1 2018年6月:住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行

1つ目のタイミングは、住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行された2018年6月前後です。外国人観光客の増加といった好調なインバウンドを背景に、宿泊施設が不足していたため、個人が空き部屋などを貸し出す民泊の需要が高まっていました。

しかし、民泊は旅館業法の民宿に該当する一方で、その営業許可申請がなされていない「ヤミ民泊」などの問題があったため、一時は民泊を禁止しようとする流れにもなりました。ところが、2018年6月に住宅宿泊事業法が施行され、条件付きではあるものの民泊が正式に認められたため再度民泊を始める方が増えています。

民泊は、賃貸物件の空室に悩む大家にとって新たな運用方法の1つとしても注目されているため、民泊が正式に認められたことで物件の貸借・売買需要が高くなりました。執筆時点の2019年4月では既に住宅宿泊事業法が施行された後ではありますが、依然として日本観光や宿泊のニーズは高く、民泊の認可が出たことは物件価格上昇のきっかけの一つになったと言える状況です。

2-2 2019年10月:消費税率が10%に引き上げ

2つ目のタイミングは、消費税率が10%に引き上げられる2019年10月より少し前です。

消費税が増税になるということは、マンションの建物部分の価格や購入時にかかる不動産会社の仲介手数料、司法書士の報酬などの諸費用が増税分だけ増えることを意味します。実際に消費税が5%から8%に増税された時は、車や不動産といった高価な買い物に対する駆け込み需要が生じました。

今回の増税幅は前回よりも小さいといっても、不動産価格自体は大きいものであるため、増税前の需要増加で物件価格上昇のきっかけになると言えるでしょう。

2-3 2020年まで:東京オリンピックによるインフラ整備

3つ目のタイミングは、東京オリンピックによるインフラ整備が続く2020年までです。2020年の夏季オリンピックの開催が東京に決まりましたが、決まってからインフラ整備が順調に行われているため、再開発が行われているのと同様に周辺の地価が徐々に上昇しています。

また、オリンピックの特需を期待して企業が次々と周辺の土地や物件を購入しているため、需要過多によって物件価格も上昇しています(参考:東京都 平成31年地価公示価格)。日本国内に限らず、外国人投資家などもこのオリンピック特需に目を付けており、東京の土地に積極的な投資を行っています。そのため、2020年を迎えるまでは、ある程度物件価格の上昇が続くと言えるでしょう。

2-4 2020年まで:建設ラッシュによる建築費の上昇

4つ目のタイミングは、2020年まで建設ラッシュによる建築費の上昇が続くと見込まれることです。建築費建設ラッシュが起こると、人手の確保や資材の確保などが困難になりコストが上がります。また、建築費人手や資材の不足により完成までの時間も長くなりやすいと言えます。そうなると、人件費や資材の費用が大きくなるため、建築コストに跳ね返ることになります。

建築費が上がればそのぶん新築物件の販売価格は上昇します。その結果、中古物件の購入に流れる人が増え、中古物件の需要も高くなるため、新築・中古問わず物件価格が高くなることが予想されます。

3 2020年以降に起こるイベントと不動産売却のタイミング

2020年までは消費税の増税や東京オリンピックによる特需などで、不動産需要が高くなることが期待できるため、マンションの売却には向いているタイミングだと言えます。では、2020年以降はどうでしょうか?2025年までに予定されているのは以下の4つです。

  • オリンピック特需の終了
  • 生産緑地問題による供給の増加
  • 全国の空き家率の増加
  • 日本人の3割が高齢者になる

それぞれのタイミングについて見ていきましょう。

3-1 2020年以降:オリンピック特需の終了

1つ目のタイミングは、オリンピック特需が終了する2020年以降です。2020年の夏には東京オリンピックが開催されるため、それまではオリンピック特需による需要の高まりが期待できますが、その後は外国人投資家などの売りが出てくる可能性があります。

また、選手村として建設された施設は、東京オリンピックが終了した後に一般向けのマンションとして広く売却されるため、一時的に東京23区の居住用物件は供給過多になる懸念があります。東京オリンピックのインバウンド需要を期待して投資していた投資用の物件も、ある程度売りに出されることが予想されます。

一方で、都心の再開発はオリンピック以降も続く予定ですので、不動産の売りが一巡した後は都心の不動産価値は再上昇していく可能性があるでしょう。

3-2 2022年:生産緑地問題による供給の増加

2つ目のタイミングは、生産緑地問題によって不動産の供給増加が懸念される2022年です。生産緑地とは、地盤の保持や保水などによる災害の防止や都市環境の保全の観点などで、農業を営むことを指定されている地域のことです。生産緑地は、固定資産税が免除される一方で、土地の売却に関しては厳しい制限があります。

「生産緑地と供給の増加がどう関係あるの?」と思った方も多いかもしれませんが、全国の約8割の生産緑地が2022年に指定期限切れになります。2016年3月末時点の国土交通省調査によると、生産緑地に指定されている土地は全国で約3,990万坪、東京都全体でも約975万坪にのぼります。

生産緑地の指定期限切れになるということは、その土地の固定資産税が免除されなくなることとなるため、土地の所有者のほとんどは手放すことが予想されます。市場に出回る土地が増えることで、供給が需要を上回るため、地価の下落が予想されます。

3-3 2023年:全国の空き家率の増加

3つ目のタイミングは、全国の空き家率が20%を上回ると予想される2023年です。人口が増加傾向にある状況では、住宅を建設できるエリアに限界があることで、中古住宅の流通もある程度期待できます。しかし、人口が減少傾向にある昨今では、両親が建てた住宅を子が相続しても、既に住居を所有していることが多いので空き家になってしまいます。

株式会社野村総合研究所(NRI)が2017年に発表した「総住宅数・空き家数・空き家率の推移と予測」によると、2023年には日本全国で21.1%が空き家になると予想されています。また、5年後の2028年には25.7%、10年後の2033年には30.4%と全国的に空き家率が高くなると予想されています。

空き家率が高くなるということは、それだけ供給過多になって物件価格が下落する要因になるため、空き家問題が特に深刻視されている地方を中心に、注意をしなければならない点となっています。

3-4 2025年:日本人の3割が高齢者になる

4つ目のタイミングは、日本人の3割が高齢者になることが予想されている2025年です。内閣府が発表した平成29年版高齢化社会白書によると、2025年には30.0%、2040年には35.3%が高齢者になると予想されています。

高齢者が多いということは、現役世代が高齢者を支える仕組みである現在の社会保障制度では、現役世代の負担が大きくなるということを意味します。そうなれば、結果的に現役世代の支出を抑制することにつながります。

また、高齢化に加えて少子化も進行しており、2050年以降には日本の人口が1億人を割り込むことが予想されています。支出の抑制・人口減少による需要の低下などの影響によって、物件価格の下落につながる可能性があります。こちらも空き家率と同様、地方では特に少子高齢化の影響が深刻化しているため、注意しておくべきでしょう。

なお、2025年には大阪万博も予定されているため、一時的に大阪周辺の不動産需要が高まる可能性はあります。

4 まとめ

マンションを売却する上では、買い手の需要が高いか低いかを見極めることが大切です。

需要が低下する、もしくは供給が需要を大幅に上回る状況では、売却価格が低くなりやすいので注意が必要です。そのため、マンションの売却を検討する場合は、どのタイミングで売却すれば価格が高くなるのか、価値が下落して損しないで済むのかを考えながら、予定通りに売却できるように査定なども進めていきましょう。

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矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。