投資家は不動産投資の「安定的なインカムゲイン(分配金)の確保」に価値を感じているようだ。株式会社三井住友トラスト基礎研究所が10日発表した「不動産投資に関する調査」で、現在、不動産投資を実施している投資家に対して、不動産投資を行う理由について質問したところ、「安定的なインカムゲイン(分配金)の確保」が最多となり、次いで「分散投資効果」となった。
調査は2018年10月~11月にかけアンケートで実施。送付先567のうち年金基金388、機関投資家など179。機関投資家は銀行(都市銀行・地方銀行・信託銀行等)、保険会社(生損保)、共済組合、リース会社など。回答投資家数は117で年金基金81、機関投資家36(有効回答率20.6%)だった。上場株式や債券など「伝統的資産」と呼ばれるもの以外の新しい投資対象や投資手法「オルタナティブ投資」に照準をあて、①これまでのオルタナティブ投資の実績の有無②現在のオルタナティブ投資の実績の有無③現在のオルタナティブ投資における不動産への投資残高の有無を質問した。
回答のあった年金基金の84%(68基金)、機関投資家の89%(32社)がオルタナティブ商品への「投資実績あり」と回答。年金基金では実績ありとの回答割合は2012年の調査以来ほとんど変化していないが、機関投資家では「実績あり」が16年調査から90%前後を占めており、オルタナティブ投資の浸透がうかがえる。一方、オルタナティブ投資を行っていない理由としては「運用対象に含めていない」が最多の7件、「知識が乏しい」6件と続く。「流動性が低い」という回答は17年調査の8件から4件に減少した。
回答のあった年金基金の84%、機関投資家の89%がオルタナティブ商品への「投資実績あり」と回答。オルタナティブ投資を行った理由では「分散投資効果」が86件と最も多く、次いで「リターンの向上」59件、「安定的なインカムゲイン(分配金)の確保」53件と続いた。回答のあった年金基金の84%、機関投資家の89%がオルタナティブ商品への「投資実績あり」と回答。安定的なインカムゲイン(分配金)の確保は3番目に多い回答であった点と比較すると、不動産投資には安定的なインカムゲインの確保が期待されていることがうかがえる。
オープンエンド型不動産私募ファンド、いわゆる私募REITの検討状況については、機関投資家の過半数が私募REIT投資を行っている。一方で、年金基金に関しては「既に投資している」との回答割合が36%となり、43%を占めた前回調査からは減少したものの、回答数では1件増加した。「興味はある」、「将来的に投資を行う可能性がある」との回答割合も前回調査から増加しており、調査は「今後も新規で私募REIT投資を実行する年金基金は一定程度増加する」と予想している。
今後の投資意向としては、年金基金の30%が「不動産は、投資検討すべき投資対象の一つとして考えている」「現状の不動産投資額を維持する予定である」と回答。2016年調査では、年金基金では「不動産投資を行っておらず、今後も行う予定はない」が41%を占めていたが、今回調査では28%に減少し、「投資検討すべき投資対象の一つ」とする回答割合は増加している。一方、機関投資家では、「不動産投資を実行する/増やす予定である」が58%を占め、他の項目を大きく上回った。この結果を受け、調査では「不動産投資の検討を行う予定のなかった年金基金が、検討すべき投資対象に含めるようになっているケースもあるものと考えられ、全般的には、不動産投資に対する姿勢がやや積極化している」とコメントしている。
【関連サイト】株式会社三井住友トラスト基礎研究所 「不動産投資に関する調査 2018年」 -調査結果-
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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