シービーアールイー株式会社(以下、CBRE)は5月10日、レポート「日本発のアウトバウンド不動産投資 2017年」を公表した。国内投資家による既存物件への直接投資や国内の機関投資家の動向、不動産開発の動向についてまとめている。
レポートによると、2017年のアウトバウンド不動産投資額は、前年比9.1%減となる27億米ドルだった。日本発の投資先として最も投資額が大きいのは23億ドルの米州で、対前年比9.5%減少したものの、全体に占める割合は前年とほぼ同じ85%だった。一方、EMEA(欧州・中東・アフリカ)への投資額は前年比64.6%減となる1億米ドルだった。同国のEU離脱問題に対する懸念が欧州全体の投資額減少の主な原因と考えられる。日本の投資家による欧州における主要な投資先は英国ロンドンだった。
2018年以降、海外不動産への投資は拡大傾向にあるとの見通しだ。海外不動産に対する投資予定があると回答した国内投資家の74%が「前年より投資額は多い」と回答。予定投資先としては米国が全体の70%を占め、英国とベトナムがともに26%と続いた。英国は、米国と同じく市場規模の大きさ・流動性の高さが評価されており、EU離脱問題に対する懸念はあるものの、英国への投資は再び活発になる可能性がある。
2017年に発表された海外の不動産開発プロジェクトは公表ベースで事業費合計50億ドルとなった。不動産開発プロジェクトは件数ベースで80%がアジア太平洋地域を対象としており、6割が住宅だった。アジア太平洋地域の中でも、今後の経済成長、中間所得者層の増加が見込める新興国が中心で、特にタイ、インドネシアにデベロッパーの関心が集まった。
CBREは、海外不動産への間接投資(ファンドへのエクイティ出資など)は今後3年程度で140億ドル程度と推計する。そして、日本の年金や銀行などの機関投資家によるアウトバウンド不動産投資は2018年から本格化すると予測している。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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