2021年の不動産投資の見通しは?2020年の不動産投資市場の振り返りと今後の予測

2020年は、不動産投資市場にとって激動の1年となりました。2021年以降に不動産投資を検討している方や売却タイミングを見極めている方に向けて、2029年の主な動きと今後の動向をまとめてみましたので、一緒に振り返っていきましょう。

  1. 不動産投資市場の2020年の動向
    1-1.2020年の首都圏の新築マンション平均価格は高値圏で推移
    1-2.2020年10月時点の東京23区の中古マンション価格は前年比1.7%上昇
    1-3.2020年10月時点の東京都のマンション賃料は前年比5.3%上昇
    1-4.2020年の「貸家」の着工件数は前年比10.5%の大幅マイナス
    1-5.不動産投資家の意識は、投資用不動産の「価格が下降している」へ
    1-6.国内の2020年第3四半期の事業用不動産投資額は前年同期比26%減の大幅減少
  2. 不動産投資クラウドファンディングの2020年の動向
  3. Jリートの2020年の動向
  4. 海外不動産の2020年の動向
  5. 株式市場の2020年の動向
  6. 2021年の不動産投資市場の見通しまとめ

不動産投資市場の2020年の動向

まずは不動産投資市場の動向やアパートローンなどの動向について振り返っていきたいと思います。

2020年の首都圏の新築マンション価格は6,000万円前後、契約率は大幅低下

不動産経済研究所の調査(※)によると、2020年1月~11月までの首都圏の新築マンションの価格は5,800万円台~6,500万円のレンジで推移しており、11月時点で5,922万円(前年同月比+8.3%)と高水準を維持しています。

ただ、気になるのが契約率と戸数です。新築マンションの契約率は70%を上回れば好調と言われますが、2020年11月は契約率58.1%と低迷してきています。また、首都圏の新築マンションの新規発売戸数は前年同月比15.3%減と減少していることも気がかりです。

背景として、新型コロナウイルス感染拡大により、リモートワークへの移行が進み、都心部やマンションに住むメリットや魅力が低下していることが挙げられるでしょう。マンションの需要が減少する一方で、自宅でワークスペースなどを確保しやすい郊外の戸建ては物色が進んでいます。

※出典:不動産経済研究所「≪首都圏のマンション市場動向≫-2020年11月度-

2020年11月時点の東京23区の中古マンション価格は前年比1.7%上昇

一方、東京23区内の中古マンション価格については、2020年10月時点の価格は3,744万円(平均築年数26.5年)で前年同月比1.7%増(※)となっています。

※出典:東京カンテイ「三大都市圏・主要都市別/中古マンション70㎡価格月別推移

2020年10月時点の東京都の分譲マンション賃料は前年比4.3%上昇

2020年10月時点の東京都の分譲マンション賃料は前年同月比4.3%の上昇となっています。2019年10月も前年同月比5.3%の上昇であったことを考えると、賃料は上昇トレンドにあると言えるでしょう。

※出典:東京カンテイ「三大都市圏・主要都市別/分譲マンション賃料月別推移

2020年の「貸家」の着工件数は前年比10.5%の大幅マイナス

また、国土交通省が発表している「建築着工統計調査(時系列)」を見ると、投資用不動産を表す「貸家」の2020年1月~10月までの着工件数は、前年比10.5%の大幅減少となっています。

前年同期間(2019年1月~2019年10月)の着工件数も-13.6%減少であったことを考えると、「貸家」の需要は下落トレンドに入ったと考えて良いでしょう。

不動産投資家の意識は、投資用不動産の「価格が下降している」へ

一方、不動産投資家側の意識についても見ていきましょう。不動産投資と収益物件の情報サイト「健美家」を運営する健美家株式会社が2020年4月23日~5月7日の期間で、サイト会員に実施した「不動産投資に関する意識調査:第12回」において、1年前と比べた現在の投資用不動産の価格について、「価格が上昇」したという回答が、前回調査(2019年10月)比21.5ポイント減少し、9.4%となり、「価格が下降している」という回答が11.4ポイント増の44.7%となりました。

また、「不動産投資を取り巻く環境で気になること」については、「新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の影響 」が最多割合で73.0%、続いて「不動産の価格動向」62.9%、「経済全般の状況」が56.8%となっています。

国内の2020年第3四半期の事業用不動産投資額は前年同期比26%減の大幅減少

不動産サービス大手のCBREが2020年11月5日に発表した2020年第3四半期の投資市場動向では、日本における事業用不動産の投資額は対前年同期比26%減の5,990億円と大幅減少となっています。(対象は10億円以上の取引で、土地取引およびJ-REIT(不動産投資信託)のIPO時の取得物件を除いた投資額)

前期に続き海外投資家による取得額の伸び(対前年同期⽐26%増)が⽬⽴っており、海外投資家による投資額は、第3四半期まで4期連続で前年同期を上回っています。一方で、J-REITによる投資額は同6%減少、他の国内投資家も同68%減少となり、いずれも2期連続で前年に⽐べ減少しました。

主要アセットタイプ別投資額では、物流施設だけが前年を上回って対前年同期比88%増、主要アセットタイプの中で減少幅がもっとも大きかったホテルは同86%減少しています。

コロナ禍を受け、物流施設の投資実績がこれまでなかった投資家も関⼼を寄せており、CBREは「特に地⽅ではドライバー不⾜解消のため分散ニーズを反映して市場が拡⼤しつつある。売買価格も⾸都圏より低いため、経験の浅い投資家も投資を検討しやすい」としており、地⽅の物流施設への投資の拡⼤を予想しています。

不動産投資クラウドファンディングの2020年の動向

融資の引き締めや着工件数減少などで一棟物件の投資機会などが少なくなる中、2020年も勢いが続いたのが不動産投資型クラウドファンディングの分野です。

不動産投資型クラウドファンディングの案件は、4%~5%と利回りはあまり高くない案件も多いのですが、1万円から不動産投資ができることや投資手続きが簡単なこと、物件やエリアなどに関する詳細な情報開示や優先劣後スキーム(運用終了時のキャピタルロスなどを一定割合までクラウドファンディング会社が負担)などによるリスクを軽減する仕組みが充実していることなどに加え、案件数がまだまだ少ないことやオンラインで投資手続きが完了できることなども相まって、投資家からの人気が高く、事業者の新規参入も相次いでいる状況です。

不動産投資型クラウドファンディング大手のCREALは累計調達額で60億円を突破しています。マンションなどはもちろん、保育園や学校などのESG不動産投資を手掛けている点が特徴です。

また、永久不滅ポイントなどで不動産投資ができるプロパティエージェントの「リンプル」も2020年10月末時点で投資家数が13.5万人を超えるなど、活況が続いています。

Jリートの2020年の動向

Jリート指数は、年初の1月4日始値2150.98から、12月18日終値時点で1715.56(年初から20.2%下落)となっており、年初から大きく下落しました。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2020年3月19日に1145.53まで急落した後、いまだに値が戻ってきていない状況です。

Jリートのなかで大きな比率の資産規模を占めるオフィスのマーケット環境についても詳しく見てみると、オフィス仲介大手の三鬼商事の発表数値によれば、2020年の東京ビジネス地区の平均空室率は1月時点の1.53%から11月時点で4.33%まで大きく上昇しており、企業のリモート移行が進む中で、オフィスの解約が増え、新規の成約がまとまらない状況が続いています。

この状況が2021年も続けば、都内のオフィスマーケットの賃料下落や、オフィス街からの商業施設の撤退などが相次ぎ、周辺エリアの魅力の低下や利便性の低下が起こり、近隣の不動産価格にも影響を与えることが予測されます。

海外不動産投資の2020年の動向

2020年は海外不動産市場にとって、非常に大きな影響がありました。新型コロナウイルスにより海外への渡航が制限されたため、海外不動産の視察や内見などができなくなったためです。

海外不動産の事業者にとっても、成約率の大幅低下や資金繰りの悪化などで非常に苦しい一年となった模様です。2021年は、新型コロナウイルスのワクチンにより渡航制限も徐々に解除されていくと考えられますが、沈静化までにはしばらく時間がかかると見込んでおいたほうが良いでしょう。

株式市場の2020年の動向

日経平均株価は2020年1月4日時点の終値23,204円86銭から、2020年12月18日時点の終値で26,763円39銭まで値上がりし、日経平均株価が1991年4月以来約29年ぶりに26,500円台を超えたとして注目を集めています。

上昇の背景に、新型コロナウイルスの支援策として行われている金利の引き下げにより債券の利回りが低下して魅力が減少し、株式の魅力が高まっていることや、日銀によるETF買い付けなどによる下支え、巣ごもりにより個人投資家資金が市場に流れ込んできていることなどが挙げられます。

2020年12月現在、大手機関投資家からは「2021年以降も債券の魅力は低く、株式市場には引き続き投資妙味がある」という声も聞かれますが、実体経済が冷え込む中での最高値圏ということで、冷静かつ慎重に動向を見ていく必要があるといえるでしょう。

2021年の不動産投資市場の見通しまとめ

2021年は不動産投資市場を含め、経済全体が新型コロナウイルスのワクチン開発と接種時期に左右される年になると考えられます。

2020年12月現在、ワクチン開発が進んでいるのは米国ですが、米国や日本でのワクチンの接種完了が2021年の後半や2022年以降にずれ込んでいく場合には、経済や株価にとっては大きなマイナスインパクトとなります。また、2021年に新型コロナウイルスの変異が起こった場合についても、世界が新たな脅威に直面することとなりますので、こちらも大きな経済全体にとってマイナスのシナリオとなります。

一方、現在の状況が長く続けば続くほど、オンラインへの移行やリモート体制への移行が一層進み、働き方や住み方の多様性がより高まる可能性があります。2019年までは職住近接が不動産市場のトレンドでしたが、2021年移行にそのトレンドにまた回帰していくのか、都市部から郊外や地方への移住の動きが加速するのか、分かれ目の年になることも考えられます。

なお、不動産投資型クラウドファンディングの分野は、オンラインで投資が完結できることや小口で始められること、投資期間も半年から1年前後と短期の案件が多いことなどから、2021年も拡大が続くと予測されます。また、物流施設へのソーシャルレンディング投資ができる「CRE Funding(シーアールイーファンディング)」なども、引き続き注目されていくでしょう。

2020年12月現在、オリンピックは2021年に開催される予定とのことですが、不動産市場にとってはやはり大きなイベントであり、節目になる可能性が高い年ですので、新型コロナウイルスの動向を含めて、不動産投資家の動向や海外の投資家の動向などにも注意を配りながら投資を進めていきましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チームは、不動産投資や金融知識が豊富なメンバーが不動産投資の基礎知識からローン融資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」