IPO(新規公開株)投資は、株式の中でも大きなリターンを狙いやすいため、特に人気が高い投資ジャンルです。希望する銘柄のIPO株を購入するためには、基本的に抽選に参加する必要があります。しかし、抽選方法や申し込み手順は各証券会社によって異なるため、その特徴を理解しておくことが大切です。
この記事では、IPO投資の特徴や抽選方法、実績、おすすめの証券会社について詳しくご紹介します。IPO投資に向けた証券会社選びで悩んでいる方、IPO投資の抽選方法について学びたい方は、参考にしてみてください。
目次
- IPO投資の特徴
1-1.高リターンを期待できる
1-2.購入できる人は抽選で決められる
1-3.抽選ルールや細かい条件は証券会社によって異なる - IPO投資で注目されている証券会社8社
2-1.SBI証券
2-2.SBIネオモバイル証券
2-3.SMBC日興証券
2-4.楽天証券
2-5.松井証券
2-6.岡三オンライン
2-7.マネックス証券
2-8.auカブコム証券 - まとめ
1 IPO投資の特徴
IPO投資は、新規に株式市場へ上場する企業の株を扱う取引です。IPOでは、主幹事となる証券会社を中心に、その株式の購入需要を調査(ブックビルディング)し、その後に公募価格を決定します。購入を希望する人が多い場合、抽選によって株を購入できる人が決められ、投資家は割り当てられた数量の株式を公募価格で購入し、株式の公開日を待つことになります。
IPO投資の具体的な特徴を確認してみましょう。
1-1 高リターンを期待できる
IPO株は上場前に公募価格が設定され、株式公開後につく初値が公募価格を上回るケースが多くあります。2019年には通常株式のIPO案件86件のうち76件で初値が公募価格を上回ったほか、2018年、2017年も9割近い銘柄で公募価格を上回る初値がついています。
また、そのリターンの大きさもIPO投資が注目される理由です。初値が公募価格の2倍以上になるケースもあり、通常の株取引よりも短期間で大きなリターンを期待できることもあります。
このように通常の株式投資よりも期待値が大きいのがIPO株の特徴ですが、購入希望者が多くなるため、基本的に抽選が行われる仕組みとなっています。
1-2 購入できる人は抽選で決められる
IPO株は希望者全員が購入できるわけではありません。新規に発行される株式数は定められており、株式には単元数(最低購入数)も定められています。そのため、IPO株の販売を委託されている証券会社の多くは、購入できる人を抽選によって決める仕組みを採用しています。
抽選のルールや当選確率は証券会社によって異なります。そのため、当選確率を少しでも上げようと、複数の証券会社に口座を作る方法などもよく用いられています。
1-3 抽選ルールや細かい条件は証券会社によって異なる
IPO株の購入において、証券会社選びは重要なポイントの一つです。例えば、各IPO銘柄の販売可否や販売数量は証券会社によって異なります。そのため、口座を保有している証券会社によって最初から購入の有利・不利が生じることになります。
IPO株は、「主幹事」と呼ばれるIPOの準備を行う証券会社を中心に、販売を委託される複数の証券会社によって販売されるケースがほとんどです。主幹事は多くのIPO株の販売を請け負う一方、引受・委託幹事の場合は販売を任される株式数が少なくなります。
また、「IPO株の割り当て方法」も証券会社によって異なります。店舗を構える大手の証券会社では、取引が頻繁な優良顧客や大口の投資家などに販売するIPO株を優先的に割り当て、残りの個人投資家への販売は抽選で行う形が多く採用されています。
一方、店舗を持たないネット証券では、販売可能なIPO株はすべて個人投資家向けに開放されているケースが多くあります。
さらに、「抽選ルール」も証券会社によって様々です。例えば、口座保有者のランクや利用状況などに応じてグループ分けを行い、高いランクのグループから多くの株式数を割り当てたり、抽選回数を増やしたりといったルールがあります。
このほか、完全に平等な抽選ルールなどもあり、資金を積めば応募口数を増やせる証券会社などもあります。その他にも独自の抽選制度を持っている証券会社もあります。
また、証券会社によって手数料体系や口座保有者数、抽選スケジュール、前受金の必要の有無など、様々な条件も証券会社によって異なります。そのため、IPO抽選で当たりやすくなるためには、各証券会社の抽選ルールや細かい条件をしっかり確認し、自分に合った証券会社を選ぶことが大切なポイントです。
2 IPO投資で注目されている証券会社8社
IPO投資は多くの証券会社が取り扱っていますが、以下では、ネット証券を中心にIPO投資で特に注目されている会社をご紹介します。
2-1 SBI証券
取扱実績 | 2020年※ | 2019年 | 2018年 | 2017年 | 2016年 |
71社 | 84社 | 86社 | 85社 | 76社 | |
IPO株割り当ての特徴 | 100%が個人投資家(ネット証券口座の保有者)へ割り当て | ||||
抽選ルール | ・1単元1票の抽選(多くの単元を申し込むほど当選確率が上がる) ・「IPOチャレンジポイント」によって有利な条件での抽選に参加できる |
※2020年12月18日時点。SMBC日興証券を除いて以下同
SBI証券は口座開設数やIPOの取り扱い数において国内トップクラス の証券会社です。国内IPO案件の9割以上を1社でカバーできるため、証券口座を増やしたくない人などから高く評価されています。
ネット証券会社としては主幹事案件が多いのも特徴で、口座保有者に多くのIPO株を配分できるのが特徴です。また、抽選後のキャンセルにペナルティがないため、気軽に抽選に参加できます。
SBI証券はIPO株のほかにも多くの金融商品を取り扱っており、各種の手数料も安いため、メインの証券口座として利用されることが多いのも特徴です。
2-2 SBIネオモバイル証券
取扱実績 | 2020年 | 2019年 | 2018年 | 2017年 | 2016年 |
71社 | 84社 | 86社 | 85社 | 76社 | |
IPO株割り当ての特徴 | 100%が個人投資家(ネット証券口座の保有者)へ割り当て | ||||
抽選ルール | 若年優遇、取引継続優遇、FX口座保持優遇など |
※いずれもSBI証券のもの。SBIネオモバイル証券は委託販売を行う
SBIネオモバイル証券は、SBI証券と同じSBIグループの証券会社で、モバイルでのサービスに特化しています。IPOは基本的に「ひとかぶIPO」というサービスの中で行われ、単元数に関係なく1株から申し込むことができます。
案件はSBI証券が幹事になっている案件から、一部の販売委託を受ける形になるので、すべての案件に申し込みができるわけではない点には注意が必要です。抽選形式は独特で、初心者に有利な優遇制度もあるのも特徴です。
2-3 SMBC日興証券
取扱実績 | 2020年※ | 2019年 | 2018年 | 2017年 | 2016年 |
30社 | 61社 | 66社 | 71社 | 64社 | |
IPO株割り当ての特徴 | 抽選分は15%を上限(残りは各支店の判断) | ||||
抽選ルール | ・ステージ別抽選(預かり資産額などで条件が変わる) ・同率抽選(1人1単元) |
※2020年10月9日時点
SMBC日興証券は国内のIPO案件の7割近くを取り扱う証券会社大手です。過去には日本郵政グループやソフトバンクなどの大型案件も手がけるなど、投資家からの注目も大きいのが特徴です。
IPO株の割り当ては窓口顧客への割合が大きく、オンライン口座を利用する個人への割合は15%が上限となります(同一条件・同一確率による抽選)。当選しなかったダイレクトコースの利用者にはステージ別抽選という独自制度が用意されており、ランクによって最大25倍にまで当選確率が上がる仕組みとなっています。
2-4 楽天証券
取扱実績 | 2020年 | 2019年 | 2018年 | 2017年 | 2016年 |
30社 | 26社 | 11社 | 7社 | 8社 | |
IPO株割り当ての特徴 | 100%が個人投資家(ネット証券口座の保有者)へ割り当て | ||||
抽選ルール | 完全平等抽選 |
楽天証券は口座保有者の多いネット証券会社の1つで、IPOの取り扱いもあります。案件数は現在のところそれほど多くはありませんが、年々取り扱い数が増えてきています。
IPOにおける特徴は、「完全平等抽選」を実施している点です。口座の利用実績や預け入れ資産額などに関係なく平等な抽選が行われます。そのため、初心者や資金の少ない人であっても不利にならないのが大きなメリットです。
一方、ヘビーユーザーにはあまりメリットがないため、IPO用のサブ証券口座として位置づけられる場合もあります。
2-5 松井証券
取扱実績 | 2020年 | 2019年 | 2018年 | 2017年 | 2016年 |
14社 | 21社 | 9社 | 14社 | 11社 | |
IPO株割り当ての特徴 | 100%が個人投資家(ネット証券口座の保有者)へ割り当て | ||||
抽選ルール | 70%超が完全平等抽選 |
松井証券は老舗の証券会社ですが、現在はネット専業で金融商品を取り扱っています。IPOの取り扱い数はそこまで多くありませんが、需要の高さから少しずつ取り扱いを増やしているので、今後の案件数の増加も期待されています。
抽選では70%超が完全平等抽選に割り当てられるため(残りはランクなどによる優遇抽選)、取引実績や預けている資産額は関係ありません。そのため、初心者やライトユーザーにとってメリットが大きいのが特徴です。
また、NISA口座、ジュニアNISA口座でもIPO購入が可能で、この場合は購入時だけでなくIPO株の売却時の手数料も無料です。
2-6 岡三オンライン
取扱実績 | 2020年 | 2019年 | 2018年 | 2017年 | 2016年 |
39社 | 37社 | 50社 | 24社 | 6社 | |
IPO株割り当ての特徴 | 100%が個人投資家(ネット証券口座の保有者)へ割り当て | ||||
抽選ルール | ・システムで乱数を生成して行う公平抽選 ・取引実績別の段階抽選 |
岡三オンラインは、わかりやすく使いやすいサービスで初心者からも注目されるネット証券会社です。IPOでは多くの案件に委託販売先として参加しているため、IPO用のサブ口座としてもよく利用されています。多くのチャンスと100%個人向けの割り当てがあるのが大きな特徴です。
抽選は、システムで乱数を生成して抽選を行うことによって偏りのない当選者選びを行います。また、取引実績があるユーザーは複数回の抽選に参加できます。ブックビルディング時の前受金が不要で資金の拘束が少ないのも特徴です。
2-7 マネックス証券
取扱実績 | 2020年 | 2019年 | 2018年 | 2017年 | 2016年 |
43社 | 45社 | 50社 | 49社 | 46社 | |
IPO株割り当ての特徴 | 100%が個人投資家(ネット証券口座の保有者)へ割り当て | ||||
抽選ルール | 完全平等抽選(システムによる乱数生成) |
マネックス証券は低めの手数料と使いやすいツールが特徴のネット証券会社です。IPOの扱い件数も証券会社の中ではトップクラスで、国内の案件の半分以上をカバーしています。そのため、メイン・サブどちらの証券口座としても利用されています。
IPOの抽選ルールでは、完全平等抽選を行っているため、取引実績や預けている資産額に関係なく平等な結果を期待できます。申し込み株数ごとにシステムで乱数を割り当てて抽選を行うので、申込数が多ければ当選確率も上がる仕組みとなっています。
2-8 auカブコム証券
取扱実績 | 2020年 | 2019年 | 2018年 | 2017年 | 2016年 |
14社 | 25社 | 24社 | 28社 | 20社 | |
IPO株割り当ての特徴 | 100%が個人投資家(ネット証券口座の保有者)へ割り当て | ||||
抽選ルール | 平等抽選(公正性と機密性を確保したシステム抽選で当落選者及び購入株数を決定) |
auカブコム証券は三菱UFJフィナンシャルグループのネット証券会社です。特にauユーザーに豊富な優遇制度が用意されているため、auの携帯電話や通信サービスの利用者に多く利用されています。主幹事の多い大手の三菱UFJモルガン・スタンレー証券が引き受けた案件を委託販売するため、案件引き受けがある場合にはそのぶん期待できます。
ネット証券なので口座保有者に100%抽選枠が割り当てられ、そのうちの一定割合が平等抽選に回されるので、資金力に劣る場合でも当選チャンスを期待できます。
まとめ
IPO投資はリターンの期待値が高いため、初心者からプロまで幅広い層に利用されている株式投資手法です。なお、IPO株は数量が限られるため、店舗型証券を除き、ネット証券では抽選がメインの割り当て方法となっています。
しかし、各証券会社によって抽選ルールやIPOに関する細かな諸条件は異なるため、自身の状況や各社の特徴を比較しながら証券会社を選ぶことが大切です。
- 外国株(米国株など)が買えるネット証券会社
- IPO投資に強い証券会社、少額からIPOに参加できるサービス
- 25歳以下の現物株式の取引手数料が実質0円の証券会社
- 大手証券会社が提供している株式投資サービス
- 少額で株式投資ができるサービス
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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