CBREの13都市オフィスビル市場動向調査。全国的に大型需要は弱含み、空室率は上昇傾向続く

CBREが7月27日発表した2021年第2四半期(Q2)の全国13都市オフィスビル市場動向で、全国的に大型需要が弱含みとなる中、東京ではオールグレード空室率が4年ぶりに2%を上回った。大阪は「グレードA」賃料の下落ペースがやや加速、名古屋のグレードA賃料は5期連続の下落となった。

東京の今期のオールグレード空室率は対前期比+0.9ポイントの2.8%。2%台は2017年Q2以来、4年ぶり。新築ビルへの移転による二次空室のほか、リモートワーク導入やコスト削減による比較的大型の解約区画が、空室として顕在化した。一方、グレードAの空室率は、他グレードに比べて上昇幅が最も小さく、対前期比+0.4ポイントの1.9%。相対的に競争力の高いビルのほうが、拡張移転や集約移転により入居が決まる事例がやや多くみられた。

ただし、テナントが決定している面積帯は500坪に満たない中小規模の区画がほとんどで、部分解約や面積縮小を伴う集約の動きは依然として多く、需要は総じて弱含みだ。他グレードに比べてグレードAは空室率の上昇幅が限定的だった一方、賃料は下落幅が最も大きく、対前期比2.1%の下落となった。「23年に大型供給が控えていることなどを背景に需要獲得のための賃料調整が進んでいることが空室率の上昇を抑えている」と同社は分析し「今後も、需給の緩和とともに賃料は下落基調が続く」と予測。グレードA賃料は向こう1年間で6.4%の下落を予想する。

大阪のオールグレード空室率は対前期比+0.4ポイントの2.3%。昨年末以降に解約予告が出された区画の多くが空室として顕在化したほか、新築ビル2棟が大きく空室を残して竣工した。部分解約などの動きは依然として多く、需要は総じて弱含み。一方、立地改善、拡張移転などの動きは前期に比べてわずかながら増加した。ただし、設備投資に対して慎重な企業は未だ多く、必要な面積はコロナ禍以前に比べて小型化する傾向にあり、グレードAに比べ賃料が低く、規模感も手ごろなグレードBが需要の受け皿として選好されやすい。グレードBの中でも競争力の高いビルでは、早々にテナントが決定しているという。

名古屋では、オールグレード空室率は対前期比+0.5ポイントの2.8%。解約予告が出された区画で後継テナントが決まらず空室が顕在化した。これらの空室には、リモートワーク導入により減床となった区画も含まれる。一方、自社ビル売却や建て替えに伴う移転により、まとまった空室が消化された事例がみられた。しかし、テナントのニーズは100坪未満が中心で、大型の需要は限定的だ。ビルのグレードアップや立地改善、集約などの移転ニーズはあるものの、最適なオフィス面積の再検討などにより、移転の決定までに時間を要するケースが多い。このため「ばらくは空室率の上昇基調が続く可能性が高い」と同社。グレードA賃料は対前期比-1.4%の27,500円/坪。1四半期で1%以上の下落は7年ぶりとなる。まとまった空室を抱えるビルを中心に募集賃料を引き下げる動きがみられた。グレードA賃料については、今後1年間で0.5%の下落を見込む。

札幌・仙台・さいたま・横浜・金沢・京都・神戸・高松・広島・福岡の地方都市では、大型区画に対するオフィス需要は鈍い。オールグレード空室率は10都市中、7都市で前期に比べて上昇し、仙台、高松、広島の3都市はいずれも対前期比-0.1ポイントとわずかながら低下した。

グレードAについて、同社では、東京は主要5区中心、大阪、名古屋はオフィスエリア内に立地し、貸室総面積6500坪以上、延床面積1万坪以上、基準階面積500坪以上(大阪、名古屋は350坪)、築年数は概ね15年未満と定義している。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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