不動産サービスのCBREが10月15日発表した「日本発のアウトバウンド不動産投資2019年上期」で、上期の投資額は19億ドル、前年同期比約3倍に増加した。投資先としてもっとも投資額(直接投資)が大きかったのはアジア9.3億ドル、次いで米州9億ドル。アジア域内の投資先はこれまでシンガポールや韓国が上位だったが、中国でも拡大した。

日本の投資家によるアウトバウンド投資
投資主体別による投資額がもっとも大きかったのは「不動産ファンド」の8億2000万ドルで、不動産ファンドによる半期の投資額としては2005年以来最大となった。機関投資家の投資資金の受け皿となるべく、新たなファンドの組成が複数見られた。一方、アセットタイプ別では、オフィスが全体の66%を占めた。
機関投資家による間接投資(ファンドおよびファンド・オブ・ファンズでの投資など)について、CBREは主要な機関投資家の依託先であるゲートキーパーの動向から、2018年から今までに投資された額は「70億ドルを超えた可能性がある」と推計。さらに、2020年にかけ140億ドル規模を見込んでいる。
今期、欧州で確認できた日本発のアウトバウンド投資(取引)は1件にとどまった。英国での投資はEU離脱問題発生(16年)以降、ほとんど見られなくなっている。しかし、CBREが19年4月に日本の投資家に対して実施した調査では投資予定の対象国として英国を挙げた回答者は全体の33%で、米国(76%)に次いで2番目だった。「英国は米国と同じく、市場規模の大きさや流動性の高さが評価されている。また、18年以降も大手デベロッパーによる英国の企業買収、住宅市場への参入計画、オフィス開発計画などが散見される。EU離脱の道筋が具体化すれば、不動産の直接投資もデベロッパーを中心に再び本格化する可能性がある」との見方だ。
今回の調査結果について、CBREは「デベロッパーや商社による海外ビジネス拡大の意欲の高さやインカムリターンを求める機関投資家が不動産投資で地域的な多様性を求める動きが拡大しており、日本発のアウトバウンド投資は引き続き拡大していく」とする。一方で「景気後退への懸念からやや慎重になる機関投資家も一部みられるため、拡大のペースが鈍化する可能性もある」と付言した。
ただし、日本発のアウトバウンド投資をけん引するデベロッパーや商社の意欲の高さ、インカムリターンを求める機関投資家が地域的な多様性を求める傾向が大きく変わることはないとして「アウトバウンド不動産投資は今後も拡大傾向が続く」と概評している。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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