国内初、近畿大学の入学式で記念NFTを配布!証明書と会員証の新たな形

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目次

  1. 近畿大学の入学記念NFT
    1-1. 「アプデミー」 – 個人の体験を価値化する新たな試み
    1-2. 2023年近畿大学入学式 入学記念NFTについて
    1-3. 「アプデミー」の今後の予定
  2. 教育分野におけるNFTの活用例
    2-1. OCA大阪デザイン&ITテクノロジー専門学校にてNFTカリキュラム導入
    2-2. 落合陽一サマースクール2022にて卒業証明書をNFTで発行
    2-3. 世界各国のグローバル人材を対象とする学歴・職歴・スキルをNFT証明書で発行
  3. NFTが会員証や証明書に活用できる理由
    3-1. NFTは識別子がついた唯一無二の証明付きのもの
    3-2. コピー不可能な証明書
  4. まとめ

NFT(非代替性トークン)を購入するとき、価格の上昇を期待することは多いかと思います。しかし、NFTは投機や投資の対象だけでなく、会員証や許可証、証明書の役割を果たすプロジェクトや事業も存在します。このような新しい試みの一つとして、近畿大学は入学式で新入生への入学記念NFTを配布しました。このNFTを保有している者だけが、特定のイベント情報を閲覧したり、申し込みを行ったりすることが可能となっています。

今回は、近畿大学の入学記念NFTの特性と、なぜNFTが証明書として機能するのか、そしてすでに会員証や証明書の役割を果たしているNFTプロジェクトについて紹介します。

①近畿大学の入学記念NFT

株式会社ODKソリューションズと近畿大学は共同で、2023年4月1日から開始する「個々の体験を価値あるものに変える」Web3.0サービス『アプデミー』β版を活用した実証実験を開始しました。この実証実験では、Web3.0の理念やNFTの技術を用いて、大学生それぞれの価値観に基づく「個々に特化した」キャリア形成のサポートを目指しています。

そして、この実証実験のスタートを祝う形で、2023年の近畿大学の入学式では、約8000名の新入生を対象に「2023年近畿大学入学式入学記念NFT」が配布されます。さらに、5月頃にはNFTを用いた「入学証明証」の発行も計画しています。

1-1.「アプデミー」 – 個人の体験を価値化する新たな試み

「アプデミー」は、個々の体験を価値化し、個人の成長を支援するWeb3.0サービスです。これは株式会社ODKと株式会社電通グループが共同研究を行い、社会の実装を目指すプロジェクトです。ODKは『UCARO®』という日本初の大学横断型受験ポータルサイトを提供しています。2016年にリリースされ、全国107の大学(2022年9月末時点)に導入され、大学入試情報の集約地として活躍しています。

これらのサービスと、電通グループが保有するWeb3.0やNFTの知見を互いに活用することで、個人の成長を後押しする新たなサービスが生まれることを期待しています。β版としてリリースされた「アプデミー」では、ブロックチェーンを用いて厳格に情報管理を行い、日常の体験や学習などの成果をNFT化することで、個人の信用を形成し、その成長をさらに後押しします。さらに、「アプデミー」を通じて、多様な産業や業界での権利や特典の付与に繋がるサービスの社会実装を目指しています。

技術的には、ブロックチェーン基盤にPolygonチェーンを、ウォレットにはシビラ株式会社の『unWallet Enterprise』を採用しています。さらに、アイコンNFTにサービス利用権を付与することで、名前やメールアドレスなどの個人情報の登録なしで利用することが可能となっています。「アプデミー」β版には以下の機能が先行リリースされています。

個人ユーザー向け機能

  • パーソナリティ診断によるアイコンNFT配布機能
    30の質問に答えることで、16タイプからあなたの特性に応じたNFTが配布されます。これは、自分のアイデンティティを証明する第一歩となり、NFTの取得を楽しく簡単に体験できます。
  • イベント紹介機能
    アイコンNFTの保有者限定で、イベント情報の閲覧や申込が可能

大学、企業、自治体向け機能

  • NFT 配布パッケージ機能
    QRコードなどを用いて、安価で簡単にNFTの配布が可能

1-2.2023年近畿大学入学式 入学記念NFTについて

「アプデミー」β版のリリースと同時に行われる本実証実験では、大学特有のNFTの発行や、NFT保有者への特権や特典の提供について検討します。そして、リリースを記念して、近畿大学の入学式においてオリジナルNFTが配布されます。このNFTは、「アプデミー」β版の大学、企業、自治体向けNFT配布パッケージ機能を活用し、近畿大学から提供されます。参加者は、会場内のスクリーンなどに表示されるQRコードをスマートフォン等で読み取るだけで、NFTを獲得する体験が可能となります。

1-3.「アプデミー」の今後の予定

今後の実証実験では、近畿大学の2023年度新入生(約8,000名)を主な対象とし、以下の活動を予定しています:

  • 本実証実験を推進するプロジェクトメンバーの募集
  • 体験や学習の成果を証明するNFTの企画や配布
  • NFT保有者に対する特権や特典の設計や提供
  • 留学、大学院進学、就職活動などでのNFTの利用方法についての検討

また、保有するNFTに基づいたイベントマッチング機能や、体験証明NFTを管理する「スナップショットコレクション」などの新機能の開発も進行中です。

②教育分野におけるNFTの活用例

Web3やNFTは教育分野でも導入が始まっており、自分が描いた絵をNFTにして発行するためのカリキュラムや卒業証書をNFTで発行するといった、様々な方法で活用されています。ここでは活用事例を紹介します。

2-1.OCA大阪デザイン&ITテクノロジー専門学校にてNFTカリキュラム導入

学校法人コミュニケーションアートのOCA大阪デザイン&ITテクノロジー専門学校は、2023年4月より日本の専門学校として初めて全専攻にNFTカリキュラムを導入しました。OCAは開校以来、デザインとテクノロジー、e-sports、ホワイトハッカーの教育、さらに最近ではメタバースについての教育に力を入れています。

近年注目を集めているNFT技術を習得することで、クリエイターは自身とその作品の価値をさらに引き上げることが可能になります。学生たちが卒業後、「好き」を「仕事」にして長期間にわたりクリエイターとして活動できるようになることを目指し、全専攻にNFTをカリキュラムとして導入する決定をしました。こうして、最先端のNFTカリキュラムの提供が始まりました。

2-2.落合陽一サマースクール2022にて卒業証明書をNFTで発行

2022年4月に行われた「Table Unstable – 落合陽一サマースクール2022(山口編)」では、参加する小学4~6年生に、受講終了後に卒業証明書をNFTで発行します。参加者は、認証用スマートフォンアプリを起動し、ICカード型ハードウェアウォレットをリーダー/ライター機能を搭載したスマートフォンにかざすことで、受講実績を証明することができます。将来的には、NFTで実績証明を行い、その実績に応じたインセンティブとして、大学入学や留学、就職等で活用できるようにすることを目指します。

今回の実証実験では、個人の活動実績をNFTとして表現することの実現性や、ICカード型ハードウェアウォレットによるNFT化の利便性、実績情報のセキュリティを担保するクレデンシャル管理サーバーの有効性、デジタルアイデンティティ型NFTの流通基盤の構築の実現性などについて、課題の精査と分析、検証を行います。

2-3.世界各国のグローバル人材を対象とする学歴・職歴・スキルをNFT証明書で発行

株式会社PitPaと、世界中から国境を越えグローバルな採用支援を行うフォースバレー・コンシェルジュ株式会社 はこ、世界186ヶ国・地域のグローバル人材を対象とする学歴・職歴・スキルをはじめとした人的資本に関わるNFT証明書の発行を行っています。

また2022年12月より、本プロジェクトの第一弾として、アジア最大規模42.5万人の学生数を誇るネパール最高学府トリブバン大学と戦略的覚書を締結し、ネパールと日本の両国において、本NFT証明書が発行されています。二国間にまたがる人的資本証明書のNFT化はこの時点では世界初となります。(PitPa社/フォースバレー社調べ)

このプロジェクトでは、3つのNFT証明書が発行されます。それぞれの対象は次の通りです。1つ目は、ネパールの高等教育機関で提供された講座カリキュラムを履修し、単位を取得した学生に発行されます。2つ目は、日本や海外の日本企業に新たに採用されたネパール国籍の人材に対して発行されます。そして、3つ目はネパール国籍の受講生が日本語講座を履修した際に発行されます。

③NFTが会員証や証明書に活用できる理由

3-1. NFTは識別子がついた唯一無二の証明付きのもの

NFTの最大の特徴は、デジタル空間上で「唯一性」を保証することです。NFTは「Non-Fungible Token(ノンファンジブルトークン)」の略称で、日本語では「非代替性トークン」と表現されます。「非代替性」が示すように、それぞれのトークンには識別子が付けられ、それが証明として機能します。

各NFTには他のNFTと区別する情報が含まれています。それにより、その作品が世界で唯一無二であることが確認できます。さらに、NFTがブロックチェーン技術を基盤としているため、元の発行者や現在の所有者の情報も記録されており、その証明書が正規であることを簡単に確認することができます。

ブロックチェーン技術を用いることで、従来デジタル上では容易に行われていた作品のコピーが不可能となります。それによって作品の唯一性が生まれ、デジタル資産として価値を持つことが可能となります。

3-2.コピー不可能な証明書

NFTは独自の識別子を持つデジタルアセットとして特徴づけられ、その不変性と所有権を保証します。これらの特性を利用することで、NFTは会員証や証明書として活用可能となります。

例えば、大学の卒業証書や学位証明書は、これまで紙媒体で発行されてきましたが、偽造や紛失のリスクがありました。しかし、NFTによるデジタル証明書なら、ブロックチェーンの不変性と所有権を保証する特性を利用することで、これらの問題を解消できます。

また、会員証もNFTとして発行することで偽造を防止し、所有者の確認を行うことができます。例えば、スポーツクラブやジムの会員証をNFTで発行すれば、会員証の偽造を防ぐことができます。同様に、音楽ライブのチケットをNFTで発行することで、チケットの所有者が正当な入場者であることを確認できます。

NFTはデジタルアセットの不変性と所有権を保証するため、会員証や証明書など、投機や投資以外の様々な分野でも活用が可能となります。

④まとめ

今回、私たちは日本国内の大学初の入学式での入学記念NFTの配布について紹介しました。このプロジェクトはWeb3.0サービス『アプデミー』β版を活用した実証実験の一部で、今後、大学独自のNFTの発行や、保有者への特典付与、またNFTの保有に基づくイベントマッチングなどが検討されています。

現代のNFTプロジェクトでは、証明書としてのNFTだけでなく、それを保有することでホルダーに対して特典が提供されることが一つの特徴となっています。NFTに関心を持つ方々は、投機や投資だけでなく、NFTが提供するサービスやユーティリティにも目を向けてみると、新たな発見があるかもしれません。

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立花 佑

自身も仮想通貨を保有しているWebライターです。HEDGE GUIDEでは、仮想通貨やブロックチェーン関連の記事を担当。私自身も仮想通貨について勉強しながら記事を書いています。正しい情報を分かりやすく読者の皆様に伝えることを心がけています。