株式会社グローバル・リンク・マネジメント(GLM)は6月24日、「2022年は―55万人、人口減が続く日本で不動産投資に勝機はあるのか?」と題したオンラインセミナーを開催、明治大学名誉教授でグローバル・リンク・マネジメント都市不動産研究所所長を務める市川宏雄氏が、東京圏の都市開発と不動産価格の推移、都心の不動産価格が高騰する要因と今後の見通しなどを解説した。
市川所長は、コロナ禍の初期に見られた東京都の人口減の話題でセミナーを開始。「転出超過と言われたが、実態は郊外や近隣3県の「東京圏」への移転。22年6月以降は対前年比で人口増に転じており、資産としての不動産の価値は変わらない」と説明した。
都心では不動産価格が高騰しており、新築マンションは販売戸数が減り、中古マンションもこの3年ほどで在庫が急減、価格が上昇している現状を示した。供給が不足していることに加え、資材費(労務単価と建築費指数)が上昇しているのが要因。「不動産は時間が経てば価格は下がるというのがこれまでの常識だったが、コロナ禍をはさみ、変わってきている」と足元の変化を印象付けた。
都内では現在、大規模開発が併行して進められており、11のプロジェクトが都心の6キロ圏に集中する。大規模開発都市の発展というだけでなく、市川所長は「海外投資家にとって投資対象として魅力があるか」という視点を示す。海外からのアクセスが良く、仕事がしやすい環境が整備されれば、海外からの投資をさらに呼び込める。実際に、外国人の生活しやすさを配慮した虎ノ門・麻布台の開発計画などもある。
世界の不動産別都市投資額が米国の都市がトップで、東京は25位(2021年/22年上半期)。東京の開発計画は25年以降、遅れが懸念されており、さらに、シンガポールや香港など海外都市が投資先として注目されている。こうした現状から、市川所長は「東京の不動産は『モノが良い割に安い』と人気だが、この先は楽観できない」と引き締めた。
セミナーではチャットでの質問にも回答。「海外の投資家が増え、不動産の価格が上がると、日本人には購入しづらくなるのでは」という質問には、「個人は難しいが、企業には購買力がある。大型物件を買うのは難しいが、数千万クラスなら可能性はある」と、厳しい環境下でも個人投資家が可能な投資方法はあること、情報収集の大切さを示唆。
さらに、「これから日本が生き残るには東京が稼がなくてはならない。東京の一極集中は問題とされているが、不動産の話は別。世界は正直に見ている。人口減でも、東京が順調に発展していけば日本の経済はもつ」と国際金融都市としての東京の役割を強調した。
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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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