2014年に国家戦略特区「グローバル創業・雇用創出特区」に選ばれて以降、ベンチャー支援を充実させ、今やスタートアップシティとも呼ばれる福岡市。現在も、魅力的な企業や事業が次々と生み出されています。
今回は、その福岡発のベンチャー企業の中でも、個人が少額から投資家になれる株式投資型クラウドファンディングサービス「ファンディーノ」で募集実績のある注目企業を3社ピックアップしてご紹介したいと思います。
またこの記事では、ファンディーノを利用するメリットや注意点などについても解説をしています。福岡から世界を目指す若手有力企業や、その企業への投資に興味があるという方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
- ファンディーノとは
1-1.サービス概要
1-2.有望なプロジェクトを多数紹介
1-3.企業へのコンサルティングサポートが充実
1-4.プロ投資家たちも注目のサービス - 話題の福岡ベンチャー企業3社
2-1.株式会社漢方生薬研究所
2-2.株式会社Nommoc - ファンディーノへの投資で気をつけたいポイント
3-1.流動性・換金性の低い未上場株式である
3-2.人気案件は募集がすぐに終わることも
3-3.投資家登録でも厳しい審査がある
3-4.投資額には上限がある - まとめ
2-3.株式会社リーモ・トロージェン
1 ファンディーノとは
ファンディーノは株式会社クラウドキャピタルが運営する、株式投資型クラウドファンディングのプラットフォームサービスです。
サイト名 | ファンディーノ | |
URL | https://fundinno.com/ | |
運営会社名 | 株式会社FUNDINNO | |
本社所在地 | 東京都品川区東五反田5丁目25番18号 | |
設立 | 2015年 | |
代表取締役 | 代表取締役CEO 柴原 祐喜 代表取締役COO 大浦 学 |
|
資本金 | 6億208万9720円(別途資本準備金:3億8688万9620円) ※2019年9月2日現在 | |
売上高(手数料収入など) | 2億4,255万円(2018年10月期) | |
従業員数 | 45名 ※2019年4月26日現在 | |
上場有無 | 非上場 | |
サービス開始年月 | 2017年4月 | |
投資金額 | 10万円前後~(案件により異なる) | |
累計応募金額 | 24億2163万円(2019年10月14日時点) | |
累計成約件数 | 69件(2019年10月14日時点) |
※2019年10月時点の情報となります。最新情報に関しては以下サイトを御覧ください。
1-1 サービス概要
海外ではクラウドファンディングによるスタートアップ企業、ベンチャー企業の資金調達が一般的に行われていますが、国内にそうしたサービスを初めて持ち込んだのがファンディーノです。
ファンディーノでは未上場企業でも多くの個人投資家から資金援助を受けることができ、事業の拡大や商品開発などに資金を使うことができます。投資家は投資した金額にしたがって企業の株式や新株予約権を取得し、その企業が将来成長し、IPO(新規上場)やM&A(買収・合併)といったイベントが発生した場合に、取得した株式を売却することでキャピタルゲインを得ることができます。
またファンディーノで投資家を募る企業は、出資者に対してIR情報を提供します。ルールや水準は違うものの、上場企業が株主に対して行っているような情報提供を行うこともあります。さらにファンディーノは、出資を募るだけでなく、出資者に継続して企業のファンとなってもらえるよう、経営や情報公開の面で企業のサポートも行っています。
1-2 有望なプロジェクトが多数掲載
ファンディーノの特徴は、厳格な審査により有望なプロジェクトが多く集まっているところにあります。2017年4月24日のサービス開始以降、第1号案件が同年5月17日に資金調達を完了し、2019年10月14日時点で累計成約数は69件に達しました。月に2~3件のペースで成約しており、成約額は累計で24億円を超えています。
ファンディーノでは、案件として公開する前に事前審査を行い、合格した企業に対して本審査を実施しています。事前審査では概ね1ヶ月ほどかけてしっかり審査を行い、また本審査を通し、将来にわたり投資家の期待に応えられるポテンシャルを持った企業かどうかをチェックしています。
このように厳しい審査を経て公開されるため、ベンチャーキャピタルなどの機関投資家が行っているような高いレベルでの投資判断によって厳選された企業に対して、個人が投資に参画できるというメリットがあります。
1-3 企業へのコンサルティングサポートが充実
ファンディーノは資金調達用の仕組みやプラットフォームを提供するだけでなく、各事業が成功を収めることができるように、ビジネスサポートやコンサルティングも充実させています。外部の専門家とのマッチングや、投資家への情報提供のコンサルティングをはじめ、さまざまな形で成約した企業のサポートを実施しています。
1-4 プロ投資家たちも注目
ファンディーノはプロの投資家たちも注目しています。未上場かつ有望なビジネスプランを持つ企業は、将来のIPOなどで大きなリターンを期待できるため、プロ投資家にとってはまさに「有望株」です。しかし、このような成長力のある企業を探し、その詳細な情報を知ることのできる機会は国内では多くありません。
一方、ファンディーノには厳格な事前審査を通過したベンチャー企業が多く集まっているだけでなく、投資家への情報提供も豊富に行われています。そのため、プロ投資家もファンディーノで投資家として登録し、有望な案件に積極的に出資している状況です。
さらに、ファンディーノではエンジェル税制を活用できる企業もあるので、税制上の優遇措置を受けることも可能です。投資先企業がエンジェル税制の対象企業である場合は、投資金額に応じて所得税の優遇措置を受けることができるため、ファンディーノは節税対策としても活用できるケースがあります。
2 話題の福岡ベンチャー企業3社
以下では、福岡を拠点とするベンチャーで、ファンディーノで過去に資金調達を行ったことがある注目企業3社をご紹介します。
※見出し内の()内は、ファンディーノでの募集時期。
2-1 株式会社漢方生薬研究所(2018年1月募集)
株式会社漢方生薬研究所は、漢方製剤をネット販売で提供する事業を行っています。同社のビジョンは、「予防医療を浸透させ、健康維持や医療費の抑制を達成すること」であり、漢方製剤の提供のほかにも、サプリメントの提供やDNA解析による健康リスクの調査・情報提供サービスなども行っています。
ファンディーノでは、「DNA調査によるセルフメディケーション」というプロジェクトで予防医療の浸透・拡大という社会的なテーマにチャレンジしていることに加え、DNA解析やAIを利用した診断など、バイオ・ITといった先端技術分野に積極的に取り組んでいることが高く評価されました。
その結果、目標金額1,200万円に対して、2,925万円を調達することに成功し、その後、ファンディーノにおけるイグジット第一号となっています。
イグジットでは、株式(新株予約権)を取得していた株主のうち希望者から、都内の投資会社が漢方生薬研究所の株式を買取るという形で投資家にリターンが発生しました。株式募集から1年5ヶ月で株価が1.5倍となったので、年間利回りに換算して約35.3%という結果になりました。
2-2 株式会社Nommoc(2018年5月募集)
株式会社Nommocは、無料の移動サービス提供を目指している企業です。代表取締役の吉田拓巳氏は日本最年少の社長として15歳で株式会社セブンセンスを設立、10代のネット擬似投票サイトを作成するなど、注目される若手起業家の一人です。企業役員として多くの事業に参加しているため人脈も広く、各メディアも注目しています。
Nommocでは車による移動を無料にする手段として車内での広告配信を考えました。一般的なデジタルサイネージ(電子看板)は場所や内容が固定されていますが、Nommocではサービスを利用する個人向けにカスタマイズされた広告を車内で閲覧できる仕組みを作り、質の高い広告体験を目指します。
そしてドライバーには広告料を、ユーザーには無料の移動手段をというwin-winの価値を提供します。技術的なバックグラウンドや、精緻な実験計画、さまざまな実業家・地域の協力もあり、有望な案件として注目を集めています。
さらに、Nommocは1,600万円の募集額に対し、わずか4分半でそれを大幅に超える金額(5,000万円)が集まった案件としても話題となりました。すでに福岡での実証実験は済み、都内での正式ローンチを発表しています。2020年の五輪時には世界中に露出し、大きく飛躍するという見方もあり、イグジットが注目されています。
2-3 株式会社リーモ・トロージェン(2019年10月に募集)
株式会社リーモ・トロージェンはBtoB領域でアロマを用いたセントマーケティングを提案する企業です。好き嫌いへの感覚に影響力の強い、香りによる嗅覚への訴求をブランディングに活用し、パナソニック、BMW、teamLabといった世界的な企業をはじめ多くの企業と契約しています。現在はBtoBでのサービス展開の一層の拡大と、BtoCへの展開を目指しています。
今後は、BtoCのビジネス領域アロマディフューザーの無料導入によるサブスクリプションサービスや、AIディフューザーによる医療や生活改善サービスへの応用など、香りを利用したさまざまなサービス展開が検討されています。
オフラインビジネスが抱えるオリジナリティの高い顧客体験の提供という課題の解決が期待されており、成功すればこの分野の国内におけるリーディング企業にもなり得るとの評価の高いビジネスです。
福岡に拠点を構え、既にファンディーノで資金調達に成功した企業の経営者や、注目される先端分野のIT実業家を役員としてチームに組み入れていることでも注目度が高い案件です。地域の力が結集されており、ビジネス連携やシナジー効果による飛躍が期待されます。
3 ファンディーノへの投資で気をつけたいポイント
ファンディーノには有望な案件が集まりますが、投資をする際は以下のポイントに注意することが重要です。
3-1 流動性・換金性の低い未上場株式である
ファンディーノで発行される新株予約権や株式は、あくまで店頭有価証券です。店頭有価証券は、上場している株式と違い、流動性や換金性で著しく劣ることに注意が必要です。また、配当が約束されているものでもありません。さらにファンディーノで取得できる株式は譲渡制限が付されていることがあるなど、現金化にあたってはさまざまなハードルが存在します。
このほか、元本保証もなく、元本割れや投資資金をすべて損なう可能性もあることに注意しなくてはなりません。余裕資金で投資をするということが大切です。
3-2 人気案件は募集がすぐに終わることも
ファンディーノでは、目標募集額のほかにも上限応募額が定められており、それ以上については投資家からの希望があっても投資することができません。そのため、案件によってはNommocのようにあっという間に募集が終わることもあります。
ファンディーノでは、募集開始の前から案件についての開示が行われているため、事前に案件の内容は確認することが可能です。また、投資家登録をしている人には申し込みが可能になった時点で「お知らせ」が届きます。投資家登録から申し込みができるようになるまでは、2~3日の営業日が必要ですので、事前に投資家登録は済ませておきましょう。
また、こちらも投資家登録後にできることとなりますが、募集が完了した企業に対しても「出資希望を申請する」ということが可能です。企業がさらなる拡大をしていくにあたって追加出資を必要とするシーンも出てきますので、2回目・3回目と再度募集をかけることを期待して出資希望を申請しておくというのも良いでしょう。
3-3 投資家登録でも厳しい審査がある
ファンディーノでは、投資家として登録する場合でも一定の条件をクリアしなければなりません。例えば、「1年以上の投資経験」「300万円以上の金融資産」「投資に使う資金の属性(借り入れではないなど)」が問われます。
未上場株式はリターンの大きさが利点ですが、その分リスクも大きくなります。ファンディーノで投資家登録を行う際は、事前に投資家用の取引約款に目を通しておくといいでしょう。
3-4 投資額には上限がある
ファンディーノでは、ひとつの案件(企業)ごとに投資できる金額は、「1年間で50万円」が上限となっています。そのため、募集されている企業の株式を独占的に専有したり、多く出資してより多くのリターンを期待したりという投資はできません。
ファンディーノのサービスは、社会的価値のある事業を多くの人に知ってもらい、ファンとして支援してもらうというクラウドファンディングの理念に沿ったものです。投資を行う際は、企業の成功を長い目で応援する気持ちで行いましょう。
4 まとめ
ファンディーノは将来性の高いビジネスプランが集まる株式投資型クラウドファンディングサービスです。日本全国から成長力のある案件が集まっていますが、特に福岡発の事業は注目度の高い事業も多く、今後のイグジットが期待されます。
投資としてだけでなく、企業やビジネスの成長を見守ることができるのもファンディーノのメリットです。将来有望なベンチャービジネスに興味のある方は、気になる案件を探してみるのも面白いでしょう。
HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム
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